COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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複素数平面

理論

複素数の計算

≪複素数の絶対値の性質≫

 複素数 $z_1,$ $z_2$ に対して, $|z_1z_2| = |z_1||z_2|$ が成り立つ.

証明

\[ (x_1+y_1i)(x_2+y_2i) = (x_1x_2-y_1y_2)+(x_1y_2+x_1y_1)i\] から, ラグランジュの恒等式 \[ (x_1x_2\!-\!y_1y_2)^2\!+\!(x_1y_2\!+\!x_1y_1)^2 \!=\! (x_1{}^2\!+\!y_1{}^2)(x_2{}^2\!+\!y_2{}^2)\] に帰着される. ラグランジュの恒等式は, 両辺を展開して比較することによって示される.

≪三角不等式≫

 複素数 $z_1,$ $z_2$ に対して, $|z_1+z_2| \leqq |z_1|+|z_2|$ が成り立つ.

証明

 $z_k = r_k(\cos\theta _k+i\sin\theta _k)$ とおくと, \begin{align*} &(|z_1|+|z_2|)^2-|z_1+z_2|^2 \\ &= 2|z_1||z_2|-(z_1\overline{z_2}+\overline{z_1}z_2) \\ &= 2r_1r_2-r_1r_2\cos (\theta _1-\theta _2)-r_1r_2\cos (\theta _2-\theta _1) \\ &= 2r_1r_2-r_1r_2\cdot 2\cos\frac{0}{2}\cos\frac{(\theta _1-\theta _2)-(\theta _2-\theta _1)}{2} \\ &= 2r_1r_2(1-\cos (\theta _1-\theta _2)) \\ &\geqq 0 \end{align*} となるから, $|z_1+z_2|^2 \leqq (|z_1|+|z_2|)^2$ つまり $|z_1+z_2| \leqq |z_1|+|z_2|$ が成り立つ. 等号成立は $\theta _1-\theta _2$ が $2\pi$ の倍数であるとき, つまり $z_1,$ $z_2$ の偏角が一致するときに限る.

≪ド・モアブルの定理≫

 任意の整数 $n,$ 実数 $\theta$ に対して \[ (\cos\theta +i\sin\theta )^n = \cos n\theta +i\sin n\theta \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つ.

証明

(I)
$n$ が非負整数の場合.
(i)
\[ (\cos\theta +i\sin\theta )^0 = 1 = \cos 0 = \cos 0\theta +i\sin 0\theta\] であるから, $n = 0$ のとき成り立つ.
(ii)
与えられた非負整数 $n$ に対して $[\ast ]$ の成立を仮定すると, 加法定理により \begin{align*} &(\cos\theta +i\sin\theta )^{n+1} \\ &= (\cos\theta +i\sin\theta )^n(\cos\theta +i\sin\theta ) \\ &= (\cos n\theta +i\sin n\theta )(\cos\theta +i\sin\theta ) \\ &= (\cos n\theta\cos\theta -\sin n\theta\sin\theta ) \\ &\qquad +i(\sin n\theta\cos\theta +\cos n\theta\sin\theta ) \\ &= \cos (n\theta +\theta )+i\sin (n\theta +\theta ) \\ &= \cos (n+1)\theta +i\sin (n+1)\theta \end{align*} $[\ast ]$ において $n$ を $n+1$ に置き換えた等式が成り立つ.
(i), (ii) から, 任意の非負整数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つ.
(II)
$n$ の負の整数の場合. (I) から, \begin{align*} &(\cos\theta +i\sin\theta )^n = \frac{1}{(\cos\theta +i\sin\theta )^{|n|}} \\ &= \frac{1}{\cos |n|\theta +i\sin |n|\theta} \\ &= \frac{\cos |n|\theta -i\sin |n|\theta}{(\cos |n|\theta +i\sin |n|\theta )(\cos |n|\theta +i\sin |n|\theta )} \\ &= \frac{\cos (-|n|\theta )+i\sin (-|n|\theta )}{\cos ^2|n|\theta +\sin ^2|n|\theta} \\ &= \cos n\theta +i\sin n\theta. \end{align*}

≪$1$ の $n$ 乗根≫

 任意の正の整数 $n$ に対して, 複素数の範囲で $1$ の $n$ 乗根は \[\cos\dfrac{2k\pi}{n}+i\sin\dfrac{2k\pi}{n} \quad (k \in \{ 0,\ 1,\ \cdots,\ n-1\})\] の $n$ 個である.

証明

 ド・モアブルの定理により, \[\left(\cos\frac{2k\pi}{n}+i\sin\frac{2k\pi}{n}\right) ^n = \cos 2k\pi +\sin 2k\pi = 1\] が成り立つ. $n$ 個の複素数 \[\cos\dfrac{2k\pi}{n}+i\sin\dfrac{2k\pi}{n} \quad (k \in \{ 0,\ 1,\ \cdots,\ n-1\})\] は互いに異なり, $z^n-1 = 0$ の解の個数は $n$ 個以下であるから, 複素数の範囲で $1$ の $n$ 乗根はこの $n$ 個に限る.

問題

複素数の計算

問題≪複素数の絶対値の計算≫

 複素数 $\alpha,$ $\beta,$ $\gamma$ が $|\alpha | = |\beta | = |\gamma | = 1$ を満たすとき, \[ |\alpha +\beta+\gamma | = |\alpha ^{-1}+\beta ^{-1}+\gamma ^{-1}| = |\alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha |\] が成り立つことを示せ.

解答例

\[ |\alpha | = |\beta | = |\gamma | = 1 \cdots [1]\] より, $\alpha\overline\alpha = \beta\overline\beta = \gamma\overline\gamma = 1$ だから, \[\frac{1}{\alpha} = \overline\alpha, \quad \frac{1}{\beta} = \overline\beta, \quad \frac{1}{\gamma} = \overline\gamma.\] よって, \begin{align*} &\left|\frac{1}{\alpha}+\frac{1}{\beta}+\frac{1}{\gamma}\right| = |\overline\alpha +\overline\beta +\overline\gamma | \\ &= |\overline{\alpha +\beta +\gamma}| = |\alpha +\beta +\gamma | \cdots [2]. \end{align*} また, \begin{align*} &\left|\frac{1}{\alpha}+\frac{1}{\beta}+\frac{1}{\gamma}\right| = \left|\frac{\alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha}{\alpha\beta\gamma}\right| \\ &= \frac{|\alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha|}{|\alpha ||\beta ||\gamma |} = |\alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha | \cdots [3] \quad (\because [1]). \end{align*} $[2],$ $[3]$ より, 求める等式が得られた.

問題≪三角不等式≫

 任意の複素数 $\alpha,$ $\beta$ に対して, 不等式 \[ |\alpha +\beta | \leqq |\alpha |+|\beta|\] が成り立つことを示し, 複素数平面において $0,$ $\alpha,$ $\beta$ が一致するか同一半直線上にあるときに限り等号が成り立つことを示せ.

解答例

 $\alpha = 0$ または $\beta = 0$ のときは, 両辺が $0$ となって成り立つ. そこで, $\alpha \neq 0,$ $\beta \neq 0$ とする. \begin{align*} (|\alpha |+|\beta |)^2 &= |\alpha |^2+2|\alpha ||\beta |+|\beta |^2 \\ &= |\alpha |^2+2|\alpha ||\beta |+|\beta |^2, \\ |\alpha +\beta |^2 &= (\alpha +\beta )\overline{(\alpha +\beta )} \\ &= (\alpha +\beta )(\bar\alpha +\bar\beta ) \\ &= \alpha\bar\alpha +\alpha\bar\beta +\bar\alpha\beta +\beta\bar\beta \\ &= |\alpha |^2+\alpha\bar\beta +\overline{\alpha\bar\beta}+|\beta |^2 \end{align*} よって, \begin{align*} (|\alpha |+|\beta |)^2-|\alpha +\beta |^2 &= 2|\alpha ||\beta |-(\alpha\bar\beta +\bar\alpha\beta ) \\ &= 2|\alpha ||\bar\beta |-(\alpha\bar\beta +\overline{\alpha\bar\beta}) \\ &= 2(|\alpha\bar\beta |-\mathrm{Re}\,\alpha\bar\beta ) \geqq 0. \end{align*} 最後の不等号は, 実数 $x,$ $y$ に対して \[ |x| \leqq \sqrt{x^2+y^2} = |x+iy|\] が成り立つことから従う. よって, $|\alpha +\beta |^2 \leqq (|\alpha |+|\beta |)^2$ だから, $|\alpha +\beta |\geqq 0,$ $|\alpha |+|\beta | \geqq 0$ に注意すると, \[ |\alpha +\beta | \leqq |\alpha |+|\beta |.\] 等号 $|\alpha\bar\beta | = \mathrm{Re}\,\alpha\bar\beta$ は, $\alpha\bar\beta$ が正の実数であるとき, すなわち \[\mathrm{arg}\,\alpha\bar\beta \equiv \mathrm{arg}\,\alpha +\mathrm{arg}\,\bar\beta \equiv \mathrm{arg}\,\alpha -\mathrm{arg}\,\beta \equiv 0 \pmod{2\pi}\] であるとき, つまり $0,$ $\alpha,$ $\beta$ が同一半直線上にあるときにのみ成り立つ.

