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真の理解のためのシンプルな数学のノート

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数学的帰納法

理論

数学的帰納法

 自然数全体 $\mathbb N$ 上では, 命題を帰納的に証明できる.

定理≪数学的帰納法(Proof by mathematical induction)≫

 自然数 $n$ に関する命題 $\varphi (n)$ について, 次の条件が同時に成り立つならば, 任意の自然数 $n$ に対して $\varphi (n)$ は真である:
(i)
$\varphi (1)$ は真.
(ii)
任意の自然数 $n$ に対して, $\varphi (n)$ が真$\Longrightarrow$ $\varphi (n+1)$ は真.
 (ii) において, $\varphi (n)$ が真という命題を帰納法の仮定と呼ぶ.

出発点の一般化

定理≪出発点を一般化した帰納法≫

 $m$ を任意の整数とする. 整数 $n \geqq m$ に関する命題 $\varphi (n)$ について, 次の条件が同時に成り立つならば, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して $\varphi (n)$ は真である:
(i)
$\varphi (m)$ は真.
(ii)
任意の整数 $n \geqq m$ に対して, $\varphi (n)$ が真$\Longrightarrow$ $\varphi (n+1)$ は真.

証明

 自然数 $n$ に関する命題 $\psi (n)$ を $\psi (n) = \varphi(n+m-1)$ により定める.
このとき, (i) より, $\psi (1) = \varphi (1+m-1) = \varphi (m)$ は真.
また, 任意の自然数 $n$ に対して, $n \geqq 1$ より $n+m-1 \geqq m$ だから, (ii) より, $\psi (n) = \varphi (n+m-1)$ が真$\Longrightarrow$ $\psi (n+1) = \varphi (n+m-1+1)$ は真.
よって, 数学的帰納法より, 任意の自然数 $n$ に対して $\psi (n) = \varphi (n+m-1)$ は真.
ゆえに, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して $\varphi (n)$ は真.

強い仮定の帰納法

 数学的帰納法を拡張した強い仮定の帰納法もしばしば有用である.

定理≪多段仮定の帰納法≫

 $m$ を任意の整数, $r$ を任意の自然数とする. 整数 $n \geqq m$ に関する命題 $\varphi (n)$ について, 次の条件が同時に成り立つならば, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して $\varphi (n)$ は真である:
(i)
各整数 $m \leqq i \leqq m+r-1$ に対し $\varphi (i)$ は真.
(ii)
任意の整数 $n \geqq m$ に対して, 各自然数 $n \leqq i \leqq n+r-1$ に対し $\varphi (i)$ が真$\Longrightarrow$ $\varphi (n+r)$ は真.

証明

 (ii) は次の命題と同値である: 任意の整数 $n \geqq m$ に対して, 各整数 $n \leqq i \leqq n+r-1$ に対し $\varphi (i)$ が真$\Longrightarrow$各整数 $n+1 \leqq i \leqq n+r$ に対し $\varphi (i)$ は真.
よって, 出発点を一般化した帰納法より, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して, 各整数 $n \leqq i \leqq n+r-1$ に対し $\varphi (i)$ は真.
ゆえに, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して $\varphi (n)$ は真.

定理≪全段仮定の帰納法≫

 $m$ を任意の整数とする. 整数 $n \geqq m$ に関する命題 $\varphi (n)$ について, 次の条件が同時に成り立つならば, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して $\varphi (n)$ は真である:
(i)
$\varphi (m)$ は真.
(ii)
任意の整数 $n \geqq m$ に対して, 各整数 $m \leqq k \leqq n$ に対し $\varphi (k)$ が真$\Longrightarrow$ $\varphi (n+1)$ は真.

証明

 (i) は次の命題と同値である: 各整数 $m \leqq k \leqq m$ に対し $\varphi (k)$ は真.
 (ii) は次の命題と同値である: 任意の整数 $n \geqq m$ に対して, 各整数 $m \leqq k \leqq n$ に対し $\varphi (k)$ が真$\Longrightarrow$各整数 $m \leqq k \leqq n+1$ に対し $\varphi (k)$ は真.
よって, 出発点を一般化した帰納法より, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して, 各整数 $m \leqq k \leqq n$ に対し $\varphi (k)$ は真.
ゆえに, 任意の整数 $n \geqq m$ に対して $\varphi (n)$ は真.

