COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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$1$ 階常微分方程式

理論

初等的解法

 準備中.

問題

初等的解法

問題≪変数分離型微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ.
(a)
$yy' = -x.$ 
(b)
$y' = -\dfrac{y}{x}.$ 
(c)
$y' = e^{x+y}.$ 
(d)
$(1-x^2)y' = 1+y^2.$ 

解答例

(a)
与式を $x$ で積分すると \[\frac{y^2}{2} = -\frac{x^2}{2}+c'\] となるから, 求める解は \[ x^2+y^2 = c.\]
(b)
与式より, \[\frac{y'}{y} = -\frac{1}{x}.\] 両辺を $x$ で積分すると \[\log |y| = -\log |x|+c\] となるから, 求める解は \[ y = \exp (c-|x|).\]
(c)
与式より $y = e^xe^y$ だから, \[ e^{-y}y = e^x.\] 両辺を $x$ で積分すると \[ -e^{-y} = e^x+c'\] すなわち \[ e^{-y} = c-e^x\] となるから, 求める解は \[ y = -\log (c-e^x).\]
(d)
与式より, \[\frac{y'}{1+y^2} = \frac{1}{1-x^2} = \frac{1}{2}\left(\frac{1}{1+x}+\frac{1}{1-x}\right).\] 両辺を $x$ で積分すると \[\tan y = \frac{1}{2}\left(\log |1+x|+\log |1-x|\right) +c\] となるから, 求める解は \[ y = \arctan\left(\frac{1}{2}\log |1-x^2|+c\right).\]
ここで, $c,$ $c'$ は任意の定数.

問題≪ロジスティック方程式≫

 $a,$ $b$ を定数とする. 次の微分方程式の一般解を求めよ. \[ y' = a\left( 1-\frac{y}{b}\right) y.\] ただし, $x = x_0$ のときの $y$ の値を $y_0$ とする.

解答例

 与式より, \[ 1 = \left( ay-\frac{a}{b}y^2\right)^{-1}y'.\] 右辺を部分分数分解して, 両辺に $a$ を掛けて $x_0$ から $x$ まで積分すると \begin{align*} a(x-x_0) &= \int _{x_0}^x\left(\frac{1}{y}-\frac{a}{ab-ay}\right) y'dx \\ &= \left[\log |Y|-\log\left|\frac{ab-aY}{a}\right|\right] _{Y = y_0}^y \\ &= \left[\log\left|\frac{aY}{ab-aY}\right|\right] _{Y = y_0}^y \\ &= \log\left|\frac{ay}{ab-ay}\right| -\log\left|\frac{ay_0}{ab-ay_0}\right| \\ &= \log\left|\frac{y}{y_0}\cdot\frac{ab-ay_0}{ab-ay}\right| \end{align*} となるから, \[\pm e^{a(x-x_0)} = \frac{y}{y_0}\cdot\frac{ab-ay_0}{ab-ay}.\] $y$ について整理すると, \[ y = \frac{aby_0}{ay_0\pm (ab-ay_0)e^{-a(x-x_0)}}.\]

解説

 この微分方程式は, ロジスティック方程式と呼ばれ, 人口増加を説明するモデルとして考案された(Verhulst, 1838).

問題≪同次型微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ.
(a)
$y' = -\dfrac{x}{y}.$ 
(b)
$y' = \dfrac{x+y}{x-y}.$ 

