COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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方程式の整数解

問題

$1$ 次不定方程式

問題≪$1$ 次不定方程式≫

(1)
$x,$ $y$ の方程式 \[ 45x+38y = 1 \quad \cdots [\ast ]\] の整数解を $1$ 組求めよ.
(2)
$[\ast ]$ の整数解をすべて求めよ.

解答例

(1)
\begin{align*} 45 &= 38+7 \quad \cdots [1], \\ 38 &= 7\cdot 5+3 \quad \cdots [2], \\ 7 &= 3\cdot 2+1 \quad \cdots [3] \end{align*} より, \begin{align*} \therefore 1 &= 7-3\cdot 2 \quad (\because [3]) \\ &= 7-(38-7\cdot 5)\cdot 2 \quad (\because [2]) \\ &= 7\cdot 11-38\cdot 2 \\ &= (45-38)\cdot 11-38\cdot 2 \quad (\because [1]) \\ &= 45\cdot 11+38\cdot (-13). \quad \cdots [4] \end{align*} よって, $[\ast ]$ の解の $1$ つは, $(x,\ y) = (11,\ -13).$
(2)
$[\ast ],$ $45\cdot 11+38\cdot (-13) = 1$ の辺々を引くと, \[ 45(x-11)+38(y+13) = 0.\] よって, $45,$ $38$ が互いに素であることに注意すると, $[\ast ]$ の整数解 $x,$ $y$ が与えられば \[ 45(x-11) = -38(y+13) = 45\cdot 38n \quad \cdots [5]\] を満たす整数 $n$ が定まる.
逆に, $[5]$ を満たす整数 $n$ が与えられば, $[\ast ]$ の整数解 $x,$ $y$ が定まる.
ゆえに, $[\ast ]$ の整数解は,
$(x,\ y) = (38n+11,\ -45n-13)$ ($n$: 任意の整数).

問題≪$3$ 元 $1$ 次不定方程式≫

 次の方程式の整数解をすべて求めよ.
(a)
$3x+5y+7z = 1 \quad \cdots [\ast ].$ 
(b)
$2x+3y+4z-5 = 6x-7y+8z+9 = 0.$ 

解答例

(a)
$(x,\ y,\ z)$ を $[\ast ]$ の整数解とする. このとき, \[ x = \frac{1-5y-7z}{3} = \frac{1-2y-z}{3}-y-2z\] と $-y-2z$ は整数だから, $\dfrac{1-2y-z}{3}$ も整数である. そこで $1-2y-z = 3m,$ $y = n$ とおくと, \begin{align*} z &= 1-3m-2n, \\ x &= m-n-2(1-3m-2n) = 7m+3n-2. \end{align*} ゆえに, $[\ast ]$ の整数解は,
$(x,\ y,\ z) = (7m+3n-2,\ n,\ 1-3m-2n)$ ($m,$ $n$: 任意の整数).
(b)
$(x,\ y,\ z)$ を \[\left\{\begin{array}{ll} 2x+3y+4z = 5 & \cdots [1], \\ 6x-7y+8z = -9 & \cdots [2] \end{array}\right.\] の整数解とする. $(-2)\times [1]+[2]$ より, $2x-13y = -19,$ よって \[ x = \frac{13y-19}{2} = \frac{y-1}{2}+6y-9\] と $6y-9$ は整数だから, $\dfrac{y-1}{2}$ も整数である. そこで, $y-1 = 2n$ とおくと, $y = 2n+1$ となり, \[ x = n+6(2n+1)-9 = 13n-3\] となる. したがって, $[1]$ より, \begin{align*} z &= \frac{5-2x-3y}{4} = \frac{5-2(13n-3)-3(2n+1)}{4} \\ &= 2-8n. \end{align*} ゆえに, $[1],$ $[2]$ の整数解は,
$(x,\ y,\ z) = (13n-3,\ 2n+1,\ 2-8n)$ ($n$: 任意の整数).

積の形の不定方程式

問題≪$2$ 次不定方程式≫

\[ x^2-3xy+2y^2-3 = 0 \quad \cdots [\ast ]\] の正の整数解を求めよ.

解答例

\[ [\ast ] \iff (x-y)(x-2y) = 3.\] この整数解 $(x,\ y)$ に対して $x-y,$ $x-2y$ は整数だから,
$(x-y,\ x-2y) = (3,\ 1)$ または $(1,\ 3)$ または $(-1,\ -3)$ または $(-3,\ -1).$
$\therefore (x,\ y) = (5,\ 2)$ または $(-1,\ -2)$ または $(1,\ 2)$ または $(-5,\ -2).$
ゆえに, $[\ast ]$ の正の整数解は,
$(x,\ y) = (1,\ 2)$ または $(5,\ 2).$

問題≪素数の積である完全数≫

 $p,$ $q$ を素数とし, $p < q$ とする. $a = pq$ の正の約数の総和 $\sigma (a)$ が $2a$ に等しいとき, $a$ の値を求めよ.

