COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

数式を枠からはみ出さずに表示するためには, 画面を横に傾けてください(532 ピクセル以上推奨).

等比数列

理論

等比数列の定義

定義≪等比数列(Geometric progression)≫

 定数 $r \neq 0$ に対して漸化式 \[\dfrac{a_{n+1}}{a_n} = r \quad \cdots [\ast ]\] を満たす, すなわち隣り合う $2$ 項の比が一定値 $r \neq 0$ である数列 $\{ a_n\}$ を等比数列(geometric progression / sequence)と呼び, $r$ を公比(common ratio)と呼ぶ. \[ [\ast ] \iff a_{n+1} = ra_n\] より, 公比 $r$ の等比数列は各項に定数 $r \neq 0$ を掛けると次の項が得られる数列と言える.

例≪等比数列≫

 初項 $1$ の等比数列 $\{ a_n\}$ の公比 $r$ が
(1)
$r = 1$ のとき, $\{ a_n\} :1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ \cdots.$
(2)
$r = 2$ のとき, $\{ a_n\} :1,\ 2,\ 4,\ 8,\ 16,\ \cdots.$
(3)
$r = -3$ のとき, $\{ a_n\} :1,\ -3,\ 9,\ -27,\ 81,\ \cdots.$

定理≪等比数列の一般項による特徴付け≫

(1)
数列 $\{ a_n\}$ が初項 $a,$ 公比 $r$ の等比数列であるとき, その一般項は, $a_n = ar^{n-1}.$
(2)
任意の数列 $\{ a_n\}$ に対して, $\{ a_n\}$ が等比数列$\iff$ $\{ a_n\}$ の一般項 $a_n$ は $0$ でないある定数 $a',$ $r$ を用いて $a_n = a'r^n$ と書ける.

証明

(1)
$n$ に関する帰納法で示す.
(i)
$a_1 = a = ar^{1-1} $ より, $n = 1$ のとき成り立つ.
(ii)
自然数 $n$ に対して \[ a_n = ar^{n-1} \cdots [\ast ]\] を仮定すると, \begin{align*} a_{n+1} &= a_nr = ar^{n-1}\cdot r \\ &= ar^{(n-1)+1} = ar^{(n+1)-1} \end{align*} となり, $n$ を $n+1$ に置き換えても $[\ast ]$ が成り立つ.
(i), (ii) より, 任意の自然数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つ.
(2)
$(\Longrightarrow )$ 初項 $a,$ 公比 $r$ の等差数列 $\{ a_n\}$ の一般項 $a_n$ は, \[ a_n = ar^{n-1} = \frac{a}{r}\cdot r^n\] より, $a' = \dfrac{a}{r}$ とおくと $a_n = a'r^n$ と書ける.
$(\Longleftarrow )$ 数列 $\{ a_n\}$ の一般項 $a_n$ が $0$ でない定数 $a',$ $r$ を用いて $a_n = a'r^n$ と書けるとすると, \[\frac{a_{n+1}}{a_n} = \frac{a'r^{n+1}}{a'r^n} = r\] より, $\{ a_n\}$ は公比 $r$ の等比数列である.
 数列が等比数列であるための必要条件として, 隣り合う $3$ 項が等比数列であるための条件を考えることは, しばしば有用である.

定理≪等比数列を成す $3$ 数≫

 $0$ でない $3$ 数 $a,$ $b,$ $c$ がこの順に等比数列を成す $\iff$ $b^2 = ac.$
特に $a,$ $b,$ $c$ が正の数ならば, このとき, $b = \sqrt{ac}.$

証明

 数列 $a,$ $b,$ $c$ が等比数列 $\iff$ $\dfrac{b}{a} = \dfrac{c}{b}$ $\iff$ $b^2 = ac \cdots [\ast ].$
特に $a,$ $b,$ $c$ が正の数ならば, $[\ast ] \iff b = \sqrt{ac}.$

等比数列の性質

定理≪等比数列の部分列が等比数列を成す条件≫

(1)
$\{ 0\}$ でない定数列 $\{ a\}$ の任意の部分列は定数列であり, 特に等比数列である.
(2)
定数列でない任意の等比数列 $\{ a_n\}$ に対して,
$\{ a_n\}$ の部分列 $\{ a_{f(n)}\}$ が等比数列 $\iff$ $f$ は等差数列.

