COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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関数の最大・最小(数学 III)

関数の最大・最小

問題≪正方形の頂点の最短ネットワーク問題≫

 $xy$ 平面上に $4$ 点 $\mathrm A(1,1),$ $\mathrm B(−1,1),$ $\mathrm C(−1,−1),$ $\mathrm D(1,−1)$ をとる. また, $y$ 軸に関して対称になるように, $x$ 軸上に点 $\mathrm P,$ $\mathrm Q$ をとる. このとき, $L = \mathrm{PQ}+\mathrm{PA}+\mathrm{QB}+\mathrm{QC}+\mathrm{PD}$ の最小値と, 最小値を与える点 $\mathrm P$ の座標を求めよ.

解答例

 点 $\mathrm P$ の座標を $(x,0)$ とおく. $x < 0$ のとき線分 $\mathrm{PA}$ と $\mathrm{QB},$ $\mathrm{QC}$ と $\mathrm{PD}$ は交差してしまうので, $L$ の最小値を求めるには $x \geqq 0$ の場合を考えれば十分である. 対称性により, $f(x) = \mathrm{PO}+\mathrm{PA}+\mathrm{PD} = \mathrm{PO}+2\mathrm{PA}$ の最小値を求めればよい. $x \geqq 0$ のとき, \begin{align*} f(x) &= x+2\sqrt{(1-x)^2+1} = x+2\sqrt{x^2-2x+2}, \\ f'(x) &= 1+\frac{2x-2}{\sqrt{x^2-2x+2}} = \frac{2(x-1)+\sqrt{x^2-2x+2}}{\sqrt{x^2-2x+2}} \end{align*} から, \begin{align*} f'(x) = 0 &\iff 2(1-x) = \sqrt{x^2-2x+2} \\ &\iff 4(1-x)^2 = x^2-2x+2 \\ &\iff 3x^2-6x+2 = 0 \\ &\iff x = 1-\frac{1}{\sqrt 3} \end{align*} が成り立つ. よって, $f(x)$ の増減表は次のようになるから, $f(x)$ は $x = 1-\dfrac{1}{\sqrt 3}$ のとき極小かつ最小の値 $1+\sqrt 3$ をとる.
$x$$0$$\cdots$$1-\dfrac{1}{\sqrt 3}$$\cdots$
$f'(x)$$-$$0$$+$
$f(x)$$\searrow$$1+\sqrt 3$$\nearrow$
最小値は, 点 $\mathrm P$ から辺 $\mathrm{AD}$ に下した垂線の足 $\mathrm H$ について, $\mathrm{AH}:\mathrm{HP} = 1:\dfrac{1}{\sqrt 3} = \sqrt 3:1$ から $\mathrm{PA} = \dfrac{2}{\sqrt 3}$ であることを使って \[\left( 1-\frac{1}{\sqrt 3}\right) +2\cdot\frac{2}{\sqrt 3} = 1+\frac{3}{\sqrt 3} = 1+\sqrt 3\] と求めた.
ゆえに, $L$ は $\mathrm P\left( 1-\dfrac{1}{\sqrt3 },0\right)$ のとき最小値 $2(1+\sqrt 3)$ をとる.

背景

  • 正方形の頂点を結ぶ最短経路を求める問題は, 三角不等式 $\mathrm P_1\mathrm P_2+\mathrm P_2\mathrm P_3 \geqq \mathrm P_1\mathrm P_3$ を使った議論により, 本問のような場合に帰着されて(詳細は省略), その解は上の図のようになる.
  • なお, 正五角形の頂点を結ぶ最短経路は次の図のようになること($3$ つの三叉路を結んだ経路で, $2$ 辺のなす角はすべて $120^\circ$), $n \geqq 6$ のとき正 $n$ 角形 $\mathrm P_1\mathrm P_2\cdots\mathrm P_n$ の頂点を結ぶ最短経路は折れ線 $\mathrm P_1\mathrm P_2\cdots\mathrm P_n$ であることが知られている.
  • 複数の点を結ぶ最短経路を求める問題は「最短ネットワーク問題」と呼ばれ, その解法としていくつかの初等幾何学的なアルゴリズムが知られている.

問題≪円に内接する三角形の面積の最大値≫

 $R$ を正の数とする. 半径が $R$ の円に内接する三角形 $T$ の面積 $S$ について, 次の問いに答えよ.
(1)
$T$ の内角を $x,$ $y,$ $z$ とおくと, $S$ は \[ S = 2R^2\sin x\sin y\sin z\] と表されることを示せ.
(2)
$S$ の最大値を求めよ.