解答例

 $a = pq$ の正の約数は, $1,$ $p,$ $q,$ $pq$ で尽くされるから, \[\sigma (a) = 1+p+q+pq.\] $\sigma (a) = 2a$ より, \[ 1+p+q+pq = 2pq.\] 整理すると, $pq-p-q+1 = 2$ となるから, \[ (p-1)(q-1) = 2.\] $p < q$ より $p-1 < q-1$ であることに注意すると, $(p-1,\ q-1) = (1,\ 2)$ より, \[ (p,\ q) = (2,\ 3).\] ゆえに, $a = pq = 6.$

解説・方針

  • 素数の積の形の完全数を求める有名問題. $\sigma (n) = 2n$ を満たす正整数を完全数(perfect number)と呼ぶ. ちなみに, 偶数の完全数は無限に存在するかという問題は未解決であるが, メルセンヌ素数は無限に存在するかという問題と等価であることが知られている.
  • $\sigma (pq)$ を書き下すと $2$ 次方程式 $pq-p-q-1 = 0$ の整数解を求める問題に帰着できる.
  • このタイプの方程式は, $(ax+b)(cx+d) = e$ の形に変形できれば, 素因数分解から整数解が求められる.

問題≪$\sqrt{n^2+12}$ が整数になる条件≫

 $n$ を非負整数とする. $\sqrt{n^2+12}$ が整数であるとき, $n$ の値を求めよ.

解答例

 $m = \sqrt{n^2+12}$ が整数であるとする. このとき, \[ m^2 = n^2+12\] から \[ 12 = m^2-n^2 = (m+n)(m-n).\] $m > n$ から $m+n > m-n \geqq 0$ であるので, $12$ の正の約数を考えると, \[ (m+n,\ m-n) = (12,\ 1),\ (6,\ 2),\ (4,\ 3).\] このとき, \[ (m,\ n) = \left(\frac{13}{2},\ \frac{11}{2}\right),\ (4,\ 2),\ \left(\frac{7}{2},\ \frac{1}{2}\right).\] $m,$ $n$ は整数であるから, $(m,\ n) = (4,\ 2)$ のみが条件を満たす. ゆえに, 求める値は $n = 2.$

解説

 数式を文字で置き換えて変形するというテクニックはしばしば有効である.

問題≪最小公倍数・最大公約数を含む方程式≫

 正整数 $a,\ b\ (a \leqq b)$ とその最小公倍数 $l,$ 最大公約数 $g$ について \[ a+b+l+g = ab \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つとき,
(1)
$2 \leqq g \leqq 4$ を示せ.
(2)
$a,$ $b$ の値を求めよ.

解答例

(1)
$g$ は $a,$ $b$ の最大公約数だから, 互いに素な正整数 $a',$ $b'$ を用いて \[ a = a'g, \quad b = b'g\] と書けて, \[ l = a'b'g\] となる. \begin{align*} &a+b+l+g = ab \quad \cdots [\ast ] \\ \iff &a'g+b'g+a'b'g+g = a'b'g^2 \\ \iff &a'b'+a'+b'+1 = a'b'g \\ \iff &(a'+1)(b'+1) = a'b'g \\ \iff &\left( 1+\frac{1}{a'}\right)\left( 1+\frac{1}{b'}\right) = g. \end{align*} $a' \geqq 1$ より $0 < \dfrac{1}{a} \leqq 1$ だから, $1 < 1+\dfrac{1}{a'} \leqq 2.$
同様に, $1 < 1+\dfrac{1}{b'} \leqq 2.$
よって, $1 < g \leqq 4.$ $g$ は正整数だから, $2 \leqq g \leqq 4.$
(2)
$a \leqq b$ より $a' \leqq b'$ であることに注意する. (1) の式変形から, \[ [\ast ] \iff (g-1)a'b'-a'-b' = 1.\]
(i)
$g = 2$ のとき, \begin{align*} [\ast ] &\iff a'b'-a'-b' = 1 \\ &\iff (a'-1)(b'-1) = 2 \\ &\iff (a'-1,\ b'-1) = (1,\ 2) \\ &\iff (a',\ b') = (2,\ 3) \end{align*} より, \[ (a,\ b) = (a'g,\ b'g) = (4,\ 6).\]
(ii)
$g = 3$ のとき, \begin{align*} [\ast ] &\iff 2a'b'-a'-b' = 1 \\ &\iff 4a'b'-2a'-2b' = 2 \\ &\iff (2a'-1)(2b'-1) = 3 \\ &\iff (2a'-1,\ 2b'-1) = (1,\ 3) \\ &\iff (a',\ b') = (1,\ 2) \end{align*} より, \[ (a,\ b) = (a'g,\ b'g) = (3,\ 6).\]
(iii)
$g = 4$ のとき, \begin{align*} [\ast ] &\iff 3a'b'-a'-b' = 1 \\ &\iff 9a'b'-3a'-3b' = 3 \\ &\iff (3a'-1)(3b'-1) = 4 \\ &\iff (3a'-1,\ 3b'-1) = (1,\ 4),\ (2,\ 2) \\ &\iff (a',\ b') = (1,\ 1) \end{align*} より, \[ (a,\ b) = (a'g,\ b'g) = (4,\ 4).\]
(i)~(iii) より, $(a,\ b) = (4,\ 6),\ (3,\ 6),\ (4, 4).$

