有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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ニュートン法

ニュートン法

定理《ニュートン法》

 閉区間 $[a,b]$ で定義された実数値関数 $f(x)$ が開区間 $(a,b)$ で $f''(x) > 0$ を満たし, $f(a)f(b) < 0$ であるとする. さらに, $f(x_1) > 0$ なる実数 $x_1 \in (a,b)$ をとり, 点 $(x_n,f(x_n))$ における曲線 $y = f(x)$ の接線の $x$ 切片を $(x_{n+1},0)$ として, 数列 $\{ x_n\}$ を定める. このとき, 数列 $\{ x_n\}$ は $f(x) = 0$ のただ $1$ つの解に収束する.

証明

 $f(x)$ は連続であり, $f(a)f(b) < 0$ を満たすから, 中間値の定理により, $f(c) = 0$ なる実数 $c \in (a,b)$ が存在する. $c$ の一意性は, $f(x)$ の凸性を使った議論からわかる.
 $f(a)f(b) < 0$ に注意すると, $f(x) \geqq 0$ なる $x$ の値で $f(x)$ は最小値をとらないから, \[ f(x) \geqq 0 \Longrightarrow f'(x) \neq 0\] が成り立つ.
 また, $f(x)$ の連続性, $c$ の一意性に注意すると,
(i)
$f(a) > 0$ のとき, \[ a \leqq x \leqq c \iff f(x) \geqq 0 \Longrightarrow f'(x) < 0\]
(ii)
$f(b) > 0$ のとき, \[ c \leqq x \leqq b \iff f(x) \geqq 0 \Longrightarrow f'(x) > 0\]
の成り立つことがわかる. (i) の場合は (ii) と同様であるから, 以下では (ii) の場合を考える.
 点 $(x_n,f(x_n))$ における曲線 $y = f(x)$ の接線の $x$ 切片を $(x_{n+1},0)$ として, 数列 $\{ x_n\}$ を定める. $f(x_1) > 0$ と (ii) から $f'(x_1) > 0$ であることに注意すると, \[ x_2 = x_1-\frac{f(x_1)}{f'(x_1)} < x_1 \quad \cdots [1]\] が成り立つ. Taylor の定理により, ある $\xi _1 \in (c,x_1)$ に対して \[\begin{aligned} 0 = f(c) &= f(x_1)+f'(x_1)(c-x_1)+\frac{f''(\xi _1)}{2}(c-x_1)^2 \\ &= (c-x_2)f'(x_1)+\frac{f''(\xi _1)}{2}(c-x_1)^2 \end{aligned}\] となるから, \[ x_2 = c+\frac{f''(\xi _1)}{2f'(x_1)}(c-x_1)^2 > c\] が成り立つ. $\{ x_n\}$ は, 帰納法により $c$ より大きい値をとる単調減少数列であるから, ある実数 $x_\infty$ に収束する. したがって, $[1]$ と同様の漸化式から, \[ x_\infty = x_\infty -\frac{f(x_\infty )}{f'(x_\infty )}\] つまり $f(x_\infty ) = 0$ が得られる. よって, $f(x) = 0$ の解の一意性により, $x_\infty = c$ である.

高校数学の問題

関数と極限

問題《ニュートン法》

 $d > 1,$ $x_1 > \sqrt d$ とし, 点 $(x_n,x_n{}^2-d)$ における放物線 $y = x^2-d$ の接線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標を $x_{n+1}$ として, 数列 $\{ x_n\}$ を定める. 次のことを示せ.
(1)
$x_{n+1} = \dfrac{x_n{}^2+d}{2x_n}$ が成り立つ.
(2)
$x_{n+1}-\sqrt d < \dfrac{x_n-\sqrt d}{2}$ が成り立つ.
(3)
$\lim\limits_{n \to \infty}x_n = \sqrt d$ である.

解答例

 こちらを参照.