? 等周問題

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等周問題

理論

多角形の等周問題

定理≪多角形の等周問題≫

 周の長さが一定の $n$ 角形のうち, 面積が最大のものは正 $n$ 角形である.

証明

 まず, 周の長さが一定の $n$ 角形のうち, 面積が最大のものは等辺 $n$ 角形であることを示す. これは, $1$ 辺の長さが一定の三角形のうち, 面積が最大のものは二等辺三角形であることから従う. (以下, 準備中.)

問題

数学 II: 式と証明

問題≪四角形の等周問題≫

 周の長さが $L$ の四角形 $\mathrm{ABCD}$ において, 辺の長さ $a = \mathrm{AB},$ $b = \mathrm{BC},$ $c = \mathrm{CD},$ $d = \mathrm{DA}$ を変化させたときの面積 $S$ について, 次のことを示せ.
(1)
対角線 $\mathrm{AC}$ を固定すると, $S$ が最大になるのは $a = b,$ $c = d$ のときである.
(2)
四角形 $\mathrm{ABCD}$ が円に内接するとき, \[ S = \sqrt{\left(\frac{L}{2}-a\right)\left(\frac{L}{2}-b\right)\left(\frac{L}{2}-c\right)\left(\frac{L}{2}-d\right)}\] が成り立つ.
(3)
$S$ は $a = b = c = d = \dfrac{L}{4}$ のときに限って最大値 $\dfrac{L^2}{16}$ をとる.

解答例

(1)
四角形に凹みがあるとき, 凹みのある部分を折り返すことでより面積の大きな四角形ができる. よって, 凹みのある場合に $S$ は最大にならない.
対角線 $\mathrm{AC}$ を固定すると, $S$ が最大となるのは, 四角形に凹みがなく, $\triangle\mathrm{ABC},$ $\triangle\mathrm{CDA}$ が最大となるときである.
後者の条件が成り立つのは, $\mathrm{AC}$ を底辺と見るときのこれらの三角形の高さが最大となるときである.
このとき, 点 $\mathrm B,$ $\mathrm D$ は $\mathrm{AC}$ の垂直二等分線上にあり, $a = b,$ $c = d$ である.
以上から, 題意が成り立つ.
(2)
$\theta = \angle\mathrm{ABC}$ とおく. $\angle\mathrm{CDA} = 180^\circ -\theta$ であるから, \begin{align*} S &= \triangle\mathrm{ABC}+\triangle\mathrm{CDA} \\ &= \frac{1}{2}ab\sin \theta +\frac{1}{2}cd\sin (180^\circ -\theta ) \\ &= \frac{1}{2}(ab+cd)\sin\theta \\ &= \frac{1}{2}(ab+cd)\sqrt{1-\cos ^2\theta} \\ \end{align*} が成り立つ. $\cos (180^\circ -\theta ) = -\cos\theta$ であるから, $\triangle\mathrm{ABC},$ $\triangle\mathrm{CDA}$ に余弦定理を適用すると \[\mathrm{AC}^2 = a^2+b^2-2ab\cos\theta = c^2+d^2+2cd\cos\theta\] となり, \[\cos\theta = \frac{a^2+b^2-c^2-d^2}{2(ab+cd)}\] となる. よって, \begin{align*} S^2 &= \frac{1}{4}(ab+cd)^2(1-\cos ^2\theta ) \\ &= \frac{1}{4}(ab+cd)^2 \\ &\qquad -\frac{1}{4}(ab+cd)^2\cdot\frac{(a^2+b^2-c^2-d^2)^2}{4(ab+cd)^2} \\ &= \frac{1}{16}\{ 4(ab+cd)^2-(a^2+b^2-c^2-d^2)^2\} \\ &= \frac{1}{16}\{ (2ab+2cd)^2-(a^2+b^2-c^2-d^2)^2\} \\ &= \frac{1}{16}(2ab+2cd-a^2-b^2+c^2+d^2) \\ &\qquad \times (2ab+2cd+a^2+b^2-c^2-d^2) \\ &= \frac{1}{16}\{ (c+d)^2-(a-b)^2\}\{ (a+b)^2-(c-d)^2\} \\ &= \frac{-a+b+c+d}{2}\cdot\frac{a-b+c+d}{2} \\ &\qquad \times\frac{a+b-c+d}{2}\cdot\frac{a+b+c-d}{2} \\ &= \left(\frac{L}{2}-a\right)\left(\frac{L}{2}-b\right)\left(\frac{L}{2}-c\right)\left(\frac{L}{2}-d\right) \end{align*} となるので, 求める結果が得られる.
(3)
$a = b,$ $c = d$ のとき四角形 $\mathrm{ABCD}$ は円に内接するから, (1), (2) の結果と相加・相乗平均の不等式により \begin{align*} S &\leqq \sqrt{\left(\frac{L}{2}-a\right) ^2\left(\frac{L}{2}-c\right) ^2} \\ &\leqq \frac{1}{2}\left\{\left(\frac{L}{2}-a\right) ^2+\left(\frac{L}{2}-c\right) ^2\right\} \end{align*} が成り立つ. 右側の等号は $\left(\dfrac{L}{2}-a\right) ^2 = \left(\dfrac{L}{2}-c\right) ^2$ つまり $a = c$ のときに限って成り立つ. 左側の等号は $a = b,$ $c = d$ のときに限って成り立つので, $S$ は $a = b = c = d = \dfrac{L}{4}$ のときに限って最大値 $\dfrac{1}{2}\cdot 2\left(\dfrac{L}{2}-\dfrac{L}{4}\right) ^2 = \left(\dfrac{L}{4}\right) ^2 = \dfrac{L^2}{16}$ をとる.

