COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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関数

教科書の補足

関数

補足≪有理数乗の定義域≫

 $m$ を整数, $n$ を正の整数とするとき, 関数 $x^{\frac{m}{n}}$ の定義域は,
(i)
$m > 0$ で $n$ が偶数のとき, $x \geqq 0$
(ii)
$m > 0$ で $n$ が奇数のとき, 実数全体
(iii)
$m = 0$ のとき, 実数全体
(iv)
$m < 0$ で $n$ が偶数のとき, $x > 0$
(v)
$m < 0$ で $n$ が奇数のとき, $x \neq 0$
である.

問題

合成関数

問題≪合成に関して可換な関数≫

 $g(x) = ax^3+bx$ ($a,$ $b$: 定数, $a \neq 0$) の形の任意の $3$ 次関数に対して $g(f(x)) = f(g(x))$ を満たす $1$ 次関数 $f(x)$ をすべて求めよ.

解答例

 $f(x) = mx+n$ ($m,$ $n$: 定数, $m \neq 0$) とおく. \begin{align*} &g(f(x)) = mf(x)+n = m(ax^3+bx)+n \\ &= amx^3+bmx+n, \\ &f(g(x)) = ag(x)^3+bg(x) = a(mx+n)^3+b(mx+n) \\ &= am^3x^3+3am^2nx^2+m(3an^2+b)x+n(an^2+b). \end{align*} $g(f(x)) = f(g(x))$ より, \begin{align*} am &= am^3 \cdots [1], & 0 &= 3am^2n \cdots [2], \\ bm &= m(3an^2+b) \cdots [3], & n &= n(an^2+b) \cdots [4]. \end{align*} $a \neq 0,$ $m \neq 0$ に注意すると, $[1],$ $[2]$ より $1 = m^2,$ $n = 0.$ よって, $m = \pm 1.$ これらは $[3],$ $[4]$ を満たす. ゆえに, $$f(x) = x,\ -x.$$

問題≪分数関数の合成関数≫

 関数 $f(x) = \dfrac{x-2}{2x-1}$ について, 各正の整数 $n$ に対して関数 $f_n(x)$ を $f_1(x) = f(x),$ $f_n(x) = f(f_{n-1}(x))\ (n > 2)$ により定めるとき, $f_n(x)$ を求めよ.

解答例

(i)
定義より, $f_1(x) = f(x)$ であり, \begin{align*} f_2(x) &= f(f(x)) = \frac{f(x)-2}{2f(x)-1} \\ &= \frac{\dfrac{x-2}{2x-1}-2}{2\cdot\dfrac{x-2}{2x-1}-1} = \frac{(x-2)-2(2x-1)}{2(x-2)-(2x-1)} \\ &= \frac{-3x}{-3} = x. \end{align*}
(ii)
任意に与えられたある正の整数 $m$ に対して $f_{2m-1}(x) = f(x),$ $f_{2m}(x) = x$ が成り立つとすると, \begin{align*} f_{2m+1}(x) &= f_{2m}(f(x)) = x|_{x = f(x)} = f(x), \\ f_{2m+2}(x) &= f_{2m+1}(f(x)) = f(f(x)) = x. \end{align*}
(i), (ii) より, 任意の正の整数 $m$ に対して, $f_{2m-1}(x) = f(x),$ $f_{2m}(x) = x$ が成り立つ. ゆえに, $$f_n(x) = \left\{\begin{array}{ll} f(x) & (n\text{: 奇数}), \\ x & (n\text{: 偶数}). \end{array}\right.$$

解説

 解法がつかみにくい問題は, 簡単な数値について具体的に計算してみると手がかりをつかめることがある.
この問題については, 上記の計算によって $f_2(x) = f(f(x)) = x$ となるから, $f_3(x) = f_2(f(x)) = f(x),$ $f_4(x) = f(f(x)) = x$ となる. このことから, $n$ が奇数のときは $f_n(x) = f(x),$ $n$ が偶数のときは $f_n(x) = x$ となることが推測できる. 奇数番目 $f_{2m-1}(x)$ と次の偶数番目 $f_{2m}(x)$ を組にして $m$ に関する帰納法でこれを示す.

問題≪多項式関数の不動点≫

(1)
任意の多項式 $f(x)$ と定数 $\alpha$ に対して, $f(x)-x$ が $x-\alpha$ で割り切れるならば, $f(f(x))-x$ は $x-\alpha$ で割り切れることを示せ.
(2)
$f(x) = 2x^2-1$ のとき, $f(f(x)) = x$ の実数解を求めよ.

