COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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微分

教科書の補足

微分係数・微分可能性

定理≪微分可能な関数の連続性≫

 $f(x)$ は $x = a$ で微分可能であるならば, $x = a$ で連続である.

導関数の公式

定理≪逆関数の微分係数≫

 $x = a$ を含む区間で定義された連続関数 $f(x)$ が逆関数を持ち, $x = a$ で微分可能であって, $f'(a) \neq 0$ であるとする. このとき, $f^{-1}(y)$ は $y = f(a)$ で微分可能であり, \[ (f^{-1})'(f(a)) = \frac{1}{f'(a)}\] が成り立つ.

証明

 微分係数の定義により, \begin{align*} (f^{-1})'(f(a)) &= \lim\limits_{y \to f(a)}\frac{f^{-1}(y)-f^{-1}(f(a))}{y-f(a)} \\ &= \lim\limits_{y \to f(a)}\frac{f^{-1}(y)-a}{f(f^{-1}(y))-f(a)} \\ &= \lim\limits_{x \to a}\frac{x-a}{f(x)-a} \\ &= \frac{1}{f'(a)} \end{align*} が成り立つ.

定理≪媒介変数表示された関数の導関数≫

 $y$ が $x$ の関数であり, $x,$ $y$ が媒介変数表示 $x = f(t),$ $y = g(t)$ を持つとき, \[\frac{dy}{dx} = \frac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}} = \frac{g'(t)}{f'(t)}\] が成り立つ.

定理≪一般化された累乗関数の導関数≫

 $-1$ と異なる各実数 $\alpha$ に対し, $x > 0$ において \[ (x^\alpha )' = \alpha x^{\alpha -1}\] が成り立つ.

証明

 $y = x^\alpha$ とおく. 両辺の自然対数をとると, \[\log y = \alpha\log x\] となる. 両辺を $x$ について微分すると, \[\frac{y'}{y} = \frac{\alpha}{x}\] となるから, \[ y' = \frac{\alpha}{x}\cdot y = \frac{\alpha}{x}\cdot x^{\alpha} = \alpha x^{\alpha -1}\] が成り立つ.

定理≪三角関数の導関数≫

\[ (\cos x)' = -\sin x, \quad (\sin x)' = \cos x, \quad (\tan x)' = \frac{1}{\cos ^2x}\] が成り立つ.

証明

\begin{align*} &\frac{\sin (x+h)-\sin x}{h} \\ &=\frac{1}{h}\cdot 2\cos\left(\frac{(x+h)+x}{2}\right)\sin\frac{(x+h)-x}{2} \\ &= \frac{2}{h}\sin\frac{h}{2}\cos\left( x+\frac{h}{2}\right) \\ &\to 1\cdot\cos x \quad (h \to 0) \end{align*} から, $(\sin x)' = \cos x$ が得られる. よって, \begin{align*} (\cos x)' &= \left(\sin\left(\frac{\pi}{2}-x\right)\right)' \\ &= -\cos\left(\frac{\pi}{2}-x\right) = -\sin x, \\ (\tan x)' &= \left(\frac{\sin x}{\cos x}\right)' \\ &= \frac{\cos ^2x-\sin x(-\sin x)}{\cos ^2x} \\ &= \frac{\cos ^2x+\sin ^2x}{\cos ^2x} = \frac{1}{\cos ^2x} \end{align*} が成り立つ.

定理≪指数・対数関数の導関数≫

\[ (e^x)' = e^x, \quad (\log x)' = \frac{1}{x}\] が成り立つ.

証明

 $e^x$ は $x = 0$ において連続だから, \begin{align*} \frac{e^{x+h}-e^x}{h} &= \frac{e^xe^h-e^x}{h} \\ &= e^x\cdot\frac{e^h-e^0}{h-0} \\ &\to e^x\cdot e^0 = e^x \quad (h \to 0) \end{align*} が成り立つ. これで $(e^x)' = e^x$ が示された.
 また, $\log x$ は $x = e$ において連続だから, \begin{align*} \frac{\log (x+h)-\log x}{h} &= \frac{1}{x}\cdot\frac{x}{h}\log\left(\frac{x+h}{x}\right) \\ &= \frac{1}{x}\log\left( 1+\frac{h}{x}\right) ^{\frac{x}{h}} \\ &\to \frac{1}{x}\log e = \frac{1}{x} \quad (h \to 0) \end{align*} が成り立つ. これで $(\log x)' = \dfrac{1}{x}$ が示された.

補足

 高校数学では $e = \lim\limits_{n \to \infty}\left( 1+\dfrac{1}{n}\right) ^n$ から指数関数 $e^x$ を定義する. これから $(e^x)' = e^x$ を示すには, 本質的に $x = 0$ における連続性 $\lim\limits_{x \to 0}\dfrac{e^x-e^0}{x-1} = 1$ つまり $\lim\limits_{x \to 0}\dfrac{e^x}{x} = 1$ を証明する必要がある. ここで $(e^x)' = e^x$ を使ってしまうと循環論法になってしまうので, ロピタルの定理も使ってはいけない.

関数の増減・極値

補足≪増減表のかき方≫

 導関数も連続であるような微分可能な関数 $f(x)$ の増減表をかくとき, 導関数 $f'(x)$ を求めて, $f'(x) = 0$ の解を求め, その前後で $f'(x)$ の符号を調べるという方法がとられることがある. その方法は, $f'(x) = 0$ の解の前後でしか $f'(x)$ の符号の変化する可能性がないことを根拠にしているが, これは $f'(x)$ に中間値の定理を適用することで示される.
 これに対して, 不等式 $f'(x) \geqq 0$ の解と等号成立条件を同時に調べるという方法をとれば, $f'(x) < 0$ の解も自動的に求まるので, 符号を調べる手間が省ける. このサイトでは, こちらの方法を採用している.

問題

微分係数・導関数

問題≪連続性と微分可能性≫

(1)
関数 $$f(x) = \left\{\begin{array}{ll} \sin x & \left(x \leqq \frac{\pi}{2}\right), \\ ax & \left( x > \frac{\pi}{2}\right) \end{array}\right.$$ が $x = \dfrac{\pi}{2}$ で連続であるとき, 定数 $a$ の値を求めよ.
(2)
任意の実数 $a$ に対して, $f(x)$ は $x = \dfrac{\pi}{2}$ において微分可能でないことを示せ.

解答例

(1)
整関数 $ax$ は連続だから, $$\lim\limits_{x \to \frac{\pi}{2}+0}f(x) = \lim\limits_{x \to \frac{\pi}{2}+0}ax = a\cdot\frac{\pi}{2}.$$ 一方, $$f\left(\frac{\pi}{2}\right) = \sin\frac{\pi}{2} = 1.$$ $f(x)$ が $x = \dfrac{\pi}{2}$ において連続であるとき, この $2$ つの値は一致するから, $$a = \frac{2}{\pi}.$$
(2)
(i)
$a \neq \dfrac{2}{\pi}$ のとき. $f(x)$ は $x = \dfrac{\pi}{2}$ において連続でないから, $x = \dfrac{\pi}{2}$ において微分可能でない.
(ii)
$a = \dfrac{2}{\pi}$ のとき. \begin{align*} &\lim\limits_{h \to +0}\frac{f\left(\dfrac{\pi}{2}+h\right) -f\left(\dfrac{\pi}{2}\right)}{h} \\ &= \lim\limits_{h \to +0}\frac{\dfrac{2}{\pi}\cdot\left(\dfrac{\pi}{2}+h\right) -\dfrac{2}{\pi}\cdot\dfrac{\pi}{2}}{h} = \lim\limits_{h \to +0}\frac{2}{\pi} \\ &= \frac{2}{\pi} \cdots [1]. \\ &\lim\limits_{h \to -0}\frac{f\left(\dfrac{\pi}{2}+h\right) -f\left(\dfrac{\pi}{2}\right)}{h} \\ &= \lim\limits_{h \to -0}\frac{\sin\left(\dfrac{\pi}{2}+h\right) -\sin\left(\dfrac{\pi}{2}\right)}{h} \\ &= \lim\limits_{h \to -0}\frac{\cos h-1}{h} = -\lim\limits_{h \to -0}\frac{1-\cos h}{h} \\ &= -\lim\limits_{h \to -0}\frac{\sin h}{1+\cos h}\cdot\frac{\sin h}{h} \\ &\quad\quad \left(\because 1-\cos h = \frac{1-\cos ^2h}{1+\cos h} = \frac{\sin ^2h}{1+\cos h}\right)\\ &= 0 \cdots [2]. \end{align*} $[1],$ $[2]$ は一致しないから, $f(x)$ は $x = \dfrac{\pi}{2}$ において微分可能でない.
(i), (ii) より任意の実数 $a$ に対して $f(x)$ は $x = \dfrac{\pi}{2}$ において微分可能でない.