解答例

(a)
$u = \dfrac{y}{x}$ とおくと \[\frac{1}{u} = (xu)' = xu'+u\] となるから, \[\frac{1}{x} = \frac{1}{y'-u}u' = \frac{1}{\dfrac{1}{u}-u}u' = \frac{u}{1-u^2}u'\] の両辺を $x$ で積分すると \begin{align*} \log |x|+c' &= -\frac{1}{2}\int\frac{-2u}{1-u^2}u'dx \\ &= -\frac{1}{2}\log |1-u^2|. \end{align*} $u = \dfrac{y}{x}$ を代入して整理すると, 求める解は \[ x^2-y^2 = c.\]
(b)
$u = \dfrac{y}{x}$ とおくと \[\frac{1+u}{1-u} = (xu)' = xu'+u\] となるから, \[\frac{1}{x} = \frac{1}{y'-u}u' = \frac{1}{\dfrac{1+u}{1-u}-u}u' = \frac{1-u}{1+u^2}u'\] の両辺を $x$ で積分すると \begin{align*} \log |x|+c &= \int\frac{u'}{1+u^2}dx-\frac{1}{2}\int\frac{2u}{1+u^2}u'dx \\ &= \arctan u-\frac{1}{2}\log (1+u^2). \end{align*} $u = \dfrac{y}{x}$ を代入して整理すると, 求める解は \[\arctan\frac{y}{x}-\frac{1}{2}\log (x^2+y^2) = c.\]
ここで, $c,$ $c'$ は任意の定数.

問題≪変数分離型・同次型に帰着できる微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ.
(a)
$y' = \dfrac{x-y}{2x-2y+1}.$ 
(b)
$y' = \dfrac{4x+y-6}{x+y-3}.$ 

解答例

(a)
$u = x-y$ とおくと, \[\frac{u}{2u+1} = (x-u)' = 1-u'\] より \[ u' = 1-\frac{u}{2u+1} = \frac{u+1}{2u+1}\] となるから, \[ 1 = \frac{2u+1}{u+1}u' = \left( 2-\frac{1}{u+1}\right) u'.\] 両辺を $x$ で積分すると, \[ x+c = 2u-\log |u+1|.\] $u = x-y$ を代入して整理すると, 求める解は \[ x-2y-\log |x-y+1| = c.\]
(b)
連立方程式 \[ 4x+y-6 = x+y-3 = 0\] を解くと, \[ x = 1, \quad y = 2.\] そこで \[ X = x-1, \quad Y = y-2 \qquad \cdots [1]\] と変数変換すると, \[ Y' = \frac{4X+Y}{X+Y}.\] $U = \dfrac{Y}{X}$ とおくと, \[\frac{4+U}{1+U} = (XU)' = XU'+U\] となるから, \[\frac{1}{X} = \frac{1}{Y'-U}U' = \frac{1}{\dfrac{4+U}{1+U}-U}U' = \frac{1+U}{4-U^2}U'\] の両辺を $X$ で積分すると, \[\log |X|+c' = \frac{1}{4}\int\left(\frac{3}{2-U}-\frac{1}{2+U}\right) U'dX.\] $U = \dfrac{Y}{X}$ を代入して整理すると, \[ 4\log |X|+c = 3\log\left| 2-\frac{Y}{X}\right| -\log\left| 2+\frac{Y}{X}\right|\] すなわち \[ 3\log |2X-Y|-\log |2X+Y|-2\log X = c.\] $[1]$ を代入すると, 求める解は \[ 3\log |2x-y|-\log |2x-y-4|-2\log |x-1| = c.\]
ここで, $c,$ $c'$ は任意の定数.

問題≪曲線族に直交する曲線≫

(1)
$x^2-2ax+y^2 = 0$ ($a$ は任意の実数)を解曲線とする微分方程式を求めよ.
(2)
(1) の曲線族に直交する曲線の方程式を求めよ.