問題

数学的帰納法

問題≪指数関数の線形和の倍数性≫

 任意の正整数 $n$ に対して $3^{2n-1}+5^n$ は $4$ の倍数であることを示せ.

解答例

(i)
$n = 1$ のとき. $3^{2\cdot 1-1}+5^1 = 8$ より, $3^{2n-1}+5^n$ は $4$ の倍数である.
(ii)
$n = k$ のとき, $3^{2k-1}+5^k$ を $5$ の倍数とすると, \[ 3^{2k-1}+5^k = 4d \quad \cdots [1]\] を満たす整数 $d$ が存在して \begin{align*} &3^{2(k+1)-1}+5^{k+1} = 9\cdot 3^{2k-1}+5\cdot 5^k \quad \cdots [2] \\ &= 9(3^{2k-1}+5^k)-9\cdot 5^k+5\cdot 5^k \quad \cdots [3] \\ &= 9\cdot 4d-4\cdot 5^k = 4(9d-5^k). \end{align*} となり, $9d-5^k$ は整数だから, $n = k+1$ のときも $3^{2n-1}+5^n$ は $4$ の倍数である.
(i), (ii) より, 任意の正整数 $n$ に対して $3^{2n-1}+5^n$ は $4$ の倍数である.

解説

 $m,$ $n$ を正整数とする.
  • 恒等式 $x^n-y^n = (x-y)\sum\limits_{k = 0}^{n-1}x^ky^{n-1-k}$ に $(x,\ y) = (5,\ 2)$ を代入すると, $5^n-2^n$ は $5-2 = 3$ の倍数であることが分かる.
  • $n$ を奇数 $2m+1,$ $y$ を $-y$ に置き換えて得られる恒等式 $x^{2m+1}+y^{2m+1} = (x+y)\sum\limits_{k = 0}^{2m}x^k(-y)^{2m-k}$ に $(x,\ y) = (2,\ 3)$ を代入すると, $2^{2m+1}+3^{2m+1}$ は $2+3 = 5$ の倍数であることが分かる.
    $16^n+9^{2n-1}$ はこのように因数分解できないので, 数学的帰納法を使う.
  • $n = k+1$ の場合の式 $[2]$ を帰納法の仮定 $[1]$ が使える式 $[3]$ に変形することが証明のポイントである.
  • 上記の解答では $n$ を変数とみなし, その値として文字 $k$ を導入した. しかし, 次のように $n$ を与えられた値として扱う($n$ を固定するという)ことを明記すれば, このように新しい文字を持ち出す必要はない. 以下, 解答の簡潔と文字の節約のため, この方針に従う.

解答例

(i)
$n = 1$ のとき. $16^1+9^{2\cdot 1-1} = 25$ より, $16^n+9^{2n-1}$ は $5$ の倍数である.
(ii)
与えられた正整数 $n$ に対して $16^n+9^{2n-1}$ が $5$ の倍数であるとすると, $16^n+9^{2n-1} = 5d$ を満たす整数 $d$ が存在して \[ 16^{n+1}+9^{2(n+1)-1} = \cdots = 5(16d+13\cdot 9^{2n-1})\] となり, $16d+13\cdot 9^{2n-1}$ は整数だから, $16^{n+1}+9^{2(n+1)-1}$ は $5$ の倍数である.
(i), (ii) より, 任意の正整数 $n$ に対して $16^n+9^{2n-1}$ は $5$ の倍数である.

問題≪整数値をとる多項式≫

 任意の正の整数 $n$ に対して, 次の値は整数であることを示せ. \[ f(n) = \frac{n^5}{5}+\frac{n^4}{2}+\frac{n^3}{3}-\frac{n}{30}.\]

解答例

 $30f(n) = 6n^5+15n^4+10n^3-n$ より, \begin{align*} &30\big( f(n+1)-f(n)\big) \\ &= 6\big( (n+1)^5-n^5\big) +15\big( (n+1)^4-n^4\big) \\ &\qquad +10\big( (n+1)^3-n^3\big) -\big( (n+1)-n\big) \\ &= 6(5n^4\!+\!10n^3\!+\!10n^2\!+\!5n\!+\!1)\!+\!15(4n^3\!+\!6n^2\!+\!4n\!+\!1) \\ &\qquad +\!10(3n^2\!+\!3n\!+\!1)\!-\!1 \\ &= 30n^4+120n^3+180n^2+120n+30 \\ &= 30(n^4+4n^3+6n^2+4n+1) \\ &= 30(n+1)^4 \end{align*} となるから(パスカルの三角形を使う), \[ f(n+1)-f(n) = (n+1)^4.\] また, \[ f(1) = \frac{1}{30}(6+15+10-1) = 1^4.\] よって, 帰納法により, 任意の正の整数 $n$ に対して $f(n) = \sum\limits_{k = 1}^nk^4$ であること, 特に $f(n)$ は整数であることが示される.