解答例

(1)
$f(x)-x$ が $x-\alpha$ で割り切れるならば, 因数定理より $f(\alpha ) = \alpha$ となり, $$f(f(\alpha ))-\alpha = f(\alpha )-\alpha = 0$$ となるから, 因数定理より $f(f(x))-x$ は $x-\alpha$ で割り切れる.
(2)
$f(x) = 2x^2-1$ のとき, \begin{align*} &f(f(x))-x = 2f(x)^2-1-x \\ &= 2(2x^2-1)^2-1-x = 8x^4-8x^2-x+1. \end{align*} $f(x)-x = 2x^2-x-1 = (x-1)(2x+1)$ だから, (1) より $f(f(x))-x$ は $x-1,$ $x+\dfrac{1}{2}$ で割り切れる. $$\begin{array}{rrrrrrr} {} & 8 & 0 & -8 & -1 & 1 & |\!\underline{\ 1\ } \\ +) & {} & 8 & 8 & 0 & -1 & {} \\ \hline {} & 8 & 8 & 0 & -1 & |\!\underline{\ 0\ } & |\!\underline{-\tfrac{1}{2}} \\ +) & {} & -4 & -2 & 1 & {} & {} \\ \hline {} & 8 & 4 & -2 & |\!\underline{\ 0\ } & {} & {} \end{array}$$ 上記の計算より, $$f(f(x)) = (x-1)(2x+1)(4x^2+2x-1).$$ $4x^2+2x-1 = 0$ を解くと, $x = \dfrac{-1\pm\sqrt 5}{4}.$
ゆえに, $f(f(x)) = x$ の実数解は, $$x = 1,\ -\frac{1}{2},\ \frac{-1\pm\sqrt 5}{4}.$$

解説

 $2$ 倍角の公式より $$\cos 2\theta = 2\cos ^2\theta -1 = f(\cos\theta )$$ だから, $$\cos 4\theta = 2(\cos 2\theta )^2-1 = f(f(\cos\theta ))$$ が成り立つ. よって, $f(f(x)) = x$ の $-1 \leqq x \leqq 1$ における解を $x = \cos\theta\ (-\pi < \theta \leqq \pi )$ とおくと, $\cos 4\theta = \cos\theta$ より $4\theta = \pm\theta +2\pi n$ ($n$: 整数)だから, $$\theta = 0,\ \pm\frac{2\pi}{3},\ \pm\frac{2\pi}{5},\ \pm\frac{4\pi}{5}.$$ したがって, $$x = \cos 0,\ \cos\frac{2\pi}{3},\ \cos\frac{2\pi}{5},\ \cos\frac{4\pi}{5}.$$ この $4$ つの値が解答例で得られた解である. $\cos n\theta = T_n(\cos\theta )$ を満たす $n$ 次多項式 $T_n(x)$ はチェビシェフの多項式と呼ばれ, 重要である.

逆関数

問題≪指数関数と分数関数の合成の逆関数≫

 関数 $f(x) = \dfrac{1}{2^x+1}+a$ が奇関数であるとき, 定数 $a$ の値を求め, $f(x)$ の逆関数 $f^{-1}(x)$ を求めよ.

解答例

 $f(x)$ が奇関数であるとき, $f(-x) = -f(x)$ より, \begin{align*} \frac{1}{2^{-x}+1}+a &= -\frac{1}{2^x+1}-a \\ \therefore a &= -\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2^x+1}+\frac{1}{2^{-x}+1}\right) \\ &= -\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2^x+1}+\frac{2^x}{1+2^x}\right) \\ &= -\frac{1}{2}. \end{align*} このとき, $$f(x) = \frac{1}{2^x+1}-\frac{1}{2}.$$ $f(x)+\dfrac{1}{2} = \dfrac{1}{2^x+1}$ より $2^x+1 = \dfrac{1}{f(x)+\dfrac{1}{2}}$ だから, $$2^x = \frac{2}{2f(x)+1}-1 = \frac{1-2f(x)}{1+2f(x)}.$$ 両辺の $2$ を底とする対数をとると, $$x = \log _2\left(\frac{1-2f(x)}{1+2f(x)}\right).$$ ゆえに, $f(x)$ の逆関数は, $$f^{-1}(x) = \log _2\left(\frac{1-2x}{1+2x}\right).$$

問題≪分数関数の逆関数≫

 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ を定数とする. 関数 $f(x) = \dfrac{ax+b}{cx+d}$ が逆関数を持つ必要十分条件を求めよ.

