COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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等差数列

理論

等差数列の定義

定義≪等差数列(Arithmetic progression)≫

 定数 $d$ に対して漸化式 \[ a_{n+1}-a_n = d \quad \cdots [\ast ]\] を満たす, すなわち隣り合う $2$ 項の差が一定値 $d$ である数列 $\{ a_n\}$ を等差数列(arithmetic progression, sequence)と呼び, $d$ を公差(common difference)と呼ぶ. $$[\ast ] \iff a_{n+1} = a_n+d$$ より, 公差 $d$ の等差数列は各項に定数 $d$ を加えると次の項が得られる数列と言える.

例≪等差数列≫

 初項 $1$ の等差数列 $\{ a_n\}$ の公差 $d$ が
(1)
$d = 0$ のとき, $\{ a_n\} :1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ \cdots.$
(2)
$d = 1$ のとき, $\{ a_n\} :1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ \cdots.$
(3)
$d = 2$ のとき, $\{ a_n\} :1,\ 3,\ 5,\ 7,\ 9,\ \cdots.$
(4)
$d = -3$ のとき, $\{ a_n\} :1,\ -2,\ -5,\ -8,\ -11,\ \cdots.$

定理≪等差数列の一般項による特徴付け≫

(1)
数列 $\{ a_n\}$ が初項 $a,$ 公差 $d$ の等差数列であるとき, その一般項は, $a_n = a+(n-1)d.$
(2)
任意の数列 $\{ a_n\}$ に対して, $\{ a_n\}$ が等差数列$\iff$ $\{ a_n\}$ の一般項 $a_n$ は $n$ の $1$ 次式または定数.

証明

(1)
$n$ に関する帰納法で示す.
(i)
$a_1 = a = a+(1-1)d$ より, $n = 1$ のとき成り立つ.
(ii)
自然数 $n$ に対して \[ a_n = a+(n-1)d \quad \cdots [\ast ]\] を仮定すると, \begin{align*} a_{n+1} &= a_n+d \\ &= (a+(n-1)d)+d \\ &= a+((n-1)+1)d \\ &= a+((n+1)-1)d \end{align*} となり, $n$ を $n+1$ に置き換えても $[\ast ]$ が成り立つ.
(i), (ii) より, 任意の自然数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つ.
(2)
$(\Longrightarrow )$ 初項 $a,$ 公差 $d$ の等差数列 $\{ a_n\}$ の一般項 $a_n$ は, \begin{align*} a_n &= a+(n-1)d \\ &= dn+(a-d) \end{align*} より, $d \neq 0$ のとき $n$ の $1$ 次式, $d = 0$ のとき定数となる.
$(\Longleftarrow )$ 数列 $\{ a_n\}$ の一般項 $a_n$ が $1$ 次式または定数ならば, 定数 $d,$ $e$ を用いて $a_n = dn+e$ と書ける. \begin{align*} a_{n+1}-a_n &= (d(n+1)+e)-(dn+e) \\ &= d \end{align*} より, $\{ a_n\}$ は公差 $d$ の等差数列である.
 数列が等差数列であるための必要条件として, 隣り合う $3$ 項が等差数列であるための条件を考えることは, しばしば有用である.

定理≪等差数列を成す $3$ 数≫

 $3$ 数 $a,$ $b,$ $c$ がこの順に等差数列を成す $\iff$ $2b = a+c.$
特に $a,$ $b,$ $c$ が複素数ならば, このとき, $b = \dfrac{a+c}{2}.$

証明

 数列 $a,$ $b,$ $c$ が等差数列 $\iff$ $b-a = c-b$ $\iff$ $2b = a+c \cdots [\ast ].$
特に $a,$ $b,$ $c$ が複素数ならば, $[\ast ] \iff b = \dfrac{a+c}{2}.$

等差数列の性質

定理≪等差数列の部分列が等差数列を成す条件≫

(1)
定数列 $\{ a\}$ の任意の部分列は定数列であり, 特に等差数列である.
(2)
定数列でない任意の等差数列 $\{ a_n\}$ に対して,
$\{ a_n\}$ の部分列 $\{ a_{f(n)}\}$ が等差数列 $\iff$ $f$ は等差数列.