解答例

(1)
\[ x^2-2ax+y^2 = 0 \quad \cdots [1]\] の両辺を微分すると, \[ 2x-2a+2yy' = 0.\] 両辺に $x$ を掛けると \begin{align*} 0 &= 2x^2-2ax+2xyy' \\ &= (x^2-2ax+y^2)+x^2-y^2+2xyy' \\ &= x^2-y^2+2xyy' \quad (\because [1]) \end{align*} となるから, \[ y' = -\frac{x^2-y^2}{2xy}.\]
(2)
各 $a$ に対して $[1]$ と $[1]$ に直交する曲線の接線の傾きの積は $-1$ だから, $[1]$ に直交する曲線は \[ y' = \frac{2xy}{x^2-y^2}\] を満たす. $u = \dfrac{y}{x}$ とおく.
(i)
$u = 0$ のとき. $y = 0$ であり, これは $[1]$ に直交する.
(ii)
$u \neq 0$ のとき. \[\frac{2u}{1-u^2} = (xu)' = xu'+u\] となるから, \begin{align*} \frac{1}{x} &= \frac{1}{y'-u}u' = \frac{1}{\dfrac{2u}{1-u^2}-u}u' \\ &= \frac{1-u}{u(1+u^2)}u' \end{align*} の両辺を $x$ で積分すると, $c$ を任意の定数として \begin{align*} \log |x|+c &= \int\frac{du}{u}u'dx-\int\frac{2u}{1+u^2}u'dx \\ &= \log\left|\frac{u}{1+u^2}\right|. \end{align*} $u = \dfrac{y}{x}$ を代入して整理すると, $b$ を任意の定数として \[ x(x^2+y^2-2by) = 0.\] $x = 0$ は $[1]$ に直交しないから, 求める曲線は \[ x^2+y^2-2by = 0.\]
(i), (ii) より, 求める曲線は \[ y = 0, \qquad x^2+y^2-2by = 0.\]

問題≪$1$ 階線形微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ.
(a)
$y'-y = x.$ 
(b)
$y'+\dfrac{y}{x} = x\ (x > 0).$ 
(c)
$y' +(\cos x)y = \cos x.$ 

解答例

(a)
\[ y'-y = 0\] を解くと, \[ y = e^x+c.\] そこで, 与式の両辺に $e^{-x}$ を掛けると \[ (e^{-x}y)' = e^{-x}y'-e^{-x}y = xe^{-x}\] となり, 両辺を $x$ で積分すると \begin{align*} &e^{-x}y = \int x(-e^{-x})'dx \\ &= x(-e^{-x})-\int (-e^{-x})dx = c-xe^{-x}-e^{-x} \end{align*} となるから, 求める解は \[ y = ce^x-(x+1).\]
(b)
$y \neq 0$ のとき \[ y'+\dfrac{y}{x} = 0\] を解くと, \[\frac{y'}{y} = -\frac{1}{x}\] より \[\log |y| = c'-\log x\] だから, \[ y = \pm e^{c'-\log x} = \pm e^{c'}(e^{\log x})^{-1} = \frac{c}{x}.\] そこで, 与式の両辺に $x$ を掛けると \[ (xy)' = xy'+y = x^2\] となり, 両辺を $x$ で積分すると \[ xy = \frac{x^3}{3}+c\] となるから, 求める解は \[ y = \frac{x^2}{3}+\frac{c}{x}.\]
(c)
$y \neq 0$ のとき \[ y'+(\cos x)y = 0\] を解くと, \[\frac{y'}{y} = -\cos x\] より \[\log |y| = c'-\sin x\] だから, \[ y = \pm e^{c'-\sin x} = \pm e^{c'}e^{-\sin x} = ce^{-\sin x}.\] そこで, 与式の両辺に $e^{\sin x}$ を掛けると \[ (e^{\sin x}y)' = e^{\sin x}y'+e^{\sin x}(\cos x)y = e^{\sin x}\cos x\] となり, 両辺を $x$ で積分すると \[ e^{\sin x}y = e^{\sin x}+c\] となるから, 求める解は \[ y = 1+ce^{-\sin x}.\]
ここで, $c,$ $c'$ は任意の定数.

