COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

数式を枠からはみ出さずに表示するためには, 画面を横に傾けてください(532 ピクセル以上推奨).

指数関数

教科書の補足

指数関数

補足≪指数の計算順序≫

 $2^{2^x},$ $10^{10^{10^{963}}}$ のように指数にべきを含むべきは, 右肩のべきから先に計算を行った数を表す.

問題

指数関数

問題≪$n$ の $n$ 乗根の大小比較≫

 $\sqrt 2,$ $\sqrt[3]{3},$ $\sqrt[5]{5}$ の大小を比較せよ.

解答例

(i)
$(\sqrt 2)^6 = 2^3 = 8 < (\sqrt 3)^6 = 3^2 = 9$ より, \[\sqrt 2 < \sqrt[3]{3}.\]
(ii)
$(\sqrt 2)^{10} = 2^5 = 32 > (\sqrt[5]{5})^{10} = 5^2 = 25$ より, \[\sqrt 2 > \sqrt[5]{5}.\]
(i), (ii) より, \[\sqrt[5]{5} < \sqrt 2 < \sqrt[3]{3}.\]

解説

 各数を $30$ 乗すると $2^{15},$ $3^{10},$ $5^6$ となってしまうので, $2$ つずつ比較した方が計算は容易である.
数学 III まで履修する方は微分による方法も参照されたい.

問題≪指数を入れ替えた累乗の積の比較≫

(1)
$0 < a < b,$ $0 < x < y$ のとき $a^yb^x < a^xb^y$ が成り立つことを示せ.
(2)
$0 < a < b < c,$ $0 < x < y < z$ のとき $a^xb^yc^z,$ $a^xb^zc^z,$ $a^yb^zc^x,$ $a^zb^yc^z$ の大小を比較せよ.

解答例

(1)
$a > 0,$ $b > 0$ より $a^xb^x > 0$ であり, $b > a > 0,$ $y-x > 0$ より $b^{y-x} > a^{y-x}$ だから, \[ a^xb^y-a^yb^x = a^xb^x(b^{y-x}-a^{y-x}) > 0.\] ゆえに, \[ a^yb^x < a^xb^y.\]
(2)
(1) より $a^zb^y < a^yb^z$ だから, \[ a^zb^yc^x < a^yb^zc^x \quad \cdots [1].\] (1) より $a^yc^x < a^xc^y$ だから, \[ a^yb^zc^x < a^xb^zc^y \quad \cdots [2].\] (1) より $b^zc^y < b^yc^z$ だから, \[ a^xb^zc^y < a^xb^yc^z \quad \cdots [3].\] $[1]$~$[3]$ より, \[ a^zb^yc^x < a^yb^zc^x < a^xb^zc^y < a^xb^yc^z.\]

問題≪指数関数の和に関する不等式≫

 $1$ より大きい実数 $a$ と非負整数 $x,$ $y,$ $z$ に対して
(1)
$a^x+a^y \leqq 1+a^{x+y},$ 
(2)
$a^x+a^y+a^z \leqq 2+a^{x+y+z}$ 
が成り立つことを示せ. また,
(3)
$\sqrt[3]{2}+\sqrt[3]{4}$ と $2,$
(4)
$\sqrt[4]{2}+\sqrt[4]{4}+\sqrt[4]{8}$ と $1$
の大小関係をそれぞれ決定せよ.
[2002 東北学院大*]

解答例

 後日公開.

問題≪有理数の無理数乗のあるペア≫

 $2^{\sqrt 2},$ $2^{\sqrt 2}\sqrt 2$ の少なくとも一方は無理数であることを示せ..

解答例

 $0$ でない実数 $a$ に対して, $a$ が有理数ならば $a^{-1}$ は有理数であるから, $a^{-1}$ が無理数ならば $a$ は無理数である. よって, $a = 2^{-\sqrt 2},$ $b = 2^{\sqrt 2}\sqrt 2$ の少なくとも一方が無理数であることを示せば良い. \[ ab = 2^{-\sqrt 2}2^{\sqrt 2+\frac{1}{2}} = 2^{-\sqrt 2+(\sqrt 2+\frac{1}{2})} = 2^{\frac{1}{2}} = \sqrt 2\] は無理数だから, $a,$ $b$ の両方が有理数ということはあり得ない. ゆえに, $a,$ $b$ の少なくとも一方は無理数である.

解説

 $2^{\sqrt 2}$ のような数が無理数であるかどうかは, 長い間未解決であった. 1934 年にゲルフォント(A. Gel'fond)とシュナイダー(T. Schneider)は次の定理を独立に証明し, その帰結として $2^{\sqrt 2}$ や $\sqrt 2^{\sqrt 2}$ が無理数であることを示した. ただし, ある有理数係数多項式 $f(x)$ について $f(x) = 0$ の解として表される数を代数的数と呼び, 代数的数でない実数を超越数と呼ぶ. 代数的数の積は代数的数であるから, $2^{\sqrt 2}\sqrt 2$ もまた超越数であることが分かる.

定理≪ゲルフォント・シュナイダーの定理≫

 $0,$ $1$ でない代数的数の有理数ではない代数的数乗は超越数である.

補足≪無理数の無理数乗≫

 無理数の無理数乗で表される有理数が存在することが, 次のような議論で分かる.
(i)
$a = \sqrt 2^{\sqrt 2}$ が有理数である場合. $\sqrt 2$ は無理数であるから, $a$ が求める有理数の一例を与える.
(ii)
$a$ が無理数である場合. \[ a^{\sqrt 2} = (\sqrt 2^{\sqrt 2})^{\sqrt 2} = (\sqrt 2)^{\sqrt 2\cdot\sqrt 2} = (\sqrt 2)^2 = 2\] が求める有理数の一例を与える.
いずれにしても, 無理数の無理数乗で表される有理数が存在する.

方程式

問題≪指数方程式と $2$ 次方程式≫

 $2^x+2^{-x} = a$ が異なる $2$ つの実数解を持つとき, 定数 $a$ の取り得る値の範囲を求めよ.

解答例

 $t = 2^x$ とおくと, $t > 0$ であり, $t+t^{-1} = a \cdots [1]$ より, \[ t^2-at+1 = 0.\] $f(t) = t^2-at+1$ とおき, $f(t)$ の 判別式を $D$ とおくと,
$[1]$ が異なる $2$ つの実数解を持つ
$\iff$ $f(t) = 0$ が $t > 0$ において異なる $2$ つの実数解を持つ
$\iff$ $D > 0,$ $f(0) > 0,$ $\dfrac{a}{2} > 0.$
$\iff$ $a^2-4 > 0,$ $1 > 0,$ $a > 0.$
$\iff$ $a > 2.$
ゆえに, 求める $a$ の値の範囲は, \[ a > 2.\]