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真の理解のためのシンプルな数学のノート

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微分の応用(数学 III)

理論

方程式・不等式への応用

例≪微分を利用した不等式の証明≫

 微分を利用して, $n$ 個の非負実数 $a_1,$ $\cdots,$ $a_n$ に対して相加・相乗平均の不等式 \[\frac{a_1+\cdots +a_n}{n} \geqq (a_1\cdots a_n)^{\frac{1}{n}} \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つことを帰納法で示す.
(i)
$n = 1$ のとき, $[\ast ]$ は明らかに成り立つ.
(ii)
与えられた正の整数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つとする. $s = a_n+\cdots +a_n,$ $p = a_1\cdots a_n$ とおいて \[ f(x) = \frac{s+x}{n+1}-(px)^{\frac{1}{n+1}} \quad (x \geqq 0)\] とおく. このとき, \[ f'(x) = \frac{1}{n+1}-p^{\frac{1}{n+1}}\cdot\frac{1}{n+1}x^{-\frac{n}{n+1}} = \frac{x^{\frac{n}{n+1}}-p^{\frac{1}{n+1}}}{(n+1)x^{\frac{n}{n+1}}}\] となるから, $f(x)$ は $x = p^{\frac{1}{n}}$ のとき極小値 \begin{align*} f(p^{\frac{1}{n}}) &= \frac{s+p^{\frac{1}{n}}}{n+1}-(p^{1+\frac{1}{n}})^{\frac{1}{n+1}} \\ &= \frac{s+p^{\frac{1}{n}}}{n+1}-p^{\frac{1}{n}} = \frac{s-np^{\frac{1}{n}}}{n+1} \geqq 0 \end{align*} をとる. よって, $f(x) \geqq 0$ である. そこに, $x = a_{n+1}$ を代入すると, \[\frac{a_1+\cdots +a_n+a_{n+1}}{n+1} \geqq (a_1\cdots a_na_{n+1})^{\frac{1}{n+1}}\] が成り立つ.
(i), (ii) から, 任意の正の整数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つ.

問題

平均値の定理

問題≪平均値の定理による不等式の証明≫

 すべての正の数 $a$ に対して, 不等式 \[\frac{1}{a+1} < \log\left( 1+\dfrac{1}{a}\right) < \frac{1}{a}\] が成り立つことを示せ.

解答例

 区間 $(a,\ a+1),$ 微分可能な関数 $\log x$ に対して平均値の定理を適用すると, $(\log x)' = \dfrac{1}{x}$ より, $$\left\{\begin{array}{l} \frac{\log (a+1)-\log a}{(a+1)-a} = \frac{1}{c} \cdots [1], \\ a < c < a+1 \cdots [2] \end{array}\right.$$ を満たす実数 $c$ が存在する. $[1]$ より, \begin{align*} &\frac{1}{c} = \log (a+1)-\log a \\ &= \log\frac{a+1}{a} = \log\left( 1+\frac{1}{a}\right) \cdots [1]'. \end{align*} また, 関数 $\dfrac{1}{x}$ は $x > 0$ において狭義単調減少だから, $[2]$ より, $$\frac{1}{a+1} < \frac{1}{c} < \frac{1}{a} \cdots [2]'.$$ ゆえに, $[1]',$ $[2]'$ より, $$\frac{1}{a+1} < \log\left( 1+\dfrac{1}{a}\right) < \frac{1}{a}.$$

別解

 $f(x) = \dfrac{1}{x}-\log\left( 1+\dfrac{1}{x}\right)$ とおく. このとき, \[ f(x) = \frac{1}{x}-\log\frac{x+1}{x} = \frac{1}{x}-\log (x+1)+\log x\] となるから, \[ f'(x) = -\frac{1}{x^2}-\frac{1}{x+1}+\frac{1}{x} = -\frac{1}{x^2(x+1)} < 0\] であり, \[\lim_{x \to \infty}f(x) = 0\] が成り立つ. よって, $a > 0$ のとき, $f(a) > 0$ つまり $\log\left( 1+\dfrac{1}{a}\right) < \dfrac{1}{a}$ が成り立つ.
 左側の不等号については, 省略する.

問題≪平均値の定理を利用した極限の計算≫

(1)
$0 < x < \dfrac{\pi}{2}$ のとき $x < \tan x$ が成り立つことを示せ.
(2)
極限値 $\lim\limits_{x \to +0}\dfrac{e^{\tan x}-e^x}{\tan x-x}$ を求めよ.

解答例

(1)
$f(x) = \tan x-x$ とおく.
開区間 $\left( 0,\ \dfrac{\pi}{2}\right)$ において, $0 < \cos x < 1$ だから, $$f'(x) = \frac{1}{\cos ^2x}-1 = \frac{1-\cos ^2x}{\cos ^2x} > 0.$$ よって, $f(x)$ は閉区間 $\left[ 0,\ \dfrac{\pi}{2}\right]$ において狭義単調増加である.
ゆえに, $0 < x < \dfrac{\pi}{2}$ のとき, $f(0) < f(x)$ より, $0 < \tan x-x$ すなわち $x < \tan x.$
(2)
$0 < x < \dfrac{\pi}{2}$ とする. このとき, (1) より, $x < \tan x.$
区間 $(x,\ \tan x),$ 微分可能な関数 $e^x$ に対して平均値の定理を適用すると, $(e^x )' = e^x$ より, $$\left\{\begin{array}{l} \frac{e^{\tan x}-e^x}{\tan x-x} = e^{c(x)} \cdots [1], \\ x < c(x) < \tan x \cdots [2] \end{array}\right.$$ を満たす実数 $c(x)$ が存在する.
$\lim\limits_{x \to 0}x = \lim\limits_{x \to +0}\tan x = 0$ だから, $[2]$ と挟みうちの原理より, $$\lim\limits_{x \to +0}c(x) = 0.$$ これと $[1]$ より, $e^x$ の連続性に注意すると, $$\lim\limits_{x \to +0}\frac{e^{\tan x}-e^x}{\tan x-x} = \lim\limits_{x \to +0}e^{c(x)} = e^0 = 1.$$