問題≪微分を利用した極限の計算≫

(a)
$a$ を正の定数とする. 極限値 $\lim\limits_{x \to a}\dfrac{ae^{\log x}-xe^{\log a}}{x^2-a^2}$ を求めよ.
(b)
$a$ を定数とする. 極限値 $\lim\limits_{x \to a}\dfrac{e^{2a}\sin ^2x-e^{2x}\sin ^2a}{x-a}$ を求めよ.

解答例

(a)
$f(x) = ae^{\log x}-xe^{\log a}$ とおく. このとき, $$f'(x) = ae^{\log x}\cdot\frac{1}{x}-e^{\log a}.$$ よって, \begin{align*} &\lim\limits_{x \to a}\frac{ae^{\log x}-xe^{\log a}}{x^2-a^2} \\ &= \lim\limits_{x \to a}\frac{f(x)-f(a)}{(x+a)(x-a)} \\ &= \lim\limits_{x \to a}\left(\frac{1}{x+a}\cdot\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\right) \\ &= \frac{1}{2a}\cdot f'(a) \\ &= \frac{1}{2a}\left( ae^{\log a}\cdot\frac{1}{a}-e^{\log a}\right) \\ &= 0. \end{align*}
(b)
$f(x) = \sin ^2x,$ $g(x) = e^{2x}$ とおく. このとき, \begin{align*} f'(x) &= 2\sin x\cos x, \\ g'(x) &= 2e^{2x}. \end{align*} よって, \begin{align*} &\lim\limits_{x \to a}\frac{e^{2a}\sin ^2x-e^{2x}\sin ^2a}{x-a} \\ &= \lim\limits_{x \to a}\frac{e^{2a}(\sin ^2x-\sin ^2a)-(e^{2x}-e^{2a})\sin ^2a}{x-a} \\ &= \lim\limits_{x \to a}\left( e^{2a}\cdot\frac{f(x)-f(a)}{x-a}-\frac{g(x)-g(a)}{x-a}\cdot\sin ^2a\right) \\ &= e^{2a}f'(a)-g'(a)\sin ^2a \\ &= e^{2a}\cdot 2\sin a\cos a-2e^{2a}\sin ^2a \\ &= 2e^{2a}\sin a(\cos a-\sin a). \end{align*}

問題≪合成関数の微分係数≫

 関数 $f(x) = \sqrt{\dfrac{x+1}{x^2+1}}\quad (x \geqq -1)$ を $2$ 回合成して得られる関数 $g(x) = f(f(x))$ について, $g'(0)$ の値を求めよ.

解答例

 $f(0) = \sqrt{\dfrac{1}{1}} = 1$ より, $$g'(0) = f'(f(0))f'(0) = f'(1)f'(0) \cdots [1].$$ そこで, $f(x) = \sqrt{\dfrac{x+1}{x^2+1}} = \left(\dfrac{x+1}{x^2+1}\right) ^{\frac{1}{2}}$ を微分すると, \begin{align*} f'(x) &= \frac{1}{2}\left(\frac{x+1}{x^2+1}\right) ^{-\frac{1}{2}}\frac{1\cdot (x^2+1)-(x+1)\cdot 2x}{(x^2+1)^2} \\ &= \frac{1-x^2-2x}{(x^2+1)^2}\sqrt{\frac{x^2+1}{x+1}}. \end{align*} よって, \begin{align*} f'(0) &= \frac{1}{2\cdot 1^2}\sqrt{\frac{1}{1}} = \frac{1}{2} \cdots [2], \\ f'(1) &= \frac{-2}{2\cdot 2^2}\sqrt{\frac{2}{2}} = -\frac{1}{4} \cdots [3]. \end{align*} $[2],$ $[3]$ を $[1]$ に代入すると, $$g'(0) = -\frac{1}{4}\cdot\frac{1}{2} = -\frac{1}{8}.$$

問題≪対数微分法≫

 $f(x) = (\tan x)^{\sin x}\ \left( -\dfrac{\pi}{2} < x < \dfrac{\pi}{2}\right)$ の導関数を求めよ.

解答例

 $f(x) = (\tan x)^{\sin x}$ において両辺の対数をとると, $$\log f(x) = \sin x\log (\tan x).$$ 両辺を微分すると, \begin{align*} \frac{1}{f(x)}\!\cdot\! f'(x) &= \cos x\log (\tan x)\! +\!\sin x\left(\frac{1}{\tan x}\cdot\frac{1}{\cos ^2x}\right) \\ &= \cos x\log (\tan x)\! +\!\sin x\cdot\frac{\cos x}{\sin x}\cdot\frac{1}{\cos ^2x} \\ &= \cos x\log (\tan x)\! +\!\frac{1}{\cos x}. \\ \therefore f'(x) &= f(x)\left(\cos x\log (\tan x)+\frac{1}{\cos x}\right) \\ &= (\tan x)^{\sin x}\left(\cos x\log (\tan x)+\frac{1}{\cos x}\right). \end{align*}

問題≪微分係数による重解の判定≫

(1)
$2$ 次以上の任意の実数係数多項式 $f(x)$ に対して, 次の条件は同値であることを示せ.
(i)
方程式 $f(x) = 0$ が $\alpha$ を重解に持つ.
(ii)
$f(\alpha ) = f'(\alpha ) = 0.$ 
(2)
次の $3$ 次方程式が重解 $\alpha$ を持つとき, 定数 $c$ と $\alpha$ の値を求めよ. \[ x^3-3x^2-9x+c = 0.\]

解答例

(1)
$f(x)$ を $(x-\alpha )^2$ で割った商を $q(x),$ 余りを $ax+b$ ($a,$ $b$: 定数)とおくと, \[ f(x) = (x-\alpha )^2q(x)+ax+b\quad \cdots [1].\] 両辺を微分すると, \[ f'(x) = 2(x-\alpha )q(x)+(x-\alpha )^2q'(x)+a \quad \cdots [2].\] $[1],$ $[2]$ より, \[ f(\alpha ) = a\alpha +b, \quad f'(\alpha ) = a.\] よって, \[ a = f'(\alpha), \quad b = f(\alpha )-\alpha f'(\alpha ).\] ゆえに, $f(x) = 0$ が $\alpha$ を重解に持つ $\iff$ $f(x)$ が $(x-\alpha )^2$ で割り切れる $\iff$ $a = b = 0$ $\iff$ $f(\alpha ) = f'(\alpha ) = 0.$
(2)
$f(x) = x^3-3x^2-9x+c$ とおくと, (1) より $f(\alpha ) = f'(\alpha ) = 0$ が成り立つ. \[ f'(x) = 3x^2-6x-9.\] より, \[ f'(\alpha ) = 3\alpha ^2 -6\alpha -9 = 0\] すなわち $3(\alpha +1)(\alpha -3) = 0$ となるから, \[ \alpha = -1,\ 3.\] $\alpha = -1$ のとき, $f(-1) = c+5 = 0$ より, $c = -5.$
$\alpha = 3$ のとき, $f(3) = c-27 = 0$ より, $c = 27.$

問題≪チェビシェフの多項式の関係≫

(1)
$n$ を正の整数とする. 任意の実数 $\theta$ に対して $$\left\{\begin{array}{l} \cos n\theta = f_n(\cos\theta ) \quad \cdots [1], \\ \sin n\theta = g_n(\cos\theta )\sin\theta \quad \cdots [2] \end{array}\right.$$ を満たす $n$ 次多項式 $f_n(x),$ $n-1$ 次多項式 $g_n(x)$ が整数係数で存在することを示せ.
(2)
$f_n{}'(x) = ng_n(x)$ を示せ.
(3)
$p$ を $3$ 以上の素数とするとき, $f_p(x)$ の $p-1$ 次以下の係数はすべて $p$ で割り切れることを示せ.