分数型の不定方程式

問題≪対称な分数型不定方程式≫

 方程式 \[\frac{1}{x}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z} = 1 \quad \cdots [\ast ]\] について,
(1)
$x \geqq y \geqq z$ のとき, $[\ast ]$ の正の整数解を求めよ.
(2)
$[\ast ]$ の正の整数解の個数を求めよ.

解答例

(1)
正整数 $x,$ $y,$ $z$ が $[\ast ]$ と $x \geqq y \geqq z$ を満たすとする. このとき, $\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{1}{y} \leqq \dfrac{1}{z}$ より, \[ 1 = \frac{1}{x}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z} \leqq \frac{3}{z}\] だから, \[ z \leqq 3.\]
(I)
$z = 1$ のとき. \[\frac{1}{x}+\frac{1}{y} = 0\] となるが, $x > 0,$ $y > 0$ より $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y} > 0$ だから, 方程式の正整数解は存在しない.
(II)
$z = 2$ のとき. \[\frac{1}{x}+\frac{1}{y} = \frac{1}{2}\] となる. $x \geqq y$ すなわち $\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{1}{y}$ より \[\frac{1}{2} = \frac{1}{x}+\frac{1}{y} \leqq \frac{2}{y}\] だから, \[ 2 = z \leqq y \leqq 4.\]
(i)
$y = 2$ のとき. $\dfrac{1}{x} = 0$ となるが, $x > 0$ より $\dfrac{1}{x} > 0$ だから, $[\ast ]$ の正の整数解は存在しない.
(ii)
$y = 3$ のとき. $\dfrac{1}{x} = \dfrac{1}{6}$ となるから, $x = 6.$
(iii)
$y = 4$ のとき. $\dfrac{1}{x} = \dfrac{1}{4}$ となるから, $x = 4.$
(III)
$z = 3$ のとき. \[\frac{1}{x}+\frac{1}{y} = \frac{2}{3}\] となる. 同様にして, $\dfrac{2}{3} \leqq \dfrac{2}{y}$ より, $y \leqq 3.$
これと $y \geqq z = 3$ より, $y = 3.$
このとき, $\dfrac{1}{x} = \dfrac{1}{3}$ より, $x = 3.$
以上より, 条件 $x \geqq y \geqq z$ のもとで $[\ast ]$ の解は,
$(x,\ y,\ z)$ $=$ $(6,\ 3,\ 2)$ または $(4,\ 4,\ 2)$ または $(3,\ 3,\ 3).$
(2)
条件 $x \geqq y \geqq z$ を除くと, $[\ast ]$ の解の個数は, \[ 3!+3+1 = 10.\]

問題≪整数の逆数の和の最大値≫

 正の整数 $x,$ $y,$ $z$ が不等式 \[\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z} < 1 \quad \cdots [\ast ]\] を満たすとき, この左辺の最大値を求めよ.