問題≪Bernoulli 型の常微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ.
(a)
$y'+y = y^2\cos x.$ 
(b)
$y'+\dfrac{y}{x} = y^3\ (x > 0).$ 

解答例

(a)
$u = y^{-1}$ とおくと, \begin{align*} u' &= -y^{-2}y' \\ &= -y^{-2}(y^2\cos x-y) \\ &= u-\cos x. \end{align*} これを解くと \[ u = e^x(\sin x+c)\] となるから, 求める解は \[ y = \frac{1}{e^x(\sin x+c)}.\]
(b)
$u = y^{-2}$ とおくと, \begin{align*} u' &= -2y^{-3}y' \\ &= -2y^{-3}\left( y^3-\frac{y}{x}\right) \\ &= \frac{u}{x}-2. \end{align*} これを解くと \[ u = x(c-2\log x)\] となるから, 求める解は \[ x(c-2\log x)+\frac{1}{y^2} = 0.\]

問題≪Riccati 型の常微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ. \[ y' = e^{-x}y^2-y+e^x.\]

解答例

 $y = e^x$ は $1$ つの解である. $y = e^x+u$ とおくと, 与式より, \[ e^x+u' = e^{-x}(e^{2x}+2e^xu+u^2)-(e^x+u)+e^x\] となって, Bernoulli 型の方程式 \[ u'-u = e^{-x}u^2\] が得られる. 両辺を $u^2$ で割ると, \[ u^{-2}u'-u^{-1} = e^{-x}\] となるから, \[ (u^{-1})'+u^{-1} = -e^{-x}.\] これを解くと, \[ u^{-1} = e^{-x}(c-x)\] より, \[ u = \frac{e^x}{c-x}.\] ゆえに, 求める解は, \[ y = e^x+\frac{e^x}{c-x}.\] ここで, $c$ は任意の定数.

問題≪Clairaut 型の常微分方程式≫

 次の微分方程式を解け. \[ y = xy'-(y')^2.\]

解答例

 両辺を $x$ で微分すると \[ y' = y'+xy''-2y'y''\] となるから, \[ (2y'-x)y'' = 0.\]
(i)
$y'' = 0$ のとき. \[ y' = c.\] これを与式に代入すると, \[ y = cx-c^2.\]
(ii)
$2y'-x = 0$ のとき. \[ y' = \frac{x}{2} \quad \cdots [1]\] より, \[ y = \frac{x^2}{4}+d \quad \cdots [2].\] $[1],$ $[2]$ を与式に代入すると, \[\frac{x^2}{4}+d = \frac{x^2}{4}\] となるから, \[ d = 0.\] すなわち, \[ y = \frac{x^2}{4}+d.\]
ゆえに, \[ y = cx-c^2, \quad \frac{x^2}{4}.\] ここで, $c$ は任意の定数.

問題≪Lagrange 型の常微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ. \[ y = 2xy'+(y')^2.\]

解答例

 $p = y'$ とおく. 両辺を $x$ で微分すると, \[ p = 2p+2xp'+2pp'\] より \[\frac{dx}{dp} +\frac{2}{p}x = -2.\] これを $p$ を独立変数, $x$ を従属変数として解くと, \[ x = \frac{1}{p^2}\left( c-\frac{2}{3}p^2\right)\] すなわち \[ 3p^2x+2p^3 = c.\] 与式より, 求める解は \[ (xy+c)^2 = 4(x^2+y)(y^2-cx).\] ここで, $c$ は任意の定数.

問題≪$y = f(x,\ y')$ 型の微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ. \[ y = x(y'-1)\ (x > 0).\]

解答例

 両辺を $x$ で微分すると, \[ y' = (y'-1)+xy''\] となるから, \[ y'' = \frac{1}{x}\] より, \[ y' = c'+\log x.\] これを与式に代入すると, \[ y = x(c'+\log x-1)\] すなわち \[ y = x(c+\log x) \quad (c = c'-1).\] ここで, $c,$ $c'$ は任意の定数.