証明

(1)
明らか.
(2)
$\{ a_n\}$ は定数列でない等差数列だから, その一般項は定数 $d \neq 0,$ $a'$ を用いて $a_n = dn+a'$ と書ける.
$(\Longrightarrow )$ 任意の自然数 $n$ に対して, \begin{align*} a_{f(n+1)}-a_{f(n)} &= (df(n+1)+a')-(df(n)+a') \\ &= d(f(n+1)-f(n)). \end{align*} $\{ a_{f(n)}\}$ を等差数列とすると, これは $n$ に無関係な定数であり, $d \neq 0$ だから, $f(n+1)-f(n)$ も定数である.
ゆえに, $f$ は等差数列である.
$(\Longleftarrow )$ $f$ を等差数列とすると, その一般項は定数 $p,$ $q$ を用いて $f(n) = pn+q$ と書けるから, \begin{align*} a_{f(n+1)}-a_{f(n)} &= d(f(n+1)-f(n)) \\ &= d((p(n+1)+q)-(pn+q)) \\ &= dp \end{align*} より, $\{ a_{f(n)}\}$ は公差 $dp$ の等差数列である.

定理≪等差数列の線形結合≫

 任意の等差数列 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\},$ 定数 $\lambda,$ $\mu$ に対して, 数列 $\{ \lambda a_n\},$ $\{ a_n+b_n\},$ $\{ \lambda a_n+\mu b_n\}$ は等差数列である.

証明

 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\}$ は等差数列だから, その一般項は定数 $a',$ $d,$ $b',$ $e$ を用いて $a_n = dn+a',$ $b_n = en+b'$ と書ける.
このとき, $\{\lambda a_n\},$ $\{ a_n+b_n\}$ の一般項は, \begin{align*} \lambda a_n &= \lambda (dn+a') \\ &= \lambda dn+\lambda a', \\ a_n+b_n &= (dn+a')+(en+b') \\ &= (d+e)n+(a'+b'). \end{align*} これらは $n$ の $1$ 次式または定数だから, $\{\lambda a_n\},$ $\{ a_n+b_n\}$ は等差数列である.
同様に $\{\mu b_n\}$ も等差数列だから, $\{\lambda a_n\}$ との和 $\{\lambda a_n+\mu b_n\}$ も等差数列である.

等差数列の和

定理≪等差数列の和≫

 初項 $a,$ 公差 $d,$ 項数 $m,$ 末項 $\ell$ の有限等差数列 $\{ a_n\}$ の和は, $$\sum\limits_{i = 1}^ma_i = \frac{m}{2}(a+\ell ) = \frac{m}{2}\big( 2a+(m-1)d\big).$$

証明

\[ S = \sum\limits_{i = 1}^ma_i \cdots \quad [1]\] とおく. 和をとる順序を逆にすると, \[ S = \sum\limits_{i = 1}^ma_{m-i+1} \quad \cdots [2].\] $\{ a_{m-i+1}\}$ は初項 $\ell,$ 公差 $-d$ の等差数列だから, その第 $i$ 項は \[ a_{m+i-1} = \ell -(i-1)d.\] よって, $[1],$ $[2]$ の辺々を加えると \begin{align*} 2S &= \sum\limits_{i = 1}^m(a_i+a_{m-i+1}) \\ &= \sum\limits_{i = 1}^m((a+(i-1)d)+(\ell -(i-1)d)) \\ &= \sum\limits_{i = 1}^m(a+\ell ) = m(a+\ell ). \\ \end{align*} となるから, \[ S = \frac{m}{2}(a+\ell ).\] ここに $\ell = a+(m-1)d$ を代入すると, \[ S = \dfrac{m}{2}\big( 2a+(m-1)d\big).\]

例≪等差数列の和≫

 初項 $1,$ 公差 $2$ の等差数列の第 $m$ 項は, $2m-1.$
よって, $1$ から連続する $m$ 個の正の奇数の和は, $$\dfrac{m}{2}(1+(2m-1)) = m^2.$$ これは, 次のようにも求められる: $$\frac{m}{2}(2\cdot 1+(m-1)\cdot 2) = m^2.$$

問題

等差数列の定義

問題≪等差数列を成す直角三角形の辺長の比≫

 $3$ 辺の長さが等差数列を成す直角三角形の $3$ 辺の長さの比を求めよ.