証明

(1)
明らか.
(2)
$\{ a_n\}$ は定数列でない等比数列だから, その一般項は $0$ でない定数 $r \neq 1,$ $a'$ を用いて $a_n = a'r^n$ と書ける.
$(\Longrightarrow )$ 任意の自然数 $n$ に対して, \[\frac{a_{f(n+1)}}{a_{f(n)}} = \frac{a'r^{f(n+1)}}{a'r^{f(n)}} = r^{f(n+1)-f(n)}.\] $\{ a_{f(n)}\}$ を等比数列とすると, これは $n$ に無関係な定数であり, $r \neq 0,$ $r \neq 1$ だから, $f(n+1)-f(n)$ も定数である.
ゆえに, $f$ は等差数列である.
$(\Longleftarrow )$ $f$ を等差数列とすると, その一般項は定数 $p,$ $q$ を用いて $f(n) = pn+q$ と書けるから, \begin{align*} \frac{a_{f(n+1)}}{a_{f(n)}} &= r^{f(n+1)-f(n)} = r^{(p(n+1)+q)-(pn+q)} \\ &= r^p \end{align*} より, $\{ a_{f(n)}\}$ は公比 $r^p$ の等比数列である.

定理≪等比数列の定数倍, 積≫

 任意の等比数列 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\},$ 定数 $\lambda \neq 0$ に対して, 数列 $\{ \lambda a_n\},$ $\{ a_nb_n\}$ は等比数列である.

証明

 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\}$ は等比数列だから, その一般項は $0$ でない定数 $a',$ $r,$ $b',$ $s$ を用いて $a_n = a'r^n,$ $b_n = b's^n$ と書ける.
このとき, $\{\lambda a_n\},$ $\{ a_nb_n\}$ の一般項は, \begin{align*} \lambda a_n &= \lambda (a'r^n) = (\lambda a')r^n, \\ a_nb_n &= (a'r^n)(b's^n) = (a'b') (rs)^n. \end{align*} よって, $\{\lambda a_n\},$ $\{ a_nb_n\}$ は等比数列である.

等比数列の和

定理≪等比数列の和≫

 初項 $a,$ 公比 $r,$ 項数 $m,$ 末項 $l$ の有限等比数列 $\{ a_n\}$ の和は,
(i)
$r \neq 1$ のとき, $\sum\limits_{i = 1}^ma_i = \dfrac{a(r^m-1)}{r-1} = \dfrac{lr-a}{r-1}.$
(ii)
$r = 1$ のとき, $\sum\limits_{i = 1}^ma_i = ma.$

証明

 $S = \sum\limits_{i = 1}^ma_i$ とおく.
(i)
$r \neq 1$ のとき. $S = \sum\limits_{i = 1}^mar^{i-1} = \sum\limits_{i = 0}^{m-1}ar^i \cdots (\ast )$.
両辺に $r$ を掛けると, $rS = \sum\limits_{i = 1}^mar^i \cdots (\ast )'.$
$m > 1$ のとき, $(\ast )'-(\ast )$ より, \begin{align*} (r-1)S &= \left(ar^m+\sum\limits_{i = 1}^{m-1}ar^i\right) -\left(\sum\limits_{i = 1}^{m-1}ar^i+a\right) \\ &= a(r^m-1) \\ \therefore S &= \frac{a(r^m-1)}{r-1}\quad (\because r \neq 1). \end{align*} $m = 1$ のとき, $S = a = \dfrac{a(r^1-1)}{r-1}$ より, これは $m = 1$ のときも成り立つ.
更に, $l = ar^{m-1}$ より, $S = \dfrac{ar^m-a}{r-1} = \dfrac{lr-a}{r-1}.$
(ii)
$r = 1$ のとき, $\{ a_n\}$ は各項が $a$ の定数列だから, $S = ma.$

例≪等比数列の和≫

   初項 $1,$ 公比 $2,$ 項数 $m$ の等差数列の和は, $$\dfrac{1\cdot (2^m-1)}{2-1} = 2^m-1.$$

等差数列と等比数列の積の和

 等差数列 $\{ a_n\}$ と等比数列 $\{ b_n\}$ の積として定まる数列 $\{ a_nb_n\}$ の和は, 等比数列の和と同様の方法で求められる.