別解 1

 $\alpha = 0$ または $\beta = 0$ のときは, 両辺が $0$ となって成り立つ. そこで, $\alpha \neq 0,$ $\beta \neq 0$ とする. $\alpha = a_1+a_2i,$ $\beta = b_1+b_2i$ ($a_1,$ $a_2,$ $a_3,$ $a_4$ は実数)とおく. このとき, \begin{align*} &(|\alpha |+|\beta |)^2 = |\alpha |^2+2|\alpha ||\beta |+|\beta |^2 \\ &= a_1{}^2+a_2{}^2+2\sqrt{a_1{}^2+a_2{}^2}\sqrt{b_1{}^2+b_2{}^2}+b_1{}^2+b_2{}^2, \\ &|\alpha +\beta |^2 = |(a_1+b_1)+(a_2+b_2)i|^2 \\ &= (a_1+b_1)^2+(a_2+b_2)^2 \\ &= (a_1{}^2+2a_1b_1+b_1{}^2)+(a_2{}^2+2a_2b_2+b_2{}^2). \end{align*} より, \begin{align*} &(|\alpha |+|\beta |)^2-|\alpha +\beta |^2 \\ &= 2(\sqrt{a_1{}^2+a_2{}^2}\sqrt{b_1{}^2+b_2{}^2}-(a_1b_1+a_2b_2)) \geqq 0. \end{align*} 最後の不等式は, ベクトル $\vec a = (a_1,\ a_2),$ $\vec b = (b_1,\ b_2)$ に関するコーシー=シュワルツの不等式 \[\vec a\cdot\vec b = |\vec a ||\vec b|\cos\theta \leqq |\vec a||\vec b|\] により従う. ただし, $\theta$ は $0 \leqq \theta \leqq \pi$ なる $\vec a,$ $\vec b$ の成す角である. よって, $|\alpha +\beta |^2 \leqq (|\alpha |+|\beta |)^2$ だから, $|\alpha +\beta |\geqq 0,$ $|\alpha |+|\beta | \geqq 0$ に注意すると, \[ |\alpha +\beta | \leqq |\alpha |+|\beta |.\] 等号は, $\cos\theta = 1$ すなわち $\theta = 0$ であるとき, すなわち $0,$ $\alpha,$ $\beta$ が同一半直線上にあるときにのみ成り立つ.

別解 2: 極形式を利用

 $\alpha = 0$ または $\beta = 0$ のときは, 両辺が $0$ となって成り立つ. そこで, $\alpha \neq 0,$ $\beta \neq 0$ とする. $\alpha = r(\cos\theta +i\sin\theta ),$ $\beta = s(\cos\varphi +i\sin\varphi )$ ($r,$ $s > 0$)とおく. $0 \leqq \varphi \leqq \theta < 2\pi$ として一般性を失わない. このとき, \begin{align*} &(|\alpha |+|\beta |)^2 = (r+s)^2 = r^2+2rs+s^2, \\ &|\alpha +\beta |^2 = (\alpha +\beta )\overline{(\alpha +\beta )} \\ &= (\alpha +\beta )(\bar\alpha +\bar\beta ) \\ &= \alpha\bar\alpha +\alpha\bar\beta +\beta\bar\alpha +\beta\bar\beta \\ &= |\alpha |^2+rs(\cos (\theta -\varphi )+i\sin (\theta -\varphi )) \\ &\qquad +rs(\cos (\varphi -\theta)+i\sin (\varphi -\theta ))+|\beta |^2 \\ &= r^2+2rs\cos (\theta -\varphi )+s^2 \end{align*} より, \[ (|\alpha |+|\beta |)^2-|\alpha +\beta |^2 = 2rs(1-\cos (\theta -\varphi )) \geqq 0.\] よって, $|\alpha +\beta |^2 \leqq (|\alpha |+|\beta |)^2$ だから, $|\alpha +\beta |\geqq 0,$ $|\alpha |+|\beta | \geqq 0$ に注意すると, \[ |\alpha +\beta | \leqq |\alpha |+|\beta |.\] 等号は, $\theta -\varphi = 0$ すなわち $\theta = \varphi$ であるとき, すなわち $0,$ $\alpha,$ $\beta$ が同一半直線上にあるときにのみ成り立つ.

補足≪複素数の大小関係?≫

 実数の大小関係を拡張して複素数の大小関係を定義することはできない. 実際, 各複素数 $\alpha,$ $\beta,$ $\gamma$ に対して $\alpha > 0,$ $\alpha = 0,$ $\alpha < 0$ のいずれかが成り立ち, \begin{align*} \alpha < \beta &\Longrightarrow \alpha +\gamma < \beta +\gamma, \\ \alpha < \beta, \gamma > 0 &\Longrightarrow \gamma\alpha < \gamma\beta \end{align*} が成り立つように複素数に対して大小関係が定まるとする. このとき, $i > 0,$ $i = 0,$ $i < 0$ のいずれかが成り立つはずであるが, いずれの場合にも次のような矛盾が生じる.
(i)
$i > 0$ ならば, 両辺に $i$ を掛けて $i^2 = -1 > 0$ となるはずだが, これは $-1 < 0$ に反する.
(ii)
$i = 0$ ならば, 両辺に $i$ を掛けて $i^2 = -1 = 0$ となるはずだが, これは $-1 < 0$ に反する.
(iii)
$i < 0$ ならば, 両辺に $-i$ を加えて $0 < -i$ となり, 両辺に $-i$ を掛けて $0 < (-i)^2 = -1$ となるはずだが, これは $-1 < 0$ に反する.

問題≪正多角形の辺と対角線の長さの積≫

 単位円に内接する正 $n$ 角形の $1$ つの頂点から引けるすべての辺と対角線の長さの積は $n$ であることを示せ.

解答例

 複素数平面において, 原点を中心とする単位円に内接し, 点 $\mathrm P_0(1)$ を通る正 $n$ 角形 $\mathrm P_0\mathrm P_1\cdots \mathrm P_{n-1}$ の頂点 $\mathrm P_k$ は $z^n = 1$ の解 \[ z_k = \cos\frac{2k\pi}{n}+i\sin\frac{2k\pi}{n} \quad (k \in \{ 0,\ 1,\ \cdots,\ n-1\})\] に対応する. $2$ 点 $\mathrm P_0,$ $\mathrm P_k\ (k \neq 0)$ の距離は $|1-z_k|$ で表されるから, \[ |1-z_1|\cdots |1-z_{n-1}| = n \quad \cdots [1]\] が成り立つことを示せば良い. よって, 絶対値の乗法性から, \[ (1-z_1)\cdots (1-z_{n-1}) = n \quad \cdots [2]\] を示せば良い. $z = z_k\ (k \neq 0)$ は $z^{n-1}+\cdots +z+1 = 0$ を満たすので, 因数定理により \[ (z-z_1)\cdots (z-z_{n-1}) = z^{n-1}+\cdots +z+1.\] $z = 1$ を代入すると $[1]$ が得られるので, 題意が示された.

別解

 正 $n$ 角形 $\mathrm P_0\mathrm P_1\cdots \mathrm P_{n-1}$ において, 辺 $\mathrm P_0\mathrm P_k\ (k \neq 0)$ の距離は $2\sin\dfrac{k\pi}{n}.$ よって, $\mathrm P_0P_1\cdots\mathrm P_0\mathrm P_{n-1} = n$ を示すためには, \[ 2^{n-1}\sin\frac{\pi}{n}\cdots\sin\frac{(n-1)\pi}{n} = n \quad \cdots [3]\] が成り立つことを示せば良い. \[\zeta = \cos\frac{\pi}{n}+i\sin\frac{\pi}{n}\] とおくと, ド・モアブルの定理により \[\zeta ^{\pm k} = \cos\frac{k\pi}{n}\pm i\sin\frac{k\pi}{n}\] となるから, \[\sin\frac{k\pi}{n} = \frac{\zeta ^k+\zeta ^{-k}}{2i} = \frac{-\zeta ^{-k}}{2i}(1-\zeta ^{2k})\] となる. よって, 両辺の絶対値をとると \[\sin\frac{k\pi}{n} = \frac{|1-\zeta ^{2k}|}{2}\] となるから, $[3]$ が成り立つことを示すには $[1]$ が成り立つことを示せば良い. 以下, 上の解答例と同様である.

ド・モアブルの定理

問題≪複素数の $4$ 乗根≫

 方程式 $z^4 = -8+8\sqrt 3\mathrm i$ を解け.