解答例

 題意の三角形の $3$ 辺の長さは等差数列を成すから, ある定数 $b > 0,$ $d \geqq 0$ を用いて $b-d,$ $b,$ $b+d$ と表せる.
また, この三角形は直角三角形で, $3$ 辺の長さのうち $b+d$ が最大だから, \begin{align*} (b-d)^2+b^2 &= (b+d)^2. \\ \therefore b(b-4d) &= 0. \end{align*} $b \neq 0$ より, $$b = 4d,\quad d \neq 0. $$ ゆえに, 求める辺の比は, \begin{align*} (b-d):b:(b+d) &= 3d:4d:5d \\ &= 3:4:5. \end{align*}

問題≪数列の関係式と等差数列≫

 数列 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\}$ が \[ b_n = \frac{1\cdot a_1+\cdots +n\cdot a_n}{1+\cdots +n} \quad \cdots [\ast ]\] を満たすとき, $\{ a_n\}$ が等差数列であることと $\{ b_n\}$ が等差数列であることは同値であることを示せ.

解答例

(i)
$\{ a_n\}$ が等差数列であるとする. $\{ a_n\}$ の公差を $d$ とおくと, 各正の整数 $n$ に対して \[ a_n = d(n-1)+a_1 = dn+(a_1-d)\] より \begin{align*} &\sum\limits_{k = 1}^nka_k = \sum\limits_{k = 1}^n\left( dk^2+(a_1-d)k\right) \\ &= d\cdot\frac{1}{2}n(n+1)(2n+1)+(a_1-d)\cdot\frac{1}{2}n(n+1) \end{align*} となり \[ b_n = d(2n+1)+(a_1-d) = 2dn+a_1\] となるから, $\{ b_n\}$ は等差数列である.
(ii)
$\{ b_n\}$ が等差数列であるとする. $\{ b_n\}$ の公差を $e$ とおくと, \[ b_n = e(n-1)+b_1 = en+(b_1-e) \quad (n \geqq 1).\] $n \geqq 2$ のとき, $[\ast ]$ より \[\sum\limits_{k = 1}^nka_k = b_n\sum\limits_{k = 1}^nk = \frac{n(n+1)}{2}b_n\] だから, \[ na_n = \sum\limits_{k = 1}^nka_k-\sum\limits_{k = 1}^{n-1}ka_k\] より, \begin{align*} a_n &= \frac{1}{n}\left(\frac{n(n+1)}{2}b_n-\frac{(n-1)n}{2}b_{n-1}\right) \\ &= \frac{(n+1)b_n-(n-1)b_{n-1}}{2} \\ &= \frac{(b_n-b_{n-1})n+b_n+b_{n-1}}{2} \\ &= \frac{en+en+(b_1-e)+e(n-1)+(b_1-e)}{2} \\ &= \frac{(3en+2b_1-3e)}{2} \quad \cdots [1]. \end{align*} $n = 1$ のとき, $[\ast ]$ より $a_1 = b_1$ だから, $[\ast ]$ は $n = 1$ に対しても成り立つ. よって, $\{ a_n\}$ は等差数列である.
(i), (ii) より, $\{ a_n\}$ が等差数列であることと $\{ b_n\}$ が等差数列であることは同値である. (終)

等差数列の和

問題≪等差数列の決定・和の最大値≫

(1)
$a_4 = 88,$ $a_9 = 73$ を満たす等差数列 $\{ a_n\}$ の一般項を求めよ.
(2)
初項から第 $n$ 項までの和が $S_n = n^2$ である数列 $\{ m_n\}$ の一般項を求めよ.
(3)
(1), (2) の数列 $\{ a_n\},$ $\{ m_n\}$ について, 数列 $\{ a_{m_n}\}$ の初項から第 $n$ 項までの和 $T_n$ の最大値を求めよ.

