COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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等周問題

理論

多角形の等周問題

定理≪多角形の等周問題≫

 周の長さが一定の $n$ 角形のうち, 面積が最大のものは正 $n$ 角形である.

証明

 まず, 周の長さが一定の $n$ 角形のうち, 面積が最大のものは等辺 $n$ 角形であることを示す. これは, $1$ 辺の長さが一定の三角形のうち, 面積が最大のものは二等辺三角形であることから従う. (以下, 準備中.)

問題

数学 III: 積分法

問題≪曲線の等周問題≫

(1)
実数値関数 $u(t)\ (0 \leqq t \leqq \pi )$ は, $u(0) = u(\pi ) = 0$ を満たし, $0 < t < \pi$ において微分可能であり, $u'(t)$ は連続であるとする. $0 \leqq a \leqq \pi$ のとき, $u'_\pm (a) = \displaystyle\lim\limits_{h \to \pm 0}\frac{u(a+h)-u(a)}{h}$ と定める. $u(t) = v(t)\sin t$ $(0 < t < \pi )$とするとき, $u'_+(0),$ $u'_-(\pi )$ を用いて $\lim\limits_{t \to +0}v(t),$ $\lim\limits_{t \to +0}v(\pi -t)$ を表せ.
(2)
(1) の $u(t)$ に対して, \[\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ u'(t)^2-u(t)^2\right\} dt \geqq 0\] が成り立つことを示せ. また, 等号が成り立つときの $u(t)$ を求めよ.
(3)
$xy$ 平面上の曲線 $C:x = x(t),y = y(t)\ (0 \leqq t \leqq \pi )$ がある. $0 < t < \pi$ において, $x(t),$ $y(t)$ はともに微分可能で, $x'(t),$ $y'(t)$ は連続とし, $x'(t)^2+y'(t)^2 = 1$ を満たす. さらに, $0 < t < \pi$ において $x'(t) > 0,$ $y'(t) > 0$ であり, $x(0) = 0,$ $y(0) = y(\pi ) = 0$ を満たすとする. $C$ と $x$ 軸で囲まれる図形の面積を $S$ とおく. このとき, $S = \displaystyle\int_0^{x(\pi )}y(t)dt = \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}y(t)x'(t)dt$ を用いて \[ 2S \leqq \pi\] が成り立つことを示せ. また, 等号が成り立つときの $C$ の媒介変数表示を求めよ.
[山梨大*]

解答例

(1)
$u(0) = u(\pi ) = 0$ と $u'_+(0),$ $u'_-(\pi )$ の定義により, \begin{align*} \lim\limits_{t \to +0}v(t) &= \lim\limits_{t \to 0+}\frac{u(t)-u(0)}{t}\cdot\frac{t}{\sin t} \\ &= u'_+(0), \\ \lim\limits_{t \to +0}v(\pi -t) &= -\lim\limits_{t \to 0+}\frac{u(\pi -t)-u(\pi )}{-t}\cdot\frac{t}{\sin t} \\ &= -u'_-(\pi ) \end{align*} が成り立つ.
(2)
積の微分の公式により \begin{align*} &u'(t)^2-u(t)^2 \\ &= \{ v'(t)\sin t+v(t)\cos t\} ^2-v(t)^2\sin ^2t \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+2v'(t)v(t)\sin t\cos t \\ &\qquad +v(t)^2(\cos ^2t -\sin ^2t) \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+v'(t)v(t)\sin 2t+v(t)^2\cos 2t \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+\frac{1}{2}\{ v(t)^2\sin 2t\} ' \end{align*} であるから, \begin{align*} &\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ u'(t)^2-u(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ v(t)^2\sin 2t\} 'dt \\ &= \frac{1}{2}\{ v(\pi -\varepsilon )^2\sin 2(\pi -\varepsilon )-v(\varepsilon )^2\sin 2\varepsilon \} \end{align*} が成り立つ. よって, $0 < \varepsilon < \pi$ のとき \begin{align*} &\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ u'(t)^2-u(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ v(t)^2\sin 2t\} 'dt \\ &= \frac{1}{2}\{ v(\pi -\varepsilon )^2\sin 2(\pi -\varepsilon )-v(\varepsilon )^2\sin 2\varepsilon \} \end{align*} であるから, (1) の結果により \begin{align*} &\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ u'(t)^2-u(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\{ u'_-(\pi )^2\sin 2\pi -u'_+(0)^2\sin 0\} = 0 \end{align*} が成り立つ. 等号が成り立つのは, $0 < t < \pi$ において \[ v'(t)^2\sin ^2t = 0\] つまり $v'(t) = 0$ が成り立つときであり, このとき $u(t)$ はある定数 $a$ を用いて \[ u(t) = a\sin t\] と表される.
(3)
(2) の $u(t)$ を $y(t)$ に置き換えると, \begin{align*} 0 &\leqq \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ y'(t)^2-y(t)^2\right\} dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ 1-x'(t)^2-y(t)^2\right\} dt \\ &= \pi -\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\left\{ x'(t)^2+y(t)^2\right\} dt \end{align*} となる. よって, \begin{align*} &\pi -2S \\ &\geqq \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\!\!\!\!\!\!\left\{ x'(t)^2\!\!+\!\!y(t)^2\right\} dt\!\!-\!\!2\!\!\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\!\!\!\!\!\!y(t)x'(t)dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ x'(t)^2+y(t)^2-2x'(t)y(t)\} dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ x'(t)-y(t)\} ^2dt \geqq 0 \end{align*} であるから, $2S \leqq \pi$ が成り立つ. また, 等号が成り立つのは, ある定数 $a$ について \[ x'(t) = y(t) = a\sin t\] となるとき. このとき, $x(0) = 0$ から, $x(t) = a(1-\cos t)$ である. さらに, $x'(t)^2+y'(t)^2 = 1$ から, $a = 1$ である. ゆえに, 等号が成り立つときの $C$ は \[ x = 1-\cos t, \quad y = \sin t \quad (0 \leqq t \leqq \pi)\] で表される.

補足

 この問題の結果から, 平行移動・対称移動・回転移動と各座標軸方向に $\dfrac{L}{\pi}$ 倍する変換を考えると, 周の長さが $L$ の曲線と直線で囲まれる図形の面積 $S$ について $S \leqq \dfrac{L^2}{2\pi}$ の成り立つことがわかる(等号成立は半円の場合). さらに, 周の長さが $L$ の曲線で囲まれた図形の面積 $S$ について, 周の長さを $2$ 等分する直線によって分けられた部分の面積が $\dfrac{(L/2)^2}{2\pi}$ 以下であることから, $S \leqq \dfrac{L^2}{4\pi}$ の成り立つことがわかる(等号成立は円の場合). この不等式は,「等周不等式」と呼ばれる.