例≪等差数列と等比数列の積の和≫

 $r \neq 0$ のとき, $a_n = nr^{n-1}$ で定まる数列 $\{ a_n\}$ の初項から第 $m$ 項までの和 $S$ を求める.
(i)
$r \neq 1$ のとき. \[ S = \sum\limits_{i = 1}^mir^{i-1} = \sum\limits_{i = 0}^{m-1}(i+1)r^i \quad \cdots [1].\] 両辺に $r$ を掛けると, \[ rS = \sum\limits_{i = 1}^mir^i \quad \cdots [2].\] $m > 1$ のとき, $[2]-[1]$ より, \begin{align*} &(r-1)S \\ &= \left(mr^m+\sum\limits_{i = 1}^{m-1}ir^i\right) -\left(\sum\limits_{i = 1}^{m-1}(i+1)r^i+1\right) \\ &= mr^m-\sum\limits_{i = 1}^{m-1}r^i-1 = mr^m-\sum\limits_{i = 1}^mr^{i-1} \\ &= mr^m-\frac{r^m-1}{r-1} \end{align*} だから, \begin{align*} S &= \frac{mr^m}{r-1}-\frac{r^m-1}{(r-1)^2} \quad (\because r \neq 1) \\ &= \frac{mr^{m+1}-(m+1)r^m+1}{(r-1)^2}. \end{align*} $m = 1$ のとき, \[ S = a_1 = 1 = \dfrac{1\cdot r^{1+1}-(1+1)r^1+1}{(r-1)^2}\] より, これは $m = 1$ のときも成り立つ.
(ii)
$r = 1$ のとき, $\{ a_n\}$ の一般項は $a_n = n$ だから, \[ S = \frac{1}{2}m(m+1).\]

問題

等比数列の定義

問題≪等差数列にも等比数列にもなる $3$ 数≫

 $a < 0 < b$ を満たす $3$ 数 $a,$ $b,$ $ab$ は, 適当に並べると等差数列になり, 適当に並べると等比数列にもなる.
(1)
等比数列の第 $2$ 項は $b$ であることを示し, $b \neq 1$ を示せ.
(2)
$0 < b < 1,$ $b > 1$ の場合に分けて, $a,$ $b$ の値を求めよ.

解答例

(1)
$a < 0,$ $b > 0$ より, $ab < 0.$
$3$ 項のうち $1$ 項だけが正だから, 題意の等比数列の初項と第 $3$ 項は負で, 第 $2$ 項は正の項 $b$ である(公比は負).
仮に $b = 1$ とすると, $3$ 数は $a,$ $1,$ $a$ となるが, $a,$ $a,$ $1$ または $1,$ $a,$ $a$ の順に等差数列を成すとき $2a = a+1 = 1+a$ より $a = 1$ となり, $a,$ $1,$ $a$ の順に等差数列を成すとき $2\cdot 1 = a+a$ より $a = 1$ となるから, いずれの場合も $a < 0$ に反する.
よって, $b \neq 1.$
(2)
題意の等比数列の第 $2$ 項は $b$ だから $$b^2 = a\cdot ab = a^2b$$ で, 仮定より $b \neq 0$ だから, $b = a^2 \cdots [1].$
(i)
$0 < b < 1$ のとき. $a < ab < 0 < b$ より, 題意の等差数列の第 $2$ 項は $ab$ だから, $$2ab = a+b \cdots [2].$$ $[1],$ $[2]$ より, \begin{align*} &2a^3 = a+a^2. \\ \therefore&a(a-1)(2a+1) = 0. \end{align*} これと $a < 0$ より, $a = -\dfrac{1}{2}.$
このとき, $[1]$ より, $b = \dfrac{1}{4}.$
(ii)
$b > 1$ のとき. $ab < a < 0 < b$ より, 題意の等差数列の第 $2$ 項は $a$ だから, $$2a = ab+b \cdots [3].$$ $[1],$ $[3]$ より, \begin{align*} &2a = a^3+a^2. \\ \therefore&a(a-1)(a+2) = 0. \end{align*} これと $a < 0$ より, $a = -2.$
このとき, $[1]$ より, $b = 4.$
(i), (ii) より, $(a,\ b) = \left( -\dfrac{1}{2},\ \dfrac{1}{4}\right)$ または $(-2,\ 4).$

