COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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数列の極限

無限等比数列の極限

定理≪無限等比数列の極限≫

 $r > -1$ のとき, \[\lim\limits_{n \to \infty}r^n = \begin{cases} \infty & (r > 1), \\ 1 & (r = 1), \\ 0 & (|r| < 1) \end{cases}\] が成り立つ. $r \leqq -1$ のとき, $\{ r^n\}$ は振動する.

定理≪無限等比級数の収束・発散≫

 $a,$ $r$ を実数とし, $\{ a_n\}$ を初項 $a,$ 公比 $r$ の無限等比数列とする.
(1)
$a \neq 0,$ $|r| < 1$ ならば, \[\sum_{n = 1}^\infty a_n = \frac{a}{1-r}\] が成り立つ.
(2)
$a \neq 0,$ $|r| \geqq 1$ のとき, $\displaystyle\sum_{n = 1}^\infty a_n$ は発散する.
(3)
$a = 0$ のとき, $\displaystyle\sum_{n = 1}^\infty a_n = 0$ である.

問題≪ニュートン法≫

 $d > 1,$ $x_1 > \sqrt d$ とし, 点 $(x_n,x_n{}^2-d)$ における放物線 $y = x^2-d$ の接線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標を $x_{n+1}$ とおくことで, 数列 $\{ x_n\}$ を定める.
(1)
$x_{n+1} = \dfrac{x_n{}^2+d}{2x_n}$ が成り立つことを示せ.
(2)
$x_{n+1}-\sqrt d < \dfrac{x_n-\sqrt d}{2}$ が成り立つことを示せ.
(3)
$\lim\limits_{n \to \infty}x_n = \sqrt d$ が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
点 $(x_n,x_n{}^2-d)$ における放物線 $y = x^2-d$ の接線の方程式は, \[ y = 2x_n(x-x_n)+x_n{}^2-d\] つまり \[ y = 2x_nx-x_n{}^2-d\] で与えられる. この直線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標が $x_{n+1}$ であるから, \[ 0 = 2x_nx_{n+1}-x_n{}^2-d\] つまり \[ 2x_nx_{n+1} = x_n{}^2+d \quad \cdots [1]\] が成り立つ. $[1]$ と $x_1 > 0$ から $x_n > 0$ であることに注意して(証明は数学的帰納法), $[1]$ の両辺を $2x_n$ で割ると, 求める等式が得られる.
(2)
(1) の結果から \[ x_{n+1}\!-\!\sqrt d = \frac{x_n{}^2\!-\!2x_n\sqrt d\!+\!d}{2x_n} = \frac{(x_n\!-\!\sqrt d)^2}{2x_n}\ \cdots [2]\] が成り立つ. $[2]$ と $x_1-\sqrt d > 0$ から $x_n-\sqrt d > 0$ であることに注意すると(証明は数学的帰納法), \[ x_{n+1}-\sqrt d < \frac{(x_n-\sqrt d)^2}{2(x_n-\sqrt d)} = \frac{x_n-\sqrt d}{2} \quad \cdots [3]\] が成り立つ.
(3)
$[3]$ から \[ 0 < x_n-\sqrt d < \frac{x_1-\sqrt d}{2^{n-1}}\] であり, 右辺は $0$ に収束するから, 挟みうちの原理により $\lim\limits_{n \to \infty}(x_n-\sqrt d) = 0$ つまり $\lim\limits_{n \to \infty}x_n = \sqrt d$ が成り立つ.

背景

 グラフが上に凸, または下に凸で微分可能な関数 $f(x)$ に対して, $f(x) = 0$ の解は点 $(x_{n-1},f(x_{n-1}))$ における $f(x)$ のグラフの接線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標 $x_n$ の極限として求めることができる. このような $f(x) = 0$ の解の近似値の計算法は「ニュートン法」(Newton's method)と呼ばれる(こちらを参照).

問題≪縮小関数で定まる数列の極限≫

 数列 $\{ a_n\}$ を $a_1 = \sqrt 2,$ $a_{n+1} = \sqrt{2+a_n}$ で定める.
(1)
$\sqrt 2 \leqq a_n < 2$ が成り立つことを示せ.
(2)
$a_n < a_{n+1}$ が成り立つことを示せ.
(3)
$2-a_{n+1} \leqq \dfrac{1}{2+\sqrt{2+\sqrt 2}}(2-a_n)$ が成り立つことを示せ.
(4)
極限値 $\lim\limits_{n \to \infty}a_n$ を求めよ.