解答例

(1)
``任意の実数 $\theta$ に対して $[1],$ $[2]$ を満たす $n$ 次多項式 $f_n(x),$ $n-1$ 次多項式 $g_n(x)$ が整数係数で存在する''$\cdots [P_n]$ を示す代わりに, より強い命題 ``$[P_n]$ かつ $f_n(x),$ $g_n(x)$ の最高次の項の係数は正である''$\cdots [Q_n]$ を帰納法で示す.
(i)
$n = 1$ のとき. $f_1(x) = x,$ $g_1(x) = 1$ は $[Q_1]$ を満たす.
(ii)
任意に与えられたある正の整数 $n$ に対して $[Q_n]$ が成り立つとする. このとき, \begin{align*} &\cos (n+1)\theta = \cos (n\theta +\theta ) \\ &= \cos n\theta\cos\theta -\sin n\theta\sin\theta \\ &= f_n(\cos\theta )\cos\theta -g_n(\cos\theta )\sin ^2\theta \\ &= f_n(\cos\theta )\cos\theta +g_n(\cos\theta )(\cos ^2\theta -1), \\ &\sin (n+1)\theta = \sin (n\theta +\theta ) \\ &= \sin n\theta\cos\theta +\cos n\theta\sin\theta \\ &= g_n(\cos\theta )\sin\theta\cos\theta +f_n(\cos\theta )\sin\theta \\ &= (g_n(\cos\theta )\cos\theta +f_n(\cos\theta ))\sin\theta \end{align*} だから, $f_{n+1}(x) = f_n(x)x+g_n(x)(x^2-1),$ $g_{n+1}(x) = g_n(x)x+f_n(x)$ は $[1],$ $[2]$ において $n$ を $n+1$ に置き換えた式を満たす. また, $f_n(x),$ $g_n(x)$ は整数係数だから $f_{n+1}(x),$ $g_{n+1}(x)$ も整数係数である. さらに, 帰納法の仮定より $f_n(x)$ の $x^n$ の係数, $g_n(x)$ の $x^{n-1}$ の係数は正だから, $f_{n+1}(x)$ の $x^{n+1}$ の係数, $g_{n+1}(x)$ の $x^n$ の係数は正であり, $f_{n+1}(x)$ は $n+1$ 次, $g_{n+1}$ は $n$ 次である. よって, $[Q_{n+1}]$ が成り立つ.
(i), (ii) より, 任意の正の整数 $n$ に対して $[Q_n]$ したがって $[P_n]$ が成り立つ.
(2)
$[1]$ の両辺を $\theta$ で微分すると, $$-n\sin n\theta = -f_n{}'(\cos\theta )\sin\theta.$$ $[2]$ を代入すると, $$f_n{}'(\cos\theta )\sin\theta = ng_n(\cos\theta )\sin\theta.$$ よって, $\sin\theta \neq 0$ なる任意の実数 $\theta$ に対して, したがって異なる $n$ 個の値 $\cos\theta$ に対して $$f_n{}'(\cos\theta ) = ng_n(\cos\theta )$$ が成り立ち, $f_n{}'(x),$ $ng_n(x)$ は $n-1$ 次多項式だから, $$f_n{}'(x) = ng_n(x).$$
(3)
$f_p(x) = \sum _{k = 0}^pa_kx^k$ とおく. (2) より \[ f_p'(x) = \sum _{k = 1}^pka_kx^{k-1} = pg_p(x)\] であるから, $1 \leqq k \leqq p-1$ のとき $ka_k$ は $p$ の倍数である. $p$ が素数であることに注意すると, このとき $k$ は $p$ で割り切れないから, $a_k$ は $p$ の倍数である. $[1]$ に $n = p,$ $\theta = \dfrac{\pi}{2}$ を代入すると, $p$ が奇数であることから \[ a_0 = f_p(0) = \cos\frac{p\pi}{2} = 0.\] 以上より, 題意が成り立つ.

解説

 和積の公式 \[\cos x = 2\cos\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}-\cos y\] に $x = (n+2)\theta,$ $y = n\theta$ を代入すると, \[\cos (n+2)\theta = 2\cos (n+1)\theta\cos\theta -\cos n\theta\] となるから, $\cos n\theta,$ $\cos (n+1)\theta$ が $\cos\theta$ の多項式で表されるとすると, $\cos (n+2)\theta$ も $\cos\theta$ の多項式で表せる. $\cos\theta,$ $\cos 2\theta$ は $\cos\theta$ の多項式で表されるから, 任意の正整数 $n$ に対して $\cos n\theta$ は $\cos\theta$ の多項式で表され, \[ f_{n+2}(x) = 2xf_{n+1}(x)-f_n(x)\] が成り立つ. この漸化式から $f_n(x)$ を順次求めることができる. $f_n(x)$ はチェビシェフの多項式と呼ばれる.

問題≪双曲線正接関数の関数等式≫

 実数全体で定義されている実数値関数 $f(x)$ が任意の実数 $x,$ $y$ に対して \[ f(x+y) = \frac{f(x)+f(y)}{1+f(x)f(y)} \quad \cdots [\ast ]\] を満たし, $x = 0$ で微分可能で $f'(0) = 1$ であるとする. また, $g(x) = \dfrac{1+f(x)}{1-f(x)},$ $h(x) = e^{-2x}g(x)$ とおく.
(1)
$f(0)$ の値を求めよ.
(2)
$f(x)$ は微分可能であることを示し, $f'(x)$ を $f(x)$ を用いて示せ.
(3)
$-1 < f(x) < 1$ であることを示せ.
(4)
$g'(x)$ を $g(x)$ を用いて表せ.
(5)
$h'(x)$ を求め, $g(x),$ $f(x)$ を求めよ.