等比数列の和

問題≪整数の累乗和と平方の累乗和の整除関係≫

 $\pm 1$ と異なる整数 $a$ と正の偶数 $n$ について, $T = \sum _{k = 0}^na^{2k}$ は $S = \sum _{k = 0}^na^k$ で割り切れることを示せ.

解答例

 等比数列の和の公式により \begin{align*} S &= \sum _{k = 0}^na^k = \frac{1(a^{n+1}-1)}{a-1} = \frac{a^{n+1}-1}{a-1}, \\ T &= \sum _{k = 0}^na^{2k} = \frac{1((a^2)^{n+1}-1)}{a^2-1} = \frac{(a^{n+1})^2-1}{a^2-1} \\ &= \frac{(a^{n+1}-1)(a^{n+1}+1)}{(a-1)(a+1)} = S\cdot\frac{a^{n+1}+1}{a+1} \\ &= S\cdot\frac{1((-a)^{n+1}-1)}{-a-1} = S\sum _{k = 0}^n(-a)^k \end{align*} となるから, $T$ は $S$ で割り切れる.

問題≪偶数の完全数とメルセンヌ素数の対応≫

 $n$ を正の整数とする. $2^n-1$ が素数であるとき, $N = 2^{n-1}(2^n-1)$ の正の約数の総和を $N$ で表せ.

解答例

 $2^n-1$ が素数であるとする. このとき, $N = 2^{n-1}(2^n-1)$ の正の約数は \[ 2^i(2^n-1)^j \quad (i \in \{ 0,\ 1,\ \cdots, n-1\},\ j \in \{ 0,\ 1\})\] の形に表される. これらは $(1+2+\cdots +2^{n-1})(1+(2^n-1))$ を展開した項としてもれも重複もなく現れるから, $N$ の正の約数の総和は \[ (1+2+\cdots +2^{n-1})(1+(2^n-1)) = (2^n-1)2^n = 2N.\] 第一の等号で等比数列の和の公式を用いた.

解説≪完全数とメルセンヌ素数≫

 $0$ でない各整数 $a$ に対して, $a$ の正の整数の総和を $\sigma (a)$ で表す. $\sigma (a) = 2a$ を満たす正の整数 $a$ を完全数(perfect number)と呼ぶ. また, $2^n-1$ の形の素数をメルセンヌ素数(Mersenne prime)と呼ぶ. 本問で示したのは, $2^n-1$ がメルセンヌ素数ならば, $N = 2^{n-1}(2^n-1)$ が完全数であるということである.
逆に, 任意の偶数の完全数 $N$ は, メルセンヌ素数 $M = 2^n-1$ を用いて $N = 2^{n-1}M$ と表される.
この証明を与えておく: 素因数分解を用いて, 偶数の完全数 $N$ を
$N = 2^{n-1}M$ ($n$: $2$ 以上の整数, $M$: 奇数)
と表す. このとき, $N$ の正の約数の和は, \[\sigma (N) = (1+2+\cdots +2^{n-1})\sigma (M) = (2^n-1)\sigma (M).\] $N$ が完全数であることと合わせると \[ (2^n-1)\sigma (M) = 2N = 2^nM\] となるから, \[\sigma (M) = \frac{2^nM}{2^n-1} = \frac{(2^n-1+1)M}{2^n-1} = M+\frac{M}{2^n-1}.\] ここで, $\sigma (M),$ $M$ が整数であることから $\dfrac{M}{2^n-1}$ は整数であることと, $n \geqq 2$ から $M > \dfrac{M}{2^n-1}$ であることに注意する. $M$ の異なる正の約数のどのような和も $\sigma (M)$ を超えることはないから, $M,$ $\dfrac{M}{2^n-1}$ が $M$ のすべての正の約数である. よって, $M$ は素数であり, $\dfrac{M}{2^n-1} = 1$ が成り立つ. ゆえに, $M = 2^n-1$ がメルセンヌ素数となって, 題意が示された.
以上で, 偶数の完全数とメルセンヌ素数が $1$ 対 $1$ に対応することが分かった. しかし, 2016 年 10 月現在, これらの数が無限に存在するか否かという問題は未解決である. なお, 奇数の完全数については, その存在さえも知られていない.