解答例

(1)
$\sqrt 2 \leqq a_n < 2\ \cdots [1]$ を数学的帰納法で示す.
(i)
$n = 1$ のとき, $a_1 = \sqrt 2$ から, $[1]$ が成り立つ.
(ii)
$n = k$ ($k$: 正の整数)のとき, $[1]$ が成り立つとすると, \[\sqrt{2+\sqrt 2} \leqq \sqrt{2+a_k} < \sqrt{2+2}\] から \[\sqrt 2 \leqq a_{k+1} < 2\] となり, $n = k+1$ のときの $[1]$ が得られる.
(i), (ii) から, すべての正の整数 $n$ に対して $[1]$ が成り立つ.
(2)
$[1]$ から \begin{align*} a_{n+1}-a_n &= \sqrt{2+a_n}-a_n \\ &= \frac{(\sqrt{2+a_n}-a_n)(\sqrt{2+a_n}+a_n)}{\sqrt{2+a_n}+a_n} \\ &= \frac{2+a_n-a_n{}^2}{\sqrt{2+a_n}+a_n} \\ &= \frac{(1+a_n)(2-a_n)}{\sqrt{2+a_n}+a_n} > 0 \end{align*} であるので, \[ a_n < a_{n+1} \quad \cdots [2]\] が成り立つ.
(3)
$[2]$ から $a_1 \leqq \cdots \leqq a_n,$ よって $a_1 \leqq a_n$ であるので, \begin{align*} 2-a_{n+1} &= 2-\sqrt{2+a_n} = \frac{2-a_n}{2+\sqrt{2+a_n}} \\ &\leqq \frac{2-a_n}{2+\sqrt{2+a_1}} \\ &= \frac{1}{2+\sqrt{2+\sqrt 2}}(2-a_n) \quad \cdots [3] \end{align*} が成り立つ.
(4)
$[3]$ から \[ 0 < 2-a_n \leqq \cdots \leqq \left(\frac{1}{2+\sqrt{2+\sqrt 2}}\right) ^{n-1}(2-a_1)\] が成り立ち, 右辺は $0$ に収束するから, $\lim\limits_{n \to \infty}(2-a_n) = 0$ つまり $\lim\limits_{n \to \infty}a_n = 2$ である.

背景

  • 関数 $f(x)$ について, すべての実数 $x_1,$ $x_2$ に対して \[ |f(x_2)-f(x_1)| \leqq k|x_2-x_1|\] が成り立つような定数 $k$ が $0 \leqq k < 1$ の範囲に存在するとき, $f(x)$ を「縮小関数」(shrinking function)と呼ぶ. このような関数について, 次の「不動点定理」の成り立つことが知られている: $f(x)$ が「縮小関数」であるならば, 方程式 $f(x) = x$ の実数解 $x = \alpha$ がただ $1$ つ存在して, 漸化式 $a_{n+1} = f(a_n)$ と任意の初期条件で定まる数列 $\{ a_n\}$ は $\alpha$ に収束する. ここで, $f(x) = x$ の実数解 $x = \alpha$ は $f(x)$ の「不動点」(fixed point)と呼ばれる.
    $f(x) = \sqrt{2+x}\ (x > 0)$ は縮小関数であり, $\sqrt{2+x} = x$ の解は $x = 2$ であるから,「不動点定理」により, 問題の数列 $\{ a_n\}$ は $2$ に収束する.
    この $f(x)$ が「縮小関数」であることは, $0 < x_1 < x_2$ のとき, 平均値の定理により \[\frac{f(x_2)-f(x_1)}{x_2-x_1} = f'(c)\] つまり \[\frac{\sqrt{2+x_2}-\sqrt{2+x_1}}{x_2-x_1} = \frac{1}{2\sqrt{2+c}}\] を満たす実数 $c$ が $x_1 < c < x_2$ の範囲に存在し, よって \begin{align*} |\sqrt{2+x_2}-\sqrt{2+x_1}| &= \frac{1}{2\sqrt{2+c}|x_2-x_1|} \\ &< \frac{1}{2\sqrt 2}|x_2-x_1| \end{align*} が成り立つことから示される.
  • ちなみに, $\cos\dfrac{\pi}{2^{n+1}} = \dfrac{a_n}{2}$ からも, \[\lim\limits_{n \to \infty}a_n = 2\lim\limits_{n \to \infty}\cos\dfrac{\pi}{2^{n+1}} = 2\cos 0 = 2\] であることがわかる. 本問の数列が現れる公式として,「ヴィエトの公式」(Viète's formula) \[\pi = 2\cdot\frac{2}{\sqrt 2}\cdot\frac{2}{\sqrt{2+\sqrt 2}}\cdot\frac{2}{\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt 2}}}\cdot\cdots\] が有名である(こちらを参照).

