COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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融合問題(解析学分野)

融合問題

問題≪ニュートン法≫

 $d > 1,$ $x_1 > \sqrt d$ とし, 点 $(x_n,x_n{}^2-d)$ における放物線 $y = x^2-d$ の接線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標を $x_{n+1}$ とおくことで, 数列 $\{ x_n\}$ を定める.
(1)
$x_{n+1} = \dfrac{x_n{}^2+d}{2x_n}$ が成り立つことを示せ.
(2)
$x_{n+1}-\sqrt d < \dfrac{x_n-\sqrt d}{2}$ が成り立つことを示せ.
(3)
$\lim\limits_{n \to \infty}x_n = \sqrt d$ が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
点 $(x_n,x_n{}^2-d)$ における放物線 $y = x^2-d$ の接線の方程式は, \[ y = 2x_n(x-x_n)+x_n{}^2-d\] つまり \[ y = 2x_nx-x_n{}^2-d\] で与えられる. この直線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標が $x_{n+1}$ であるから, \[ 0 = 2x_nx_{n+1}-x_n{}^2-d\] つまり \[ 2x_nx_{n+1} = x_n{}^2+d \quad \cdots [1]\] が成り立つ. $[1]$ と $x_1 > 0$ から $x_n > 0$ であることに注意して(証明は数学的帰納法), $[1]$ の両辺を $2x_n$ で割ると, 求める等式が得られる.
(2)
(1) の結果から \[ x_{n+1}\!-\!\sqrt d = \frac{x_n{}^2\!-\!2x_n\sqrt d\!+\!d}{2x_n} = \frac{(x_n\!-\!\sqrt d)^2}{2x_n}\ \cdots [2]\] が成り立つ. $[2]$ と $x_1-\sqrt d > 0$ から $x_n-\sqrt d > 0$ であることに注意すると(証明は数学的帰納法), \[ x_{n+1}-\sqrt d < \frac{(x_n-\sqrt d)^2}{2(x_n-\sqrt d)} = \frac{x_n-\sqrt d}{2} \quad \cdots [3]\] が成り立つ.
(3)
$[3]$ から \[ 0 < x_n-\sqrt d < \frac{x_1-\sqrt d}{2^{n-1}}\] であり, 右辺は $0$ に収束するから, 挟みうちの原理により $\lim\limits_{n \to \infty}(x_n-\sqrt d) = 0$ つまり $\lim\limits_{n \to \infty}x_n = \sqrt d$ が成り立つ.

背景

 グラフが上に凸, または下に凸で微分可能な関数 $f(x)$ に対して, $f(x) = 0$ の解は点 $(x_{n-1},f(x_{n-1}))$ における $f(x)$ のグラフの接線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標 $x_n$ の極限として求めることができる. このような $f(x) = 0$ の解の近似値の計算法は「ニュートン法」(Newton's method)と呼ばれる.