問題≪凸関数と不等式≫

(1)
区間 $[a,\ b]$ において下に凸な関数 $f(x)$ に対して, $2$ 点 $\mathrm A(a,\ f(a)),$ $\mathrm B(b,\ f(b))$ を結ぶ線分は曲線 $y = f(x)$ より上方にあること, すなわち線分 $\mathrm{AB}$ の $y$ 座標 $l(x)\ (a \leqq x \leqq b)$ について $f(x) \leqq l(x)$ が成り立つことを示せ.
(2)
任意の $a,\ b \in \left[ 0,\ \dfrac{\pi}{2}\right)$ に対して $\tan\dfrac{a+b}{2} \leqq \dfrac{\tan a+\tan b}{2}$ が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
$2$ 点 $(a,\ f(a)),$ $(b,\ f(b))$ を結ぶ線分の方程式を $y = l(x)\ (a \leqq x \leqq b)$ とおくと, $$l(x) = \frac{f(b)-f(a)}{b-a}(x-a)+f(a).$$ $g(x) = l(x)-f(x)\ (a \leqq x \leqq b)$ とおいて $g(x) \geqq 0$ を示す. このとき, \begin{align*} g(a) &= g(b) = 0, \\ g'(x) &= l'(x)-f'(x) = \frac{f(b)-f(a)}{b-a}-f'(x). \\ g''(x) &= -f''(x) < 0 \quad (\because f''(x) > 0) \cdots [1]. \end{align*} 区間 $(a,\ b),$ $f(x)$ に平均値の定理を適用すると, $$\left\{\begin{array}{l} \frac{f(b)-f(a)}{b-a} = f'(c) \cdots [2], \\ a < c < b \end{array}\right.$$ を満たす実数 $c$ が存在する. $[2]$ より, $$g'(c) = 0.$$ $[1]$ より $g'(x)$ は単調減少だから, $g(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$a$$\cdots$$c$$\cdots$$b$
$g'(x)$$+$$0$$-$
$g(x)$$0$$\nearrow$$\searrow$$0$
ゆえに, $g(x) \geqq 0$ すなわち $f(x) \leqq l(x).$
(2)
$f(x) = \tan x\ \left(0 \leqq x < \dfrac{\pi}{2}\right)$ とおくと, \begin{align*} f'(x) &= \frac{1}{\cos ^2x}, \\ f''(x) &= \frac{-2\cos x(-\sin x)}{\cos ^4x} \\ &= \frac{2\sin x}{\cos ^3x}> 0 \quad \left(\because 0 \leqq x < \dfrac{\pi}{2}\right). \end{align*} ゆえに, $f(x) = \tan x,$ $x = \dfrac{a+b}{2}$ に (1) の結果を適用すると, $$\tan\dfrac{a+b}{2} \leqq \dfrac{\tan a+\tan b}{2}.$$

関数の最大・最小

問題≪シュタイナーの問題に関する線分の長さの和の最小値≫

 $xy$ 平面上に点 $\mathrm A(1,1),$ $\mathrm D(1,-1),$ $\mathrm H(1,0)$ を定め, 線分 $\mathrm{OH}$ 上に点 $\mathrm P$ をとる. このとき, $\mathrm{OP}+\mathrm{AP}+\mathrm{DP}$ の最小値と, 最小値を与える点 $\mathrm P$ の座標を求めよ.
[オリジナル問題]

解答例

 $\mathrm P$ の座標を $(x,0)\ (0 \leqq x \leqq 1)$ とおく. このとき, \begin{align*} \mathrm{OP}+\mathrm{AP}+\mathrm{DP} &= \mathrm{OP}+2\mathrm{AP} \\ &= x+2\sqrt{(x-1)^2+1} \\ &= x+2\sqrt{x^2-2x+2}. \end{align*} 右辺の関数を $f(x)$ とおく. この導関数は \begin{align*} f'(x) &= 1+\frac{2x-2}{\sqrt{x^2-2x+2}} \\ &= \frac{2(x-1)+\sqrt{x^2-2x+2}}{\sqrt{x^2-2x+2}} \end{align*} であり, \begin{align*} f'(x) = 0 &\iff 2(1-x) = \sqrt{x^2-2x+2} \\ &\iff 4(1-x)^2 = x^2-2x+2 \\ &\iff 3x^2-6x+2 = 0 \\ &\iff x = 1-\frac{1}{\sqrt 3}. \end{align*} $f(x)$ の増減表は次のようになるから, $f(x)$ は $x = 1-\dfrac{1}{\sqrt 3}$ のとき極小かつ最小の値 $1+\sqrt 3$ をとる.
$x$$0$$\cdots$$1-\dfrac{1}{\sqrt 3}$$\cdots$$1$
$f'(x)$$-$$-$$0$$+$$+$
$f(x)$$\searrow$$1+\sqrt 3$$\nearrow$
最小値は, $\mathrm{AH} = 1,$ $\mathrm{PH} = \dfrac{1}{\sqrt 3}$ から $\triangle\mathrm{APH}$ が三角定規の三角形であることを利用して \[ 1-\frac{1}{\sqrt 3}+2\cdot\frac{2}{\sqrt 3} = 1+\frac{3}{\sqrt 3} = 1+\sqrt 3\] と求めた.
ゆえに, $\mathrm{OP}+\mathrm{AP}+\mathrm{DP}$ は $\mathrm P = \left( 1-\frac{1}{\sqrt3 },0\right)$ のときに限り最小値 $1+\sqrt 3$ をとる.

解説

 $y$ 軸に関して点 $\mathrm P$ と対称な点 $\mathrm Q$ をとる. このとき, $6$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B(-1,1),$ $\mathrm C(-1,-1),$ $\mathrm D,$ $\mathrm P,$ $\mathrm Q$ を上記のように結ぶ「ネットワーク」は, 正方形 $\mathrm{ABCD}$ の $4$ 頂点を結ぶ最短の「ネットワーク」であることが知られている. このように, 有限個の点を結ぶ最短の「ネットワーク」は「シュタイナー木」と呼ばれる.

問題≪$n$ の $n$ 乗根の最大値≫

(1)
関数 $f(x) = \dfrac{\log x}{x}\ (x > 0)$ の増減を調べよ.
(2)
正の整数 $n$ に対して, $\sqrt[n]{n}$ の最大値を求めよ. ただし, $2 < e < 3$ は証明なしに用いて良い.

解答例

(1)
\begin{align*} &f'(x) = \frac{(\log x)'x-(\log x)x'}{x^2} \\ &= \frac{\dfrac{1}{x}\cdot x-\log x\cdot 1}{x^2} = \frac{1-\log x}{x^2}. \end{align*} よって, \begin{align*} &f'(x) \geqq 0 \iff 1-\log x \geqq 0 \\ &\iff \log x \leqq 1 \iff x \leqq e. \end{align*} ゆえに, $f(x)$ は, $0 < x \leqq e$ において単調増加, $x \geqq e$ において単調減少.
$x$$0$$\cdots$$e$$\cdots$
$f'(x)$$+$$0$$-$
$f(x)$$\nearrow$$\dfrac{1}{e}$$\searrow$
(2)
正の整数 $m,$ $n$ に対して, \begin{align*} &\sqrt[m]{m} \leqq \sqrt[n]{n} \iff \log\sqrt[m]{m} \leqq \log\sqrt[n]{n} \\ &\iff \log m^{\frac{1}{m}} \leqq \log n^{\frac{1}{n}} \iff \frac{\log m}{m} \leqq \frac{\log n}{n}. \end{align*} よって, $\sqrt[n]{n}$ を最大にする正の整数 $n$ と $\dfrac{\log n}{n}$ を最大にする正の整数 $n$ は一致する.
(1) と $2 < e < 3$ より $\dfrac{\log n}{n}$ は, $n \leqq 2$ において単調増加, $n \geqq 3$ において単調減少.
$\log 8 < \log 9$ より, $\log 2^3 < \log 3^2$ すなわち $3\log 2 < 2\log 3$ だから, $\dfrac{\log 2}{2} < \dfrac{\log 3}{3}.$
ゆえに, $\dfrac{\log n}{n}$ の最大値は $\dfrac{\log 3}{3}$ だから, $\sqrt[n]{n}$ の最大値は $\sqrt[3]{3}.$

問題≪対数関数の増減≫

(1)
関数 $f(x) = x\log x\ (x > 1)$ の増減を調べよ.
(2)
関数 $g(x) = \dfrac{\log (x+1)}{\log x}\ (x > 1)$ の増減を調べよ.
(3)
$\log _{10}11,$ $\log_{11}{12}$ の大小を比較せよ.