問題≪有限小数の桁数≫

 $n$ を正の整数とする. $2^{-n}$ を十進小数で表すとき, 小数点以下の桁数を求めよ.

解答例

(i)
$n = 1$ のとき. $2^{-1} = 0.5$ の小数点以下の桁数は $1$ で, 最下位の数字は $5.$
(ii)
与えられたある正の整数 $n$ に対して $2^{-n}$ の小数点以下の桁数が $n$ で最下位の数字が $5$ であるとする. このとき, 非負整数 $c$ を用いて $2^{-n} = c10^{-n+1}+5\cdot 10^{-n}$ と書けて \begin{align*} 2^{-(n+1)} &= (c10^{-n+1}+5\cdot 10^{-n})2^{-1} \\ &= c10^{-n+1}\cdot 2^{-1}+2.5\cdot 10^{-n} \\ &= c10^{-n}\cdot 10\cdot 2^{-1}+2\cdot 10^{-n}+5\cdot 10^{-(n+1)} \\ &= (5c+2)10^{-n}+5\cdot 10^{-(n+1)} \end{align*} となるから, $5c+2 > 0$ に注意すると, $2^{-(n+1)}$ の小数点以下の桁数は $n+1$ で最下位の数字は $5$ である.
(i), (ii) より, 任意の正の整数 $n$ に対して, $2^{-n}$ の小数点以下の桁数は $n.$

解説

\[ 2^{-1} = 0.5, \quad 2^{-2} = 0.25, \quad 2^{-3} = 0.125, \quad 2^{-4} = 0.0625\] より, $2^{-n}$ の小数点以下の桁数が $n$ であることを帰納法で示せば良いという方針が浮かぶ.
しかし, 帰納法の仮定で $2^{-n}$ の最下位の数字が $5$ という条件を付加しないと上記のような議論はできない.
例えば, 小数点以下の桁数が $n$ で最下位の数字が $2$ の有限小数 $a$ を $2$ で割っても桁数は変わらず, $a$ を $4$ で割って初めて桁数が $1$ つ増える.

問題≪$x^2-dy^2 = c^n$ の整数解≫

(1)
$(xu+dyv)^2-d(xv+yu)^2$ を因数分解せよ.
(2)
各正整数 $n$ に対して \[ x^2-2y^2 = 2^n \quad \cdots [\ast ]\] の整数解が存在することを示せ.

解答例

(1)
与式を展開して整理すると, \begin{align*} &(xu+dyv)^2-d(xv+yu)^2 \\ &= (x^2u^2+2dxyuv+d^2y^2v^2) \\ &\qquad -(dx^2v^2+2dxyuv+dy^2u^2) \\ &= xu^2-dx^2v^2-dy^2u^2+d^2y^2v^2 \\ &= (x^2-dy^2)(u^2-dv^2) \quad \cdots [1]. \end{align*}
(2)
(i)
$n = 1$ のとき, \[ 2^2-2\cdot 1^2 = 2^1 \quad \cdots [2]\] より, $[\ast ]$ は整数解を持つ.
(ii)
与えられた正整数 $n$ に対して $[\ast ]$ の整数解 $x,$ $y$ の存在を仮定する. このとき, $[1]$ に $d = 2,$ $(u,\ v) = (2,\ 1)$ を代入すると, $[2]$ より \begin{align*} &(2x-2y)^2-2(x+2y)^2 \\ &= (x^2-2y^2)(2^2-2\cdot 1^2) = 2^{n+1} \end{align*} となるから, $x^2-2y^2 = 2^{n+1}$ は整数解を持つ.
(i), (ii) より, 各正整数 $n$ に対して $[\ast ]$ は整数解を持つ.