解答例

(1)
$T$ として $\mathrm{BC} = a,$ $\mathrm{CA} = b,$ $\angle\mathrm A = x,$ $\angle\mathrm B = y,$ $\angle\mathrm C = z$ なる $\triangle\mathrm{ABC}$ を考えると, 正弦定理により \[ a = 2R\sin x, \quad b = 2R\sin y\] であるから, \begin{align*} S &= \frac{1}{2}ab\sin z \\ &= \frac{1}{2}\cdot 2R\sin x\cdot 2R\sin y\cdot\sin z \\ &= 2R^2\sin x\sin y\sin z \end{align*} が成り立つ.
(2)
(1) と $z = \pi -x-y$ から, \[ S = 2R^2\sin x\sin y\sin (x+y)\] $(0 < x < \pi,\ 0 < y < \pi,\ 0 < x+y < \pi)$ が成り立つ.
まず, $y$ を定数とみなして, \[ f(x) = 2R^2\sin y\sin x\sin (x+y)\] の最大値を求める. \begin{align*} f'(x) &= 2R^2\sin y\{\cos x\sin (x\!+\!y)\!+\!\sin x\cos (x\!+\!y)\} \\ &= 2R^2\sin y\sin (2x+y) \end{align*} であり, $0 < y < \pi$ から $\sin y > 0$ であるので, $0 < 2x+y < 2\pi$ に注意すると \begin{align*} &f'(x) \geqq 0 \iff \sin (2x+y) \geqq 0 \\ &\iff 2x+y \leqq \pi \iff x \leqq \frac{\pi -y}{2} \end{align*} であることがわかる.
$x$$0$$\cdots$$\dfrac{\pi -y}{2}$$\cdots$$\pi$
$f'(x)$$+$$0$$-$
$f(x)$$\nearrow$極大$\searrow$
よって, $f(x)$ は $x = \dfrac{\pi -y}{2}$ のときに限って, 極大かつ最大の値 \begin{align*} &f\left(\frac{\pi -y}{2}\right) = 2R^2\sin y\sin ^2\frac{\pi -y}{2} \\ &= 2R^2\sin y\cos ^2\frac{y}{2} = R^2\sin y(1+\cos y) \end{align*} をとる. そこで, この式を $g(y)$ とおき, その最大値を求める. \begin{align*} g'(y) &= R^2\{\cos y(1+\cos y)-\sin ^2y\} \\ &= R^2(2\cos ^2y+\cos y-1) \\ &= R^2(\cos y+1)(2\cos y-1) \end{align*} であり, $0 < y < \pi$ から $\cos y+1 > 0$ であるので, \begin{align*} &g'(y) \geqq 0 \iff 2\cos y-1 \geqq 0 \\ &\iff \cos y \geqq \frac{1}{2} \iff y \leqq \frac{\pi}{3} \end{align*} であることがわかる.
$y$$0$$\cdots$$\dfrac{\pi}{3}$$\cdots$$\pi$
$g'(y)$$+$$0$$-$
$g(y)$$\nearrow$極大$\searrow$
よって, $g(y)$ は $y = \dfrac{\pi}{3}$ のときに限って, 極大かつ最大の値 \begin{align*} &g\left(\frac{\pi}{3}\right) = R^2\sin\frac{\pi}{3}\left( 1+\cos\frac{\pi}{3}\right) \\ &= R^2\cdot\frac{\sqrt 3}{2}\left( 1+\frac{1}{2}\right) = \frac{3\sqrt 3}{4}R^2 \end{align*} をとる. このとき, \[ x = \frac{\pi-y}{2} = \frac{\pi}{3}, \quad z = \pi -x-y = \frac{\pi}{3}\] である. ゆえに, $x = y = z = \dfrac{\pi}{3}$ のとき, $S$ は最大値 $\dfrac{3\sqrt 3}{4}R^2$ をとる.

別解

(2)
(1) と $z = \pi -x-y$ から, \begin{align*} S &= 2R^2\sin x\sin y\sin (x+y) \\ &= 2R^2\sin x\cdot\frac{\cos (x+y-y)-\cos (x+y+y)}{2} \\ &= R^2\sin x\{\cos x-\cos (x+2y)\} \end{align*} $(0 < x < \pi,\ 0 < y < \pi,\ 0 < x+y < \pi)$ が成り立つ. よって, $0 < x+2y < 2\pi$ に注意すると, $S$ は $\cos (x+2y) = -1$ のとき, つまり $x+2y = \pi$ のとき最大値 $R^2\sin x(\cos x+1)$ をとる.
以下, 上記の解答例と同様である.