(1)
狭義単調増加.
(2)
狭義単調減少.
(3)
$\log _{10}11 > \log_{11}12.$

問題≪体積が一定な円錐の表面積の最小値≫

 体積が一定である直円錐のうち, 表面積が最小であるものの底面の半径と高さの比を求めよ.

解答例

 円錐の半径を $r,$ 高さを $h,$ 体積の一定値を $V$ とおくと, $V = \dfrac{1}{3}\pi r^2h$ より, $$h = \frac{3V}{\pi r^2}.$$ よって, 円錐の表面積を $S$ とおくと, $$S = \pi r^2+\frac{1}{2}(2\pi r)h = \pi r^2+\frac{3V}{r}.$$ 両辺を $r$ で微分すると, $$\frac{dS}{dr} = 2\pi r-\frac{3V}{r^2} = \frac{1}{r^2}(2\pi r^3-3V).$$ よって, $$\frac{dS}{dr} \geqq 0 \iff 2\pi r^3-3V \geqq 0 \iff r \geqq \sqrt[3]{\frac{3V}{2\pi}}$$ より, $S$ の増減表は次のようになる.
$r$$0$$\cdots$$\sqrt[3]{\dfrac{3V}{2\pi}}$$\cdots$
$\dfrac{dS}{dr}$$-$$0$$+$
$S$$\searrow$極小$\nearrow$
ゆえに, 円錐の表面積が最小になるとき, 底面の半径 $r$ と高さ $h$ の比は, \begin{align*} r:h &= r:\frac{3V}{\pi r^2} = r^3:\frac{3V}{\pi} \\ &= \frac{3V}{2\pi}:\frac{3V}{\pi} = 1:2. \end{align*}

問題≪条件付き対称式の最大・最小≫

 正の数 $x,$ $y$ が $x^3+y^3 = 1$ を満たすとき, $x+y,$ $x^2+y^2$ の取り得る値の範囲を求めよ.

解答例

 $t = x+y$ とおく. このとき, $$x^3+y^3 = (x+y)^3-3xy(x+y)$$ より $1 = t^3-3txy$ だから, $t > 0$ に注意すると, $$xy = \frac{t^3-1}{3t}.$$ $x,$ $y$ は $2$ 次方程式 $z^2-tz+\dfrac{t^3-1}{3t} = 0 \cdots [1]$ の正の解だから, $[1]$ の判別式を $D$ とおくと, $D \geqq 0,$ $x+y > 0,$ $xy > 0$ より, $$t^2-\frac{4(t^3-1)}{3t} \geqq 0, \quad t > 0, \quad \frac{t^3-1}{3t} > 0.$$ これらを解くと,
$1 < t \leqq \sqrt[3]{4}$ すなわち $1 < x+y \leqq \sqrt[3]{4}.$
また, \begin{align*} x^2+y^2 &= (x+y)^2-2xy \\ &= t^2-\frac{2(t^3-1)}{3t} \\ &= \frac{t^3+2}{3t}. \end{align*} これを $f(t)$ とおく. $t$ で微分すると, \begin{align*} f'(t) &= \frac{1}{3}\cdot\frac{3t^2\cdot t-(t^3+2)\cdot 1}{t^2} \\ &= \frac{2(t^3-1)}{3t^2}. \end{align*} $1 < t \leqq \sqrt[3]{4}$ より $f’(t) > 0$ だから, $f(t)$ は狭義単調増加である.
よって, $f(1) < f(t) \leqq f(\sqrt[3]{4})$ より, $$1 < f(t) \leqq \sqrt[3]{2}.$$ この逆も成り立つから, $x+y,$ $x^2+y^2$ の取り得る値の範囲は, $$1 < x+y \leqq \sqrt[3]{4}, \quad 1 < x^2+y^2 \leqq \sqrt[3]{2}.$$

問題≪多変数関数の最小値≫

 正の数 $x,$ $y,$ $z$ が $x+y+z = 1$ を満たすとき, $F(x,\ y,\ z) = x\log x+y\log y+z\log z$ の最小値を求めよ.

解答例

 $t = x+y$ とおく. このとき, $x+y+z = 1$ より, $z = 1-t$ だから, \begin{align*} &F(x,\ y,\ z) = x\log x+y\log y+z\log z \\ &= x\log x+(t-x)\log (t-x)+(1-t)\log (1-t). \end{align*} また, $x > 0,$ $y = t-x > 0,$ $z = 1-t > 0$ より, $$0 < x < t < 1.$$ $t$ を定数とみなすとき, $F(x,\ y,\ z)$ は $x$ の関数である. これを $f(x)$ とおくと, \begin{align*} f'(x) &= 1\cdot\log x+x\cdot\frac{1}{x} \\ &\qquad +(-1)\log (t-x)+(t-x)\cdot\frac{-1}{t-x} \\ &= \log\frac{x}{t-x}. \end{align*} よって, \begin{align*} &f'(x) \geqq 0 \iff \frac{x}{t-x} \geqq 1 \\ &\iff x \geqq t-x \iff x \geqq \frac{t}{2} \end{align*} より, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$0$$\cdots$$\dfrac{t}{2}$$\cdots$$t$
$f'(x)$$-$$0$$+$
$f(x)$$\searrow$極小$\nearrow$
したがって, $f(x)$ は $x = \dfrac{t}{2}$ のとき最小値 \begin{align*} f\left(\frac{t}{2}\right) &= 2\cdot\frac{t}{2}\log\frac{t}{2}+(1-t)\log (1-t) \\ &= t(\log t-\log 2)+(1-t)\log (1-t) \end{align*} をとる. これを $t$ の関数とみなして $g(t)$ とおくと, \begin{align*} g'(t) &= 1\cdot (\log t-\log 2)+t\cdot\frac{1}{t} \\ &\qquad +(-1)\log (1-t)+(1-t)\cdot\frac{-1}{1-t} \\ &= \log\frac{t}{2(1-t)}. \end{align*} よって, \begin{align*} &g'(t) \geqq 0 \iff \frac{t}{2(1-t)} \geqq 1 \\ &\iff t \geqq 2(1-t) \iff t \geqq \frac{2}{3} \end{align*} より, $g(t)$ の増減表は次のようになる.
$t$$0$$\cdots$$\dfrac{2}{3}$$\cdots$$1$
$g'(t)$$-$$0$$+$
$g(t)$$\searrow$極小$\nearrow$
したがって, $g(t)$ は $t = \dfrac{2}{3}$ のとき最小値 \begin{align*} g\left(\frac{2}{3}\right) &= \frac{2}{3}\left(\log\frac{2}{3}-\log 2\right)+\frac{1}{3}\log\frac{1}{3} \\ &= \left(\frac{2}{3}+\frac{1}{3}\right)\log\frac{1}{3} = -\log 3 \end{align*} をとる. ゆえに, $F(x,\ y,\ z)$ は $x = y = z = \dfrac{1}{3}$ のとき最小値 $-\log 3$ をとる.