問題≪算術幾何平均に関する極限≫

 $a,$ $b$ を $a \geqq b \geqq 0$ なる実数として, 数列 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\}$ を \[ a_1 = a, \quad b_1 = b, \quad a_{n+1} = \frac{a_n+b_n}{2}, \quad b_{n+1} = \sqrt{a_nb_n}\] により定める.
(1)
すべての正の整数 $n$ に対して $a_n \geqq b_n$ が成り立つことを示せ.
(2)
すべての正の整数 $n$ に対して $\sqrt{\mathstrut a_n}-\sqrt{\mathstrut b_n} \leqq \sqrt{\mathstrut a_n-b_n}$ が成り立つことを示せ.
(3)
極限値 $\lim\limits_{n \to \infty}(a_n-b_n)$ を求めよ.

解答例

(1)
(i)
$n = 1$ のとき, $a_1 = a \geqq b = b_1$ である.
(ii)
$n > 1$ のとき, 相加・相乗平均の不等式により \[ a_n = \frac{a_{n-1}+b_{n-1}}{2} \geqq \sqrt{a_{n-1}b_{n-1}} = b_n\] である.
よって, すべての正の整数 $n$ に対して $a_n \geqq b_n$ が成り立つ.
(2)
(1) の結果から \begin{align*} &(\sqrt{\mathstrut a_n-b_n})^2-(\sqrt{\mathstrut a_n}-\sqrt{\mathstrut b_n})^2 \\ &= (a_n-b_n)-(a_n-2\sqrt{\mathstrut a_nb_n}+b_n) \\ &= 2\sqrt{\mathstrut a_nb_n}-2b_n \\ &= 2(\sqrt{\mathstrut a_n}-\sqrt{\mathstrut b_n})\sqrt{\mathstrut b_n} \geqq 0 \end{align*} であるので, \[ (\sqrt{\mathstrut a_n}-\sqrt{\mathstrut b_n})^2 \leqq (\sqrt{\mathstrut a_n-b_n})^2\] が成り立つ. よって, $\sqrt{\mathstrut a_n}-\sqrt{\mathstrut b_n} \geqq 0$ であることに注意すると, \[\sqrt{\mathstrut a_n}-\sqrt{\mathstrut b_n} \leqq \sqrt{\mathstrut a_n-b_n}\] が成り立つ.
(3)
(2) の結果から \begin{align*} a_{n+1}-b_{n+1} &= \frac{a_n+b_n}{2}-\sqrt{\mathstrut a_nb_n} \\ &= \frac{(\sqrt{\mathstrut a_n}-\sqrt{\mathstrut b_n})^2}{2} \\ &\leqq \frac{(\sqrt{\mathstrut a_n-b_n})^2}{2} = \frac{a_n-b_n}{2} \end{align*} であるので, 数学的帰納法により \[ 0 \leqq a_n-b_n \leqq \frac{a_1-b_1}{2^{n-1}}\] が成り立つ. 左側の不等号は (1) の結果による. 左辺は $0$ に収束するから, 挟みうちの原理により \[\lim_{n \to \infty}(a_n-b_n) = 0\] が成り立つ.