解答例

 整数 $x,$ $y,$ $z$ が $[\ast ]$ と \[ x \geqq y \geqq z > 0\] を満たすとし, $S = \dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}$ とおく. このように条件を付け加えても $S$ の取りうる値は変化しない.
(I)
$x > 0,$ $y > 0$ より \[\frac{1}{x}+\frac{1}{y} > 0\] だから, $z \neq 1.$
(II)
$z = 2$ のとき. $[1]$ より \[\frac{1}{y} < \frac{1}{x}+\frac{1}{y} < \frac{1}{2}\] だから, $y > 2$ すなわち $y \geqq 3.$
(i)
$y = 3$ のとき. $\dfrac{1}{x} < \dfrac{1}{6}$ だから, $x > 6$ すなわち $x \geqq 7.$ よって, \[ S \leqq \frac{1}{7}+\frac{1}{3}+\frac{1}{2} = \frac{41}{42} \quad \cdots [1].\]
(ii)
$y = 4$ のとき. $\dfrac{1}{x} < \dfrac{1}{4}$ だから, $x > 4$ すなわち $x \geqq 5.$ よって, \[ S \leqq \frac{1}{5}+\frac{4}{3}+\frac{1}{2} = \frac{19}{20} \quad \cdots [2].\]
(iii)
$y \geqq 5$ のとき. $x \geqq y \geqq 5$ より, \[ S \leqq \frac{1}{5}+\frac{1}{5}+\frac{1}{2} = \frac{9}{10} \quad \cdots [3].\]
(III)
$z = 3$ のとき. $[2]$ より, $y \geqq x = 3.$
(iv)
$y = 3$ のとき. $\dfrac{1}{x} < \dfrac{1}{3}$ だから, $x > 3$ すなわち $x \geqq 4.$ よって, \[ S \leqq \frac{1}{4}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3} = \frac{11}{12} \quad \cdots [4].\]
(v)
$y \geqq 4$ のとき. $x \geqq y \geqq 4$ より, \[ S \leqq \frac{1}{4}+\frac{1}{4}+\frac{1}{3} = \frac{5}{6} \quad \cdots [5].\]
(IV)
$z \geqq 4$ のとき. $x \geqq y \geqq z \geqq 4$ より, \[ S \leqq \frac{1}{4}+\frac{1}{4}+\frac{1}{4} = \frac{3}{4} \quad \cdots [6].\]
$[1]$~$[6]$ の右辺について \[\frac{9}{10} < \frac{19}{20} < \frac{41}{42}, \quad \frac{5}{6} < \frac{11}{12} < \frac{41}{42}, \quad \frac{3}{4} < \frac{41}{42}\] だから, $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}$ は $(x,\ y,\ z) = (2,\ 3,\ 7)$ のとき最大値 $\dfrac{41}{42}$ をとる.

高次方程式の有理数解

問題≪整数係数方程式の有理数解≫

 最高次の係数が $1$ であるような整数係数方程式 \[ x^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots +a_0 = 0 \quad \cdots [\ast ]\] が有理数解 $x = \alpha$ を持つならば, $\alpha$ は整数であることを示せ.

解答例

 方程式 $[\ast ]$ が有理数解 $x = \alpha$ を持つとする. $\alpha$ は互いに素な整数 $c,$ $d\ (d > 0)$ を用いて $\alpha = \dfrac{c}{d}$ と書ける. このとき, \[\frac{c^n}{d^n}+\frac{a_{n-1}c^{n-1}}{d^{n-1}}+\cdots +a_0 = 0\] となるから, 両辺に $d^n$ を掛けると \[ c^n+a_{n-1}c^{n-1}d+\cdots +a_0d^n = 0\] となり, \[ c^n = -d(a_{n-1}c^{n-1}+\cdots +a_0d^{n-1})\] となる. よって, $c^n$ は $d$ の倍数であるから, $c$ は $d$ の倍数である. $d < 0$ として $c$ と $d$ は互いに素であるように選んだから, $d = 1$ でなければならない. これで, 題意が示された.

問題≪整数係数の方程式の有理数解と係数の和≫

 $2$ 次以上の整数係数の多項式 $f(x) = a_nx^n+\cdots +a_1x+a_0$ について, $a_0,$ $a_n$ を奇数とする. $a_n+\cdots +a_1+a_0$ が奇数ならば, 方程式 $f(x) = 0$ は有理数解を持たないことを示せ.

解答例

 対偶を示すため, 方程式 $f(x) = 0$ が有理数解 $\alpha$ を持つとする.
$\alpha$ は $a_0,$ $a_n$ の約数 $c,$ $d$ を用いて $\alpha = \dfrac{c}{d}$ と表される.
$f(\alpha ) = 0$ より, \[ a_nd^n+\cdots +a_1cd^{n-1}+a_0c^n = 0 \quad \cdots [\ast ].\] $a_0,$ $a_n$ は奇数だから, $c,$ $d$ も奇数.
よって, $[\ast ]$ の左辺の各項の偶奇は $a_n,$ $\cdots,$ $a_1,$ $a_0$ の偶奇に一致するから, $[\ast ]$ の左辺の偶奇は $a_n+\cdots +a_1+a_0$ の偶奇に一致する.
一方, $[\ast ]$ の右辺 $0$ は偶数.
以上より, $a_n+\cdots +a_1+a_0$ は偶数である.
ゆえに, 対偶は真だから, 元の命題は真である.