背景

 多変数関数 $f(x_1,\cdots,x_n)$ について, ある変数 $x_k$ 以外の変数を定数とみなして, $f(x_1,\cdots,x_n)$ を $x_k$ で微分することを「偏微分」(partial derivative)という. 「偏微分」により, $1$ 変数関数の微分法を拡張して, さまざまな関数の解析ができるようになる.

補足

 $3$ 変数の相加・相乗平均の不等式を使い, $\sin x$ $(0 < x < \pi )$ に「イェンゼンの不等式」を適用すると, \begin{align*} S &= 2R^2\sin x\sin y\sin z \\ &\leqq 2R^2\left(\frac{\sin x+\sin y+\sin z}{3}\right) ^3 \\ &\leqq 2R^2\sin ^3\frac{x+y+z}{3} \\ &= 2R^2\sin ^3\frac{\pi}{3} = 2R^2\left(\frac{\sqrt 3}{2}\right) ^3 \\ &= \frac{3\sqrt 3}{4}R^2 \end{align*} が得られる. 等号は $\sin x = \sin y = \sin z,$ $x = y = z$ のとき, つまり $x = y = z = \dfrac{\pi}{3}$ のとき成り立つ.

問題≪座標軸に接する線分の通過範囲≫

(1)
$x$ を $0 < x < 1$ なる定数とする. このとき, $x$ を用いて $\theta$ の関数 \[ y = \sin\theta -x\tan\theta \quad \left( 0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}\right)\] の最大値を表せ.
(2)
$x$ 軸と $y$ 軸の両方に接する長さ $1$ の線分の通過範囲を求めよ.

解答例

(1)
\[\frac{dy}{d\theta} = \cos\theta -\frac{x}{\cos ^2\theta} = \frac{\cos ^3\theta -x}{\cos ^2\theta}\] であるから, $\dfrac{dy}{d\theta} = 0$ つまり $\cos ^3\theta = x$ を満たす $\theta$ $\left( 0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}\right)$ の値を $\alpha$ とおく. このとき, \[\frac{dy}{d\theta} \geqq 0 \iff \theta \leqq \alpha\] となるから, $y$ は $\theta = \alpha$ のときに限って, 極大かつ最大の値をとる.
$\theta$$0$$\cdots$$\alpha$$\cdots$$\dfrac{\pi}{2}$
$\dfrac{dy}{d\theta}$$+$$0$$-$
$y$$\nearrow$極大$\searrow$
また, $\cos ^3\alpha = x$ から, \[\cos\alpha = x^{\frac{1}{3}}, \quad \sin\alpha = (1-x^{\frac{2}{3}})^{\frac{1}{2}}\] であるので, $y$ の最大値は \begin{align*} \sin\alpha -x\tan\alpha &= (1-x^{\frac{2}{3}})^{\frac{1}{2}}-x\cdot\frac{(1-x^{\frac{2}{3}})^{\frac{1}{2}}}{x^{\frac{1}{3}}} \\ &= (1-x^{\frac{2}{3}})(1-x^{\frac{2}{3}})^{\frac{1}{2}} \\ &= (1-x^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}} \end{align*} である.
(2)
点 $(x,y)$ $(0 < x < 1,$ $0 < y < 1)$ が $x$ 軸と $y$ 軸の両方に接する長さ $1$ の線分の通過範囲にあることは, \[ y = \sin\theta -x\tan\theta\] を満たす $\theta$ $\left( 0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}\right)$ が存在することと同値であり, これは $\theta$ の関数 $y$ の連続性, (1) の結果と \[\lim\limits_{\theta \to +0}y = \lim\limits_{\theta \to +0}\tan\theta (\cos\theta -x) = 0\] により
$y \leqq (1-x^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}}$ つまり $x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}} \leqq 1$
と同値である.
求める範囲は, $x$ 軸の $0 \leqq x \leqq 1$ の部分, $y$ 軸の $0 \leqq y \leqq 1$ の部分を含み, $x$ 軸, $y$ 軸に関して対称であるから, 不等式 \[ x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}} \leqq 1\] を満たす点 $(x,y)$ 全体である.

背景

  • $x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}} \leqq 1$ で表される領域, または曲線 $x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}} = 1$ を「星芒形」または「アステロイド」(asteroid)と呼ぶ.
  • $t$ がさまざまな値をとるとき, $x$ と $y$ の方程式 $f(x,y,t) = 0$ で表される曲線すべてに接する定曲線を, それらの曲線の「包絡線」(envelope)と呼ぶ. 本問において, 曲線 $x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}} = 1$ は $x$ 軸と $y$ 軸の両方に接する長さ $1$ の線分の「包絡線」である.