問題≪点と関数のグラフの距離≫

 定点 $\mathrm A$ から最短の距離にある, 微分可能な関数 $f(x)$ のグラフ $y = f(x)$ の上の点 $\mathrm P$ について, $\mathrm A \neq \mathrm P$ のとき, 直線 $\mathrm{AP}$ は $y = f(x)$ の点 $\mathrm P$ における接線に直交することを示せ.

解答例

 点 $\mathrm A$ の座標を $(a,\ b),$ 点 $\mathrm P$ の座標を $(t,\ f(t))$ とおくと, \[\mathrm{AP}^2 = (t-a)^2+\left( f(t)-b\right) ^2\] これを $t$ の関数として $\varphi (t)$ とおくと, \[\varphi '(t) = 2(t-a)+2\left( f(t)-b\right)f'(t).\] $t$ は $\mathrm{AP}^2,$ したがって $\varphi$ の最小値だから, $\varphi$ の極値であり, よって \[\varphi '(t) = 0\] を満たす. よって, $(t-a)+\left( f(t)-b\right)f'(t) = 0$ であり, $\mathrm A \neq \mathrm P$ より $t \neq a$ だから, \[ \frac{f(t)-b}{t-a}\cdot f'(t) = -1.\] これは, 直線 $\mathrm{AP}$ と $y = f(x)$ の点 $\mathrm P$ における接線が直交することを意味する.

問題≪放物線の間の距離≫

 点 $\mathrm P,$ $\mathrm Q$ がそれぞれ放物線 \[ C:y = x^2, \quad D:y = 1-(x-4)^2\] の上を動くとき, 線分 $\mathrm{PQ}$ の長さの最小値を求めよ(これを $C,$ $D$ の距離と呼ぶ).

解答例

 $C$ 上の点 $\mathrm P(p,\ p^2),$ $D$ 上の点 $\mathrm Q(q,\ 1-(q-4)^2)$ をとると, \[\mathrm{PQ}^2 = (p-q)^2+\big( p^2+(q-4)^2-1\big) ^2.\] $t = q-p$ とおくと, \begin{align*} \mathrm{PQ}^2 &= t^2+\big( (q-t)^2+(q-4)^2-1\big) ^2 \\ &= t^2+\left( 2\left( q^2-(t+4)q\right) +t^2+15\right) ^2 \\ &= t^2+\left( 2\left( q-\frac{t+4}{2}\right) ^2-\frac{1}{2}(t+4)^2+t^2+15\right) ^2 \\ &= t^2+\left( 2\left( q-\frac{t+4}{2}\right) ^2+\frac{1}{2}(t-4) ^2-1\right) ^2 \\ &\geqq t^2+\left(\frac{1}{2}(t-4)^2-1\right) ^2. \end{align*} 等号は $q = \dfrac{t+4}{2}$ のとき成り立つ. 最後の $t$ の式を $f(t)$ とおくと, \begin{align*} f'(t) &= 2t+2\left(\frac{1}{2}(t-4)^2-1\right) ^2\times\frac{1}{2}\cdot 2(t-4) \\ &= t^3-12t^2+48t-56 \\ &= (t-2)(t^2-10t+28). \end{align*} $t$ は実数だから, $f'(t) = 0$ を満たす $t$ の値は $t = 2.$ このとき, $f(t)$ は最小値 \[ f(2) = 2^2+\left(\frac{1}{2}(2-4)^2-1\right) ^2 = 5\] をとる. ゆえに, 求める値は, $\sqrt 5.$

解説

 簡単のため, 微分の計算で, 合成関数の微分の公式を使った. 最小値の存在と $C,$ $D$ を結ぶ最短の線分が対称の中心を通ることは証明が難しいが, それを認めれば容易に答えが求まる.

問題≪与えられた辺長を持つ四角形の面積の最大値≫

 正の定数 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ を $4$ 辺の長さとする四角形の面積は, 四角形が円に内接するときに最大となることを示せ. ただし, $a,$ $b,$ $c,$ $d$ を $4$ 辺の長さとするような円に内接する四角形が存在することは, 証明なしに用いて良い.

解答例

 四角形 $\mathrm{ABCD}$ において, $a = \mathrm{AB},$ $b = \mathrm{BC},$ $c = \mathrm{CD},$ $d = \mathrm{DA}$ とおき, $\theta = \angle\mathrm{ABC},$ $\varphi = \angle\mathrm{CDA}$ とおく. この四角形の面積を $S$ とおくと, \[ S = \frac{1}{2}ab\sin\theta +\frac{1}{2}cd\sin\varphi.\] この等式は, 四角形 $\mathrm{ABCD}$ が凹四角形の場合にも成り立つ. $S$ を $\theta$ で微分すると, \[\frac{dS}{d\theta} = \frac{1}{2}ab\cos\theta +\frac{1}{2}cd\cos\varphi\frac{d\varphi}{d\theta} \quad \cdots [1].\] ここで, 余弦定理により \[\mathrm{AC}^2 = a^2+b^2-2ab\cos\theta = c^2+d^2-2cd\cos\varphi\] となるから, 両辺を $\theta$ で微分すると \[ 2ab\sin\theta = 2cd\sin\varphi\frac{d\varphi}{d\theta} \quad \cdots [2]\] となる. $[2]$ を使って $[1]$ の $\dfrac{d\varphi}{d\theta}$ を消去して整理すると, \[\frac{dS}{d\theta} = \frac{ab}{2\sin\varphi}\sin (\theta +\varphi )\] となる. $0 < \varphi < \pi,$ $0 < \theta +\varphi < 2\pi$ から, \[\frac{dS}{d\theta} \geqq 0 \iff \theta +\varphi \geqq \pi\] となる. よって, $S$ は $\theta +\varphi = \pi$ のとき極大かつが最大の値をとる. ゆえに, 四角形が円に内接するとき, 四角形の面積は最大になる.

方程式・不等式への応用

問題≪高次方程式の実数解の判定≫

 $n$ を正の整数とする. $n$ 次関数 $f(x) = a_nx^n+\cdots +a_1x+a_0$ について, \begin{align*} &a_0 < 0, \qquad a_k > 0\ (1 \leqq k \leqq n), \\ &a_0+a_1+\cdots +a_n > 0 \end{align*} ならば, $n$ 次方程式 $f(x) = 0$ は $0 < x < 1$ において唯 $1$ つの実数解を持つことを示せ.