解答例

 $z^4 = -8+8\sqrt 3\mathrm i$ の解を $z = r(\cos\theta +\mathrm i\sin\theta )\ (r > 0,\ 0 \leqq \theta < 2\pi )$ とおくと, $$r^4(\cos 4\theta +\mathrm i\sin 4\theta ) = 16\left(\cos\frac{2\pi}{3}+\mathrm i\sin\frac{2\pi}{3}\right).$$ 両辺の絶対値と偏角を比較すると, 整数 $k$ に対して $$r^4 = 16, \quad 4\theta = \frac{2\pi}{3}+2k\pi\ (0 \leqq k \leqq 3)$$ となるから, $$r = 2, \quad \theta = \frac{\pi k}{6}+\frac{k\pi}{2}\ (0 \leqq k \leqq 3).$$ ゆえに, $$z = \sqrt 3+\mathrm i,\ -1+\sqrt 3\mathrm i,\ -\sqrt 3-\mathrm i,\ 1-\sqrt 3\mathrm i.$$

問題≪スパイラルの交点≫

 $(1+\mathrm i)^m = (1+\sqrt 3\mathrm i)^n$ を満たす正の整数 $m,$ $n$ のうち, $m+n$ が最小となるような値を求めよ.

解答例

 実数 $a,$ $b,$ $c$ に対して $a \equiv b \pmod c$ で $a-b$ が $c$ の整数倍であることを表す.
$\alpha = 1+\mathrm i,$ $\beta = 1+\sqrt 3\mathrm i$ とおくと, \begin{align*} &\alpha ^m = \beta ^n \\ &\iff |\alpha ^m| = |\beta ^n|,\ \arg\alpha ^m \equiv \arg\beta ^n \pmod{2\pi} \\ &\iff |\alpha | ^m = |\beta |^n,\ m\arg\alpha \equiv n\arg\beta \pmod{2\pi} \\ &\iff (\sqrt 2)^m = 2^n,\ \frac{m\pi}{4} \equiv \frac{n\pi}{3} \pmod{2\pi} \\ &\iff m = 2n,\ 3m \equiv 4n \pmod{24} \\ &\iff m = 2n,\ 3m \equiv 2m \pmod{24} \\ &\iff m = 2n,\ m \equiv 0 \pmod{24} \end{align*} ゆえに, $\alpha ^m = \beta ^n$ を満たす正の整数 $m,$ $n$ で $m+n$ を最小にする値は, $$(m,\ n) = (24,\ 12).$$

問題≪円の等分点と三角比の積≫

 虚数 $\alpha$ が $\alpha ^5 = 1$ を満たすとき, 次の式の値を求めよ.
(1)
$(1-\alpha )(1-\alpha ^2)(1-\alpha ^3)(1-\alpha ^4).$ 
(2)
$\sin\dfrac{\pi}{5}\sin\dfrac{2\pi}{5}\sin\dfrac{3\pi}{5}\sin\dfrac{4\pi}{5}.$ 

解答例

(1)
条件よりある整数 $k$ に対して $\alpha = \cos\dfrac{2k\pi}{5}+\mathrm i\sin\dfrac{2k\pi}{5},$ $1 \leqq k \leqq 4$ であり, $z^5-1 = 0$ は $5$ つの解 $1,$ $\alpha,$ $\alpha ^2,$ $\alpha ^3,$ $\alpha ^4$ を持つ. よって, $$z^5 -1 = (z-1)(z-\alpha )(z-\alpha ^2)(z-\alpha ^3)(z-\alpha ^4).$$ 一方, $$z^5 -1 = (z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1).$$ よって, \begin{align*} &(z-\alpha )(z-\alpha ^2)(z-\alpha ^3)(z-\alpha ^4) \\ &= z^4+z^3+z^2+z+1. \end{align*} $z = 1$ を代入すると, $$(1-\alpha )(1-\alpha ^2)(1-\alpha ^3)(1-\alpha ^4) = 5.$$
(2)
(1) より, $$|1-\alpha ||1-\alpha ^2||1-\alpha ^3||1-\alpha ^4| = 5 \cdots [1].$$ ここで, $1 \leqq k \leqq 4$ に対して, \begin{align*} |1-\alpha ^k|^2 &= (1-\alpha ^k)\overline{(1-\alpha ^k)} = (1-\alpha )(1-\overline\alpha ^k) \\ &= 1-(\alpha ^k+\overline\alpha ^k)+|\alpha |^2 = 2-2\cos\frac{2k\pi}{5} \\ &= 2\left( 1-\cos\frac{2k\pi}{5}\right) = 4\sin ^2\frac{k\pi}{5} \end{align*} より, $$|1-\alpha ^k| = 2\left|\sin\frac{k\pi}{5}\right| \cdots [2].$$ $[1],$ $[2]$ より, $$16\left|\sin\dfrac{\pi}{5}\right|\left|\sin\dfrac{2\pi}{5}\right|\left|\sin\dfrac{3\pi}{5}\right|\left|\sin\dfrac{4\pi}{5}\right| = 5.$$ $\sin\dfrac{\pi}{5} > 0,$ $\sin\dfrac{2\pi}{5} > 0,$ $\sin\dfrac{3\pi}{5} < 0,$ $\sin\dfrac{4\pi}{5} < 0$ に注意すると, $$\sin\frac{\pi}{5}\sin\frac{2\pi}{5}\sin\frac{3\pi}{5}\sin\frac{4\pi}{5} = \frac{5}{16}.$$

問題≪正七角形の頂点を結ぶ三角形の重心≫

 複素数 $z = \cos\dfrac{2\pi}{7}+i\sin\dfrac{2\pi}{7}$ と $6$ 以下の非負整数 $k$ について, $z^k$ に対応する複素数平面上の点を $\mathrm P_k$ とおく. さらに, $\triangle\mathrm P_1\mathrm P_2\mathrm P_4$ の重心を $\mathrm G(\alpha )$ とおき, $\triangle\mathrm P_3\mathrm P_5\mathrm P_6$ の重心を $\mathrm H(\beta )$ とおく.
(1)
$z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6$ の値を求めよ.
(2)
$\alpha,$ $\beta$ の値を求めよ.
(3)
$\triangle\mathrm{GHP}_0$ の面積を求めよ.
[早稲田大 2001]

解答例

(1)
ド・モアブルの定理により, $z^7 = 1$ つまり $z^7-1 = 0$ であるから, \[ (z-1)(z^6+z^5+z^4+z^3+z^2+z+1) = 0.\] $z \neq 1$ であるから, \[ z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6 = -1 \quad \cdots [1].\]
(2)
$\alpha,$ $\beta$ の定義から, \[\alpha = \frac{z+z^2+z^4}{3}, \quad \beta = \frac{z^3+z^5+z^6}{3}.\] よって, $[1]$ から, \begin{align*} \alpha + \beta &= -\frac{1}{3}, \\ \alpha\beta &= \frac{z+z^2+z^4}{3}\cdot\frac{z^3+z^5+z^6}{3} \\ &= \frac{z^4+z^6+1+z^5+1+z+1+z^2+z^3}{9} \\ &= \frac{3+z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6}{9} \\ &= \frac{3-1}{9} = \frac{2}{9}. \end{align*} したがって, $\alpha,$ $\beta$ は $2$ 次方程式 \[ t^2+\frac{1}{3}+\frac{2}{9} = 0\] の解 \[ t = \frac{-1\pm\sqrt 7i}{6}\] である. 図を描くと分かるように $\alpha$ は実軸より上方, $\beta$ は実軸より下方にあるから, \[\alpha = \frac{-1+\sqrt 7i}{6}, \quad \beta = \frac{-1-\sqrt 7i}{6}.\]
(3)
$\alpha$ と $\beta$ は実軸に関して対称であるから, \begin{align*} \triangle\mathrm{GHP}_0 &= \frac{1}{2}|\alpha -\beta |\left| 1-\frac{-1}{6}\right| \\ &= \frac{1}{2}\cdot\frac{\sqrt 7}{3}\cdot\frac{7}{6} = \frac{7\sqrt 7}{36}. \end{align*}

問題≪$3$ 倍角の公式≫

 $\theta$ を実数とする. 次の $3$ 倍角の公式が成り立つことを示せ. \[\cos 3\theta = 4\cos ^3\theta -3\cos\theta, \quad \sin 3\theta = 3\sin\theta -4\sin ^3\theta.\]

解答例

 ド・モアブルの定理により, \begin{align*} &\cos 3\theta +i\sin 3\theta = (\cos\theta +i\sin\theta )^3 \\ &= \cos ^3\theta +3\cos ^2\theta (i\sin\theta )+3\cos\theta (-\sin\theta )-i\sin ^3\theta \\ &= (\cos ^3\theta -3\cos\theta\sin ^2\theta )+i (3\cos ^2\theta\sin\theta -\sin ^3\theta ) \\ &= \!(\cos ^3\!\theta \!-\!3\cos\theta (1\!\!-\!\cos ^2\!\theta ))\!+\!i(3(1\!\!-\!\sin ^2\!\theta)\sin\theta \!-\!\sin ^3\!\theta ) \\ &= (\cos 3\theta = 4\cos ^3\theta -3\cos\theta )+i(3\sin\theta -4\sin ^3\theta ). \end{align*} $\cos\theta,$ $\sin\theta$ は実数だから, 両辺の実部と虚部をそれぞれ比較すると, 求める等式が得られる.

