COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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等比数列

等比数列

定義≪等比数列≫

 各項が $0$ でなく, 隣り合う $2$ 項の比が一定である, すなわちある定数 $r$ について
$\dfrac{a_{n+1}}{a_n} = r$ つまり $a_{n+1} = ra_n$
を満たす数列 $\{ a_n\}$ を等比数列(geometric sequence, progression)と呼び, $r$ をその公比(common ratio)と呼ぶ.

定理≪等比数列の一般項≫

 初項 $a,$ 公比 $r$ の等差数列 $\{ a_n\}$ の一般項は \[ a_n = ar^{n-1}\] である.

等比数列の和

定理≪等比数列の和≫

 初項 $a,$ 公比 $r$ の等差数列 $\{ a_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ は \[ S_n = \begin{cases} \dfrac{a(r^n-1)}{r-1} = \dfrac{a(1-r^n)}{1-r} & (r \neq 1), \\ rn & (r = 1) \end{cases}\] である.

問題≪$n$ 回以下のじゃんけんで順位がつく確率≫

 $3$ 人がじゃんけんをする. ちょうど $n$ 回目で $1$ 位から $3$ 位までの順位が決まる確率は $\dfrac{4(n-1)}{3^n}$ である(こちらを参照). $n$ 回以下で $1$ 位から $3$ 位までの順位が決まる確率 $S_n$ を求めよ.

解答例

$\qquad S_n = 0+\dfrac{4}{9}+\dfrac{8}{27}+\cdots +\dfrac{4(n-1)}{3^n}$
の辺々に $\dfrac{1}{3}$ をかけると,
$\quad\,\dfrac{1}{3}S_n = \qquad\ \!0+\dfrac{4}{27}+\cdots +\dfrac{4(n-2)}{3^n}+\dfrac{4(n-1)}{3^{n+1}}$
となる. 辺々を引くと
$\begin{aligned} \quad\frac{2}{3}S_n &= \qquad\!\!\frac{4}{9}+\frac{4}{27}+\cdots +\frac{4}{3^n}-\frac{4(n-1)}{3^{n+1}} \\ &= \frac{4}{9}\cdot\frac{1-\left(\dfrac{1}{3}\right) ^{n-1}}{1-\dfrac{1}{3}}-\frac{4(n-1)}{3^{n+1}} \\ &= \frac{2}{3}\left\{ 1-\frac{1}{3^{n-1}}-\frac{2(n-1)}{3^n}\right\} \\ &= \frac{2}{3}\cdot\frac{3^n-2n-1}{3^n} \end{aligned}$
となるので, \[ S_n = \frac{3^n-2n-1}{3^n}\] である.

約数の和

定理≪約数の和の公式≫

 $2$ 以上の整数 $a$ が $a = p_1{}^{m_1}\cdots p_r{}^{m_r}$ ($p_k$: 相異なる素数, $m_k$: 正の整数)と素因数分解されるとき, $a$ の正の約数の総和 $\sigma (a)$ は \[\sigma (a) = (1+\cdots +p_1{}^{m_1})\cdots (1+\cdots +p_r{}^{m_r})\] である.

証明

 $a$ の正の約数は $p_1{}^{k_1}\cdots p_r{}^{k_r}$ ($0 \leqq k_j \leqq m_j$)の形に表され, \[ (1+\cdots +p_1{}^{m_1})\cdots (1+\cdots +p_r{}^{m_r})\] を展開したときの項としてもれも重複もなく現れるから, 上記の等式が成り立つ.

問題≪メルセンヌ素数と偶数の完全数≫

 正の整数 $a$ について, $a$ の正の約数の総和を $\sigma (a)$ で表す. $\sigma (a) = 2a$ が成り立つとき, $a$ を完全数と呼ぶ. 次のことを示せ.
(1)
正の整数 $a,$ $b$ が互いに素ならば, $\sigma (ab) = \sigma (a)\sigma (b)$ が成り立つ.
(2)
$n$ を正の整数とするとき, $2^n-1$ が素数ならば, $a = 2^{n-1}(2^n-1)$ は偶数の完全数である.
(3)
偶数の完全数 $a$ を $a = 2^{n-1}a'$ ($n$: $2$ 以上の整数, $a'$: 奇数)の形に表す. このとき, $\sigma (a') = a'+\dfrac{a'}{2^n-1},$ $a' = 2^n-1$ であり, $a'$ は素数である.
(4)
偶数の完全数を小さい方から順に $4$ つ求めよ. また, $2^{n-1}(2^n-1)$ が偶数の完全数とはならないような素数 $n$ を $1$ つ求めよ. ただし, $2^n-1$ が素数であるとき, $n$ が素数であることは, 証明なしに用いてよい(こちらを参照).
[2000 佐賀大*]