問題≪アイゼンシュタイン方程式の整数解≫

 $n$ を $2$ 以上の正整数, $p$ を素数, $a_0,$ $\cdots,$ $a_{n-1}$ を整数とする. 多項式 \[ f(x) = x^n+pa_{n-1}x^{n-1}+\cdots +pa_1x+pa_0\] について,
(1)
方程式 $f(x) = 0$ が整数解 $\alpha$ を持つとき, $\alpha$ は $p$ で割り切れることを示せ.
(2)
$a_0$ が $p$ で割り切れないならば, 方程式 $f(x) = 0$ は整数解を持たないことを示せ.

解答例

(1)
$f(\alpha ) = 0$ より, \[\alpha ^n = -p(a_{n-1}\alpha ^{n-1}+\cdots +a_0).\] よって, $\alpha ^n$ は $p$ で割り切れるから, $\alpha$ は $p$ で割り切れる.
(2)
対偶を示すため, $f(x) = 0$ が整数解 $\alpha$ を持つとする.
このとき, (1) よりある整数 $q$ を用いて $\alpha = pq$ と書ける.
$f(\alpha ) = 0$ より, \begin{align*} pa_0 &= -(p^nq^n+a_{n-1}p^nq^{n-1}+\cdots +a_1p^2q) \\ &= -p^2(p^{n-2}q^n+a_{n-1}p^{n-2}q^{n-1}+\cdots +a_1q). \end{align*} $n \geqq 2$ に注意すると, $pa_0$ は $p^2$ で割り切れるから, $a_0$ は $p$ で割り切れる.
ゆえに, 対偶は真だから, 元の命題も真である.

方程式の整数解の倍数性

問題≪$60^\circ$ の角を持ち各辺が整数の三角形≫

 $\angle\mathrm A = 60^\circ$ なる $\triangle\mathrm{ABC}$ の $3$ 辺の長さ $a,$ $b,$ $c$ が互いに素な整数であるとき, $\angle\mathrm A$ の対辺の長さ $a$ は奇数であることを示せ.

解答例

 余弦定理により, \[ a^2 = b^2+c^2-2bc\cos 60^\circ = b^2+c^2-bc \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つ.
(i)
$b$ と $c$ の偶奇が異なるとき. $[\ast ]$ の右辺は \[ (\text{偶数})+(\text{奇数})-(\text{偶数}) = (\text{奇数})\] である.
(ii)
$b$ と $c$ の偶奇が一致するとき. $b$ と $c$ の公約数は, 右辺すなわち $a^2$ の約数となり, $a$ の約数となる. よって, $b$ と $c$ は奇数であるから, $[\ast ]$ の右辺は \[ (\text{奇数})+(\text{奇数})-(\text{奇数}) = (\text{奇数})\] である.
(i) または (ii) のいずれの場合にも, $a^2$ は奇数であるので, $a$ は奇数である.

解説

 $\sqrt 3,$ $\sqrt 2$ の無理数性により, $30^\circ$ または $45^\circ$ の角を持ち, 各辺の長さが整数であるような三角形は存在しない. $\angle\mathrm A = 60^\circ$ なる $\triangle\mathrm{ABC}$ の $3$ 辺の長さ $a,$ $b,$ $c$ が整数であるとき, $a,$ $b,$ $c$ は $[\ast ]$ の正の整数解である. ピタゴラス数を求める方法と同様にして, つまり楕円 $X^2+Y^2-XY = 1$ の方程式の有理数解を点 $(-1,\ 0)$ を通る傾きが有理数 $\dfrac{m}{n}$ の直線との交点を求めることにより, ある正の整数 $m,$ $n$ に対して \[ a:b:c = (m^2-mn+n^2):(m^2-n^2):(2mn-n^2)\] となることが分かる. $a,$ $b,$ $c$ が互いに素であるような $[\ast ]$ の解が無限に存在することをこの式から証明するのは難しいが, \[ a:b:c = (k^2+3l^2):(k^2+2kl-3l^2):4kl\] ($k,$ $l$: 正の整数)という別の表示から分かる. これは, $[\ast ]$ の右辺の平方完成 \[ a^2 = \left( b-\frac{c}{2}\right) ^2+\frac{3}{4}c^2\] から \[ 4\left( a+b-\frac{c}{2}\right)\left( a-b+\frac{c}{2}\right) = 3c^2\] となるので, \[ a = k^2+3l^2, \quad b-\frac{c}{2} = k^2-3l^2\] と書けることから得られる(詳細は省略). この記事を書くにあたって, 次の文献を参考にした.
  • 君島巌,「$z^2 = x^2+y^2\pm xy$ の自然数解」, 数研通信 49 号, 2004.
  • 國井圭己,「$60^\circ$ の角を持つ整数三角形の研究」, 数研通信 84 号, 2015.