解答例

(1)
$[\ast ]$ に $x = y = 0$ を代入すると, \[ f(0) = \frac{2f(0)}{1+f(0)^2}.\] 分母を払って整理すると, \[ f(0)(f(0)+1)(f(0)-1) = 0.\] 仮に $f(0) = \pm 1$ とすると, $[\ast ]$ で $y = 0$ としたときに \[ f(x) = \frac{f(x)\pm 1}{1-\pm f(0)} = \pm 1\] となり, $f'(0) = 0 \neq 1$ となってしまう. よって, $f(0) = 0.$
(2)
$h \neq 0$ のとき, \begin{align*} \frac{f(x+h)-f(x)}{h} &= \frac{1}{h}\left(\frac{f(x)+f(h)}{1+f(x)f(h)}-f(x)\right) \\ &= \frac{1}{h}\cdot\frac{f(h)(1-f(x)^2)}{1+f(x)f(h)} \\ &= \frac{f(h)-f(0)}{h}\cdot\frac{1-f(x)^2}{1+f(x)f(h)}. \end{align*} $f(x)$ は $x = 0$ で微分可能であり, よって $x = 0$ で連続でもあることに注意すると, $h \to 0$ のとき, この値は \begin{align*} f'(0)\cdot\frac{1-f(x)^2}{1+f(x)f(0)} = 1-f(x)^2 \end{align*} に収束する. ゆえに, $f(x)$ は微分可能であり, \[ f'(x) = 1-f(x)^2.\]
(3)
$[\ast ]$ の $x$ と $y$ を $\dfrac{x}{2}$ に置き換えた式から \[ 1\pm f(x) = 1\pm\frac{2f\left(\dfrac{x}{2}\right)}{1+f\left(\dfrac{x}{2}\right) ^2} = \frac{\left( f\left(\dfrac{x}{2}\right)\pm 1\right) ^2}{1+f\left(\dfrac{x}{2}\right) ^2} \geqq 0\] となるので, \[ -1 \leqq f(x) \leqq 1.\] $f(x) = \pm 1$ を満たす $x$ の存在を仮定すると, \[ f(0) = f(x-x) = \frac{\pm 1+f(-x)}{1\pm f(-x)} = \pm 1 \neq 0\] という矛盾が生じる. よって, $-1 < f(x) < 1.$
(4)
$y = f(x)$ とおくと, \begin{align*} g'(x) &= \frac{d}{dy}\left(\frac{1+y}{1-y}\right)\cdot\frac{dy}{dx} \\ &= \frac{(1-y)-(1+y)(-1)}{(1-y)^2}(1-y^2) \\ &= \frac{2}{(1-y)^2}(1+y)(1-y) \\ &= \frac{2(1+y)}{(1-y)} = 2g(x). \end{align*}
(5)
(4) の結果から \begin{align*} h'(x) &= -2e^{-2x}g(x)+e^{-2x}g'(x) \\ &= e^{-2x}(g'(x)-2g(x)) = 0 \end{align*} となるので, $h(x)$ は定数 $C$ である. よって, $g(x) = Ce^{2x}$ となるので, $x = 0$ を代入すると (1) の結果から \[ C = g(0) = \frac{1+f(0)}{1-f(0)} = 1\] となり, \[ g(x) = e^{2x}, \quad f(x) = \frac{e^{2x}-1}{e^{2x}+1}\] となる.

解説

\[ f(x) = \frac{e^x-e^{-x}}{e^x+e^{-x}} = \frac{e^x-e^{-x}}{2}\div\frac{e^x+e^{-x}}{2}\] は双曲線正接関数(hyperbolic tangent function)と呼ばれ, $\tanh x$ で表される. (2) で示した微分可能性のように, $f(x)$ の解析的な性質はすべて $[\ast ]$ と $f'(0) = 1$ から導かれる. $[\ast ]$ のような等式を関数等式(functional equation)と呼ぶ. (2) では $[\ast ]$ と $f'(0) = 1$ から $f'(x) = 1-f(x)^2$ という等式を導いたが, このような等式は微分方程式(differential equation)と呼ばれ, 微分方程式からもとの関数を求めることを微分方程式を解くという. (4)~(5) は (2) の微分方程式を高校の範囲で解けるように工夫した問題である.
 1994 年の明治大学, 2015 年の東北大学などで類似の問題が出されている. 関数等式の問題は, 関数等式をいかに活用するかという点で経験による差が出やすいので, この問題で感覚をつかんでおいてもらいたい.
 なお, 2007 年に京都大学でも「$[\ast ]$ と $f'(0) = 1$ を満たす関数が $-1 < f(x) < 1$ を満たし, $x > 0$ において上に凸であることを示せ」というような問題が出されている. これは, $f(x)$ を求めなくても (3) までの結果から次のように示すことができる: (2) の結果から, $f''(x) = -2f(x)f'(x).$ (2) と (3) の結果から, $f'(x) = 1-f(x)^2 < 0.$ また, (1) から $f(0) = 0$ であるので, $x < 0$ において $f'(x) < 0$ が成り立つ. 以上のことをあわせると $x > 0$ において $f''(x) < 0$ となるので, $f(x)$ は $x > 0$ において上に凸である.

高階導関数

問題≪高階導関数に関するライプニッツの公式≫

(1)
微分可能な実関数 $f(x),$ $g(x)$ について, $(fg)(x) = f(x)g(x)$ と定める. 任意の正整数 $n$ に対して, 次の公式が成り立つことを示せ. \[ (fg)^{(n)} = \sum\limits_{k = 0}^n{}_n\mathrm C_kf^{(n-k)}g^{(k)} \quad \cdots [\ast ].\] ただし, $f^{(0)}(x) = f(x),$ $g^{(0)}(x) = g(x)$ と定める. 積の微分の公式は証明なしで用いて良い.
(2)
次の公式を示せ. \[ (\log x)^{(n)} = (-1)^{n-1}(n-1)!x^{-n} \quad \cdots [\ast\ast ].\]
(3)
$n \geqq 3$ のとき, $(1+x^2)\log x$ の $n$ 階導関数を求めよ.

解答例

(1)
(i)
$n = 1$ のとき, 積の微分の公式 \[ (fg)' = f'g+fg' \quad \cdots [1]\] より成り立つ.
(ii)
与えられた正整数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つとすると, $[\ast ]$ の両辺を $x$ で微分することにより \begin{align*} &(fg)^{(n+1)} = \sum\limits_{k = 0}^n{}_n\mathrm C_k(f^{(n-k)}g^{(k)})' \\ &= \sum\limits_{k = 0}^n{}_n\mathrm C_k(f^{(n+1-k)}g^{(k)}\!+\!f^{(n-k)}g^{(k+1)}) \quad (\because [1]) \\ &=\!\! f^{(n\!+\!1)}g\!\!+\!\!\sum\limits_{k = 0}^{n-1}({}_n\mathrm C_k\!\!+\!\!{}_n\mathrm C_{k\!+\!1})f^{(n\!-\!k)}g^{(k\!+\!1)}\!\!+\!\!fg^{(n\!+\!1)} \\ &= f^{(n+1)}g+\sum\limits_{k = 0}^{n-1}{}_{n+1}\mathrm C_{k+1}f^{(n-k)}g^{(k+1)}+fg^{(n+1)} \\ &= f^{(n+1)}g+\sum\limits_{k = 1}^n{}_{n+1}\mathrm C_kf^{(n+1-k)}g^{(k)}+fg^{(n+1)} \\ &= \sum\limits_{k = 0}^{n+1}{}_{n+1}\mathrm C_kf^{(n+1-k)}g^{(k)} \end{align*} となり, $n+1$ に対しても $[\ast ]$ ($n$ を $n+1$ に置き換えた式)が成り立つ. 第 $4$ の等号では, 二項係数の漸化式 ${}_n\mathrm C_k+{}_n\mathrm C_{k+1} = {}_{n+1}\mathrm C_{k+1}$ を用いた.
(i), (ii) より, 任意の正整数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つ.
(2)
(i)
$n = 1$ のとき, $(\log x)' = x^{-1}$ より従う.
(ii)
与えられた正整数 $n$ に対して $[\ast\ast ]$ が成り立つとすると, 両辺を微分することにより \begin{align*} &(\log x)^{(n+1)} = (-1)^{n-1}(n-1)!(x^{-n})' \\ &\! (-1)^{n-1}(n-1)!(-n)x^{-n-1} \!=\! (-1)^nn!x^{-(n+1)} \end{align*} となり, $n+1$ に対しても $[\ast\ast ]$ が成り立つ.
(i), (ii) より, 任意の正整数 $n$ に対して $[\ast\ast ]$ が成り立つ.
(3)
$f(x) = \log x,$ $g(x) = 1+x^2$ とおく. このとき, \[ g'(x) = 2x, \quad g''(x) = 2, \quad g^{(n)}(x) = 0\ (n \geqq 3).\] よって, $[\ast ],$ $[\ast\ast ]$ より, $n \geqq 3$ のとき, \begin{align*} &\big( (1+x^2)\log x\big) ^{(n)} \\ &= f^{(n)}g(x)+{}_n\mathrm C_1f^{(n-1)}g'(x)+{}_n\mathrm C_2f^{(n-2)}g''(x) \\ &= (-1)^{n-1}(n-1)!x^{-n}(1+x^2) \\ &\qquad +n(-1)^n(n-2)!x^{-n+1}\cdot 2x \\ &\qquad +\frac{n(n-1)}{2}(-1)^{n-1}(n-3)!x^{-n+2}\cdot 2 \\ &= (-1)^{n-1}(n-3)!x^{-n} \\ &\qquad \times\!\big( (n\!\!-\!\!1)(n\!\!-\!\!2)(1\!\!+\!\!x^2)\!\!-\!\!2n(n\!\!-\!\!2)x^2\!\!+\!\!n(n\!\!-\!\!1)x^2\big) \\ &= (-1)^{n-1}(n-3)!\frac{2x^2+(n-1)(n-2)}{x^n}. \end{align*}

問題≪指数関数, 三角関数と多項式関数の違い≫

 関数 $e^x,$ $\sin x$ は多項式関数でないことを示せ.

