COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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積分法(数学 III)

不定積分

定理≪三角関数の不定積分≫

\begin{align*} \int\cos xdx &= \sin x+C, \\ \int\sin xdx &= -\cos x+C \end{align*} ($C$: 積分定数)が成り立つ.

定積分

定理≪微分積分学の基本定理≫

 $a,$ $b$ を実数とする.
(1)
$a$ を含む区間 $I$ で定義された連続関数 $f(x)$ に対して, 区間 $I$ の端点を除く部分で \[\frac{d}{dx}\int_a^xf(t)dt = f(x)\] が成り立つ.
(2)
関数 $f(x)$ が開区間 $(a,b)$ を含む区間で微分可能なとき, \[\int_a^bf'(x)dx = f(b)-f(a)\] が成り立つ.
(3)
関数 $f(x)$ の不定積分が $F(x)$ であるとき, \[\int_a^bf(x)dx = F(b)-F(a)\] が成り立つ.

問題≪三角関数の直交性≫

 $m,$ $n$ を相異なる整数とする. 定積分
(A)
$\displaystyle\int_{-\pi}^\pi\cos mx\cos nxdx$ 
(B)
$\displaystyle\int_{-\pi}^\pi\sin mx\cos nxdx$ 
(C)
$\displaystyle\int_{-\pi}^\pi\sin mx\sin nxdx$ 
の値を求めよ.

解答例

(A)
積和の公式により, \begin{align*} &\int_{-\pi}^\pi\cos mx\cos nxdx \\ &= \int_{-\pi}^\pi\frac{\cos (m+n)x+\cos (m-n)x}{2}dx \\ &= \frac{1}{2}\left[\frac{\sin (m+n)x}{m+n}+\frac{\sin (m-n)x}{m-n}\right] _{-\pi}^\pi \\ &= 0 \end{align*} である.
(B)
\begin{align*} \sin m(-x)\cos n(-x) &= (-\sin mx)\cos nx \\ &= -\sin mx\cos nx \end{align*} から $\sin mx\cos nx$ は奇関数であるので, \[\int_{-\pi}^\pi\sin mx\cos nxdx = 0\] である.
(C)
積和の公式により, \begin{align*} &\int_{-\pi}^\pi\sin mx\sin nxdx \\ &= \int_{-\pi}^\pi\frac{\cos (m-n)x-\cos (m+n)x}{2}dx \\ &= \frac{1}{2}\left[\frac{\sin (m-n)x}{m-n}-\frac{\sin (m+n)x}{m+n}\right] _{-\pi}^\pi \\ &= 0 \end{align*} である.

背景

  • 解析学において, 関数をベクトルのように扱って, 連続関数 $f(x),$ $g(x)$ $(a \leqq x \leqq b)$ の「内積」$\langle f,g\rangle$ を定積分 \[\langle f,g\rangle = \int_a^bf(x)g(x)dx\] で定義することがある.
  • この内積が $0$ になるという意味で, 三角関数 $\cos mx,$ $\cos nx,$ $\sin mx,$ $\sin nx$ $\left( -\pi \leqq x \leqq \pi,\right.$ $\left.m \neq n\right)$ は互いに「直交」している. この結果は「フーリエ解析」(Fourier analysis)と呼ばれる理論で重要な役割を果たす.

問題≪積分の平均値の定理≫

 $a \leqq x \leqq b$ で定義された関数 $f(x)$ が連続であるとき, \[\int_a^bf(x)dx = (b-a)f(c), \quad a < c < b\] を満たす実数 $c$ が少なくとも $1$ つ存在することを示せ.

解答例

(i)
$f(x)$ が定数関数のとき. $f(x) = k$ とおくと, $a < c < b$ なる任意の実数 $c$ に対して \[\int_a^bf(x)dx = (b-a)f(c) = (b-a)k\] が成り立つ.
(ii)
$f(x)$ が定数関数でないとき. $f(x)$ は $a \leqq x \leqq b$ における連続関数だから, 最大値 $M,$ 最小値 $m$ をもつ. \[ m \leqq f(x) \leqq M\] であり, 等号は常に成り立たないから, 両辺を $a$ から $b$ まで積分すると, \begin{align*} \int_a^b mdx < &\int_a^bf(x)dx < \int_a^bMdx \\ m(b-a) < &\int_a^bf(x)dx < M(b-a) \\ m < &\frac{1}{b-a}\int_a^bf(x)dx < M \end{align*} が得られる. よって, 中間値の定理により, 最大値, 最小値を与える $x$ の値の間に \[ f(c) = \frac{1}{b-a}\int_a^bf(x)dx\] すなわち \[\int_a^bf(x)dx = (b-a)f(c)\] を満たす実数 $c$ が存在する.