補足

  • (1) の後に対角線 $\mathrm{BD}$ を固定すれば, $a = b = c = d$ のときに限って $S$ は最大となることが直ちに分かる. ここではあえて (2) の公式を使って $S$ の最大値を求めている.
  • (2) の公式をブラーマグプタの公式と呼ぶ.

数学 III: 積分法

問題≪曲線の等周問題≫

(1)
実数値関数 $u(t)\ (0 \leqq t \leqq \pi )$ は, $u(0) = u(\pi ) = 0$ を満たし, $0 < t < \pi$ において微分可能であり, $u'(t)$ は連続であるとする. $0 \leqq a \leqq \pi$ のとき, $u'_\pm (a) = \displaystyle\lim\limits_{h \to \pm 0}\frac{u(a+h)-u(a)}{h}$ と定める. $u(t) = v(t)\sin t$ $(0 < t < \pi )$とするとき, $u'_+(0),$ $u'_-(\pi )$ を用いて $\lim\limits_{t \to +0}v(t),$ $\lim\limits_{t \to +0}v(\pi -t)$ を表せ.
(2)
(1) の $u(t)$ に対して, \[\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ u'(t)^2-u(t)^2\right\} dt \geqq 0\] が成り立つことを示せ. また, 等号が成り立つときの $u(t)$ を求めよ.
(3)
$xy$ 平面上の曲線 $C:x = x(t),y = y(t)\ (0 \leqq t \leqq \pi )$ がある. $0 < t < \pi$ において, $x(t),$ $y(t)$ はともに微分可能で, $x'(t),$ $y'(t)$ は連続とし, $x'(t)^2+y'(t)^2 = 1$ を満たす. さらに, $0 < t < \pi$ において $x'(t) > 0,$ $y'(t) > 0$ であり, $x(0) = 0,$ $y(0) = y(\pi ) = 0$ を満たすとする. $C$ と $x$ 軸で囲まれる図形の面積を $S$ とおく. このとき, $S = \displaystyle\int_0^{x(\pi )}y(t)dt = \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}y(t)x'(t)dt$ を用いて \[ 2S \leqq \pi\] が成り立つことを示せ. また, 等号が成り立つときの $C$ の媒介変数表示を求めよ.
[山梨大*]