問題≪ベルヌーイの不等式≫

(1)
すべての正の整数 $n$ に対して, \[ (1+x_1)\cdots (1+x_n) \geqq 1+\sum_{k = 1}^nx_k\ (x_k \geqq 0) \quad \cdots [1]\] が成り立つことを示せ.
(2)
すべての正の整数 $n$ に対して, \[ (1+x)^n \geqq 1+nx\ (x \geqq 0) \quad \cdots [2]\] が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
(i)
$(1+x_1)^1 = 1+x_1$ から, $n = 1$ のとき $[1]$ が成り立つ.
(ii)
与えられた正の整数 $n$ に対して $[1]$ が成り立つとする. $x_{n+1} \geqq 0$ のとき, $1+x_{n+1} \geqq 0$ であるから, $[1]$ の両辺に $1+x_{n+1}$ を掛けると, \begin{align*} &(1+x_1)\cdots (1+x_n)(1+x_{n+1}) \\ &\geqq \left( 1+\sum_{k = 1}^nx_k\right) (1+x_{n+1}) \\ &= 1+\sum_{k = 1}^nx_k+x_{n+1}+x_{n+1}\sum_{k = 1}^nx_k \\ &\geqq 1+\sum_{k = 1}^{n+1}x_k \quad \left(\because x_{n+1}\sum_{k = 1}^nx_k \geqq 0\right) \end{align*} となる.
(i), (ii) から, すべての正の整数 $n$ に対して $[1]$ が成り立つ.
(2)
$[1]$ において $x_1 = \cdots = x_n = x$ とすると, $[2]$ が得られる.

補足

 (1) と同様の方法によって, $x \geqq -1$ のとき $x+1 \geqq 0$ であることから, $[2]$ は $x \geqq -1$ において成り立つことが示される. また, 証明法によっては, $x \geqq -2$ において $[2]$ の成り立つことが示せる. \begin{align*} A &= (1+x)^{n+1}-(1+x)^n-(1+(n+1)x)+(1+nx) \\ &= (1+x)^n(1+x-1)-x = (1+x)^nx-x \\ &= x((1+x)^n-1) \end{align*} は, $x > 0$ のとき正である. $-2 \leqq x \leqq 0$ のとき, $-1 \leqq 1+x \leqq 1$ つまり $|1+x| \leqq 1$ から, \[ (1+x)^n-1 \leqq 0\] であるので, $A \geqq 0$ が成り立つ. よって, $x \geqq -2$ のとき \[ (1+x)^{n+1}-(1+x)^n \geqq (1+(n+1)x)-(1+nx)\] つまり \[ (1+x)^{n+1}-(1+(n+1)x) \geqq (1+x)^n-(1+nx)\] であるから, $(1+x)^1-(1+1\cdot x) = 0$ と帰納法により $(1+x)^n \geqq 1+nx$ が成り立つ.

出発点の一般化

問題≪平方根の逆数の和の評価≫

 $2$ 以上の任意の整数 $n$ に対して, 次の不等式が成り立つことを示せ. \[\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{\sqrt k} < 2\sqrt n-1 \quad \cdots [\ast ].\]

解答例

(i)
$n = 2$ のとき. \[ (2\sqrt 2-1)-\left(\frac{1}{\sqrt 1}+\frac{1}{\sqrt 2}\right) = \frac{3-2\sqrt 2}{\sqrt 2} > 0\] より, $[\ast ]$ が成り立つ.
(ii)
$2$ 以上の与えられた整数 $n$ に対して $[\ast ]$ の成立を仮定すると, 両辺に $\dfrac{1}{\sqrt{n+1}}$ を加えることにより \[\sum\limits_{k = 1}^{n+1}\frac{1}{\sqrt k} < 2\sqrt n-1+\frac{1}{\sqrt{n+1}} \quad \cdots [1]\] となるが, \begin{align*} & (2\sqrt{n+1}-1)-\left( 2\sqrt n-1+\frac{1}{\sqrt{n+1}}\right) \\ &= \frac{2(n+1)-2\sqrt n\sqrt{n+1}-1}{\sqrt{n+1}} \\ &= \frac{(2n+1)-2\sqrt n\sqrt{n+1}}{\sqrt{n+1}} \\ &= \frac{\sqrt{4n^2+4n+1}-\sqrt{4n^2+4n}}{\sqrt{n+1}} > 0 \end{align*} より \[ 2\sqrt n-1+\frac{1}{\sqrt{n+1}}< 2\sqrt{n+1}-1 \quad \cdots [2]\] が成り立つから, \[\sum\limits_{k = 1}^{n+1}\frac{1}{\sqrt k} < 2\sqrt{n+1}-1 \quad \cdots [3]\] となる.
(i), (ii) より, $2$ 以上の任意の整数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つ.