背景

  • $a_1 \geqq b_1 \geqq 0$ と連立漸化式 \[ a_{n+1} = \dfrac{a_n+b_n}{2}, \quad b_{n+1} = \sqrt{a_nb_n} \quad \cdots [*]\] で定まる数列 $\{ a_n\},$ $\{ b_n\}$ は共通の値に収束することが知られており, その極限値は「算術幾何平均」(arithmetic-geometric mean)と呼ばれる.
     $[*]$ において, $a_n \geqq b_n$ を仮定すると \[ a_n \geqq a_{n+1} = \dfrac{a_n+b_n}{2} \geqq b_{n+1} = \sqrt{a_nb_n} \geqq b_n\] となるから, \[ a_1 \geqq \cdots \geqq a_n \geqq \cdots \geqq b_n \geqq \cdots \geqq b_1\] が成り立つ. よって, $\{ a_n\}$ は $b_1$ 以上の値をとる単調減少数列であり, $\{ b_n\}$ は $a_1$ 以下の値をとる単調増加数列である. 一般に, 常に一定値以上の値をとる単調減少数列, および常に一定値以下の値をとる単調増加数列は収束することが知られているので, $\{ a_n\}$ と $\{ b_n\}$ は収束する. よって, $2a_{n+1} = a_n+b_n$ において両辺の極限をとると, $2\lim\limits_{n \to \infty}a_n = \lim\limits_{n \to \infty}a_n+\lim\limits_{n \to \infty}b_n$ となるので, $\lim\limits_{n \to \infty}a_n = \lim\limits_{n \to \infty}b_n$ が成り立つ.
     本問では, このことを知らないとして, 数列 $\{ a_n-b_n\}$ が $0$ に収束することを示した.
  • 円周率の近似値を計算する方法として,「算術幾何平均」を使った次のような公式が知られている: $[*]$ において $a_1 = 1,$ $b_1 = \dfrac{1}{\sqrt 2}$ とし, 数列 $\{ c_n\}$ を \[ c_1 = \dfrac{1}{4}, \quad c_{n+1} = c_n-2^n(a_n-a_{n+1})^2\] で定めると, $\pi = \lim\limits_{n \to \infty}\dfrac{a_{n+1}{}^2}{c_n}$ が成り立つ.

その他の数列の極限

問題≪オイラーの定数にまつわる数列の極限≫

 数列 $\left\{\displaystyle\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{k}-\log n\right\}$ は有限の極限値 $\gamma$ を持つことが知られている. 数列 $\left\{\displaystyle\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{2k-1}-c\log n\right\}$ が収束するとき, 極限値 $\gamma '$ と定数 $c$ の値を求めよ.
[防衛大]

解答例

\begin{align*} &\sum\limits_{k = 1}^{2n}\frac{1}{k}-\log 2n \\ &= \left(\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{2k-1}-c\log n\right) +\left(\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{2k}-\frac{1}{2}\log n\right) \\ &\qquad +c\log n+\frac{1}{2}\log n-\log n-\log 2 \\ &= \left(\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{2k-1}-c\log n\right) +\frac{1}{2}\left(\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{k}-\log n\right) \\ &\qquad +\left( c-\frac{1}{2}\right)\log n-\log 2 \quad \cdots [1] \end{align*} であるから, 数列 $\left\{\displaystyle\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{2k-1}-c\log n\right\}$ が収束するとき $\left\{\left( c-\dfrac{1}{2}\right)\log n\right\}$ は収束しなければならず \[ c = \dfrac{1}{2}\] となる. このとき, $[1]$ の両辺の極限をとると
$\gamma = \gamma '+\dfrac{1}{2}\gamma -\log 2$ つまり $\gamma ' = \dfrac{\gamma}{2}+\log 2$
が得られる.

背景

  • 極限値 $\gamma = \lim\limits_{n \to \infty}\left(\displaystyle\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{k}-\log n\right)$ は「オイラーの定数」(Euler's constant)と呼ばれ, 数学の諸分野で現れる重要な定数であるが, 有理数, 無理数のどちらであるかさえもわかっていない($2019$ 年 $8$ 月現在).
  • 「ある定数より各項が大きい単調減少数列は収束する」という事実を使うと, 極限値 $\gamma$ が実際に存在することは, $a_n = \displaystyle\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{k}-\log n$ とおくと, \[ a_n = \sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{k}-\int _1^n\frac{dx}{x} \geqq \sum\limits_{k = 1}^n\frac{1}{k}-\sum\limits_{k = 1}^{n-1}\frac{1}{k} = \frac{1}{n} > 0\] となり, \begin{align*} a_n-a_{n+1} &= \sum\limits_{k = 1}^n\dfrac{1}{k}-\log n-\sum\limits_{k = 1}^n\dfrac{1}{k}+\log (n+1) \\ &= \log\frac{n+1}{n}-\frac{1}{n+1} \\ &= \int _n^{n+1}\frac{dx}{x}-\frac{1}{n+1} > 0 \end{align*} から $a_n > a_{n+1}$ となることからわかる.

無限級数

 こちらを参照.