問題≪公倍数の総和≫

 $a = 2^{10},$ $b = 3^{10},$ $c = 5^{10}$ とおく. $30^{10}$ の正の約数のうち, $6,$ $10$ の公倍数の総和を $a,$ $b,$ $c$ で表せ.

解答例

 $6,$ $10$ の任意の公倍数は, $6,$ $10$ の最小公倍数 $30$ の倍数である.
$30^{10} = 2^{10}3^{10}5^{10}$ の正の約数で $30 = 2\cdot 3\cdot 5$ の倍数であるものはすべて $$2^i3^j5^k\quad (1 \leqq i \leqq 10,\ 1 \leqq j \leqq 10,\ 1 \leqq k \leqq 10)$$ の形に表せる. これらはすべて $$S = \left(\sum\limits_{i = 1}^{10}2^i\right)\left(\sum\limits_{j = 1}^{10}3^j\right)\left(\sum\limits_{k = 1}^{10}5^k\right)$$ の展開式の項として現れるから, 求める和は, \begin{align*} S &= \frac{2(2^{10}-1)}{2-1}\cdot\frac{3(3^{10}-1)}{3-1}\cdot\frac{5(5^{10}-1)}{5-1} \\ &= \frac{15}{4}(a-1)(b-1)(c-1). \end{align*}

問題≪公約数の総和≫

 $6^{10},$ $10^6$ の正の公約数の総和を求めよ.

解答例

 $6^{10},$ $10^6$ の任意の公約数は $6^{10} = 2^{10}3^{10},$ $10^6 = 2^65^6$ の最大公約数 $2^6$ の約数である. よって, 求める和は, $2^6$ の正の約数の総和だから, $$\sum\limits_{i = 0}^62^i = \sum\limits_{j = 1}^72^{j-1} = \frac{1\cdot (2^7-1)}{2-1} = 127.$$

解説・方針

  • 約数の和の典型問題の公倍数の和へのアレンジ問題.
  • $a = \pm p_1{}^{e_1}\cdots p_r{}^{e_r}$ ($p_k$: 相異なる素数, $e_k$: 正整数)の正の約数は \[ S = (1+p_1+\dots +p_1{}^{e_1})\dots (1+p_r+\dots +p_r{}^{e_r})\] の展開式の項にもれなく現れるから, その総和は $S.$
  • 等比数列の和の公式を用いる.

問題≪約数の平方和の素因数分解≫

(1)
$100$ の正の約数の総和 $S$ を求め, それを素因数分解せよ.
(2)
$100$ の正の約数の $2$ 乗の総和 $T$ を素因数分解せよ.

解答例

(1)
$100 = 2^2\cdot 5^2$ だから, $100$ の正の約数は \[ 2^i\cdot 5^j \quad (i,\ j \in \{ 0,\ 1,\ 2\})\] の形に表される. これらはすべて $(1+2+2^2)(1+5+5^2)$ を展開した項として現れるから, その総和は \begin{align*} S & = (1+2+2^2)(1+5+5^2) \\ &= 7\cdot 31 = 217 \quad \cdots [1]. \end{align*} $7,$ $31$ は素数だから, $S$ の素因数分解は $S = 7\cdot 31.$
(2)
$100$ の正の約数の $2$ 乗は, \[ (2^i\cdot 5^j)^2 = 2^{2i}\cdot 5^{2j} \quad (i,\ j \in \{ 0,\ 1,\ 2\})\] の形に表される. これらはすべて $(1+2^2+2^4)(1+5^2+5^4)$ を展開した項として現れるから, その総和は \begin{align*} T &= (1+2^2+2^4)(1+5^2+5^4) \\ &= 21\times 651 = 3\cdot 7\times 3\cdot 217 \\ &= 3^2\cdot 7^2\cdot 31 \quad (\because [1]). \end{align*} これが求める素因数分解である.