解説・方針

  • 帰納法による不等式の証明の典型問題.
  • $1/\sqrt 1 = 2\sqrt 1-1$ より, $n = 1$ のとき $[\ast ]$ は成り立たないので, $n = 2$ が帰納法による証明の出発点となる.
  • $[\ast ]$ の両辺に $1/\sqrt{n+1}$ を加えた不等式 $[1]$ を考えると, 左辺は示したい不等式 $[3]$ の左辺に一致するが, 右辺は一致しない. そこで, \[ ([1]\text{ の右辺}) < ([3]\text{ の右辺}) \quad \cdots [2]\] を示す. つまり, $3$ 段論法 ``$A > B,$ $B > C$ $\Longrightarrow$ $A > C$'' を用いる.

問題≪数列の大小の比較≫

 正整数 $n$ に対して $n^2$ と $2^n$ の大小を比較せよ.

解答例

 $1 \leqq n \leqq 8$ において $n^2,$ $2^n$ の値は次のようになる.
$n$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$
$n^2$$1$$4$$9$$16$$25$$36$$49$$64$
$2^n$$2$$4$$8$$16$$32$$64$$128$$256$
そこで, $5$ 以上の任意の整数 $n$ に対して $n^2 < 2^n$ を示す.
(i)
$n = 5$ のとき, 表より $n^2 < 2^n$ が成り立つ.
(ii)
$5$ 以上の与えられた整数 $n$ に対して $n^2 < 2^n$ を仮定すると, \begin{align*} &2^{n+1}-(n+1)^2 = 2\cdot 2^n-(n^2+2n+1) \\ &= 2(2^n-n^2)+(n^2-2n-1) = 2(2^n-n^2)+(n-1)^2-2 \\ &> 2\cdot 0+(4-1)^2-2 \quad (\because n > 4) \\ &= 7 > 0 \end{align*} より $(n+1)^2 < 2^{n+1}$ となる.
(i), (ii) より, $5$ 以上の任意の整数 $n$ に対して $n^2 < 2^n$ が成り立つ. ゆえに, $n = 1,$ $n \geqq 5$ のとき $n^2 < 2^n,$ $n = 2,$ $4$ のとき $n^2 = 2^n,$ $n = 3$ のとき $n^2 > 2^n.$

解説・方針

  • 数列の大小関係を予想し, それを帰納法で示す問題.
  • 「底が $1$ より大きい指数関数は多項式関数より速く増加する」というイメージから, ある整数 $m$ に対して $n \geqq m$ $\Longrightarrow$ $n^2 < 2^n$ が成り立つと予想できる.
  • $n$ が小さいときの大小関係を実験的に確かめることにより, $m$ の値を推定して, 予想が正しいことを帰納法で示す.
  • こちらの問題も参照されたい.

強い仮定の帰納法

問題≪$2$ 次方程式の解の対称式の整数性≫

 $p,$ $q$ を整数とする. $\alpha,$ $\beta$ を $2$ 次方程式 $x^2+px+q = 0$ の $2$ 解とし, 各自然数 $n$ に対して $a_n = \alpha ^n+\beta ^n$ とおく.
(1)
任意の自然数 $n$ に対して $a_n$ は整数であることを示せ.
(2)
任意の自然数 $n$ に対して $a_{3n}-a_n{}^3$ は $3$ の倍数であることを示せ.