問題≪完全微分方程式≫

 次の微分方程式の一般解を求めよ.
(a)
$(x^3+xy^2)+(x^2y+y^3)y' = 0.$ 
(b)
$(\cosh x\sin y)+(\sinh x\cos y)y' = 0.$ 
(c)
$e^{-2\theta}\left( r-r^2\frac{dr}{d\theta}\right) = 0.$ 

解答例

(a)
\[ p(x,\ y) = x^3+xy^2, \quad q(x,\ y) = x^2y+y^3\] とおくと \[ p_y = q_x = 2xy\] となるから, 与式は完全である. よって, \begin{align*} f_x &= x^3+xy^2 \quad \cdots [1], \\ f_y &= x^2y+y^3 \quad \cdots [2] \end{align*} を満たす関数 $f(x,\ y)$ が存在する. $[1]$ の両辺を $x$ で積分すると, \[ f(x,\ y) = \frac{x^4}{4}+\frac{x^2y^2}{2}+k(y) \quad \cdots [3]\] を満たす関数 $k(y)$ が存在する. これを $y$ で偏微分すると, $[2]$ より, \[ x^2y+k'(y) = x^2y+y^3\] となるから, $k'(y) = y^3,$ すなわち \[ k(y) = \frac{y^4}{4}+k \quad \cdots [4]\] となる. 一方, $[1],$ $[2]$ より \[ df(x,\ y) = 0\] だから, \[ f(x,\ y) = \ell \quad \cdots [5]\] となる. $[3]$~$[5]$ より, 求める解は \[ (x^2+y^2)^2 = c.\] ここで, $k,$ $\ell$ は任意の定数, $c$ は任意の非負定数.
(b)
\[ p(x,\ y) = \cosh x\sin y, \quad q(x,\ y) = \sinh x\cos y\] とおくと \[ p_y = q_x = \cosh x\cos y\] となるから, 与式は完全である. よって, \begin{align*} f_x &= \cosh x\sin y \quad \cdots [1], \\ f_y &= \sinh x\cos y \quad \cdots [2] \end{align*} を満たす関数 $f(x,\ y)$ が存在する. $[1]$ の両辺を $x$ で積分すると, \[ f(x,\ y) = \sinh x\sin y+k(y) \quad \cdots [3]\] を満たす関数 $k(y)$ が存在する. これを $y$ で偏微分すると, $[2]$ より, \[\sinh x\cos y+k'(y) = \sinh x\cos y\] となるから, $k'(y) = 0,$ すなわち \[ k(y) = k \quad \cdots [4]\] となる. 一方, $[1],$ $[2]$ より \[ df(x,\ y) = 0\] だから, \[ f(x,\ y) = \ell \quad \cdots [5]\] となる. $[3]$~$[5]$ より, 求める解は \[\sinh x\sin y = c.\] ここで, $k,$ $\ell,$ $c$ は任意の定数.
(c)
\[ p(r,\ \theta ) = re^{-2\theta}, \quad q(r,\ \theta ) = -r^2e^{-2\theta}\] とおくと \[ p_r = q_\theta = -2re^{-2\theta}\] となるから, 与式は完全である. よって, \begin{align*} f_r &= re^{-2\theta} \quad \cdots [1], \\ f_\theta &= -r^2e^{-2\theta} \quad \cdots [2] \end{align*} を満たす関数 $f(r,\ \theta )$ が存在する. $[1]$ の両辺を $r$ で積分すると, \[ f(r,\ \theta ) = \frac{r^2}{2}e^{-2\theta}+k(\theta ) \quad \cdots [3]\] を満たす関数 $k(\theta )$ が存在する. これを $\theta$ で偏微分すると, $[2]$ より, \[ -r^2e^{-2\theta}+k'(\theta ) = -r^2e^{-2\theta}\] となるから, $k'(\theta ) = 0,$ すなわち \[ k(\theta ) = k \quad \cdots [4]\] となる. 一方, $[1],$ $[2]$ より \[ df(r,\ \theta ) = 0\] だから, \[ f(r,\ \theta ) = \ell \quad \cdots [5]\] となる. $[3]$~$[5]$ より, 求める解は \[ r^2e^{-2\theta} = c.\] ここで, $k,$ $\ell,$ $c$ は任意の定数.

