COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

数式を枠からはみ出さずに表示するためには, 画面を横に傾けてください(532 ピクセル以上推奨).

ヘロンの三角形

ヘロンの三角形

定義≪ヘロンの三角形≫

 $3$ 辺の長さと面積が整数であるような三角形をヘロンの三角形(Heronian triangle)と呼ぶ. また, ヘロンの三角形の $3$ 辺の長さ $a,$ $b,$ $c$ の組 $(a,b,c)$ $(a \leqq b \leqq c)$をヘロン数(Heronian number)と呼ぶ.

定理≪ヘロンの三角形とピタゴラスの三角形の関係≫

 すべてのヘロンの三角形は, ある辺の長さ $a$ について $2a$ のある約数倍(例えば最小辺の $2$ 倍)に拡大すると, $2$ つのピタゴラスの三角形の和集合または差集合として表せる.

証明

 こちらを参照.

定理≪ヘロン数の一般式≫

 すべてのヘロン数の比は, \[ mn > k^2 \geqq \frac{m^2n}{2m+n}, \quad m \geqq n\] なる互いに素な正の整数 $m,$ $n,$ $k$ を用いて \[ a:b:c = n(m^2+k^2):m(n^2+k^2):(m+n)(mn-k^2)\] で表される.

問題

数学 I: 図形と計量

問題≪ヘロンの三角形≫

 $\triangle\mathrm{ABC}$ の頂点 $\mathrm A$ から $\mathrm{BC}$ に下した垂線の足を $\mathrm H$ とおく.
(1)
$a = \mathrm{BC},$ $b = \mathrm{CA},$ $c = \mathrm{AB}$ と $S = \triangle\mathrm{ABC}$ を用いて $\dfrac{\mathrm{AH}}{c},$ $\dfrac{\mathrm{BH}}{c},$ $\dfrac{\mathrm{CH}}{b}$ を表せ.
(2)
$a,$ $b,$ $c$ と $S$ がすべて整数であるとき, $a\cdot\mathrm{AH},$ $2a\cdot\mathrm{BH},$ $2a\cdot\mathrm{CH}$ はすべて整数であることを示せ.

解答例

(1)
三角比の定義, 三角形の面積の公式と余弦定理により, \begin{align*} \frac{\mathrm{AH}}{c} &= \sin B = \frac{2S}{ca} \quad \cdots [1], \\ \frac{\mathrm{BH}}{c} &= |\cos B| = \frac{|c^2+a^2-b^2|}{2ca} \quad \cdots [2], \\ \frac{\mathrm{CH}}{b} &= |\cos C| = \frac{|a^2+b^2-c^2|}{2ab} \quad \cdots [3] \end{align*} が成り立つ.
(2)
$[1]$~$[3]$ から, \begin{align*} a\cdot\mathrm{AH} &= 2S, \\ 2a\cdot\mathrm{BH} &= |c^2+a^2-b^2|, \\ 2a\cdot\mathrm{CH} &= |a^2+b^2-c^2| \end{align*} が成り立つ. $a,$ $b,$ $c$ と $S$ がすべて整数であるとき, これらの値は整数である.

背景

 $3$ 辺の長さと面積がすべて整数であるような三角形を「ヘロンの三角形」(Heronian triangle)と呼ぶ. 本問の結果から, すべての「ヘロンの三角形」は, ある辺の長さ $a$ について $2a$ のある約数倍(例えば最小辺の $2$ 倍)に拡大すると, $3$ 辺の長さがすべて整数であるような $2$ つの直角三角形(「ピタゴラスの三角形」と呼ばれる)の和集合または差集合として表せることが分かる.