解答例

(1)
数列 $\{ a_n\}$ の公差を $d$ とおくと, \[ a_n = a_1+(n-1)d = dn+(a_1-d).\] よって, $a_4 = 88,$ $a_9 = 73$ より, \[ 3d+a_1 = 88, \quad 8d+a_1 = 73\] だから, $a_1 = 97,$ $d = -3.$ ゆえに, \[ a_n = 100-3n \quad \cdots [1].\]
(2)
(i)
$n \geqq 2$ のとき, \[ m_n = S_n-S_{n-1} = n^2-(n-1)^2 = 2n-1.\]
(ii)
$m_1 = S_1 = 1^2 = 2\cdot 1-1$ より, (i) の結果は $n = 1$ のときも成り立つ.
(i), (ii) より, \[ m_n = 2n-1 \quad \cdots [2].\]
(3)
$[1],$ $[2]$ より, 数列 $\{ a_{m_n}\}$ の一般項は \[ a_{m_n} = 100-3(2n-1) = 103-6n.\] よって, \[ a_{m_n} \geqq 0 \iff n \leqq \frac{103}{6}\] となるが, $n$ は整数だから, \[ a_{m_n} \geqq 0 \iff n \leqq 17.\] ゆえに, $T_n$ の最大値は, \[ T_{17} = \frac{17}{2}\big( 2\cdot 103+16\cdot (-6)\big) = 935.\]

問題≪$2$ 数を法とする剰余で定まる等差数列の和≫

 $2$ の倍数と $3$ の倍数を除く自然数を小さい順に並べて得られる数列を $\{ a_n\}$ とおく.
(1)
数列 $\{ a_{2n-1}\},$ $\{ a_{2n}\}$ の一般項を求めよ.
(2)
$\{ a_n\}$ の初項からから第 $2m$ 項までの和 $S$ を求めよ.

解答例

(1)
$2,$ $3$ の最小公倍数 $6$ で割った余りを考えると, 任意の自然数は自然数 $n$ を用いて次のいずれかの形に表せる: $$6n-5,\ 6n-4,\ 6n-3,\ 6n-2,\ 6n-1,\ 6n.$$ このうち, $2$ の倍数でも $3$ の倍数でもない数は, $6n-5,$ $6n-1.$
よって, これらを小さい順に並べて得られる数列を $\{ a_n\}$ とおくと, $$a_{2n-1} = 6n-5,\quad a_{2n} = 6n-1.$$
(2)
求める和は, \begin{align*} \therefore S &= \sum\limits_{i = 1}^{2m}a_i = \sum\limits_{i = 1}^m(a_{2i-1}+a_{2i}) \\ &= \sum\limits_{i = 1}^m((6i-5)+(6i-1)) \\ &= \sum\limits_{i = 1}^m(12i-6) = 12\sum\limits_{i = 1}^mi-6\sum\limits_{i = 1}^m1 \\ &= 12\cdot\frac{1}{2}m(m+1)-6m = 6m^2. \end{align*}

別解

(2)
$\{ a_{2n-1}\},$ $\{ a_{2n}\}$ はそれぞれ初項 $1,$ $5,$ 公差 $6$ の等差数列だから, \begin{align*} S &= \sum\limits_{i = 1}^{2m}a_i = \sum\limits_{i = 1}^ma_{2i-1}+\sum\limits_{i = 1}^ma_{2i} \\ &= \frac{m}{2}(2\cdot 1+(m-1)\cdot 6) \\ &\qquad +\frac{m}{2}(2\cdot 5+(m-1)\cdot 6) \\ &= m(1+3(m-1))+m(5+3(m-1)) \\ &= m(6+6(m-1)) \\ &= 6m^2. \end{align*}

問題≪既約分数の総和≫

 $m,$ $n$ を整数, $p$ を素数とし, $m < n$ とする. $p$ を分母とする $m$ 以上 $n$ 以下の有理数で整数でないものの総和 $S$ を求めよ.