解答例

 $e^x,$ $\sin x$ は定数関数ではない. $f(x)$ を最高次の項が $cx^n$ である多項式関数とする. このとき, \[\frac{d^n}{dx^n}f(x) = cn!\] が成り立つ. また, \[\frac{d^n}{dx^n}e^x = e^x, \quad \frac{d^n}{dx^n}\sin x = \sin\left(\theta +\frac{n\pi}{2}\right)\] が帰納法で示される. $e^x,$ $\sin\left(\theta +\dfrac{n\pi}{2}\right)$ は定数関数 $cn!$ ではないから, $e^x,$ $\sin x$ が多項式関数 $f(x)$ と一致することはない.

別解: $\sin x$ について

 $\sin x = 0$ は無限個の実数解を持つ. 一方, 任意の非負整数 $n$ および $n$ 次多項式 $f(x)$ に対して, $f(x) = 0$ の実数解は高々 $n$ 個である. 実際, $f(x) = 0$ が実数解 $\alpha$ を持つとき $f(x)$ は $x-\alpha$ で割り切れるから(因数定理), $f(x) = 0$ は $n$ 個を超える異なる実数解を持てない. また, $\sin x$ は定数関数 $0$ でもない. よって, $\sin x$ は多項式関数ではない.

解説

 まず, 次のような理由づけを思いついた人も多いだろう.
  • $e^x$ の方が多項式関数 $f(x)$ よりも圧倒的に早く発散する.
  • $e^x > 0$ であり, $e^x$ は極値を持たない.
  • $|\sin x| \leqq 1$ であり, 多項式関数は絶対値がいくらでも大きい値をとる.
これらのことは正しいが, 解答に使うのが難しいので, 高階導関数を比較する.

問題≪高階導関数に関する漸化式≫

 各正の整数 $n$ に対して, 関数 $f_n(x)$ を $$f_n(x) = \dfrac{d^n}{dx^n}(x^n\log x)\ (x > 0)$$ で定める. $f_n(x)$ は $$f_n(x) = a_n\log x+b_n \cdots (\ast )$$ の形に表されることを示し, 定数 $a_n,$ $b_n$ を $n$ で表せ.

解答例

(i)
$n = 1$ のとき. \begin{align*} &f_1(x) = \frac{d}{dx}(x\log x) \\ &= 1\cdot\log x+x\cdot\frac{1}{x} = \log x+1. \end{align*} よって, $a_1 = b_1 = 1$ とすると, $n = 1$ のとき $(\ast )$ が成り立つ.
(ii)
任意に与えられたある正の整数 $n$ に対して $(\ast )$ が成り立つとする. このとき, \begin{align*} f_{n+1}(x) &= \frac{d^{n+1}}{dx^{n+1}}(x^{n+1}\log x) \\ &= \frac{d^n}{dx^n}\left(\frac{d}{dx}(x^{n+1}\log x)\right) \\ &= \frac{d^n}{dx^n}\left((n+1)x^n\log x+x^{n+1}\cdot\frac{1}{x}\right) \\ &= (n+1)\frac{d^n}{dx^n}(x^n\log x)+\frac{d^n}{dx^n}x^n \\ &= (n+1)(a_n\log x+b_n)+n! \\ &= (n+1)a_n\log x+(n+1)b_n+n!. \end{align*} よって, \begin{align*} a_{n+1} &= (n+1)a_n \cdots [1], \\ b_{n+1} &= (n+1)b_n+n! \cdots [2] \end{align*} とすると, $n$ を $n+1$ に置き換えても $(\ast )$ が成り立つ.
(i), (ii) より, 任意の正の整数 $n$ に対して $(\ast )$ が成り立つ.
$[1]$ より, \begin{align*} &a_n = na_{n-1} = n(n-1)a_{n-2} \\ &= \cdots = n(n-1)(n-2)\cdots 2a_1 = n!. \end{align*} $[2]$ の両辺を $(n+1)!$ で割ると, $$\frac{b_{n+1}}{(n+1)!} = \frac{a_n}{n!}+\frac{1}{n+1}.$$ $n \geqq 2$ のとき, \begin{align*} &\frac{b_n}{n!} = \frac{b_1}{1!}+\sum\limits_{i = 1}^{n-1}\frac{1}{i+1} \\ &= \frac{1}{1}+\sum\limits_{i = 2}^{n}\frac{1}{i} = \sum\limits_{i = 1}^n\frac{1}{i} \end{align*} だから, $$b_n = n!\sum\limits_{i = 1}^n\frac{1}{i}.$$ これは $n = 1$ のときも成り立つ.
ゆえに, 任意の正の整数 $n$ に対して, $a_n = n!,$ $b_n = n!\sum\limits_{i = 1}^n\dfrac{1}{i}.$

問題≪高階導関数の方程式≫

 関数 $f(x) = \log (x+\sqrt{x^2+1})$ について,
(1)
次の方程式が成り立つことを示せ. \[ (x^2\!+\!1)f^{(n\!+\!2)}(x)\!+\!(2n\!+\!1)xf^{(n\!+\!1)}(x)\!+\!n^2f^{(n)}(x) \!=\! 0.\]
(2)
$f^{(2m)}(0)$ の値を求めよ.

(1)
数学的帰納法により示される.
(2)
(1) の式 に $x = 0$ を代入すると, \[ f^{(n+2)}(0) = -n^2f^{(n)}(0)\] となるから, \[ f^{(2m)}(0) = -(2m)^2\cdots (-0^2)f^{(0)}(0) = 0.\]

関数の増減・極値

問題≪($1$ 次関数)$\div$(定符号 $2$ 次関数)のグラフ≫

 関数 $f(x) = \dfrac{x}{x^2+1}$ のグラフの概形を描け.

解答例

 $f(x) = \dfrac{x}{x^2+1}$ より, $$f(-x) = -f(x)$$ だから, $f(x)$ のグラフ $y = f(x)$ は原点に関して対称である. \begin{align*} f'(x) &= \frac{(x^2+1)-x\cdot 2x}{(x^2+1)^2} \\ &= -\frac{x^2-1}{(x^2+1)^2} = -\frac{(x+1)(x-1)}{(x^2+1)^2}, \\ f''(x) &= -\frac{2x(x^2+1)^2-(x^2-1)\cdot 2(x^2+1)2x}{(x^2+1)^4} \\ &= \frac{4x(x^2-1)-2x(x^2+1)}{(x^2+1)^3} \\ &= \frac{2x(x+\sqrt 3)(x-\sqrt 3)}{(x^2+1)^3}. \end{align*} より, $x \geqq 0$ において \begin{align*} f'(x) \geqq 0 &\iff 0 \leqq x \leqq 1, \\ f''(x) \geqq 0 &\iff x = 0,\ x \geqq \sqrt 3 \end{align*} だから, $x \geqq 0$ における $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$0$$\cdots$$1$$\cdots$$\sqrt 3$$\cdots$
$f'(x)$$+$$+$$0$$-$$-$$-$
$f''(x)$$0$$-$$-$$-$$0$$+$
$f(x)$変曲点
$0$
極大
$\dfrac{1}{2}$
変曲点
$\dfrac{\sqrt 3}{4}$
また, $$\lim\limits_{x \to \infty}\frac{x}{x^2+1} = \lim\limits_{x \to \infty}\frac{\dfrac{1}{x}}{1+\dfrac{1}{x^2}} = 0$$ より, $x$ 軸は $y = f(x)$ の漸近線である.
ゆえに, $y = f(x)$ のグラフは次のようになる.