問題≪等差数列と等比数列の共通項≫

(1)
任意の実数 $r,$ 自然数 $n$ に対して次の等式が成り立つことを示せ: $$r^n-1 = (r-1)\sum\limits_{i = 1}^nr^{i-1}.$$
(2)
一般項がそれぞれ $a_n = 3n+2,$ $b_n = 2^n$ である数列 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\}$ の共通項を小さい順に並べて得られる数列 $\{ c_n\}$ について, $c_1,$ $c_2,$ $c_3$ を求めて $\{ c_n\}$ の一般項を推測し, (1) を用いてその推測が正しいことを示せ.

解答例

(1)
$r \neq 0,$ $r \neq 1$ のとき, 初項 $1,$ 公比 $r,$ 項数 $n$ の等比数列の和は, \begin{align*} \sum\limits_{i = 1}^nr^{i-1} &= \frac{1\cdot (r^n-1)}{r-1}. \\ \therefore r^n-1 &= (r-1)\sum\limits_{i = 1}^nr^{i-1} \cdots [1]. \end{align*} $0^n-1 = -1 = (0-1)\sum\limits_{i = 1}^n0^{i-1}$ より, $[1]$ は $r = 0$ のときも成り立つ.
$1^n-1 = 0 = (1-1)\sum\limits_{i = 1}^n1^{i-1}$ より, $[1]$ は $r = 1$ のときも成り立つ.
よって, 任意の実数 $r,$ 自然数 $n$ に対して $[1]$ が成り立つ.
(2)
数列 $\{ b_n\}$ の第 $n$ 項が数列 $\{ a_n\}$ のある項に等しいとき, $2^n = 3m+2,$ すなわち $$2^n-2 = 3m \cdots [2]$$ を満たす自然数 $m$ が存在する.
数列 $\{ b_n\}$ の項を順に書き出すと, $$2,\ 4,\ 8,\ 16,\ 32,\ 64,\ 128,\ \cdots.$$ このうち, 数列 $\{ a_n\}$ に共通する項を順にとると, $$c_1 = 8,\quad c_2 = 32,\quad c_3 = 128.$$ よって, 数列 $\{ c_n\}$ の一般項は $c_n = 2^{2n+1}$ と推測できる.
そこで, $[2]$を満たす自然数 $m$ が存在するか否かを $n$ の偶奇性で場合分けして確かめる.
(i)
$n$ が偶数のとき. $n = 2d$ を満たす自然数 $d$ が存在する. \begin{align*} 2^n-2 &= 2^{2d}-2 \\ &= (4^d-1)-1 \\ &= (4-1)\sum\limits_{i = 1}^d4^{i-1}-1\quad (\because [1]) \\ &= 3\sum\limits_{i = 1}^d4^{i-1}-1. \end{align*} これは $3$ の倍数でないから, $[2]$ を満たす自然数 $m$ は存在しない.
(ii)
$n = 1$ のとき. 任意の自然数 $m$ に対して $2^1 < 3m+2$ だから, $[2]$ を満たす自然数 $m$ は存在しない.
(iii)
$n > 1$ が奇数のとき, $n = 2d+1$ を満たす自然数 $d$ が存在する. \begin{align*} 2^n-2 &= 2^{2d+1}-2 \\ &= 2(2^{2d}-1) \\ &= 2(4^d-1) \\ &= 2\cdot (4-1)\sum\limits_{i = 1}^d4^{i-1}\quad (\because [1]) \\ &= 3\cdot 2\sum\limits_{i = 1}^d4^{i-1}. \end{align*} よって, 自然数 $m = 2\sum\limits_{i = 1}^d4^{i-1}$ は $[2]$ を満たす.
(i)~(iii) より, $n = 2d+1$ ($d$: 自然数)のときに限り, $b_n$ は $\{ a_n\}$ のある項に等しい.
ゆえに, $\{ c_n\}$ の一般項は, $$c_n = 2^{2n+1}.$$

問題≪確率の等比数列の和≫

 A, B の $2$ 人がそれぞれさいころを振って出た目を $a,$ $b$ とする. $a \geqq b$ のとき A に $1$ 点, $a < b$ のとき B に $1$ 点を与えるという試行を A, B の得点差が $2$ になるまで続け, 得点が多い方を勝ちとする. $2m$ 回以下, $2m+1$ 回以下の試行で A が勝つ確率 $p_{2m},$ $p_{2m+1}$ をそれぞれ求めよ.