解答例

 $f(x)$ を微分すると, \[ f'(x) = na_nx^{n-1}+\cdots +a_1.\] よって, $a_k > 0\ (1 \leqq k \leqq n)$ より, $x > 0$ において \[ f'(x) > 0\] だから, $f(x)$ は $x > 0$ において狭義単調増加である. 仮定より \begin{align*} f(0) &= a_0 < 0, \\ f(1) &= a_n+\cdots +a_1+a_0 > 0 \end{align*} だから, 中間値の定理より $n$ 次方程式 $f(x) = 0$ は $0 < x < 1$ において唯 $1$ つの実数解を持つ.

問題≪指数関数を含む方程式の実数解≫

(1)
$\dfrac{1}{2} < \log 2 < 1$ を示せ. $2 < e < 3$ は証明なしに用いて良い.
(2)
$x > 4$ において $f(x) = 2^x-x^2$ は狭義単調増加であることを示せ.
(3)
$2^x = x^2$ の整数解をすべて求めよ.
(4)
$2^x = x^2$ の整数でない $1$ つの実数解の整数部分を求めよ.

解答例

(1)
対数関数 $\log x$ は単調増加だから, $2 < e < 2^2$ より, $\log 2 < 1 < 2\log 2.$ $$\therefore\frac{1}{2} < \log 2 < 1.$$
(2)
$f(x) = 2^x-x^2$ より, \begin{align*} f'(x) &= 2^x\log 2-2x, \\ f''(x) &= 2^x(\log 2)^2-2. \end{align*} 指数関数 $2^x$ は狭義単調増加だから, $x > 4$ のとき, \begin{align*} f''(x) &> 2^4(\log 2)^2-2 \\ &> 2^4\left(\frac{1}{2}\right) ^2-2 = 2 \\ &> 0. \end{align*} よって, $x > 4$ において $f'(x)$ は狭義単調増加であり, $$f'(4) > 2^4\cdot\frac{1}{2}-2\cdot 4 = 0$$ だから, $x > 4$ において $f'(x) > 0.$
これは, $x > 4$ において $f(x)$ が狭義単調増加であることを意味する.
(3)
$f(4) = 2^4-4^2 = 0$ だから, $x > 4$ において $f(x) > 0.$
また, $x \leqq -1$ において, $$f(x) \leqq 2^{-1}-(-1)^2 = -\frac{1}{2} < 0.$$ さらに, $f(0) = 1,$ $f(1) = 1,$ $f(2) = 0,$ $f(3) = -1.$
以上より, $f(x) = 0$ すなわち $2^x = x^2$ の整数解は $2,$ $4$ に限る.
(4)
$f(x)$ は連続で $f(-1) < 0,$ $f(0) > 0$ だから, 中間値の定理より $-1 < x < 0$ の範囲に $f(x) = 0$ すなわち $2^x = x^2$ の実数解が存在する.
ゆえに, $2^x = x^2$ の整数でない $1$ つの実数解の整数部分は, $-1.$

解説

 (1)~(3) は方程式の整数解を求める問題であるが, $2^x-x^2$ の単調性を微分を使って調べて解の範囲を絞り込むという解析的な方法は非常に興味深い. しかし, 比の関数 $f(x) = 2^x/x^2$ について調べるという代数的な方法もある(こちらを参照).

問題≪正接に関する方程式の解の存在と一意性≫

 $n$ を整数とする. $\tan\dfrac{x}{2} = x$ は $2n\pi \leqq x < (2n+1)\pi$ において唯一の解を持つことを示せ.

解答例

\[ f(x) = \tan\frac{x}{2}-x \quad (2n\pi \leqq x < (2n+1)\pi )\] とおく. このとき, \[ f'(x) = \frac{1}{\cos ^2\dfrac{x}{2}}\cdot\frac{1}{2}-1 = \frac{\dfrac{1}{2}-\cos ^2\dfrac{x}{2}}{\cos ^2\dfrac{x}{2}}.\] よって, \begin{align*} &f'(x) = 0 \iff \cos\dfrac{x}{2} = \pm\frac{1}{\sqrt 2} \\ &\iff \dfrac{x}{2} = n\pi +\dfrac{\pi}{4} \iff x = 2n\pi +\frac{\pi}{2}. \end{align*} $f'(2n\pi ) = \dfrac{1}{2}-1 = -\dfrac{1}{2} < 0$ であるから, $x > 2n\pi +\dfrac{\pi}{2}$ において $f'(x) > 0$ となる $x$ が存在する. $x > 2n\pi +\dfrac{\pi}{2}$ において, $f'(x) = 0$ は解を持たないから, 中間値の定理によりこの範囲で $f'(x) > 0$ が成り立つ. よって, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$2n\pi$$\cdots$$2n\pi +\dfrac{\pi}{2}$$\cdots$$(2n+1)\pi$
$f'(x)$$-$$-$$0$$+$
$f(x)$$-$$\searrow$極小$\nearrow$$\infty$
$f(2n\pi ) = -2n\pi < 0,$ $\lim\limits_{x \to (2n+1)\pi -0}f(x) = \infty$ であるから, 中間値の定理と $x > 2n\pi +\dfrac{\pi}{2}$ における $f(x)$ の単調増加性により, $f(x) = 0$ は唯一の解を持つ. 題意が示された.

問題≪テイラー展開に関する不等式と極限値≫

(1)
$x > 0$ のとき, $e^x > 1+x+\dfrac{x^2}{2}$ が成り立つことを示せ.
(2)
極限値 $\lim\limits_{x \to \infty}xe^{-x},$ $\lim\limits_{x \to \infty}e^{-x}\log x$ を求めよ.

解答例

(1)
$f(x) = e^x-\left( 1+x+\dfrac{x^2}{2}\right)$ とおく. このとき, \begin{align*} f'(x) &= e^x-(1+x), \\ f''(x) &= e^x-1. \end{align*} よって, $x > 0$ のとき, $f''(x) > 0.$
したがって, $x > 0$ において, $f'(x)$ は狭義単調増加だから, $$f'(x) > f'(0) = e^0-1 = 0.$$ よって, $x > 0$ において, $f(x)$ も狭義単調増加だから, $$f(x) > f(0) = e^0-1 = 0.$$ ゆえに, $x > 0$ のとき, $e^x > 1+x+\dfrac{x^2}{2}.$
(2)
$x > 0$ のとき, (1) より $e^x > \dfrac{x^2}{2}$ だから, $$0 < xe^{-x} < \frac{2}{x}.$$ $\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{2}{x} = 0$ だから, 挟みうちの原理より, $$\lim\limits_{x \to \infty}xe^{-x} = 0 \cdots [1].$$ さらに, $x > 1$ のとき, $0 < \log x < x$ だから, $$0 < e^{-x}\log x < xe^{-x}.$$ $[1]$ と挟みうちの原理より, $\lim\limits_{x \to \infty}e^{-x}\log x = 0.$

問題≪$xe^{-x}$ の極限≫

(1)
$x > 0$ のとき $2e^{\frac{x}{2}} > x$ が成り立つことを示せ.
(2)
$\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{x}{e^x} = 0$ を示せ.

