COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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整式の除法

整式の除法

問題≪整数値多項式に関するポリアの定理≫

 各正の整数 $k$ に対して, \[ e_k(x) = \frac{1}{k!}x(x-1)\cdots (x-k+1)\] と定める.
(1)
すべての実数係数 $d$ 次多項式 $f(x)$ は
$f(x) = c_de_d(x)+\cdots +c_1e_1(x)+c_0$ ($c_k$: 実数)
の形に表されることを示せ.
(2)
すべての整数 $n$ に対して $e_k(n)$ は整数であることを示せ.
(3)
すべての整数 $n$ に対して $f(n)$ が整数となるような実数係数 $d$ 次多項式 $f(x)$ を (1) のように表す. このとき, $c_k$ は整数となることを示せ.

解答例

(1)
$f(x)$ を $x$ で割った商を $q_1(x),$ 余りを $c_0$ とおき, $1 \leqq k \leqq d-1$ なる各整数 $k$ に対して $q_k(x)$ を $\dfrac{1}{k+1}(x-k)$ で割った商を $q_{k+1}(x),$ 余りを $c_k$ とおく. このとき, $q_d(x)$ は定数となるから, その値を $c_d$ とおくと, \begin{align*} &f(x) = xq_1(x)+c_0 \\ &= e_1(x)q_1(x)+c_0 \\ &= \cdots \\ &= e_k(x)q_k(x)+c_{k-1}e_{k-1}(x)+\cdots +c_1e_1(x)+c_0 \\ &= e_k(x)\left\{\frac{1}{k+1}(x-k)q_{k+1}(x)+c_k\right\} \\ &\qquad\qquad\qquad +c_{k-1}e_{k-1}(x)+\cdots +c_1e_1(x)+c_0 \\ &= e_{k+1}(x)q_{k+1}(x)+c_ke_k(x)+\cdots +c_1e_1(x)+c_0 \\ &= \cdots \\ &= e_d(x)q_d(x)+\cdots +c_1e_1(x)+c_0 \\ &= c_de_d(x)+\cdots +c_1e_1(x)+c_0 \quad \cdots [1] \end{align*} となる.
(2)
整数 $n$ に対して, 連続する $k$ 個の整数の積 $n(n-1)\cdots (n-k+1)$ は $k!$ の倍数であるから, \[ e_k(n) = \frac{1}{k!}n(n-1)\cdots (n-k+1)\] は整数である.
(3)
$f(0) = c_0,$ $f(1),$ $\cdots,$ $f(d)$ は整数であって, $1 \leqq k \leqq d$ なる整数 $k$ に対して $[1]$ に $x = k$ を代入したときの $c_d,$ $\cdots,$ $c_{k+1}$ の係数は $0$ であり, $c_k$ の係数は \[ e_k(k) = \frac{1}{k!}k(k-1)\cdots 1 = 1\] であるから, 数学的帰納法により $c_k$ が整数であることが示される.