その他

問題≪円周上の有理点≫

(1)
$a,$ $b$ を整数とする. $a^2+b^2$ が $3$ で割り切れるならば, $a,$ $b$ はともに $3$ で割り切れることを示せ.
(2)
$x^2+y^2 = 3$ を満たす有理数 $x,$ $y$ は存在しないことを示せ.

解答例

(1)
整数 $n$ について,
(i)
$n = 3q$ ($q$: 整数)のとき, \[ n^2 = (3q)^2 = 3(3q^2)\] は $3$ で割り切れる.
(ii)
$n = 3q\pm 1$ ($q$: 整数)のとき, \[ n^2 = (3q\pm 1)^2 = 3(3q^2\pm 2q)+1\] を $3$ で割った余りは $1.$
よって, $a,$ $b$ の少なくとも一方が $3$ で割り切れないならば, $a^2+b^2$ を $3$ で割った余りは $0+1 = 1+0 = 1$ または $1+1 = 2$ だから, $a^2+b^2$ は $3$ で割り切れない.
この対偶をとると, $a^2+b^2$ が $3$ で割り切れるならば, $a,$ $b$ はともに $3$ で割り切れる.
(2)
有理数 $x,$ $y$ が $x^2+y^2 = 3$ を満たすとして矛盾を導く.
$x,$ $y$ は互いに素な整数 $a,$ $b,$ $c$ ($c \neq 0$)を用いて $x = \dfrac{a}{c},$ $y = \dfrac{b}{c}$ と書ける. このとき, \[ a^2+b^2 = 3c^2.\] $a^2+b^2$ は $3$ で割り切れるから, (1) より $a,$ $b$ はともに $3$ で割り切れる.
よって, $a^2,$ $b^2$ はともに $9$ で割り切れ, よって $a^2+b^2$ も $9$ で割り切れる.
すると, $c^2$ は $3$ で割り切れるから, $c$ も $3$ で割り切れる.
これは $a,$ $b,$ $c$ が互いに素であることに反する.
ゆえに, $x^2+y^2 = 3$ を満たす有理数 $x,$ $y$ は存在しない.

解説

 (2) の方程式 $x^2+y^2 = 3$ の有理数解を求める問題は, 分母を払うことによって, $x^2+y^2 = 3z^2\ (z \neq 0)$ の整数解を求める問題と同等である.

問題≪和と積が等しい $3$ 数≫

 和と積が等しい $3$ 個の正の整数の積の値を求めよ.

解答例

\[ x+y+z = xyz \quad \cdots [1]\] の正の整数解について $xyz$ の値を求めるには, \[ x \leqq y \leqq z \quad \cdots [2]\] としても一般性を失わない. このとき, \[ xyz = x+y+z \leqq z+z+z = 3z\] より, \[ 1\leqq xy \leqq 3.\]
(i)
$xy = 1$ のとき. $x = y = 1$ だから, $[1]$ より \[ 1+1+z = z\] すなわち \[ 2 = 0\] となってしまうので, 不適.
(ii)
$xy = 2$ のとき. $[2]$ より $x = 1,$ $y = 2$ だから, $[1]$ より \[ 1+2+z = 2z\] すなわち \[ z = 3\] となる. よって, \[ xyz = 6.\]
(iii)
$xy = 3$ のとき. $[2]$ より $x = 1,$ $y = 3$ だから, $[1]$ より \[ 1+3+z = 3z\] すなわち \[ z = 2\] となるが, これは $[2]$ に反する.
(i)~(iii) より, \[ xyz = 6.\]

問題≪指数関数を含む方程式の整数解≫

 $x,$ $y$ に関する方程式 $2^x+1 = y^2$ の整数解をすべて求めよ.

解答例

 左辺は $1$ より大きいから, \[ y > 0.\] このとき, 右辺は整数だから, \[ x \geqq 0.\] $y^2 = 2$ の解は存在しないから, \[ x > 0.\] よって, 左辺は奇数だから, $y$ も奇数でなければならない. $n$ を $0$ 以上の整数として $y = 2n+1$ とおくと, \[ 2^x+1 = (2n+1)^2 = 4n(n+1)+1\] より, \[ 2^{x-2} = n(n+1).\] 右辺は偶数だから, \[ x-2 \geqq 1.\] このとき, 左辺の素因数は $2$ のみであり, $n,$ $n+1$ の一方は奇数だから, $3$ 以上の奇数は $3$ 以上の素因数を持つことに注意すると, \[ n = 1\] でなければならない. ゆえに, \[ (x,\ y) = (3,\ 3).\]

問題≪指数関数を含む方程式の整数解・比をとる方法≫

(1)
関数 $f(x) = 2^x/x^2$ について, $x \geqq 3$ のとき $f(x) < f(x+1)$ が成り立つことを示せ.
(2)
$2^x = x^2$ の整数解をすべて求めよ.