解答例

(1)
$f(x) = 2e^{\frac{x}{2}}-x$ とおくと, \[ f'(x) = 2\cdot e^{\frac{x}{2}}\cdot\frac{1}{2}-1 = e^{\frac{x}{2}}-1.\] よって, $x > 0$ のとき, $f'(x) > 0$ であるから, $f(x)$ は単調増加である. これと $f(0) = 2 > 0$ であることを合わせると, $x > 0$ のとき $f(x) > 0$ が成り立つ. ゆえに, $x > 0$ のとき $2e^{\frac{x}{2}} > x$ が成り立つ.
(2)
$x > 0$ とする. \[ 2e^{\frac{x}{2}} > x\] の両辺を $2$ 乗すると \[ 4e^x > x^2\] となるから, \[\frac{e^x}{x} > \frac{x}{4}.\] 両辺の逆数をとると, \[\frac{x}{e^x} < \frac{4}{x}.\] よって, 挟みうちの原理により \[ 0 \leqq \lim_{x \to \infty}\frac{x}{e^x} \leqq \lim_{x \to \infty}\frac{4}{x} = 0\] であるから, \[\lim_{x \to \infty}\frac{x}{e^x} = 0.\]

問題≪$\log x/x$ の極限≫

(1)
$x > 1$ のとき $\log x < 2\sqrt x$ が成り立つことを示せ.
(2)
$\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{\log x}{x} = 0$ を示せ.

解答例

(1)
$f(x) = 2\sqrt x-\log x\ (x > 1)$ とおくと, \[ f'(x) = 2\cdot\frac{1}{2\sqrt x}-\frac{1}{x} = \frac{\sqrt x-1}{x}.\] よって, $x > 1$ のとき, $f'(x) > 0$ であるから, $f(x)$ は単調増加である. これと $f(1) = 2 > 0$ であることを合わせると, $x > 1$ のとき $f(x) > 0$ が成り立つ. ゆえに, $x > 0$ のとき $\log x < 2\sqrt x$ が成り立つ.
(2)
$x > 1$ とする. \[\log x < 2\sqrt x\] の両辺を $2$ 乗すると \[ (\log x)^2 < 4x\] となるから, \[\frac{\log x}{x} < \frac{4}{\log x}.\] よって, 挟みうちの原理により \[ 0 \leqq \lim_{x \to \infty}\frac{\log x}{x} \leqq \lim_{x \to \infty}\frac{4}{\log x} = 0\] であるから, \[\lim_{x \to \infty}\frac{\log x}{x} = 0.\]

解説≪ロピタルの定理: 不定形の極限を求めるための強力な定理≫

 $y = \log x$ とすると, $x \to \infty$ のとき $y \to \infty$ であり, $ye^{-y} = \dfrac{\log x}{x}$ であるから, $\lim\limits_{x \to \infty}xe^{-x}$ と $\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{\log x}{x}$ を求めることは同値である. これらは大学で学ぶロピタルの定理(l'Hospital's rule) \[\lim_{x \to a}\frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}\] を用いて容易に求められる代表的な不定形の極限である. ただし, $a$ は実数または $\pm\infty$ である. $f(x),$ $g(x)$ は, $x = a$ の近くで微分可能であり, $g(x) \neq 0,$ $g'(x) \neq 0$ を満たし,
$\lim\limits_{x \to a}f(x) = \lim\limits_{x \to a}g(x) = 0$ または $\lim\limits_{x \to a}g(x) = \infty$
を満たして, 極限 $\lim\limits_{x \to a}\dfrac{f'(x)}{g'(x)}$ が実数値をとるような関数である. ロピタルの定理によれば, これらの極限は \begin{align*} \lim_{x \to \infty}\frac{x}{e^x} &= \lim_{x \to \infty}\frac{1}{e^x} = 0, \\ \lim_{x \to \infty}\frac{\log x}{x} &= \lim_{x \to \infty}\frac{1/x}{1} = 0 \end{align*} と計算できる.

注意≪ロピタルの定理が使えない不定形の極限≫

 $\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{x-\sin x}{x}$ は $\dfrac{\infty}{\infty}$ の形の不定形の極限であるが, 極限 $\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{1-\cos x}{1}$ が存在しないため, ロピタルの定理は使えない. 実際は, \[ 1-\frac{1}{x} \leqq \frac{x-\sin x}{x} = 1-\frac{\sin x}{x} \leqq 1+\frac{1}{x}\] であるから, 挟みうちの原理から $\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{x-\sin x}{x} = 1$ となる.

問題≪指数関数の近似による不等式による相加・相乗平均の関係の証明≫

(1)
任意の実数 $x$ に対して, 不等式 $x \leqq e^{x-1}$ が成り立つことを示せ.
(2)
正の数 $x_1,$ $\cdots,$ $x_n$ が $x_1+\cdots +x_n = n$ を満たすとき, $x_1\cdots x_n \leqq 1$ が成り立つことを示せ.
(3)
任意の正の数 $a_1,$ $\cdots,$ $a_n$ に対して \[ a_1\cdots a_n \leqq \left(\frac{a_1+\cdots +a_n}{n}\right) ^n\] が成り立つことを示せ.
[横浜市立大 2008*]

解答例

(1)
$f(x) = e^{x-1}-x$ とおく. このとき, $f'(x) = e^{x-1}-1$ であるから, \[ f'(x) \leqq 0 \iff x \leqq 1, \quad f'(x) \geqq 0 \iff x \geqq 1.\] よって, $f(x)$ は $x = 1$ で極小かつ最小となるので, $f(x) \geqq f(1) = 0$ から $e^{x-1}-x \geqq 0$ すなわち $x \leqq e^{x-1}$ が成り立つ.
(2)
(1) から, \[ x_1\cdots x_n \leqq e^{x_1-1}\cdots e^{x_n-1} = e^{x_1+\cdots +x_n-n} = e^0 = 1.\]
(3)
$A = \dfrac{a_1+\cdots +a_n}{n}$ とおくと, \[\frac{a_1}{A}+\cdots +\frac{a_n}{A} = n\] となるので, (2) から
$\dfrac{a_1}{A}\cdots\dfrac{a_n}{A} \leqq 1$ すなわち $a_1\cdots a_n \leqq A^n$
となる. 題意が示された.