解答例

 $k$ 回目に A, B が出した目をそれぞれ $a_k,$ $b_k$ とおくと, $a_k \geqq b_k$ となる確率は $\dfrac{21}{36} = \dfrac{7}{12},$ $a_k < b_k$ となる確率は $1-\dfrac{7}{12} = \dfrac{5}{12}.$
A, B の得点差が偶数となるのは偶数回後だから, 勝敗が決まるのは偶数回後に限る.
$2k$ 回目では次のいずれかが起こる.
(i)
A が勝つ.
$\left\{\begin{array}{l} a_{2k-1} \geqq b_{2k-1}, \\ a_{2k} \geqq b_{2k} \end{array}\right.$ より, その確率は $\left(\dfrac{7}{12}\right) ^2 = \dfrac{49}{144}.$
(ii)
B が勝つ.
(iii)
A, B の得点差は $0.$
$\left\{\begin{array}{l} a_{2k-1} \geqq b_{2k-1}, \\ a_{2k} < b_{2k} \end{array}\right.$ または $\left\{\begin{array}{l} a_{2k-1} < b_{2k-1}, \\ a_{2k} \geqq b_{2k} \end{array}\right.$ より, その確率は $\dfrac{7}{12}\cdot\dfrac{5}{12}+\dfrac{7}{12}\cdot\dfrac{5}{12} = \dfrac{35}{72}.$
ちょうど $2k$ 回後に A が勝つのは, (iii) が $k-1$ 回続いた直後に (i) が起こる場合に限る.
よって, その確率を $q_{2k}$ とおくと, \[ q_{2k} = \left(\frac{35}{72}\right) ^{k-1}\cdot\frac{49}{144}\] となり, $\{ q_{2k}\}$ は初項 $\dfrac{49}{144},$ 公比 $\dfrac{35}{72}$ の等比数列となる.
$2m$ 回以下, $2m+1$ 回以下で A が勝つのは $2$ 回後, $\dots,$ $2m$ 回後に限り, それらは互いに排反だから, \begin{align*} p_{2m} = p_{2m+1} &= \sum\limits_{k = 1}^mq_{2k} \\ &= \frac{49}{144}\left( 1-\left(\frac{35}{72}\right) ^m\right)\div\left( 1-\dfrac{35}{72}\right) \\ &= \frac{49}{74}\left( 1-\left(\frac{35}{72}\right) ^m\right). \end{align*}

解説

 $\lim\limits_{m \to \infty}p_{2m} = \dfrac{49}{74}$ より(数列の極限を参照), A の勝率は約 $\dfrac{2}{3}$ だから, A はかなり優勢だと言える.

問題≪格子点の個数・対数関数≫

 $n$ を正の整数とする. 連立不等式 \[ 0 < x \leqq 2^n\ \cdots [1], \quad 0 < y \leqq \log _2x\ \cdots [2]\] の整数解 $(x,\ y)$ の個数を求めよ.

解答例

 $(x,\ y)$ を $[1],$ $[2]$ の整数解とする. $y = k$ のとき, $x$ は $2^k \leqq x \leqq 2^n$ なる $2^n-2^k+1$ 個のすべての整数値をとり得る.
$[1],$ $[2]$ と $\log _2$ の単調性より, $0 < x \leqq n.$ ゆえに, 求める整数解の個数は, \begin{align*} \sum\limits_{k = 1}^n(2^n-2^k+1) &= n(2^n+1)-\frac{2(2^n-1)}{2-1} \\ &= n(2^n+1)-2^{n+1}+2. \end{align*}