解答例

 有理数 $r = \dfrac{q}{p}$ ($q$: 整数) に対して, $m \leqq r \leqq n \iff pm \leqq q \leqq pn.$
よって, $m$ 以上 $n$ 以下の $p$ を分母とする有理数は初項 $m,$ 末項 $n,$ 項数 $pn-pm+1$ の等差数列だから, その総和を $T$ とおくと, $$T = \frac{pn-pm+1}{2}(m+n).$$ また, $m$ 以上 $n$ 以下の整数の総和を $U$ とおくと, $$U = \frac{n-m+1}{2}(m+n).$$ ゆえに, $p$ を分母とする $m$ 以上 $n$ 以下の有理数で整数でないものの総和 $S$ は, \begin{align*} S &= T-U \\ &= \frac{pn-pm+1}{2}(m+n)-\frac{n-m+1}{2}(m+n) \\ &= \frac{1}{2}(m+n)((pn-pm+1)-(n-m+1)) \\ &= \frac{1}{2}(m+n)(p(n-m)-(n-m)) \\ &= \frac{1}{2}(m+n)(n-m)(p-1). \end{align*}

問題≪等差数列の絶対値の和≫

 自然数 $m,$ $n$ に対して $S_m(n) = \sum\limits_{i = 1}^m|n-i|$ とおく.
(1)
$m < n$ のとき, $S_m(n)$ を求めよ.
(2)
$1 \leqq n \leqq m$ のとき, $S_m(n)$ を求めよ.
(3)
$m$ を固定するとき, $S_m(n)$ を最小にする $n$ の値とその最小値を求めよ.

解答例

(1)
$m < n$ のとき. 自然数 $i$ に対して $1 \leqq i \leqq m$ のとき $i < n$ より $|n-i| = n-i$ だから, \begin{align*} S_m(n) &= \sum\limits_{i = 1}^m(n-i) \\ &= \frac{m}{2}((n-1)+(n-m)) \\ &= mn-\frac{1}{2}m(m+1) \cdots [1]. \end{align*}
(2)
$1 \leqq n \leqq m$ のとき. 自然数 $i$ に対して, $1 \leqq i < n$ のとき $|n-i| = n-i,$ $i = n$ のとき $|n-i| = 0,$ $n < i \leqq m$ のとき $|n-i| = i-n$ だから, \begin{align*} &S_m(n) = \sum\limits_{i = 1}^n(n-i)+\sum\limits_{i = n}^m(i-n) \\ &= \frac{n}{2}((n-1)+0)+\frac{m-n+1}{2}(0+(m-n)) \\ &= n^2-(m+1)n+\frac{1}{2}m(m+1) \cdots [2]. \end{align*}
(3)
$m$ を固定する.
(i)
$m < n$ のとき. $[1]$ は $n = m+1$ で最小値 $$A = m(m+1)-\frac{1}{2}m(m+1) = \frac{1}{2}m(m+1)$$ をとる.
(ii)
$1 \leqq n \leqq m$ のとき. $[2]$ より, $$S_m(n) = \left( n-\frac{m+1}{2}\right) ^2+\frac{1}{4}(m^2-1) \cdots [3].$$ $m,$ $n$ は自然数だから, $[3]$ は
$m$ が偶数のとき $\dfrac{m+1}{2} = \dfrac{m}{2}+\dfrac{1}{2}$ に最も近い $n$ の値 $n = \dfrac{m}{2}$ または $n = \dfrac{m}{2}+1$ で最小値 \begin{align*} B &= \left(\frac{m}{2}\right) ^2-(m+1)\cdot\frac{m}{2}+\frac{1}{2}m(m+1) \\ &= \frac{m^2}{4}, \end{align*} $m$ が奇数のとき $n = \dfrac{m+1}{2}$ で最小値 $$C = \frac{1}{4}(m^2-1)$$ をとる. \begin{align*} A-B &= \frac{1}{4}m^2+\frac{1}{2}m+\frac{1}{4} > 0, \\ A-C &= \frac{1}{4}m^2+\frac{1}{2}m > 0 \end{align*} より, $$A > B, \quad A > C.$$ ゆえに, $S_m(n)$ は, $m$ が偶数のとき $n = \dfrac{m}{2}$ または $n = \dfrac{m}{2}+1$ で最小値 $B = \dfrac{m^2}{4},$ $m$ が奇数のとき $n = \dfrac{m+1}{2}$ で最小値 $C = \dfrac{1}{4}(m^2-1)$ をとる.