問題≪指数関数のテイラー展開に関する不等式≫

 任意の正の数 $x,$ 正の整数 $n$ に対して, 次の不等式が成り立つことを示せ: \[ e^x > 1+\frac{x}{1!}+\cdots +\frac{x^n}{n!}.\]

解答例

 各正の整数 $n$ に対して, \[ f_n(x) = e^x-\left( 1+\frac{x}{1!}+\cdots +\frac{x^n}{n!}\right) \quad (x > 0)\] とおく. $f_n(x) > 0$ が成り立つことを示せば良い. $f_n(x)$ を微分すると, \begin{align*} \frac{d}{dx}f_n(x) &= e^x-\left( 0+\frac{1}{1!}+\frac{2x}{2!}+\cdots +\frac{nx^{n-1}}{n!}\right) \\ &= e^x-\left( 1+\frac{x}{1!}+\cdots +\frac{x^{n-1}}{(n-1)!}\right) = f_{n-1}(x). \end{align*} これと $f_n(x) = 0$ であることから, $f_{n-1}(x) > 0$ ならば, $f_n(x) > 0$ が成り立つ.
また, $x > 0$ において $f_1(x) = e^x-1 > 0$ が成り立つ.
ゆえに, 任意の正の整数 $n$ に対して, $f_n(x) > 0$ が成り立つので, 題意が示された.

問題≪三角関数のテイラー展開に関する不等式≫

(1)
$x > 0$ のとき, 次の不等式が成り立つことを示せ. \[ x-\frac{x^3}{6} < \sin x < x.\]
(2)
次の等式を示せ. \[\lim_{x \to 0}\frac{\sin x}{x}.\]

解答例

(1)
\[ f(x) = x-\sin x, \quad g(x) = \sin x-x+\frac{x^3}{6} \quad (x > 0)\] とおいて, $f(x) > 0,$ $g > 0$ を示す. \[ f'(x) = 1-\cos x > 0\] から $f(x)$ は狭義単調増加であるので, $f(x) > f(0) = 0.$ さらに, \begin{align*} g'(x) &= \cos x-1+\frac{x^2}{2}, \\ g''(x) &= x-\sin x = f(x) > 0. \end{align*} $g'(x)$ は狭義単調増加であるので, $g'(x) > g'(0) = 0.$ したがって, $g(x)$ は狭義単調増加であるので, $g(x) > g(0) = 0.$ 題意が示された.
(2)
$x > 0$ のとき, (1) で得られた不等式の各辺を $x$ で割ると, \[ 1-\frac{x^2}{6} < \frac{\sin x}{x} < 1.\] よって, 挟みうちの原理により, \[\lim_{x \to +0}\frac{\sin x}{x} = 1.\] また, $\sin (-x) = -\sin x$ であるから, \[\lim_{x \to -0}\frac{\sin x}{x} = \lim_{x \to -0}\frac{\sin (-x)}{-x} = \lim_{x \to +0}\frac{\sin x}{x} = 1.\] これらをあわせると, 求める等式が得られる.

問題≪対数関数の凸性による相加・相乗平均の関係の証明≫

 $n$ を正の整数, $x_1,$ $\cdots,$ $x_n$ を正の数とし, $a = \dfrac{x_1+\cdots +x_n}{n}$ とおく. 曲線 $y = \log x$ の点 $(a,\ \log a)$ における接線の方程式を $y = l(x)$ とする.
(1)
$l(x)$ を求めよ.
(2)
$x > 0$ において $l(x) \geqq \log x$ が成り立つことを示せ.
(3)
$1 \leqq k \leqq n$ なる各整数 $k$ に対して, $\dfrac{x_k}{a}-1+\log a \geqq \log x_k$ を示せ.
(4)
$a^n \geqq x_1\cdots x_n$ を示せ.

解答例

(1)
関数 $y = \log x$ の導関数は $y' = \dfrac{1}{x}$ であるから, 曲線 $y = \log x$ の点 $(a,\ \log a)$ における接線の方程式は \[ y = \frac{1}{a}(x-a)+\log a\] である. よって, $l(x) = \dfrac{1}{a}(x-a)+\log a$ である.
(2)
$d(x) = l(x)-\log x = \dfrac{1}{a}(x-a)-(\log x-\log a)\ (x > 0)$ とおくと, \[ d'(x) = \frac{1}{a}-\frac{1}{x} = \frac{x-a}{ax}\] から \[ d'(x) \geqq 0 \iff x \geqq a, \quad d'(x) \leqq 0 \iff x \leqq a\] となるので, $d(x)$ は $x = a$ において極小値かつ最小値 $0$ をとる. よって, $x > 0$ において $l(x) \geqq \log x$ が成り立つ.
(3)
$l(x) \geqq \log x$ に $x = x_k$ を代入すると, \[\frac{x_k}{a}-1+\log a \geqq \log x_k \quad \cdots [k]\] となる.
(4)
$1 \leqq k \leqq n$ なるすべての整数 $k$ について $[k]$ の辺々を加えると \[\frac{x_1+\cdots +x_n}{a}-n+n\log a \geqq \log x_1+\cdots +\log x_n\] となるので, $na = x_1+\cdots +x_n$ から \[\log a^n \geqq \log x_1\cdots x_n\] となる. よって, $a^n \geqq x_1\cdots x_n$ が成り立つ.

問題≪ヤングの不等式≫

(1)
実数 $r$ は $0 < r < 1$ を満たす. $x > 0$ のとき, $x^r-1$ と $r(x-1)$ の大小を比較せよ.
(2)
実数 $p,$ $q$ は $p > 1,$ $q > 1,$ $\dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q} = 1$ を満たす. $a > 0,$ $b > 0$ のとき, $a^{\frac{1}{p}}b^{\frac{1}{q}}$ と $\dfrac{a}{p}+\dfrac{b}{q}$ の大小を比較せよ.
[2017 一橋大]

解答例

 略.

問題≪絶対不等式の成立条件≫

 $a$ を定数とする. 任意の実数 $x$ に対して不等式 $\cos x \geqq 1-ax^2$ が成り立つとき, $a \geqq \dfrac{1}{2}$ であることを示せ.

解答例

 $a \leqq 0$ のとき, $1-ax^2 \geqq 1$ だから, $\cos x < 1-ax^2$ を満たす実数 $x$ が存在する.
よって, $a > 0$ でなければならない.
$f(x) = \cos x+ax^2-1$ とおくと, $$\cos x \geqq 1-ax^2 \iff f(x) \geqq 0.$$ $f(x)$ は偶関数だから, $f(x) \geqq 0$ は $x \geqq 0$ において成り立てば任意の実数 $x$ に対して成り立つ. \begin{align*} f'(x) &= -\sin x+2ax, \\ f''(x) &= -\cos x+2a. \end{align*} $$f''(x) \geqq 0 \iff 2a \geqq \cos x \iff a \geqq \frac{1}{2}.$$
(i)
$a \geqq \dfrac{1}{2}$ のとき. $f''(x) \geqq 0$ より, $f'(x)$ は単調増加である.
よって, $x \geqq 0$ において, $$f'(x) \geqq f'(0) = 0.$$ したがって, $x \geqq 0$ において $f(x)$ は単調増加だから, $$f(x) \geqq f(0) = 0.$$
(ii)
$0 < a < \dfrac{1}{2}$ のとき. $0 < 2a < 1$ より $0 < x < \dfrac{\pi}{2}$ において $\cos x = 2a$ すなわち $f''(x) = 0$ の解 $\theta$ が存在する.
$0 < x < \theta$ において, $f''(x) < 0$ だから, $f'(x)$ は狭義単調減少である.
よって, $0 < x < \theta$ において, $f'(x) < f'(0) = 0$ だから, $f(x)$ は狭義単調減少である.
したがって, $0 < x < \theta$ において, $f(x) < f(0) = 0.$
(i), (ii) より, $a \geqq \dfrac{1}{2}.$