問題≪ド・モアブルの定理による等式の証明≫

(1)
複素数 $z \neq 1$ に対し, $1+z+\cdots +z^n = \dfrac{1-z^{n+1}}{1-z}$ が成り立つことを示せ.
(2)
等式 \[ 1+\cos\theta +\cdots +\cos n\theta = \frac{\cos\dfrac{n\theta}{2}\sin\dfrac{(n+1)\theta}{2}}{\sin\dfrac{\theta}{2}}\] が成り立つことを示せ.

解答例

 準備中.

問題≪チェビシェフの多項式の最高次の係数≫

 $n$ を正の整数, $\theta$ を実数とする.
(1)
$\cos n\theta = f_n(\cos\theta )$ を満たす $n$ 次多項式 $f_n(x)$ が存在することを示せ.
(2)
$f_n(x)$ の $x^n$ の係数 $a_n$ を求めよ.

解答例

(1)
ド・モアブルの定理と二項定理により, \begin{align*} \cos n\theta +i\sin n\theta &= (\cos\theta +i\sin\theta )^n \\ &= \sum_{k = 0}^n{}_n\mathrm C_k\cos ^{n-k}\theta (i\sin\theta )^k \end{align*} が成り立つ. 右辺の各項は $k$ が偶数のときに実数となるから, 両辺の実部を比較すると, \begin{align*} \cos n\theta &= \sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k}\cos ^{n-2k}\theta (i\sin\theta )^{2k} \\ &= \sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k}\cos ^{n-2k}\theta (-\sin ^2\theta )^k \\ &= \sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k}\cos ^{n-2k}\theta (\cos ^2\theta -1)^k \end{align*} となる. ただし, $[\ ]$ はガウスの記号である. よって, $n$ 次多項式 \[ f_n(x) = \sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k}x^{n-2k}(x^2-1)^k\] は $\cos n\theta = f_n(\cos\theta )$ を満たす.
(2)
$f_n(x)$ の $x^n$ の係数は \[ a_n = \sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k}\] である. \begin{align*} 0 &= \{ 1+(-1)\} ^n = \sum_{k = 0}^n{}_n\mathrm C_k(-1)^k \\ &= \sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k}-\sum_{k = 0}^{[(n-1)/2]}{}_n\mathrm C_{2k+1} \end{align*} から \[\sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k} = \sum_{k = 0}^{[(n-1)/2]}{}_n\mathrm C_{2k+1}\] であり, \begin{align*} 2^n &= (1+1)^n = \sum_{k = 0}^n{}_n\mathrm C_k \\ &= \sum_{k = 0}^{[n/2]}{}_n\mathrm C_{2k}+\sum_{k = 0}^{[(n-1)/2]}{}_n\mathrm C_{2k+1} \end{align*} であるから, \[ a_n = 2^n/2 = 2^{n-1}\] が成り立つ.

複素数と図形

問題≪共円条件≫

 相異なる複素数 $\alpha,$ $\beta,$ $\gamma,$ $\delta$ で表される点が同一直線上にないとき, $4$ 点がこの順に同一円周上に並ぶためには, \[\frac{\alpha -\beta}{\gamma -\beta}\cdot\frac{\gamma -\delta}{\alpha -\delta}\] が負の実数であることと同値であることを示せ.

解答例

 $0$ でない各複素数 $z$ の偏角 $\mathrm{arg}\,z$ を $-\pi$ と $\pi$ の間でとる. \[\mathrm{arg}\,\frac{\alpha -\beta}{\gamma -\beta}\cdot\frac{\gamma -\delta}{\alpha -\delta} \equiv \mathrm{arg}\,\frac{\alpha -\beta}{\gamma -\beta}+\mathrm{arg}\,\frac{\gamma -\delta}{\alpha -\delta} \pmod{2\pi}.\] $4$ 点 $\alpha,$ $\beta,$ $\gamma,$ $\delta$ がこの順に同一円周上に並ぶとき, 右辺の $2$ つの偏角の符号は等しいから, 円に内接する四角形の性質より, 右辺は $\pi$ に等しい. これは, 与式が負の実数であることと同値である. この逆も, 円に内接する四角形の特徴付けから従う.

問題≪アポロニウスの円≫

 $\alpha,$ $\beta$ を複素数, $m$ を $1$ と異なる正の数とする. $|z-\alpha | = m|z-\beta |$ を満たす複素数 $z$ に対応する点の軌跡を求めよ.

解答例

\begin{align*} &|z-\alpha | = m|z-\beta | \\ &\iff |z-\alpha |^2 = m^2|z-\beta |^2 \\ &\iff (z-\alpha )(\overline z-\overline\alpha ) = m^2(z-\beta )(\overline z-\overline\beta ) \\ &\iff (1-m^2)z\overline z-(\overline\alpha -m^2\overline\beta )z-(\alpha -m^2\beta )\overline z \\ &\qquad = m^2|\beta |^2-|\alpha |^2 \\ &\iff \left( z-\frac{\alpha -m^2\beta}{1-m^2}\right)\left(\overline z-\frac{\overline\alpha -m^2\overline\beta}{1-m^2}\right) \\ &\qquad = \frac{m^2|\beta |^2-|\alpha |^2}{1-m^2}+\frac{|\alpha -m^2\beta |^2}{(1-m^2)^2} \\ &\iff \left| z-\frac{\alpha -m^2\beta}{1-m^2}\right| ^2 \\ &\qquad = \frac{(1-m^2)(m^2|\beta |^2-|\alpha |^2)+|\alpha -m^2\beta |^2}{(1-m^2)^2} \quad \cdots [1] \\ &\iff \left| z-\frac{\alpha -m^2\beta}{1-m^2}\right| ^2 = \frac{m^2|\alpha -\beta |^2}{(1-m^2)^2} \quad \cdots [2] \\ &\iff \left| z-\frac{\alpha -m^2\beta}{1-m^2}\right| = \frac{m|\alpha -\beta |}{|1-m^2|}. \end{align*} $[1] \iff [2]$ は \begin{align*} &(1-m^2)(m^2|\beta |^2-|\alpha |^2)+|\alpha -m^2\beta |^2 \\ &= (1-m^2)(m^2|\beta |^2-|\alpha |^2)+(\alpha -m^2\beta )(\overline\alpha -m^2\overline\beta) \\ &= m^2(\alpha\overline\alpha -\alpha\overline\beta -\overline\alpha\beta +\overline\alpha\overline\beta ) \\ &= m^2(\alpha -\beta )(\overline\alpha -\overline\beta ) \\ &= m^2|\alpha -\beta |^2 \end{align*} より分かる. ゆえに, $z$ の軌跡は, $\dfrac{\alpha -m^2\beta}{1-m^2}$ を中心とする半径 $\dfrac{m|\alpha -\beta |}{|1-m^2|}$ の円周.

問題≪複素等比数列が正三角形を成す条件≫

 複素等比数列 $\alpha,$ $\alpha\rho,$ $\alpha\rho ^2$ の項に対応する $3$ 点が正三角形を成す条件を求めよ.

解答例

(i)
$\alpha,$ $\alpha\rho,$ $\alpha\rho ^2$ が正三角形であるとする. このとき, $3$ 辺の長さが等しいことから, \[ |\alpha\rho -\alpha | = |\alpha\rho ^2-\alpha\rho | = |\alpha\rho ^2-\alpha |.\] よって, \[ |\alpha ||\rho -1| = |\alpha ||\rho ||\rho -1| = |\alpha ||\rho -1||\rho +1|.\] $\alpha \neq 0,$ $\rho \neq 1$ であることが必要だから, 両辺を $|\alpha ||\rho -1|$ で割ると, \[ 1 = |\rho | = |\rho +1|.\] よって, $\rho$ は単位円と $-1$ を中心とする半径 $1$ の円の交点であるから, \[\rho = -\frac{1}{2}\pm\frac{\sqrt 3}{2}i \quad \cdots [\ast ].\]
(ii)
逆に, $\alpha \neq 0$ と $[\ast ]$ が成り立つとき, 上記の議論の逆をたどることにより $\alpha,$ $\alpha\rho,$ $\alpha\rho ^2$ は正三角形になる.
(i), (ii) から, 求める条件は \[\alpha \neq 0, \quad \rho = -\frac{1}{2}\pm\frac{\sqrt 3}{2}i.\]

問題≪複素数平面上の正三角形≫

 複素平面上の相異なる $3$ 点 $\mathrm A(\alpha ),$ $\mathrm B(\beta ),$ $\mathrm C(\gamma )$ が正三角形を成すための必要十分条件は, $\alpha ^2+\beta ^2+\gamma ^2 = \alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha$ であることを示せ.