解答例

(1)
(i)
$2$ 次方程式 $x^2+px+q = 0$ の解と係数の関係より, $$\alpha +\beta = -p,\quad\alpha\beta = q.$$ よって, $a_1 = \alpha +\beta$ は整数である. 更に, \begin{align*} a_2 &= \alpha ^2+\beta ^2 \\ &= (\alpha +\beta )^2-2\alpha\beta \\ &= p^2-2q \end{align*} も整数である.
(ii)
任意に与えられたある自然数 $n$ に対して $a_n,$ $a_{n+1}$ を整数とすると, \begin{align*} a_{n+2} &= \alpha ^{n+2}+\beta ^{n+2} \\ &= (\alpha ^{n+1}+\beta ^{n+1})(\alpha +\beta )-\alpha\beta (\alpha ^n+\beta ^n) \\ &= -pa_{n+1}-qa_n \end{align*} も整数である.
(i), (ii) より, 任意の自然数 $n$ に対して $a_n$ は整数である.
(2)
恒等式 $(x+y)^3 = x^3+3xy(x+y)+y^3$ より, \begin{align*} a_{3n} &= \alpha ^{3n}+\beta ^{3n} \\ &= (\alpha ^n)^3+(\beta ^n)^3 \\ &= (\alpha ^n+\beta ^n)^3-3\alpha ^n\beta ^n(\alpha ^n+\beta ^n) \\ &= (\alpha ^n+\beta ^n)^3-3(\alpha\beta )^n(\alpha ^n+\beta ^n) \\ &= a_n{}^3-3q^na_n. \\ \therefore a_{3n}-a_n{}^3 &= -3q^na_n. \end{align*} $q,$ $a_n$ は整数だから, $a_{3n}-a_n{}^3$ は $3$ の倍数である.

問題≪円周率の有理数倍の余弦が有理数になる条件≫

(1)
すべての正の整数 $n$ と定数 $\theta$ に対して, $f_n(2\cos\theta ) = 2\cos n\theta$ を満たし, 最高次の係数が $1$ であるような整数係数多項式 $f_n(x)$ が存在することを示せ.
(2)
最高次の係数が $1$ であるようなすべての整数係数多項式 $\varphi (x)$ に対して, $\varphi (x) = 0$ が有理数解 $\alpha$ を持つならば, $\alpha$ は整数解であることを示せ.
(3)
鋭角 $\theta$ について, $\cos\theta$ と $\dfrac{\theta}{\pi}$ が有理数であるとき, $\theta = \dfrac{\pi}{3}$ であることを示せ.

解答例

(1)
$(n+2)\theta = (n+1)\theta +\theta,$ $n\theta = (n+1)\theta -\theta$ から, 加法定理により, \begin{align*} \cos (n+2)\theta &= \cos (n+1)\theta\cos\theta -\sin (n+1)\theta\sin\theta, \\ \cos n\theta &= \cos (n+1)\theta\cos\theta +\sin (n+1)\theta\sin\theta \end{align*} が成り立つ. よって, \[\cos (n+2)\theta = 2\cos (n+1)\theta\cos\theta -\cos n\theta \quad \cdots [1]\] が成り立つ.
(i)
$n = 1,$ $2$ のとき, 多項式 $f_1(x) = x,$ $f_2(x) = x^2-2$ が条件を満たす.
(ii)
与えられた正の整数 $n$ に対して $f_n(x),$ $f_{n+1}(x)$ の存在を仮定すると, $[1]$ から, 多項式 $f_{n+2}(x) = f_{n+1}(x)x-f_n(x)$ が \begin{align*} &f_{n+2}(2\cos\theta ) \\ &= f_{n+1}(2\cos\theta )\cdot 2\cos\theta -f_n(2\cos\theta ) \\ &= 2\cos (n+1)\theta\cdot 2\cos\theta -2\cos n\theta \\ &= 2\cos (n+2)\theta \end{align*} を満たす.
(2)
こちらを参照.
(3)
$\cos\theta$ と $\dfrac{\theta}{\pi}$ が有理数であるとする. このとき, $0$ でないある整数 $m,$ $n$ について, $\dfrac{\theta}{\pi} = \dfrac{m}{n}$ となる. $n\theta = 2m\pi$ から $f_n(2\cos\theta ) = 2\cos n\theta = 2$ となるので, $\varphi (x) = f_n(x)-2$ とおくと, $\alpha = 2\cos\theta$ は $\varphi (x) = 0$ の解である. $\varphi (x)$ は最高次の係数が $1$ であるような整数係数多項式であるから, (2) を適用すると, $\alpha$ は整数である. $\theta$ が鋭角であることから $0 < 2\cos\theta < 2$ であるので, $2\cos\theta = 1$ から, $\theta = \dfrac{\pi}{3}$ となる.

問題≪除法の定理の証明≫

 次の「除法の定理」を示せ: 任意の整数 $a$ と正整数 $b$ に対して \[ a = bq+r\ \cdots [1], \quad 0 \leqq r < b\ \cdots [2]\] を満たす整数 $q,$ $r$ が唯 $1$ 組存在する.

解答例

 こちらを参照.