別解

 $\cos x,$ $1-ax^2$ は偶関数であり, $x = 0$ のとき $\cos x = 1-ax^2 = 1$ だから, $x > 0$ において $\cos x \geqq 1-ax^2 \cdots (\ast )$ が成り立てば, 任意の実数 $x$ に対して $(\ast )$ が成り立つ.
$\cos x$ は周期 $2\pi$ に周期関数で, $a > 0$ より $x > 0$ において $1-ax^2$ は単調減少だから, $0 < x \leqq \pi$ において $(\ast )$ が成り立てば, 任意の実数 $x$ に対して $(\ast )$ が成り立つ.
$0 < x \leqq \pi$ において, $f(x) = \dfrac{1-\cos x}{x^2}$ とおくと, $$(\ast ) \iff a \geqq f(x)$$ であり, \begin{align*} f'(x) &= \frac{(\sin x)x^2-(1-\cos x)2x}{x^4} \\ &= \frac{x\sin x+\cos x-1}{x^3}. \end{align*} $0 < x \leqq \pi$ において, $g(x) = x\sin x+\cos x-1$ とおくと, $$f'(x) < 0 \iff g(x) < 0$$ であり, $$g'(x) = \sin x+x\cos x-\sin x = x\cos x < 0.$$ $0 < x \leqq \pi$ において, $g(x)$ は狭義単調減少だから, $$g(x) < g(0) = 0.$$ $0 < x \leqq \pi$ において, $f'(x) < 0$ より, $f(x)$ は狭義単調減少だから, \begin{align*} f(x) &\geqq \lim\limits_{x \to +0}f(x) \\ &= \lim\limits_{x \to +0}\frac{1-\cos x}{x^2} \\ &= \lim\limits_{x \to +0}\frac{2\sin ^2\dfrac{x}{2}}{x^2} \\ &= \frac{1}{2}\lim\limits_{x \to +0}\left(\frac{\sin\dfrac{x}{2}}{\dfrac{x}{2}}\right) ^2 \\ &= \frac{1}{2}. \end{align*} ゆえに, $a \geqq \dfrac{1}{2}.$

問題≪不等式の解を持つ条件が表す領域≫

 $a,$ $b$ を定数とする. 不等式 $ax+b > e^x$ が正の解を持つとき, $ab$ 平面上の点 $(a,\ b)$ はどのような範囲に存在するか.

解答例

 $f(x) = ax+b-e^x$ とおく. このとき, $$ax+b > e^x \cdots [1] \iff f(x) > 0$$ であり, $$f'(x) = a-e^x.$$ よって, $$f'(x) \geqq 0 \cdots [2] \iff a \geqq e^x \iff \log a \geqq x.$$ $[2]$ が正の解を持つのは $\log a > 0$ すなわち $a > 1$ のときに限る.
そこで, 次の場合に分けて考える.
(i)
$a \leqq 1$ のとき. $x > 0$ において, $f'(x) < 0$ だから, $f(x)$ は狭義単調減少である.
よって, $[1]$ が正の解を持つための必要十分条件は, $f(0) > 0$ より, $$b > 1 \cdots [3].$$ $[3]$ は $ab$ 平面上で直線 $b = 1$ の上方を表す.
(ii)
$a > 1$ のとき. $x > 0$ における $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$0$$\cdots$$\log a$$\cdots$
$f'(x)$$-$$0$$+$
$f(x)$$\searrow$極小$\nearrow$
よって, $f(x)$ は $x = \log a$ において最小値 $m = f(\log a) = a\log a+b-a$ をとる.
したがって, $[1]$ が正の解を持つための必要十分条件は, $m > 0$ より, $$b > a(1-\log a) \cdots [4].$$ $g(a) = a(1-\log a)\ (a > 1)$ とおくと, $[4]$ は $ab$ 平面上で曲線 $b = g(a)$ の上側を表す. \begin{align*} g'(a) &= (1-\log a)+a\cdot\frac{1}{a} = -\log a < 0, \\ g''(a) &= -\frac{1}{a} < 0 \end{align*} より, $g(a)$ は狭義単調減少で, 上に凸であり, $$g(a) = 0 \iff 1-\log a = 0 \iff a = e$$ より, $b = g(a)$ は点 $(e,\ 0)$ を通る.
(i), (ii) より, 点 $(a,\ b)$ の動く範囲は, 次の図の着色部のようになる. ただし, 境界を除く.

問題≪分数の対称式の値域≫

 $x,$ $y,$ $z$ が正の数全体を動くとき, 関数 $f(x,\ y,\ z) = \dfrac{x+y}{z}+\dfrac{y+z}{x}+\dfrac{z+x}{y}$ の値域を求めよ.
[東京医科歯科大 2010*]

解答例

 相加・相乗平均の関係により, \begin{align*} &f(x,\ y,\ z) = \dfrac{x+y}{z}+\dfrac{y+z}{x}+\dfrac{z+x}{y} \\ &= \left(\frac{x}{y}+\frac{y}{z}+\frac{z}{x}\right) +\left(\frac{x}{z}+\frac{y}{x}+\frac{z}{y}\right) \\ &\geqq 3\sqrt[3]{\frac{x}{y}\cdot\frac{y}{z}\cdot\frac{z}{x}}+3\sqrt[3]{\frac{x}{z}\cdot\frac{y}{x}\cdot\frac{z}{y}} = 6. \end{align*} 等号成立は, \[\frac{x}{y} = \frac{y}{z} = \frac{z}{x}, \quad \frac{x}{z} = \frac{y}{x} = \frac{z}{y}\] すなわち \[ x = y = z\] のときに限る. よって, $f(x,\ y,\ z)$ の最小値は $6$ である. そこで, $f(x,\ y,\ z)$ が $6$ 以上のすべての実数値をとることを示す. そのためには, \[ f(x,\ 1,\ 1) = \frac{2}{x}+2x+2\] が $6$ 以上のすべての実数値をとることを示せば良い. この関数を $\varphi (x)$ とおくと, \[\varphi '(x) = -\frac{2}{x^2}+2 = \frac{2(x+1)(x-1)}{x^2}\] となるから, $\varphi (x)$ は $x = 1$ で極小値かつ最小値 $6$ をとり, $x \geqq 1$ において単調に増加する. これと $\varphi (x)$ の連続性, および \[\lim_{x \to \infty}\varphi (x) = \infty\] から, $\varphi (x)$ は $6$ 以上のすべての実数値をとる.
ゆえに, $f(x,\ y,\ z)$ の値域は $[ 6,\ \infty ).$