解答例

(I)
$c = 0,$ $a = 0$ のとき. $f(x) = \dfrac{b}{d}$ より, $f(x)$ は定数関数となるから, $f(x)$ は逆関数を持たない.
(II)
$c = 0,$ $a \neq 0$ のとき. $f(x) = \dfrac{a}{d}x+\dfrac{b}{d}$ より, $f(x)$ は $1$ 次関数となるから, $f(x)$ は逆関数を持つ.
(III)
$c \neq 0$ のとき. $f(x) = \dfrac{ax+b}{cx+d}$ より, $(cx+d)f(x) = ax+b$ だから, $$(cf(x)-a)x = b-df(x) \cdots [1].$$ また, $ax+b = \dfrac{a}{c}(cx+d)-\dfrac{ad-bc}{c}$ より, $$f(x) = \frac{a}{c}-\frac{ad-bc}{c(cx+d)}.$$
(i)
$ad-bc \neq 0$ とすると, $f(x) \neq \dfrac{a}{c}$ より $cf(x)-a \neq 0$ となるから, $[1]$ より $x = \dfrac{b-df(x)}{cf(x)-a}$ となり, $f(x)$ は逆関数 $f^{-1}(x) = \dfrac{b-dx}{cx-a}$ を持つ.
(ii)
$f(x)$ が逆関数を持つとすると, $[1]$ より $f(x) \neq \dfrac{a}{c}$ となるから, $\dfrac{a}{c} \neq f(0) = \dfrac{b}{d}$ より, $ad-bc \neq 0.$
ゆえに, $f(x)$ が逆関数を持つ条件は, ``$c = 0$ かつ $a \neq 0$'' または ``$c \neq 0$ かつ $ad-bc \neq 0.$''

解説

 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ が定数のとき, 方程式 $y = \dfrac{ax+b}{cx+d}$ が双曲線を表すのは, $c \neq 0,$ $ad-bc \neq 0$ のときに限る. この場合, 関数 $f(x) = \dfrac{ax+b}{cx+d}$ は必ず逆関数 $f^{-1}(x) = \dfrac{-dx+b}{cx-a}$ を持つ.

問題≪マチンの公式≫

(1)
$\tan\alpha = \dfrac{1}{5}$ のとき, $\tan 2\alpha,$ $\tan 4\alpha$ の値を求めよ.
(2)
正接関数 $\tan x$ の区間 $\left( -\dfrac{\pi}{2},\ \dfrac{\pi}{2}\right)$ を定義域とする逆関数を $\arctan x$ で表すとき, 次の等式が成り立つことを示せ. \[\frac{\pi}{4} = 4\arctan\frac{1}{5}-\arctan\frac{1}{239} \quad \cdots [\ast ].\]

解答例

(1)
$2$ 倍角の公式より, \begin{align*} &\tan 2\alpha = \frac{2\tan\alpha}{1-\tan ^2\alpha} \\ &= \frac{2\cdot\dfrac{1}{5}}{1-\dfrac{1}{25}} = \frac{10}{25-1} = \frac{5}{12}. \end{align*} 再度 $2$ 倍角の公式より, \begin{align*} &\tan 4\alpha = \frac{2\tan 2\alpha}{1-\tan ^22\alpha} \\ &= \frac{2\cdot\dfrac{5}{12}}{1-\dfrac{25}{144}} = \frac{120}{144-25} = \frac{120}{119}. \end{align*}
(2)
\[\frac{\pi}{4} = 4\alpha -\left( 4\alpha -\frac{\pi}{4}\right), \quad \alpha = \arctan\dfrac{1}{5}\] だから, \[ 4\alpha -\frac{\pi}{4} = \arctan\frac{1}{239} \quad \cdots [1]\] を示せば良い. 加法定理より, \begin{align*} &\tan\left( 4\alpha -\frac{\pi}{4}\right) = \frac{\tan 4\alpha-\tan\dfrac{\pi}{4}}{1+\tan 4\alpha\tan\dfrac{\pi}{4}} \\ &= \frac{\dfrac{120}{119}-1}{1+\dfrac{120}{119}\cdot 1} = \frac{120-119}{119+120} = \frac{1}{239}. \end{align*} これは $[1]$ を意味するので, 求める等式 $[\ast ]$ が得られた.

解説

 値域を適当に定めれば三角関数の逆関数を定めることができる. 三角関数の逆関数は, 逆数の表す関数との混同を避けるため, $\mathrm{arc}$ をつけて表すことが多い. $[\ast ]$ または $\arctan x$ の級数表示 \[\arctan x = \sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{2n+1}x^{2n+1}\] (証明は大学の範囲, こちらを参照)と組み合わせて得られる公式 \[\frac{\pi}{4} = 4\sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{(2n+1)5^{2n+1}}-\sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{(2n+1)239^{2n+1}}\] はマチン(Machin)の公式と呼ばれ, 後者は級数の収束が速いことから円周率の計算に使われてきた.