問題≪($3$ 次関数)$\div$(不定符号 $2$ 次関数)のグラフ≫

 関数 $f(x) = \dfrac{x^3}{x^2-1}\ (x \neq \pm 1)$ のグラフの概形を描け.

解答例

 $f(x) = \dfrac{x^3}{x^2-1}$ より, $$f(-x) = -f(x)$$ だから, $f(x)$ のグラフ $y = f(x)$ は原点に関して対称である. \begin{align*} f'(x) &= \frac{3x^2(x^2-1)-x^3\cdot 2x}{(x^2-1)^2} \\ &= \frac{x^4-3x^2}{(x^2-1)^2} = \frac{x^2(x+\sqrt 3)(x-\sqrt 3)}{(x^2-1)^2}, \\ f''(x) &= \frac{(4x^3\! -\! 6x)(x^2\! -\! 1)^2\! -\! (x^4\! -\! 3x^2)\cdot 2(x^2\! -\! 1)2x}{(x^2-1)^4} \\ &= \frac{(4x^3-6x)(x^2-1)-4x(x^4-3x^2)}{(x^2-1)^3} \\ &= \frac{2x(x^2+3)}{(x+1)^3(x-1)^3}. \end{align*} より, $x \geqq 0$ において \begin{align*} f'(x) \geqq 0 &\iff x = 0,\ x \geqq \sqrt 3, \\ f''(x) \geqq 0 &\iff x \geqq 1 \end{align*} だから, $x \geqq 0$ における $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$0$$\cdots$$1$$\cdots$$\sqrt 3$$\cdots$
$f'(x)$$0$$-$$-$$0$$+$
$f''(x)$$0$$-$$+$$+$$+$
$f(x)$変曲点
$0$
極小
$\dfrac{3\sqrt 3}{2}$
また, $$\lim\limits_{x \to 1-0}f(x) = -\infty, \quad \lim\limits_{x \to 1+0}f(x) = \infty$$ より, $x = \pm 1$ は $y = f(x)$ の漸近線である. さらに, $f(x) = \dfrac{x(x^2-1)+x}{x^2-1} = x+\dfrac{x}{x^2-1}$ より $$\lim\limits_{x \to \infty}(f(x)-x) = \lim\limits_{x \to \infty}\frac{x}{x^2-1} = \lim\limits_{x \to \infty}\frac{\dfrac{1}{x}}{1-\dfrac{1}{x^2}} = 0$$ だから, $y = x$ も $y = f(x)$ の漸近線である.
ゆえに, $y = f(x)$ のグラフは次のようになる.

問題≪(単調 $3$ 次関数)$\div$($1$ 次関数)のグラフ≫

 関数 $f(x) = \dfrac{x^3+1}{x}\ (x \neq 0)$ のグラフの概形を, 極限値 $\lim\limits_{x \to \pm\infty}(f(x)-x^2)$ を参考にして描け.

解答例

 $f(x) = \dfrac{x^3+1}{x}$ より, \begin{align*} f'(x) &= \frac{3x^2\cdot x-(x^3+1)}{x^2} \\ &= \frac{2x^3-1}{x^2}, \\ f''(x) &= \frac{6x^2\cdot x^2-(2x^3-1)2x}{x^4} \\ &= \frac{2x^3+2}{x^3} \\ &= \frac{2(x+1)(x^2-x+1)}{x^3} \end{align*} より, \begin{align*} f'(x) \geqq 0 &\iff x \geqq \frac{1}{\sqrt[3]{2}}, \\ f''(x) \geqq 0 &\iff x \leqq -1 \end{align*} だから, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$\cdots$$-1$$\cdots$$0$$\cdots$$\dfrac{1}{\sqrt[3]{2}}$$\cdots$
$f'(x)$$-$$-$$-$$-$$0$$+$
$f''(x)$$+$$0$$-$$+$$+$$+$
$f(x)$変曲点
$0$
極小
$\dfrac{3\sqrt[3]{2}}{2}$
また, $$\lim\limits_{x \to -0}f(x) = -\infty, \quad \lim\limits_{x \to +0}f(x) = \infty$$ より, $y$ 軸は $y = f(x)$ の漸近線である. さらに, $f(x) = x^2+\dfrac{1}{x}$ より, $$\lim\limits_{x \to \pm\infty}(f(x)-x^2) = \lim\limits_{x \to \pm\infty}\frac{1}{x} = 0.$$ ゆえに, $y = f(x)$ のグラフは次のようになる.

問題≪陽関数表示された斜め楕円≫

 関数 $f(x) = x+\sqrt{1-x^2}\ (-1 \leqq x \leqq 1)$ のグラフの概形を, 極限 $\lim\limits_{x \to \pm 1\mp 0}f'(x)$ を参考にして描け.

解答例

 $f(x) = x+\sqrt{1-x^2}$ より, \begin{align*} f'(x) &= 1+\frac{-2x}{2\sqrt{1-x^2}} \\ &= 1-\frac{x}{\sqrt{1-x^2}}= \frac{\sqrt{1-x^2}-x}{\sqrt{1-x^2}}, \\ f''(x) &= -\frac{1\cdot\sqrt{1-x^2}-x\cdot\dfrac{-2x}{2\sqrt{1-x^2}}}{1-x^2} \\ &= \frac{-1}{(1-x^2)\sqrt{1-x^2}} \end{align*} だから, $-1 < x < 1$ において, \begin{align*} &f'(x) \geqq 0 \iff x \leqq \sqrt{1-x^2} \\ &\iff x^2 \leqq 1-x^2 \iff -1 < x \leqq \frac{1}{\sqrt 2} \end{align*} であり, $$f''(x) \leqq 0.$$ よって, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$-1$$\cdots$$\dfrac{1}{\sqrt 2}$$\cdots$$1$
$f'(x)$$+$$0$$-$
$f''(x)$$-$$-$$-$
$f(x)$$-1$極大
$\sqrt 2$
$1$
また, \begin{align*} \lim\limits_{x \to 1-0}f'(x) &= \lim\limits_{x \to 1-0}\left( 1-\frac{1}{\sqrt{x^{-2}-1}}\right) = -\infty, \\ \lim\limits_{x \to -1+0}f'(x) &= \infty. \end{align*} ゆえに, $y = f(x)$ のグラフは次のようになる.

問題≪陽関数表示された斜め双曲線≫

 関数 $f(x) = x+\sqrt{x^2-1}\ (x \leqq -1,\ 1 \leqq x)$ のグラフの概形を, 極限値 $a = \lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{f(x)}{x},$ $\lim\limits_{x \to \infty}(f(x)-ax),$ $\lim\limits_{x \to -\infty}f(x)$ を参考にして描け.