解答例

(1)
$u(0) = u(\pi ) = 0$ と $u'_+(0),$ $u'_-(\pi )$ の定義により, \begin{align*} \lim\limits_{t \to +0}v(t) &= \lim\limits_{t \to 0+}\frac{u(t)-u(0)}{t}\cdot\frac{t}{\sin t} \\ &= u'_+(0), \\ \lim\limits_{t \to +0}v(\pi -t) &= -\lim\limits_{t \to 0+}\frac{u(\pi -t)-u(\pi )}{-t}\cdot\frac{t}{\sin t} \\ &= -u'_-(\pi ) \end{align*} が成り立つ.
(2)
積の微分の公式により \begin{align*} &u'(t)^2-u(t)^2 \\ &= \{ v'(t)\sin t+v(t)\cos t\} ^2-v(t)^2\sin ^2t \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+2v'(t)v(t)\sin t\cos t \\ &\qquad +v(t)^2(\cos ^2t -\sin ^2t) \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+v'(t)v(t)\sin 2t+v(t)^2\cos 2t \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+\frac{1}{2}\{ v(t)^2\sin 2t\} ' \end{align*} であるから, \begin{align*} &\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ u'(t)^2-u(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ v(t)^2\sin 2t\} 'dt \\ &= \frac{1}{2}\{ v(\pi -\varepsilon )^2\sin 2(\pi -\varepsilon )-v(\varepsilon )^2\sin 2\varepsilon \} \end{align*} が成り立つ. よって, $0 < \varepsilon < \pi$ のとき \begin{align*} &\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ u'(t)^2-u(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ v(t)^2\sin 2t\} 'dt \\ &= \frac{1}{2}\{ v(\pi -\varepsilon )^2\sin 2(\pi -\varepsilon )-v(\varepsilon )^2\sin 2\varepsilon \} \end{align*} であるから, (1) の結果により \begin{align*} &\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ u'(t)^2-u(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\{ u'_-(\pi )^2\sin 2\pi -u'_+(0)^2\sin 0\} = 0 \end{align*} が成り立つ. 等号が成り立つのは, $0 < t < \pi$ において \[ v'(t)^2\sin ^2t = 0\] つまり $v'(t) = 0$ が成り立つときであり, このとき $u(t)$ はある定数 $a$ を用いて \[ u(t) = a\sin t\] と表される.
(3)
(2) の $u(t)$ を $y(t)$ に置き換えると, \begin{align*} 0 &\leqq \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ y'(t)^2-y(t)^2\right\} dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ 1-x'(t)^2-y(t)^2\right\} dt \\ &= \pi -\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ x'(t)^2+y(t)^2\right\} dt \end{align*} となる. よって, \begin{align*} &\pi -2S \\ &\geqq \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\!\!\!\!\!\!\left\{ x'(t)^2\!\!+\!\!y(t)^2\right\} dt\!\!-\!\!2\!\!\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\!\!\!\!\!\!y(t)x'(t)dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ x'(t)^2+y(t)^2-2x'(t)y(t)\} dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ x'(t)-y(t)\} ^2dt \geqq 0 \end{align*} であるから, $2S \leqq \pi$ が成り立つ. また, 等号が成り立つのは, ある定数 $a$ について \[ x'(t) = y(t) = a\sin t\] となるとき. このとき, $x(0) = 0$ から, $x(t) = a(1-\cos t)$ である. さらに, $x'(t)^2+y'(t)^2 = 1$ から, $a = 1$ である. ゆえに, 等号が成り立つときの $C$ は \[ x = 1-\cos t, \quad y = \sin t \quad (0 \leqq t \leqq \pi)\] で表される.

補足

 この問題の結果から, 平行移動・対称移動・回転移動と各座標軸方向に $\dfrac{L}{\pi}$ 倍する変換を考えると, 周の長さが $L$ の曲線と直線で囲まれる図形の面積 $S$ について $S \leqq \dfrac{L^2}{2\pi}$ の成り立つことがわかる(等号成立は半円の場合). さらに, 周の長さが $L$ の曲線で囲まれた図形の面積 $S$ について, 周の長さを $2$ 等分する直線によって分けられた部分の面積が $\dfrac{(L/2)^2}{2\pi}$ 以下であることから, $S \leqq \dfrac{L^2}{4\pi}$ の成り立つことがわかる(等号成立は円の場合). この不等式は,「等周不等式」と呼ばれる.