解答例

$\triangle\mathrm{ABC}$ が正三角形
$\iff$ $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ を $\pm\dfrac{2\pi}{3}$ 回転したベクトル
$\iff$ $\gamma -\alpha = (\beta -\alpha )\left(\cos\left(\pm\dfrac{2\pi}{3}\right) +i\sin\left(\pm\dfrac{2\pi}{3}\right)\right)$
$\iff$ $\gamma -\alpha = (\beta -\alpha )\left(\dfrac{1}{2}\pm\dfrac{\sqrt 3}{2}i\right)$
$\iff$ $\gamma -\dfrac{1}{2}(\alpha +\beta ) = \pm\dfrac{\sqrt 3}{2}(\beta -\alpha )i$
$\iff$ $\left(\gamma -\dfrac{1}{2}(\alpha +\beta )\right) ^2 = -\dfrac{3}{4}(\beta -\alpha )^2$
$\iff$ $\alpha ^2 +\beta ^2+\gamma ^2 = \alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha.$
よって, 題意が示された.

別解

\begin{align*} &\mathrm{AB} = \mathrm{BC} = \mathrm{CA} \\ &\iff \frac{\mathrm{AB}}{\mathrm{AC}} = \frac{\mathrm{BC}}{\mathrm{BA}},\ \angle\mathrm{CAB} = \angle\mathrm{ABC} \\ &\iff \frac{|\beta -\alpha |}{|\gamma -\alpha |} = \frac{|\gamma -\beta |}{|\alpha -\beta |}, \\ &\qquad\quad \arg\left(\frac{\beta -\alpha}{\gamma -\alpha}\right) \equiv \arg\left(\frac{\gamma -\beta}{\alpha -\beta}\right) \pmod{2\pi} \\ &\iff \left|\frac{\beta -\alpha}{\gamma -\alpha}\right| = \left|\frac{\gamma -\beta}{\alpha -\beta}\right|, \\ &\qquad\quad \arg\left(\frac{\beta -\alpha}{\gamma -\alpha}\right) \equiv \arg\left(\frac{\gamma -\beta}{\alpha -\beta}\right) \pmod{2\pi} \\ &\iff \frac{\beta -\alpha}{\gamma -\alpha} = \frac{\gamma -\beta}{\alpha -\beta} \\ &\iff (\beta -\alpha )^2 = -(\gamma -\alpha )(\gamma -\beta ) \\ &\iff \alpha ^2+\beta ^2+\gamma ^2 = \alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha. \end{align*} よって, 題意が示された.

問題≪円の回転≫

 複素数 $z,$ $w$ に対応する点が $|z| = |w-1| = 1$ を満たしながら動くとき, $z(w+1)$ に対応する点の軌跡を求めよ.

解答例

 $|z| = 1$ より $z$ に対応する点は原点を中心とする単位円周上にあり, $|w-1| = 1$ より $|(w+1)-2| = 1$ だから, 点 $\mathrm P(w+1)$ は $2$ に対応する点を中心とする単位円周上にある.
$z = \cos\theta +\mathrm i\sin\theta$ とおくと, 点 $\mathrm P'\big( z(w+1)\big)$ は点 $\mathrm P$ を原点の周りに角 $\theta$ だけ回転移動した点である.
$|w+1|$ の値域は $1 \leqq |w+1| \leqq 3$ であり $\theta$ は任意の実数値をとるから, 求める軌跡は原点を中心とする半径 $3$ の円から原点を中心とする単位円の内部を除いた図形.

問題≪共線条件が表す図形≫

 複素数 $1,$ $z^2,$ $z^3$ に対応する点が同一直線上にあるように動く点 $\mathrm P(z)$ の軌跡を求めよ.

解答例

 $\mathrm A(1),$ $\mathrm Q(z^2),$ $\mathrm R(z^3)$ とおく.
(i)
$3$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm Q,$ $\mathrm R$ が相異なるとき,
 $3$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm Q,$ $\mathrm R$ が同一直線上にある
 $\iff$ $\angle\mathrm{QAR}$ は $\pi$ の倍数 $\iff$ $\arg\dfrac{z^3-1}{z^2-1}$ は $\pi$ の倍数
 $\iff$ $\dfrac{z^3-1}{z^2-1}$ は実数 $\iff$ $\dfrac{z^2+z+1}{z+1}$ は実数
 $\iff$ $\overline{\left(\dfrac{z^2+z+1}{z+1}\right)} = \dfrac{z^2+z+1}{z+1}$
 $\iff$ $(z^2+z+1)(\overline z+1) = (\overline z^2+\overline z+1)(z+1)$
 $\iff$ $z^2\overline z+z^2 = \overline z^2z+\overline z^2$
 $\iff$ $(z-\overline z)(z\overline z+z+\overline z) = 0$
 $\iff$ $z-\overline z = 0$ または $z\overline z+z+\overline z = 0$
 $\iff$ $z = \overline z$ または $(z+1)(\overline z+1) = 1$
 $\iff$ $z$ は実数または $|z+1|^2 = 1$ $\iff$ $z$ は実数または $|z+1| = 1$
 $\iff$ 点 $\mathrm P(z)$ は実軸または $-1$ を中心とする単位円 $\cdots [1]$ 上にある.
(ii)
$3$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm Q,$ $\mathrm R$ の少なくとも $2$ つが一致するとき, $(z^2-1)(z^3-1)(z^3-z^2) = 0$ より $z^2(z-1)^3(z+1)(z^2+z+1) = 0$ だから, $$z = 0,\ \pm 1,\ \frac{-1\pm\sqrt 3\mathrm i}{2}.$$ これらの複素数に対応する点はすべて $[1]$ 上にある.
(i), (ii) より, 点 $\mathrm P(z)$ の軌跡は, 実軸と $-1$ を中心とする単位円の和集合.

問題≪複素数平面上の $4$ 点を通る円≫

 $\alpha$ を虚数とする. 複素数 $\alpha,$ $-\overline\alpha\ ^{-1},$ $1,$ $-1$ に対応する点は同一円周上にあることを示せ.

解答例

 $\mathrm A(\alpha ),$ $\mathrm B(\overline\alpha\ ^{-1}),$ $\mathrm C(1),$ $\mathrm D(-1)$ とおくと, $2\pi$ を法として \begin{align*} &\angle\mathrm{CAD}+\angle\mathrm{CBD} = \arg\frac{-1-\alpha}{1-\alpha}+\arg\frac{-1-\overline\alpha\ ^{-1}}{1-\overline\alpha\ ^{-1}} \\ &\equiv \arg\left(\frac{-1-\alpha}{1-\alpha}\cdot\frac{-1-\overline\alpha\ ^{-1}}{1-\overline\alpha\ ^{-1}}\right) \\ &\equiv \arg\left(\frac{-1-\alpha}{1-\alpha}\cdot\frac{-\overline\alpha -1}{\overline\alpha -1}\right) \\ &\equiv \arg\frac{(\alpha +1)(\overline\alpha +1)}{-(\alpha -1)(\overline\alpha -1)} = \arg\frac{-|\alpha +1|}{|\alpha -1|} \\ &\equiv \pi \quad \left(\because\frac{-|\alpha +1|}{|\alpha -1|} < 0\right) \end{align*} となるから, $4$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B,$ $\mathrm C,$ $\mathrm D$ は同一円周上にある. (終)

問題≪反転≫

 複素数平面上の原点 $\mathrm O$ と異なる点 $\mathrm P(z)$ と半直線 $\mathrm{OP}$ 上の点 $\mathrm Q(w)$ が $\mathrm{OP}\cdot\mathrm{OQ} = 1$ を満たすとする.
(1)
$w$ を $z$ で表せ.
(2)
点 $\mathrm P(z)$ が円周 $|z-\alpha | = r$ 上を動くとき, 点 $\mathrm Q(w)$ の軌跡を求めよ.

解答例

(1)
$\mathrm Q$ は半直線 $\mathrm{OP}$ 上にあるから, ある正の数 $k$ に対して $w = kz$ が成り立つ. $\mathrm{OP}\cdot\mathrm{OQ} = 1$ から, \[ 1 = |z||w| = |z||kz| = k|z|^2\] であるので, $k = \dfrac{1}{|z|^2}$ が成り立つ. よって, \[ w = \frac{1}{|z^2|}z = \frac{1}{z\bar z}z = \frac{1}{\bar z}\] が成り立つ.
(2)
準備中.

問題≪円円対応≫

 複素数 $z$ に対応する点が原点を中心とする単位円周上を動くとき, 複素数 $w = \dfrac{z}{z-1-\mathrm i}$ に対応する点の軌跡を求めよ. また, $|w|$ の最大値とそのときの $z$ の値を求めよ.

解答例

 $w = \dfrac{z}{z-1-\mathrm i}$ より, $(z-1-\mathrm i)w = z$ だから, $$(w-1)z = (1+\mathrm i)w.$$ $w \neq 1$ より, $$z = \frac{(1+\mathrm i)w}{w-1}.$$ $|z| = 1$ より $z\overline z = |z|^2 = 1$ だから, $$\frac{(1+\mathrm i)w}{w-1}\cdot\frac{(1-\mathrm i)\overline w}{\overline w-1} = 1.$$ よって, $(1+\mathrm i)(1-\mathrm i)w\overline w = (w-1)(\overline w-1)$ より, $$2w\overline w = w\overline w-w-\overline w+1.$$ したがって, $w\overline w+w+\overline w = 1$ より $(w+1)(\overline w+1) = 2$ だから, $$|w+1|^2 = 2.$$ ゆえに, $|w+1| = \sqrt 2$ より, $w$ に対応する点の軌跡は $-1$ を中心とする半径 $\sqrt 2$ の円.