解答例

(1)
$a,$ $b$ の素因数分解をそれぞれ \[ a = p_1{}^{m_1}\cdots p_r{}^{m_r}, \quad b = q_1{}^{n_1}\cdots q_s{}^{n_s}\] ($p_k,$ $q_l$: 相異なる素数, $m_k,$ $n_l$: 正の整数)とすると, $ab$ の素因数分解は \[ ab = p_1{}^{m_1}\cdots p_r{}^{m_r}q_1{}^{n_1}\cdots q_s{}^{n_s}\] となるから, 約数の和の公式により \begin{align*} \sigma (ab) &= (1+\!\cdots\!+p_1{}^{m_1})\cdots (1+\!\cdots\!+p_r{}^{m_r}) \\ &\qquad \times (1+\!\cdots\!+q_1{}^{n_1})\cdots (1+\!\cdots\!+q_s{}^{n_s}) \\ &= \sigma (a)\sigma (b) \end{align*} となる.
(2)
$2^n-1$ が素数であるとすると, (1) の結果から \begin{align*} \sigma (a) &= \sigma (2^{n-1})\sigma (2^n-1) \\ &= (1+\cdots +2^{n-1})\{ 1+(2^n-1)\} \\ &= (2^n-1)2^n = 2a \end{align*} となるので, $a$ は完全数である.
(3)
$\sigma (a) = 2a = 2^na'$ と \begin{align*} \sigma (a) &= \sigma (2^{n-1})\sigma (a') = (1+\cdots +2^{n-1})\sigma (a') \\ &= (2^n-1)\sigma (a') \end{align*} から, \[\sigma (a') = \frac{2^na'}{2^n-1} = a'+\frac{a'}{2^n-1}\] が成り立つ. $a'$ と $\sigma (a')$ は正の整数であるから, $\dfrac{a'}{2^n-1}$ は正の整数である. $n > 1$ から $2^n-1 > 1$ であるので, $\dfrac{a'}{2^n-1}$ は $a'$ より小さい $a'$ の約数である. $a'$ の正の約数は $a'$ と $\dfrac{a'}{2^n-1}$ の $2$ つのみであるから, $\dfrac{a'}{2^n-1} = 1$ つまり $a' = 2^n-1$ であり, $a'$ は素数である.
(4)
(2), (3) により, $2^n-1$ が素数となるような素数 $n$ と偶数の完全数 $2^{n-1}(2^n-1)$ はもれも重複もなく対応する. $2^n-1$ の $n$ に小さい方から数えて $4$ 番目までの素数を代入した \begin{align*} 2^2-1 = 3, \quad &2^3-1 = 7, \\ 2^5-1 = 31, \quad & 2^7-1 = 127 \end{align*} は素数であるから, $4$ 番目までの偶数の完全数は \begin{align*} 2^1(2^2-1) = 6, \quad &2^2(2^3-1) = 28, \\ 2^4(2^5-1) = 496, \quad &2^6(2^7-1) = 8128 \end{align*} である. また, \[ 2^n-1 = 2^{11}-1 = 2047 = 23\cdot 89\] は素数でないから, $2^{n-1}(2^n-1)$ が偶数の完全数とはならないような素数 $n$ として $n = 11$ が挙げられる.

背景

  • $2^n-1$ ($n$: 正の整数)の形の素数を「メルセンヌ素数」(Mersenne prime)と呼び, 正の整数 $a$ の正の約数の総和が $2a$ になるとき, $a$ を「完全数」(perfect number)と呼ぶ.
  • (4) の解答例で述べたように,「メルセンヌ素数」は偶数の「完全数」と $1$ 対 $1$ に対応する(ちなみに, (2) はユークリッド, (3) はオイラーによって示された). 例えば,「メルセンヌ素数」 $2^2-1 = 3,$ $2^3-1 = 7,$ $2^5-1 = 31,$ $2^7-1 = 127$ には, 偶数の「完全数」$6,$ $28,$ $496,$ $8128$ が対応している. $2018$ 年 $12$ 月に発見された史上最大の素数 $2^{82589933}-1$ は $51$ 個目に発見された「メルセンヌ素数」である. まだ奇数の「完全数」は見つかっていないので, この「メルセンヌ素数」の発見は $51$ 個目の「完全数」の発見を意味する($2019$ 年 $1$ 月現在).