解答例

(1)
$x \geqq 3$ のとき, $\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{1}{3}$ より $1+\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{4}{3}$ となり, \[\left( 1+\frac{1}{x}\right) ^2 \leqq \frac{16}{9} < 2\] となるから, \[\frac{f(x)}{f(x+1)} = \frac{2^x}{x^2}\cdot\frac{(x+1)^2}{2^{x+1}} = \frac{1}{2}\left( 1+\frac{1}{x}\right) ^2 < 1\] より, $f(x) < f(x+1).$
(2)
$x < 0$ のとき, $2^x < 1 \leqq x^2$ より, $2^x \neq x^2.$
$x = 0$ のとき, $2^0 = 1 \neq 0 = 0^2$ より, $2^x \neq x^2.$
よって, $2^x = x^2$ の整数解は $f(x) = 1$ を満たす正の整数 $n$ に限る. \[ f(1) = 2 \neq 1,\ f(2) = 1,\ f(3) = \frac{8}{9} < 1,\ f(4) = 1\] であり, (1) より $n \geqq 5$ のとき $f(n) < f(4) = 1$ となるから, 求めるすべての解は $x = 2,$ $4.$

解説

 差の関数 $f(x) = 2^x-x^2$ の増減を調べると, もう $1$ つある実数解の評価を行うことができる(こちらを参照).

問題≪カタラン予想に関する方程式≫

(a)
$x^2-2^n = 1$ を満たす正の整数 $x,$ $n$ の組をすべて求めよ.
(b)
$3^m-y^3 = 1$ を満たす正の整数 $m,$ $y$ の組をすべて求めよ.
[オリジナル問題]

解答例

(a)
正の整数 $x,$ $n$ が方程式 $x^2-2^n = 1$ を満たすとする. この方程式は $2^n = x^2-1$ と変形できるので, $x$ は奇数でなければならない. よって, $x = 2d-1\ (d \geqq 1)$ とおける. このとき, \[ 2^n = (2d-1)^2-1 = 4d(d-1).\] よって, $n \geqq 2$ でなければならない. 両辺を $4$ で割って得られる方程式 \[ 2^{n-2} = d(d-1)\] は $d = 2$ のとき解 $n = 3$ を持つが, $d = 1$ は左辺が正であることから不適で, $d \geqq 3$ のとき右辺の $d(d-1)$ は奇数の素因数を持つことから解を持たない. (左辺は $2$ の累乗だから右辺の各因数は $2$ の倍数か $1$ でなければならない.) ゆえに, 求める解は $(x,n) = (3,3).$
(b)
正の整数 $m,$ $y$ が方程式 $3^m-y^3 = 1$ を満たすとする. この方程式は $3^m = y^3+1$ と変形できるので, $y$ を $3$ で割った余りは $2$ でなければならない. (二項定理または合同式を使った議論による.) よって, $y = 3d-1\ (d \geqq 1)$ とおける. このとき, \begin{align*} 3^m &= (3d-1)^3+1 = 27d^3-27d^2+9d \\ &= 9d(3d^2-3d+1). \end{align*} よって, $m \geqq 2$ でなければならない. 両辺を $9$ で割って得られる方程式 \[ 3^{m-2} = d(3d^2-3d+1).\] は $d = 1$ のとき解 $m = 2$ を持つが, $d > 1$ のとき右辺の $3d^2-3d+1$ が $3$ で割り切れないことから解を持たない. (左辺は $3$ の累乗だから右辺の各因数は $3$ の倍数か $1$ でなければならない.) ゆえに, 求める解は $(m,y) = (2,2).$

解説

\[ x^m-y^n = 1, \quad x,y > 0, \quad m,n > 1\] のすべての整数解は $(x,m,y,n) = (3,2,2,3)$ に限る, つまり差が $1$ であるような正の累乗数は $9$ と $8$ のみであるというのが有名な「カタラン予想」で, 2002 年に P・ミハイレスクによって肯定的に解決された.