解答例

 $f(x) = x+\sqrt{x^2-1}$ より, \begin{align*} f'(x) &= 1+\frac{2x}{2\sqrt{x^2-1}} \\ &= 1+\frac{x}{\sqrt{x^2-1}}= \frac{\sqrt{x^2-1}+x}{\sqrt{x^2-1}}, \\ f''(x) &= \frac{1\cdot\sqrt{x^2-1}-x\cdot\dfrac{2x}{2\sqrt{x^2-1}}}{x^2-1} \\ &= \frac{-1}{(x^2-1)\sqrt{x^2-1}} \end{align*} だから, $x < -1$ において $f'(x) < 0,$ $x > 1$ において $f'(x) > 0$ であり, $$f''(x) \leqq 0.$$ よって, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$\cdots$$-1$$\cdots$$1$$\cdots$
$f'(x)$$-$$+$
$f''(x)$$-$$-$
$f(x)$$-1$$1$
また, \begin{align*} a &= \lim\limits_{x \to \infty}\frac{f(x)}{x} = \lim\limits_{x \to \infty}\left( 1+\frac{\sqrt{x^2-1}}{x}\right) \\ &= \lim\limits_{x \to \infty}\left( 1+\sqrt{1-\frac{1}{x^2}}\right) = 2 \end{align*} であり, \begin{align*} &\lim\limits_{x \to \infty}(f(x)-ax) = \lim\limits_{x \to \infty}\left( -x+\sqrt{x^2-1}\right) \\ &= \lim\limits_{x \to \infty}\frac{-1}{x+\sqrt{x^2-1}} = \lim\limits_{x \to \infty}\frac{-\dfrac{1}{x}}{1+\sqrt{1-\dfrac{1}{x^2}}} = 0, \\ &\lim\limits_{x \to -\infty}f(x) = \lim\limits_{x \to -\infty}\left( x+\sqrt{x^2-1}\right) \\ &= \lim\limits_{x \to -\infty}\frac{1}{x-\sqrt{x^2-1}} = \lim\limits_{x \to -\infty}\frac{\dfrac{1}{x}}{1-\sqrt{1-\dfrac{1}{x^2}}} = 0. \\ \end{align*} ゆえに, $y = f(x)$ のグラフは次のようになる.
 

問題≪双曲線関数のグラフ≫

 関数 $f(x) = \dfrac{e^x+e^{-x}}{2},$ $g(x) = \dfrac{e^x-e^{-x}}{2}$ のグラフの概形を, 極限値 $\lim\limits_{x \to \pm\infty}\left( f(x)-\dfrac{e^{\pm x}}{2}\right),$ $\lim\limits_{x \to \pm\infty}\left( g(x)\mp\dfrac{e^{\pm x}}{2}\right)$ を参考にして描け.

解答例

 $f(x) = \dfrac{e^x+e^{-x}}{2},$ $g(x) = \dfrac{e^x-e^{-x}}{2}$ より $$f(-x) = f(x), \quad g(-x) = -g(x)$$ だから, $f(x),$ $g(x)$ のグラフ $y = f(x)$ は $y$ 軸に関して対称, $y = g(x)$ は原点に関して対称である. \begin{align*} f'(x) &= \frac{e^x-e^{-x}}{2}, & g'(x) &= \frac{e^x+e^{-x}}{2}, \\ f''(x) &= \frac{e^x+e^{-x}}{2}, & g''(x) &= \frac{e^x-e^{-x}}{2} \end{align*} より, $$f'(x) = g''(x) \geqq 0 \iff x \geqq 0,$$ であり, $$f''(x) = g'(x) \geqq 0$$ だから, $f(x),$ $g(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$\cdots$$0$$\cdots$$x$$\cdots$$0$$\cdots$
$f'(x)$$-$$0$$+$$g'(x)$$+$$+$$+$
$f''(x)$$+$$+$$+$$g''(x)$$-$$0$$+$
$f(x)$変曲点
$0$
$g(x)$変曲点
$0$
また, \begin{align*} \lim\limits_{x \to \infty}\left( f(x)-\frac{e^x}{2}\right) &= \lim\limits_{x \to \infty}\frac{e^{-x}}{2} = 0, \\ \lim\limits_{x \to -\infty}\left( f(x)-\frac{e^{-x}}{2}\right) &= \lim\limits_{x \to -\infty}\frac{e^x}{2} = 0, \\ \lim\limits_{x \to \infty}\left( g(x)-\frac{e^x}{2}\right) &= \lim\limits_{x \to \infty}\left( -\frac{e^{-x}}{2}\right) = 0, \\ \lim\limits_{x \to -\infty}\left( g(x)+\frac{e^{-x}}{2}\right) &= \lim\limits_{x \to -\infty}\frac{e^x}{2} = 0. \end{align*} ゆえに, $y = f(x)$ のグラフは次のようになる.

問題≪減衰曲線≫

 関数 $f(x) = e^{-x}\sin x$ の極値を与える $x$ の値, グラフ $y = f(x)$ の変曲点の $x$ 座標, 極限値 $\lim\limits_{x \to \infty}f(x)$ を求めよ.

解答例

 $f(x) = e^{-x}\sin x$ より, \begin{align*} f'(x) &= (-e^{-x})\sin x+e^{-x}\cos x \\ &= e^{-x}(\cos x-\sin x) \\ &= \sqrt 2e^{-x}\sin\left( x+\frac{3\pi}{4}\right), \\ f''(x) &= (-e^{-x})(\cos x-\sin x)+e^{-x}(-\sin x-\cos x) \\ &= -2e^{-x}\cos x. \end{align*} よって,
$f'(x) \geqq 0$ $\iff$ $\sin\left( x+\dfrac{3\pi}{4}\right) \geqq 0$
$\iff$ $n\pi \leqq x+\dfrac{3\pi}{4} \leqq (n+1)\pi$ ($n$: ある整数)
$\iff$ $n\pi -\dfrac{3\pi}{4} \leqq x \leqq n\pi +\dfrac{\pi}{4}$ ($n$: ある整数)
より, $f(x)$ の極値を与える $x$ の値は $x = n\pi +\dfrac{\pi}{4}$ ($n$: 任意の整数). また,
$f''(x) \geqq 0$ $\iff$ $\cos x \leqq 0$
$\iff$ $n\pi+\dfrac{\pi}{2} \leqq x \leqq n\pi +\dfrac{3\pi}{2}$ ($n$: ある整数).
より, $y = f(x)$ の変曲点の $x$ 座標は $x = n\pi+\dfrac{\pi}{2}$ ($n$: 任意の整数).
さらに, $-1 \leqq \sin x \leqq 1$ より $-e^{-x} \leqq f(x) \leqq e^{-x}$ であり, $\lim\limits_{x \to \infty}(-e^{-x}) = \lim\limits_{x \to \infty}e^{-x} = 0$ だから, $$\lim\limits_{x \to \infty}f(x) = 0.$$

問題≪変曲点の軌跡≫

 $a$ が正の数全体を動くとき, $xy$ 平面上の曲線 $C_a:y = \log (x^2+a)$ の変曲点の軌跡の方程式を求めよ.

解答例

 $f(x) = \log (x^2+a)$ とおく. \begin{align*} f'(x) &= \frac{1}{x^2+a}\cdot 2x = \frac{2x}{x^2+a}, \\ f''(x) &= \frac{2(x^2+a)-(2x)(2x)}{(x^2+a)^2} = -\frac{2(x^2-a)}{(x^2+a)^2}. \end{align*} よって, $a > 0$ に注意すると, $$f''(x) = 0 \iff x^2-a = 0 \iff x = \pm\sqrt a.$$ したがって, 曲線 $C_a:y = f(x)$ の変曲点の座標を $(x,\ y)$ とおくと, \begin{align*} x &= \pm\sqrt a \cdots [1], \\ y &= \log ((\pm\sqrt a)^2+a) = \log (2a) \cdots [2]. \end{align*} $[1]$ より $a = x^2$ だから, これを $[2]$ に代入すると, 変曲点の軌跡の方程式は, $$y = \log (2x^2).$$

問題≪$xe^{-x}$ の増減≫

 関数 $f(x) = xe^{-x}$ の極値, 変曲点を調べよ. $\lim\limits_{x \to \infty}xe^{-x} = 0$ は証明なしに用いてよい.