解説≪円円対応≫

 複素数 $z$ に対応する点が円周または直線上を動くとき, 複素数 $f(z) = \dfrac{az+b}{cz+d}\ (ad-bc \neq 0)$ に対応する点は円周または直線上を動く. 直線は半径が無限大の円と考えることができるので, この現象を「円円対応」という. 関数 $f(z)$ は「一次分数変換」と呼ばれる.

問題≪三角形を正三角形にする頂点の回転≫

 $\triangle\mathrm{ABC}$ の重心 $\mathrm G$ を中心として 頂点 $\mathrm B$ を $-\dfrac{2\pi}{3}$ だけ回転移動した点を $\mathrm B',$ 頂点 $\mathrm C$ を $\dfrac{2\pi}{3}$ だけ回転移動した点を $\mathrm C'$ とおくとき, $\triangle\mathrm{AB}'\mathrm C'$ は正三角形であることを示せ.

解答例

 $\mathrm A(\alpha ),$ $\mathrm B(\beta ),$ $\mathrm C(\gamma )$ とおく. $\triangle\mathrm{ABC}$ の重心を $G(\gamma )$ とおくと, $$\gamma = \frac{\alpha +\beta +\gamma}{3}.$$ これが原点 $\mathrm O$ に一致する, すなわち $$\alpha +\beta +\gamma = 0 \cdots [1]$$ であるとして一般性を失わない. 点 $\mathrm G = \mathrm O$ を中心として点 $\mathrm B,$ $\mathrm C$ を $-\dfrac{2\pi}{3},$ $\dfrac{2\pi}{3}$ だけ回転移動した点をそれぞれ $\mathrm B'(\beta '),$ $\mathrm C'(\gamma ')$ とおき, $\omega = \cos\dfrac{2\pi}{3}+\mathrm i\sin\dfrac{2\pi}{3}$ とおくと, $$\beta ' = \beta\omega ^2, \quad \gamma '= \gamma\omega.$$ ここで, \begin{align*} &(\beta\omega ^2-\alpha )(-\omega ^2)-(\gamma\omega -\alpha ) \\ &= \alpha (1+\omega ^2)-\beta\omega -\gamma\omega \\ &= -\omega (\alpha +\beta +\gamma ) \quad (\because 1+\omega +\omega ^2 = 0) \\ &= 0 \quad (\because [1]) \end{align*} より $$\frac{\beta\omega ^2-\alpha}{\gamma\omega -\alpha} = -\omega ^2 = \cos\frac{\pi}{3}+\mathrm i\sin\frac{\pi}{3}$$ だから, 線分 $\mathrm{AC}'$ は点 $\mathrm A$ を中心として線分 $\mathrm{AB}'$ を $\dfrac{\pi}{3}$ だけ回転移動した図形である.
ゆえに, $\triangle\mathrm{AB}'\mathrm C'$ は正三角形である. (終)

問題≪三角形の外心≫

 複素数平面上の点 $\mathrm O(0),$ $\mathrm A(\alpha ),$ $\mathrm B(\beta )$ が三角形を成すとき,
(1)
線分 $\mathrm{OA}$ の垂直二等分線上の点に対応する複素数 $z$ は $\overline\alpha z+\alpha\overline z = |\alpha |^2$ を満たすことを示せ.
(2)
$\triangle\mathrm{OAB}$ の外心に対応する複素数を $\alpha,$ $\beta$ で表せ.

解答例

(1)
点 $\mathrm P(z)$ が線分 $\mathrm{OA}$ の垂直二等分線上にあるとき, $\mathrm{OP} = \mathrm{AP}$ より $|z| = |z-\alpha |$ だから, $$|z|^2 = |z-\alpha |^2.$$ よって, \begin{align*} z\overline z &= (z-\alpha )\overline{(z-\alpha )} = (z-\alpha )(\overline z-\overline\alpha ) \\ &= z\overline z-\overline\alpha z-\alpha\overline z-\alpha\overline\alpha \end{align*} より, $$\overline\alpha z+\alpha\overline z = |\alpha |^2 \quad \cdots [1].$$
(2)
点 $\mathrm P(z)$ が線分 $\mathrm{OB}$ の垂直二等分線上にあるとき, (1) と同様にして, $$\overline\beta z+\beta\overline z = |\beta |^2 \quad \cdots [2].$$ $\triangle\mathrm{OAB}$ の外心 $\mathrm P(z)$ は $[1],$ $[2]$ を満たすから, $[1]\times\beta -[2]\times\alpha$ より, $$(\overline\alpha\beta -\alpha\overline\beta )z = |\alpha |^2\beta-|\beta |^2\alpha \quad \cdots [3].$$ また, $3$ 点 $\mathrm O,$ $\mathrm A,$ $\mathrm B$ は同一直線上にない
   $\iff$ $\arg\dfrac{\alpha -0}{\beta -0}$ は $\pi$ の倍数でない
   $\iff$ $\dfrac{\alpha}{\beta}$ は実数でない
   $\iff$ $\overline{\left(\dfrac{\alpha}{\beta}\right)} \neq \dfrac{\alpha}{\beta}$ $\iff$ $\dfrac{\overline\alpha}{\overline\beta} \neq \dfrac{\alpha}{\beta}$
   $\iff$ $\overline\alpha\beta \neq \alpha\overline\beta.$
ゆえに, $\overline\alpha\beta -\alpha\overline\beta \neq 0$ だから, $[3]$ より, $$z = \frac{|\alpha |^2\beta-|\beta |^2\alpha}{\overline\alpha\beta -\alpha\overline\beta}.$$

問題≪三角形の内心≫

 複素数平面において, $\mathrm A(\alpha ),$ $\mathrm B(\beta ),$ $\mathrm C(0)$ を頂点とする三角形の内心に対応する複素数 $z$ を $\alpha,$ $\beta$ で表せ.

解答例

\begin{align*} &a = \mathrm{CB} = |\beta |, \qquad b = \mathrm{CA} = |\alpha |, \\ &c = \mathrm{AB} = |\beta -\alpha | \quad \cdots [1] \end{align*} とおく. $\angle\mathrm C$ の二等分線と辺 $\mathrm{AB}$ の交点を $\mathrm D(\delta )$ とおくと, $$\mathrm{AD}:\mathrm{DB} = \mathrm{CA}:\mathrm{CB} = b:a$$ より, $$\delta = \frac{a\alpha +b\beta}{a+b} \cdots [2].$$ $\angle\mathrm A$ の二等分線と辺 $\mathrm{CD}$ の交点 $\mathrm I(z)$ が $\triangle\mathrm{ABC}$ の内心である. $$\mathrm{CI}:\mathrm{ID} = \mathrm{AC}:\mathrm{AD} = b:\frac{b}{a+b}\cdot c = (a+b):c$$ より, \begin{align*} z &= \frac{(a+b)\delta +c\cdot 0}{(a+b)+c} \\ &= \frac{a\alpha +b\beta}{a+b+c} \quad (\because [2]) \\ &= \frac{|\beta |\alpha +|\alpha |\beta}{|\alpha |+|\beta |+|\beta -\alpha |} \quad (\because [1]). \end{align*}

問題≪単位円に内接する三角形の垂心≫

 複素数平面における円 $|z| = 1$ 上の相異なる $4$ 点 $\mathrm A(\alpha ),$ $\mathrm B(\beta ),$ $\mathrm C(\gamma ),$ $\mathrm D(\delta )$ に対して,
(1)
直線 $\mathrm{AB}$ の方程式を求めよ.
(2)
$\mathrm{AB} \perp \mathrm{CD} \iff \alpha\beta +\gamma\delta = 0$ を示せ.
(3)
$\triangle\mathrm{ABC}$ の垂心に対応する複素数 $z$ を $\alpha,$ $\beta,$ $\gamma$ で表せ.