問題≪タクシー数に関する方程式≫

 $x^3+1^3 = y^3+10^3$ を満たす $2$ 以上の整数 $x,$ $y$ の組をすべて求めよ.
[一橋大 2009]

解答例

 $2$ 以上の整数 $x,$ $y$ が $x^3+1^3 = y^3+10^3$ を満たすとする. このとき, $x^3-y^3 = 999$ から, \[ (x-y)(x^2+xy+y^2) = 999.\] そこで, $u = x-y,$ $v = x^2+xy+y^2$ とおき, $u,$ $v$ の値を求めてから $x,$ $y$ の値を求める. \[ v = (x-y)^2+3xy = u^2+3xy \quad \cdots [1]\] から $v > u$ であることに注意すると, \[ uv = 3^3\cdot 37\] から, \[ (u,v) = (1,999),\ (3,333),\ (9,111),\ (27,37).\] $[1]$ から $u^2-v$ は $3$ の倍数であることに注意すると, $u,$ $v$ の一方だけが $3$ の倍数ということはないので, 次の $2$ つの場合に絞られる.
(i)
$(u,v) = (3,333)$ の場合. \[ x-y = 3, \quad x^2+xy+y^2 = 333\] から $y$ を消去して整理すると \[ x^2-3x-108 = (x+9)(x-12) = 0\] となるので, $x \geqq 2$ から, \[ x = 12.\] このとき, $y = 9.$
(ii)
$(u,v) = (9,111)$ の場合. \[ x-y = 9, \quad x^2+xy+y^2 = 111\] から $y$ を消去して整理すると \[ x^2-9x-10 = (x+1)(x-10) = 0\] となるので, $x \geqq 2$ から, \[ x = 10.\] このとき, $y = 1$ となるが, これは $y \geqq 2$ を満たさない.
よって, 求める解は, $(x,y) = (12,9).$

解説

 $1729 = 1^3+12^3 = 9^3+10^3$ は $2$ 通りの立方数の和として表される最小の正の整数である.「インドの魔術師」という異名を持つ数学者 S・ラマヌジャンは療養中, G・H・ハーディーが見舞いに訪れた際に,「乗ってきたタクシーのナンバーは $1729$ だった. さして特徴のない数字だったよ」というハーディー教授に対し, すぐさま「そんなことはありません, とても興味深い数字です. それは $2$ 通りの $2$ つの立方数の和として表せる最小の数です」と答えたという逸話がある. そのため, $1729$ は「ハーディー・ラマヌジャンのタクシー数」と呼ばれる.

問題≪累乗の和と積が等しい条件≫

 非負整数 $x,$ $y,$ $z$ に対して, 次が成り立つことを示せ.
(a)
$x^2+y^2 = xy$ $\Longrightarrow$ $x = y = 0.$ 
(b)
$x^3+y^3+z^3 = xyz$ $\Longrightarrow$ $x = y = z = 0.$ 
[東京大 2007*]

解答例

(a)
非負整数 $x,$ $y$ が $x^2+y^2 = xy$ を満たすとすると, \[ x^2-xy+y^2 = \left( x-\frac{y}{2}\right) ^2+\frac{3}{4}y^2 = 0\] から $x = \dfrac{2}{y},$ $y = 0$ となり, $x = y = 0$ となる.
(b)
非負整数 $x,$ $y,$ $z$ が $x^3+y^3+z^3 = xyz$ を満たすとする. $x \leqq y \leqq z$ として一般性を失わない. このとき, \[ x^3+y^3+z^3 \leqq z^3\] から \[ x^3+y^3 \leqq 0\] が成り立つ. $x \geqq 0,$ $y \geqq 0$ から $x^3 \geqq 0,$ $y^3 \geqq 0$ であるので, $x^3 = y^3 = 0$ となり, $x = y = 0$ となる. この値を与式に代入すると, $z^3 = 0$ から, $z = 0$ となる. 以上で, 題意が示された.

別解

 $n$ を $2$ 以上の正の整数とし, $x_1,$ $\cdots,$ $x_n$ を非負整数とする. 相加・相乗平均の不等式により, \[ x_1{}^n+\cdots +x_n{}^n \geqq nx_1\cdots x_n \geqq x_1\cdots x_n\] が成り立ち, 等号成立は $x_1 = \cdots = x_n = 0$ のときに限る. よって, (1) と (2) が成り立つ.

解説

 不等式から整数解を絞り込める特殊な不定方程式である. 相加・相乗平均の不等式を使えば, $2$ 以上のすべての整数 $n$ に対して \[ x_1{}^n+\cdots +x_n{}^n \geqq nx_1\cdots x_n \geqq x_1\cdots x_n\] の非負整数解が $x_1 = \cdots = x_n = 0$ であることが証明できるので, 別解の方が優れた解法であると言える. 本問では解答に $n = 3$ の場合の相加・相乗平均の不等式の証明を書くべきであろう.