問題≪微分方程式の積分因子≫

 次の微分方程式の積分因子を $1$ つ求め, 一般解を求めよ. \[ 2\cos x\sin y+(\sin x\cos y)y' = 0\ (0 < x < \pi ).\]

解答例

\[ p(x,\ y) = 2\cos x\sin y, \quad q(x,\ y) = \sin x\cos y\] とおくと, \[ p_y = 2\cos x\cos y \neq \cos x\cos y = q_x\] より, 与式は完全ではない. \[\frac{p_y-q_x}{q} = \frac{\cos x\cos y}{\sin x\cos y} = \cot x\] は $x$ のみに依存するから, \begin{align*} \exp\left(\int\cot xdx\right) &= \exp (a+\log\sin x) \\ &= b\sin x \quad (b = e^a > 0) \end{align*} は与式の積分因子である. そこで, 与式を \[ 2\sin x\cos x\sin y+(\sin ^2x\cos y)y' = 0\] と変形すると完全になる. よって, \begin{align*} f_x &= 2\sin x\cos x\sin y \quad \cdots [1], \\ f_y &= \sin ^2x\cos y \quad \cdots [2] \end{align*} を満たす関数 $f(x,\ y)$ が存在する. $[2]$ の両辺を $y$ で積分すると, \[ f(x,\ y) = \sin ^2x\sin y+k(x) \quad \cdots [3]\] を満たす関数 $k(x)$ が存在する. これを $x$ で偏微分すると, $[1]$ より, \[ 2\sin x\cos x\sin y+k'(x) = 2\sin x\cos x\sin y\] となるから, $k'(x) = 0,$ すなわち \[ k(x) = k \quad \cdots [4]\] となる. 一方, $[1],$ $[2]$ より \[ df(x,\ y) = 0\] だから, \[ f(x,\ y) = \ell \quad \cdots [5]\] となる. $[3]$~$[5]$ より, 求める解は \[\sin ^2x\sin y = c.\] ここで, $k,$ $\ell,$ $c$ は任意の定数.

解の存在と一意性

問題≪微分方程式の Lipschitz 条件≫

(1)
$f(x,\ y) = xy^{\frac{2}{3}}$ は正方形領域 \[ D = \{ (x,\ y) \in \mathbb R^2||x| \leqq 1,\ |y| \leqq 1\}\] において Lipschitz 条件を満たさないことを示せ.
(2)
$y' = xy^{\frac{2}{3}},$ $y(0) = 0$ は複数の解を持つことを示せ.

解答例

(1)
$(x,\ y_1),$ $(x,\ 0) \in D,$ $y_1 > 0$ のとき \begin{align*} \frac{f(x,\ y_1)-f(x,\ 0)}{y_1-0} &= \frac{xy_1^{\frac{2}{3}}}{y_1} = \frac{x}{y_1{}^{\frac{1}{3}}} \\ &\to \infty \quad (y_1 \to 0) \end{align*} となり, $|f_y(x,\ y)| \leqq K$ を満たす定数 $K$ は存在しないから, $f(x,\ y)$ は $D$ において Lipschitz 条件を満たさない.
(2)
$y \geqq 0$ として $y' = xy^{\frac{2}{3}}$ を解くと, $y^{-\frac{2}{3}}y' = x$ より $3y^{\frac{1}{3}} = \dfrac{x^2}{2}+c$ となるから, \[ y = \left(\frac{x^2}{6}+c\right)^3.\] ここで, $c$ は任意の定数である. $y(0) = 0$ のとき, \[ y = \frac{x^6}{216}.\] 一方で $y = 0$ も与式の解だから, 与式は複数の解を持つ.