解答例

(1)
直線 $\mathrm{AB}$ の方程式は, $$\frac{z-\alpha }{\beta -\alpha } = \frac{\overline z-\overline\alpha }{\overline\beta -\overline\alpha }.$$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B$ は $|z| = 1$ 上にあるから, $|\alpha |^2 = |\beta |^2 = 1$ すなわち $\alpha\overline\alpha = \beta\overline\beta = 1$ より, $$\overline\alpha = \alpha ^{-1}, \quad \overline\beta = \beta ^{-1}.$$ よって, $$\dfrac{z-\alpha }{\beta -\alpha } = \dfrac{\overline z-\alpha ^{-1}}{\beta ^{-1}-\alpha ^{-1}} = \dfrac{\alpha\beta z-\beta}{\alpha -\beta}$$ より, $$z+\alpha\beta\overline z = \alpha +\beta.$$
(2)
$\mathrm{AB} \perp \mathrm{CD}$ より, $$-\frac{\alpha -\beta}{\gamma -\delta} = \frac{\overline\alpha -\overline\beta}{\overline\gamma -\overline\delta} = \frac{\alpha ^{-1}-\beta ^{-1}}{\gamma ^{-1}-\delta ^{-1}} = \frac{\gamma\delta (\beta -\alpha )}{\alpha\beta (\delta -\gamma )}$$ だから, $$\alpha\beta +\gamma\delta = 0.$$
(3)
$\triangle\mathrm{ABC}$ の垂心を $\mathrm H(z)$ とおく.
頂点 $\mathrm C$ から辺 $\mathrm{AB}$ に下ろした垂線と円 $|z| = 1$ の点 $\mathrm C$ と異なる交点を $\mathrm D(\delta )$ とおくと, 点 $\mathrm H$ は $\mathrm{CD}$ 上にあるから, $$z+\gamma\delta\overline z = \gamma +\delta \quad \cdots [1].$$ 頂点 $\mathrm B$ から辺 $\mathrm{AC}$ に下ろした垂線と円 $|z| = 1$ の点 $\mathrm B$ と異なる交点を $\mathrm E(\varepsilon )$ とおくと, 点 $\mathrm H$ は $\mathrm{BE}$ 上にあるから, $$z+\beta\varepsilon\overline z = \beta +\varepsilon \quad \cdots [2].$$ また, $\mathrm{AB} \perp \mathrm{CD},$ $\mathrm{AC} \perp \mathrm{BE}$ より, $$\gamma\delta = -\alpha\beta \ \ \cdots [3], \qquad \beta\varepsilon = -\alpha\gamma \ \ \cdots [4].$$ $[3],$ $[4]$ を $[1],$ $[2]$ に代入すると, \begin{align*} z-\alpha\beta\overline z &= \gamma +\delta \quad \cdots [5], \\ z-\alpha\gamma\overline z &= \beta +\varepsilon \quad \cdots [6]. \end{align*} $[5]\times\gamma -[6]\times\beta$ より, \begin{align*} (\gamma -\beta )z &= \gamma ^2+\gamma\delta -\beta ^2-\beta\varepsilon \\ &= \gamma ^2-\alpha\beta -\beta ^2+\alpha\gamma \quad (\because [2],\ [4]) \\ &= (\gamma -\beta )(\alpha +\beta +\gamma ). \end{align*} ゆえに, $\beta \neq \gamma$ に注意すると, $$z = \alpha +\beta +\gamma.$$

問題≪トレミーの不等式・トレミーの定理≫

(1)
$(a-b)(c-d)+(a-d)(b-c)$ を因数分解せよ.
(2)
平面上の相異なる $4$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B,$ $\mathrm C,$ $\mathrm D$ に対して, 次の不等式が成り立つことを示せ. \[\mathrm{AC}\cdot\mathrm{BD} \leqq \mathrm{AB}\cdot\mathrm{CD}+\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BC}.\]
(3)
(2) の不等式の等号成立条件を求めよ.

解答例

(1)
\begin{align*} &(a-b)(c-d)+(a-d)(b-c) \\ &= (ac-ad-bc+bd)+(ab-ac-bd+cd) \\ &= ab-ad-bc+cd = a(b-d)-c(b-d) \\ &= (a-c)(b-d). \end{align*}
(2)
与えられた $4$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B,$ $\mathrm C,$ $\mathrm D$ に対応する複素数を $\alpha,$ $\beta,$ $\gamma,$ $\delta$ とおく. \[ (\alpha -\gamma )(\beta -\delta ) = (\alpha -\beta )(\gamma -\delta )+(\alpha -\delta )(\beta -\gamma )\] の両辺の絶対値をとると, 三角不等式により, \begin{align*} &|(\alpha -\gamma )(\beta -\delta )| \\ &= |(\alpha -\beta )(\gamma -\delta )+(\alpha -\delta )(\beta -\gamma )| \\ &\leqq |(\alpha -\beta )(\gamma -\delta )|+|(\alpha -\delta )(\beta -\gamma )| \quad \cdots [1] \end{align*} となるから, \[ |\alpha -\gamma ||\beta -\delta | \leqq |\alpha -\beta ||\gamma -\delta |+|\alpha -\delta ||\beta -\gamma |.\] これは \[\mathrm{AC}\cdot\mathrm{BD} \leqq \mathrm{AB}\cdot\mathrm{CD}+\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BC}\] が成り立つことを意味する.
(3)
各複素数 $z$ の偏角を $-\pi$ から $\pi$ の間でとる. 等号成立条件は, $[1]$ の等号成立条件から, $(\alpha -\beta )(\gamma -\delta ),$ $(\alpha -\delta )(\beta -\gamma )$ が一致することである. よって, これは \[\mathrm{arg}\,\frac{(\alpha -\beta )(\gamma -\delta )}{(\alpha -\delta )(\beta -\gamma )} = 0\] すなわち \[\mathrm{arg}\,\left(\frac{\alpha -\beta}{\gamma -\beta}\cdot\frac{\gamma -\delta}{\alpha -\delta}\right) = \pi\] と同値であり, 共円条件によりこれは $4$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B,$ $\mathrm C,$ $\mathrm D$ がこの順に同一円周上に並ぶことと同値である.

解説

  • (2) の不等式を「トレミーの不等式」と呼ぶ.
  • (3) の結果, つまり $4$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B,$ $\mathrm C,$ $\mathrm D$ がこの順に同一円周上にあるとき \[\mathrm{AC}\cdot\mathrm{BD} = \mathrm{AB}\cdot\mathrm{CD}+\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BC}\] が成り立つという定理をトレミーの定理と呼ぶ.

問題≪トレミーの不等式のシュタイナーの問題への応用≫

 最大の内角が $120^\circ$ 未満の $\triangle\mathrm{ABC}$ の内部に点 $\mathrm P$ をとり, $\triangle\mathrm{ABC}$ の外側に正三角形 $\mathrm{ABC}'$ を描く.
(1)
前問の結果を用いて, $\mathrm{AP}+\mathrm{BP} \geqq \mathrm C'\mathrm P$ を示せ.
(2)
$\mathrm{AP}+\mathrm{BP}+\mathrm{CP}$ が最小になるとき, $\angle\mathrm{APB} = 120^\circ$ が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
トレミーの不等式により, \[\mathrm C'\mathrm A\cdot\mathrm{AP}+\mathrm C'\mathrm B\cdot\mathrm{BP} \geqq \mathrm{AB}\cdot\mathrm C'\mathrm P.\] $\triangle\mathrm{ABC}'$ は正三角形であるから, \[\mathrm{AP}+\mathrm{BP} \geqq \mathrm C'\mathrm P.\]
(2)
両辺に $\mathrm{CP}$ を加えると, 三角不等式により, \[\mathrm{AP}+\mathrm{BP}+\mathrm{CP} \geqq \mathrm{CP}+\mathrm{PC}' \geqq \mathrm{CC}'.\] 等号成立は $4$ 点 $\mathrm C',$ $\mathrm A,$ $\mathrm P,$ $\mathrm B$ が同一円周上にあり, $3$ 点 $\mathrm C,$ $\mathrm P,$ $\mathrm C'$ が同一直線上にあるときに限る. このとき, 円に内接する四角形の性質から, \[\angle\mathrm{APB} = 180^\circ -\angle\mathrm{AC}'\mathrm B = 180^\circ -60^\circ = 120^\circ\] が成り立つ.

問題≪漸化式が定める円周上の点列≫

 漸化式 \[ a_1 = 1+i, \quad a_{n+1} = \frac{2a_n}{4-a_n}\ \cdots [\ast ]\] で定まる複素数列 $\{ a_n\}$ について,
(1)
複素数平面上の $3$ 点 $a_1,$ $a_2,$ $a_3$ を通る円周の方程式を求めよ.
(2)
各番号 $n$ に対して $a_n$ は (1) の円周上にあることを示せ.