問題≪空間図形の格子点の個数≫

 $n$ を $3$ 以上の奇数とする. \begin{align*} &x+y+z = n\ \cdots [1], \\ &x \leqq y+z\ \cdots [2],\ y \leqq z+x\ \cdots [3],\ z \leqq x+y\ \cdots [4] \end{align*} を満たす正の整数の組 $(x,\ y,\ z)$ の個数を求めよ.

解答例

 $n = 2m+1$ ($m$: 正の整数)とおく. 正の整数 $x,$ $y,$ $z$ が $[1],$ $[4]$ を満たすとすると, \[ 2z \leqq x+y+z = n = 2m+1\] だから, $z \leqq m+\dfrac{1}{2}$ より $1 \leqq z \leqq m.$ そこで, $1 \leqq k \leqq m$ なる整数 $k$ を固定して, 平面 $z = k$ 上で条件を満たす整数の組に対応する点 $(x,\ y)$ を数える. $[1]~[4]$ より, \begin{align*} &x+y = 2m+1-k\ \cdots [5], \\ &x-k \leqq y \leqq x+k\ \cdots [6], \quad k \leqq x+y\ \cdots [7]. \end{align*} 点 $(x,\ y)$ は $[6],$ $[7]$ が定める領域内で直線 $[5]$ 上にある.
$x$ は $m-k+1 \leqq x \leqq m$ なるすべての整数値をとる. また, $x$ が整数ならば $y$ も整数であり, $y$ の値は $x$ の値に応じて異なる値をとるから, $z = k$ 上で条件を満たす点の個数は $k.$ ゆえに, 求める個数は, $m = \dfrac{n-1}{2}$ より, \[ 1+\cdots +m = \frac{m(m+1)}{2} = \frac{(n+1)(n-1)}{2}.\]

解答例

  • 空間図形の格子点の個数を求める問題. すべての座標が整数である点を格子点(lattice point)と呼ぶ.
  • まず, $z$ の値の範囲を求める. $k$ をその範囲にある整数として平面 $z = k$ 上で格子点を数えてから, $k$ について足し合わせる.
  • $m$ 以上 $n$ 以下の整数は $m-n+1$ 個であることに注意する.

調和数列

問題≪調和数列の $2$ 項間漸化式≫

 $a_1 = 2,$ $a_{n+1}a_n+2a_{n+1}-2a_n = 0 \cdots (\ast )$ を満たす数列 $\{ a_n\}$ の一般項を求めよ.

解答例

 任意に与えられたある自然数 $n \geqq 2$ に対して $a_n = 0$ を仮定すると, $(\ast )$ において $n$ を $n-1$ に置き換えた漸化式 $$a_na_{n-1}+2a_n-2a_{n-1} = 0$$ より $a_{n-1} = 0$ となり, $a_n = a_{n-1} = \cdots = a_1 = 0$ となるが, これは $a_1 = 2 \neq 0$ に反する.
よって, 任意の自然数 $n$ に対して, $a_n \neq 0.$
このことに注意して, $(\ast )$ の両辺を $a_{n+1}a_n \neq 0$ で割ると, \begin{align*} &1+\frac{2}{a_n}-\frac{2}{a_{n+1}} = 0. \\ \therefore&\frac{1}{a_{n+1}}-\frac{1}{a_n} = \frac{1}{2}. \end{align*} よって, $\left\{\dfrac{1}{a_n}\right\}$ は初項 $\dfrac{1}{a_1} = \dfrac{1}{2},$ 公差 $\dfrac{1}{2}$ の等差数列だから, $$\frac{1}{a_n} = \frac{n}{2}.$$ ゆえに, 両辺の逆数をとると, $$a_n = \frac{2}{n}.$$