解答例

\begin{align*} f'(x) &= e-{-x}+x(-e^{-x}) = (1-x)e^x, \\ f''(x) &= -e^{-x}+(1-x)(-e^{-x}) = (x-2)e^{-x}. \end{align*} よって, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$\cdots$$1$$\cdots$$2$$\cdots$$(\infty )$
$f'(x)$$+$$0$$-$$-$$-$
$f''(x)$$-$$-$$-$$0$$+$
$f(x)$$e^{-1}$$2e^{-2}$$(0)$
ゆえに, $f(x)$ は $x = 1$ のとき極大値 $e^{-1}$ をとる. 変曲点は $x = 2.$

問題≪$\log x/x$ の増減≫

(1)
関数 $f(x) = \dfrac{\log x}{x}$ の極値, 変曲点を調べよ. $\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{\log x}{x} = 0$ は証明なしに用いてよい.
(2)
$e^\pi$ と $\pi ^e$ の大小を比較せよ.

解答例

(1)
\begin{align*} f'(x) &= \frac{1-\log x}{x^2}, \\ f''(x) &= \frac{-\dfrac{1}{x}\cdot x^2-(1-log x)2x}{x^4} = \frac{2\log x-3}{x^4}. \end{align*} よって, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$(0)$$\cdots$$e$$\cdots$$e^{\frac{3}{2}}$$\cdots$$(\infty )$
$f'(x)$$+$$0$$-$$-$$-$
$f''(x)$$-$$-$$-$$0$$+$
$f(x)$$(-\infty )$$e^{-1}$$\dfrac{3}{2}e^{-\frac{3}{2}}$$(0)$
ゆえに, $f(x)$ は $x = e$ のとき極大値 $e^{-1}$ をとる. 変曲点は $x = e^{\frac{3}{2}}.$
(2)
$f(x)$ は $x = e$ で最大値をとるから, $f(e) > f(\pi )$ つまり $\log e/e > \log\pi /\pi$ が成り立つ. よって, $\pi\log e > e\log\pi$ から, $\log e^\pi > \log \pi ^e$ つまり $e^\pi > \pi ^e$ が成り立つ.

問題≪$3$ 次関数のグラフの点対称性≫

(1)
関数 $f(x)$ のグラフが点 $(\alpha,\ f(\alpha ))$ に対して対称ならば, $a$ を定数とする関数 $g(x) = af(x)$ のグラフは点 $(\alpha,\ g(\alpha ))$ に関して対称であることを示せ.
(2)
$3$ 次関数 $f(x) = x^3-3px^2+qx+r$ のグラフは唯一の変曲点を持ち, その点に関して対称であることを示せ.
(3)
曲線 $y = ax^3+bx^2+cx+d$ はある点に関して対称である. その点の座標を求めよ.

解答例

(1)
$y = f(x)$ が点 $(\alpha,\ f(\alpha ))$ に対して対称であるとする.
このとき, $y = f(x)$ を $x$ 軸方向に $-\alpha,$ $y$ 軸方向に $-f(\alpha )$ だけ平行移動した曲線 $y = f(x+\alpha )-f(\alpha )$ は原点に関して対称である. よって, $f(-x+\alpha )-f(\alpha ) = -(f(x+\alpha )-f(\alpha ))$ より, \begin{align*} af(-x+\alpha )-af(\alpha ) &= -(af(x+\alpha )-af(\alpha )). \\ \therefore g(-x+\alpha )-g(\alpha ) &= -(g(x+\alpha )-g(\alpha )). \end{align*} これは, 曲線 $y = g(x+\alpha )-g(\alpha )$ が原点に関して対称であることを意味する.
ゆえに, これを $x$ 軸方向に $\alpha,$ $y$ 軸方向に $g(\alpha )$ だけ移動した曲線 $y = g(x)$ は点 $(\alpha,\ g(\alpha ))$ に関して対称である.
(2)
$f(x) = x^3-3px^2+qx+r$ より, \begin{align*} f'(x) &= 3x^2-6px+q, \\ f''(x) &= 6x-6p = 6(x-p). \end{align*} $f''(x) \geqq 0 \iff x \geqq p$ より, $(p,\ f(p))$ すなわち $(p,\ -2p^3+pq+r)$ は $y = f(x)$ の唯一の変曲点である.
曲線 $y = f(x)$ を $x$ 軸方向に $-p,$ $y$ 軸方向に $2p^3-pq-r$ だけ平行移動した曲線の方程式は, \begin{align*} &y-2p^3+pq+r \\ &= (x+p)^3-3p(x+p)^2+q(x+p)+r \end{align*} すなわち \[ y = x^3+(q-3p^2)x.\] $h(x) = x^3+(q-3p^2)x$ とおくと, $h(-x) = -h(x)$ となるから, $y = h(x)$ は原点に関して対称である.
ゆえに, $y = f(x)$ は点 $(p,\ f(p))$ に関して対称である.
(3)
関数 $g(x) = ax^3+bx^2+cx+d$ について, $g(x) = af(x)$ を満たすように $p,$ $q,$ $r$ の値をとると, $b = -3ap.$
(1), (2) より $y = g(x)$ は点 $(p,\ g(p))$ すなわち $\left( -\dfrac{b}{3a},\ g\left( -\dfrac{b}{3a}\right)\right)$ に関して対称である.
ゆえに, 求める点の座標は, $$\left( -\frac{b}{3a},\ \frac{2b^3}{27a^2}-\frac{bc}{3a}+d\right).$$

問題≪カージオイドの概形≫

 曲線 $\left\{\begin{array}{l} x = (1+\cos t)\cos t, \\ y = (1+\cos t)\sin t \end{array}\right.\ (-\pi \leqq t \leqq \pi)$ の概形を描け.

解答例

 $x = f(t),$ $y = g(t)$ とおくと, \[ f(-t) = f(t), \quad f(-t) = -g(t)\] となるから, 曲線は $x$ 軸に関して対称である. さらに, \begin{align*} \frac{dx}{dt} &= -\sin t\cos t-(1+\cos t)\sin t \\ &= -\sin t(1+2cos t) \\ \frac{dy}{dt} &= -\sin ^2t+(1+\cos t)\cos t \\ &= \cos ^2t-1+\cos t+\cos ^2t \\ &= (2\cos t-1)(\cos t+1) \end{align*} より, $0 \leqq t \leqq \pi$ において $x$ 座標, $y$ 座標の増減は次のようになる.
$t$$0$$\cdots$$\dfrac{\pi}{3}$$\cdots$$\dfrac{2\pi}{3}$$\cdots$$\pi$
$\dfrac{dx}{dt}$$0$$-$$-$$-$$0$$+$$0$
$\dfrac{dy}{dt}$$+$$+$$0$$-$$-$$-$$-$
よって, 曲線の概形は次図のようになる.

解説≪カージオイド≫

 問題の曲線は, 半径 $r$ の円が半径の等しい定円に外接しながら滑らずに転がるときに円周上の定点が描く軌跡を表し, カージオイド(cardioid)と呼ばれる.

問題≪凸関数の接線≫

 実数値関数 $f(x)$ が点 $x = a$ を含むある開区間 $I$ で $2$ 回微分可能であるとし, 曲線 $y = f(x)$ の点 $(a,\ f(a))$ における接線を $y = l(x)$ とする. $x \in I$ において $f''(x) \leqq 0 \iff l(x) \geqq f(x)$ が成り立つことを示せ.

解答例

 $d(x) = l(x)-f(x)$ とおく. このとき, \[ l(x) = f'(a)(x-a)+f(a)\] であるから, \[ d'(x) = f'(a)-f(x) = -\{ f(x)-f(a)\}, \quad d(a) = 0\] となる. よって, 開区間 $I$ において,
$f''(x) \leqq 0$ $\iff f'(x)$ は単調減少 $\iff \begin{cases} d'(x) \geqq 0 & (x \leqq a), \\ d'(x) \leqq 0 & (x \geqq a) \end{cases}$
$\iff$ $d(x)$ は $x = a$ で極小かつ最小の値をとる
$\Longrightarrow d(x) \geqq d(a)$ $\iff$ $d(x) \geqq 0$ $\iff l(x) \geqq f(x)$
が成り立つ.