解答例

(1)
$[\ast ]$より, \begin{align*} a_2 &= \frac{2(1+i)}{4-(1+i)} = \frac{2(1+i)(3-i)}{(3-i)(3+i)} = \frac{4}{5}+\frac{2}{5}i, \\ a_3 &= \frac{2(4+2i)}{5\cdot 4-(4+2i)} = \frac{4+2i}{10-(2+i)} \\ &= \frac{(4+2i)(9+2i)}{(9-2i)(9+2i)} = \frac{10+40i}{85} = \frac{2}{17}+\frac{8}{17}i. \end{align*} よって, 複素数平面上の $a_1,$ $a_2,$ $a_3$ を通る円周 $C$ は, $xy$ 平面の $3$ 点 $(1,\ 1),$ $\left(\dfrac{4}{5},\ \dfrac{2}{5}\right),$ $\left(\dfrac{2}{17},\ \dfrac{8}{17}\right)$ を通る円周 $C'$ に対応する. $C'$ の方程式を $x^2+y^2+ax+by+c = 0$ とおくと, \begin{align*} a+b+c+2 = 0, \\ 2a+4b+5c+4 = 0, \\ 2a+8b+17c+4 = 0. \end{align*} これを解くと \[ a = -2, \quad b = c = 0\] となるから, $C'$ の方程式は $x^2-2x+y^2 = 0$ すなわち \[ (x-1)^2+y^2 = 1.\] この円周に対応する複素数平面上の円周 $C$ の中心は $1,$ 半径は $1$ だから, 求める方程式は \[ |z-1| = 1.\]
(2)
ある番号 $n$ に対して $a_n = 0,$ $n \geqq 2$ が成り立つとすると, $[\ast ]$ より $a_{n-1} = 0$ となるから, \[ a_n = a_{n-1} = \cdots = a_1 = 0\] となり, $a_1 = 1+i \neq 0$ に反する. よって, $a_n \neq 0.$ このことに注意して, $[\ast ]$ の両辺の逆数をとると, \[\frac{1}{a_{n+1}} = \frac{2}{a_n}-\frac{1}{2}.\] この辺々から $x = 2x-\dfrac{1}{2}$ の解 $x = \dfrac{1}{2}$ を引くと, \[\frac{1}{a_{n+1}}-\frac{1}{2} = 2\left(\frac{1}{a_n}-\frac{1}{2}\right).\] よって, $\left\{\dfrac{1}{a_n}-\dfrac{1}{2}\right\}$ は初項 \[\frac{1}{a_1}-\frac{1}{2} = \frac{1}{1+i}-\frac{1}{2} = \frac{1-i}{2}-\frac{1}{2} = -\frac{i}{2},\] 公比 $2$ の等比数列だから, \begin{align*} \frac{1}{a_n}-\frac{1}{2} &= -\frac{i}{2}2^{n-1}. \\ \therefore\frac{1}{a_n} &= \frac{1-2^{n-1}i}{2}. \end{align*} この両辺の逆数をとると, \[ a_n = \frac{2}{1-2^{n-1}i}.\] よって, \begin{align*} |a_n-1| &= \left|\frac{2}{1-2^{n-1}i}-1\right| = \left|\frac{1+2^{n-1}i}{1-2^{n-1}i}\right| \\ &= \frac{|1+2^{n-1}i|}{|1-2^{n-1}i|} = 1. \end{align*} ここで, 互いに共役な複素数の絶対値は等しいことを用いた. この等式は, $a_n$ が (1) の円周上の点であることを意味する.

別解: 数学的帰納法を利用

(2)
$n$ に関する帰納法により, $a_n$ が (1) の円周上の点であること, すなわち $|a_n-1| = 1$ が成り立つことを示す.
(i)
$n = 1$ のとき, $|a_1-1| = |i+1-1| = |i| = 1$ より, 成り立つ.
(ii)
与えられた番号 $n$ に対して $|a_n-1| = 1$ の成立を仮定する. $[\ast ]$ を $a_n$ に関して整理すると, \[ (a_{n+1}+2)a_n = 4a_{n+1}\] となる. 仮に $a_{n+1}+2 = 0$ が成り立つとすると $0 = -8$ という矛盾が生じてしまうから, $a_{n+1}+2 \neq 0.$ よって, \[ a_n = \frac{4a_{n+1}}{a_{n+1}+2}.\] これを $|a_n-1| = 1$ に代入すると, \[ 1 = \left|\frac{4a_{n+1}}{a_{n+1}\!+\!2}\!-\!1\right| = \left|\frac{3a_{n+1}\!-\!2}{a_{n+1}\!+\!2}\right| = \frac{|3a_{n+1}\!-\!2|}{|a_{n+1}\!+\!2|}\] となるから, \[ |3a_{n+1}-2| = |a_{n+1}+2|.\] 両辺を $2$ 乗した式 $|3a_{n+1}-2|^2 = |a_{n+1}+2|^2$ より \begin{align*} &0 = |3a_{n+1}-2|^2-|a_{n+1}+2|^2 \\ &= (3a_{n+1}\!-\!2)(3\overline{a_{n+1}}\!-\!2)\!-\!(a_{n+1}\!+\!2)(\overline{a_{n+1}}\!+\!2) \\ &= 8(a_{n+1}\overline{a_{n+1}}-a_{n+1}-a_{n+1}) \end{align*} となり, $a_{n+1}\overline{a_{n+1}}-a_{n+1}-a_{n+1} = 0$ より \[ 1 = (a_{n+1}-1)(\overline{a_{n+1}}-1) = |a_{n+1}-1|^2\] となるから, \[ |a_{n+1}-1| = 1.\]
(i), (ii) より, 任意の番号 $n$ に対して $a_n$ は (1) の円周上にある.

問題≪原点を通る直線に関して $2$ 点が対称であるための条件≫

 複素数平面上の $2$ 点 $\mathrm P(z),$ $\mathrm P'(z')$ が原点 $\mathrm O$ と点 $\mathrm A(\alpha )$ を通る直線に関して対称であるためには, $z'\bar\alpha = \bar z\alpha$ の成り立つことが必要十分であることを示せ.

解答例

 $\alpha = r(\cos\theta +i\sin\theta )$ とおく. $2$ 点 $\mathrm P(z),$ $\mathrm P'(z')$ を $\mathrm O$ を中心に $-\theta$ だけ回転移動した点を $\mathrm Q(w),$ $\mathrm Q'(w')$ とおく. このとき, \begin{align*} w &= z\{\cos (-\theta )+i\sin (-\sin\theta )\} \\ &= z(\cos\theta -i\sin\theta ), \\ \bar w &= \bar z\overline{(\cos\theta -i\sin\theta )} \\ &= \bar z(\cos\theta +i\sin\theta ) = \bar z\frac{\alpha}{r}, \\ w' &= z'(\cos\theta -i\sin\theta ) = z'\frac{\bar\alpha}{r} \end{align*} が成り立つ. よって,
$2$ 点 $\mathrm P(z),$ $\mathrm P'(z')$ が直線 $\mathrm{OA}$ に関して対称
$\iff$ $2$ 点 $\mathrm Q(w),$ $\mathrm Q'(w')$ が実軸に関して対称
$\iff$ $w' = \bar w$
$\iff$ $z'\dfrac{\bar\alpha}{r} = \bar z\dfrac{\alpha}{r}$
$\iff$ $z'\bar\alpha = \bar z\alpha$
から, 題意が成り立つ.

問題≪複素数平面上の三角形の面積≫

 $\mathrm O,$ $\mathrm A(\alpha ),$ $\mathrm B(\beta )$ を頂点とする三角形の面積は \[\triangle\mathrm{OAB} = \frac{1}{2}|\mathrm{Im}\,(\alpha\bar\beta )|\] と表されることを示せ. ただし, $\mathrm{Im}\,(z)$ は, 複素数 $z$ の虚部を表す.

解答例

 $\theta = \angle\mathrm{AOB}$ とおくと, \begin{align*} \cos\theta &= \frac{\mathrm{OA}^2+\mathrm{OB}^2-\mathrm{AB}^2}{2\mathrm{OA}\cdot\mathrm{OB}} \\ &= \frac{\alpha\bar\alpha +\beta\bar\beta -(\beta -\alpha )(\bar\beta -\bar\alpha )}{2|\alpha ||\beta |} \\ &= \frac{\alpha\bar\beta +\bar\alpha\beta}{2|\alpha ||\beta |} \end{align*} となるから, \begin{align*} \sin ^2\theta &= 1-\cos ^2\theta = 1-\frac{(\alpha\bar\beta +\bar\alpha\beta )^2}{4|\alpha |^2|\beta |^2} \\ &= \frac{4\alpha\bar\alpha\beta\bar\beta -(\alpha\bar\beta +\bar\alpha\beta )^2}{4|\alpha |^2|\beta |^2} = \frac{-(\alpha\bar\beta -\bar\alpha\beta )^2}{4|\alpha |^2|\beta |^2} \\ &= \frac{-(2i\,\mathrm{Im}\,(\alpha\bar\beta )^2)}{4|\alpha |^2|\beta |^2} = \frac{\mathrm{Im}\,(\alpha\bar\beta )^2}{|\alpha |^2|\beta |^2} \\ \sin\theta &= \frac{|\mathrm{Im}\,(\alpha\bar\beta )|}{|\alpha ||\beta |} \end{align*} となる. よって, \[ S = \frac{1}{2}|\alpha ||\beta |\sin\theta = \frac{1}{2}|\mathrm{Im}\,(\alpha\bar\beta )|\] が成り立つ.

問題≪単位円周上にある点が正三角形と正方形をなす条件≫

 $4$ つの複素数 $z_1,$ $z_2,$ $z_3,$ $z_4$ は互いに異なり, その絶対値はすべて $1$ であるとする.
(1)
$z_1,$ $z_2,$ $z_3$ を頂点とする複素数平面上の三角形が正三角形のとき, $z_1+z_2+z_3 = 0$ となることを示せ.
(2)
$z_1+z_2+z_3 = 0$ が成り立つとき, $z_1,$ $z_2,$ $z_3$ を頂点とする複素数平面上の三角形は正三角形であることを示せ.
(3)
$z_1+z_2+z_3+z_4 = 0$ が成り立つとき, $z_1,$ $z_2,$ $z_3,$ $z_4$ を頂点とする複素数平面上の四角形は長方形であることを示せ.
[2016 お茶の水女子大]

解答例

 準備中.