COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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微分の応用(数学 II)

問題

関数の最大・最小

問題≪球に内接する円錐の体積の最大値≫

 半径 $1$ の球に内接する直円錐の体積 $V$ の最大値を求めよ.

解答例

 底面の半径 $r,$ 高さ $h$ の直円錐が半径 $1$ の球に内接しているとする.
この円錐の頂点 $\mathrm A$ から底面に下ろした垂線 $\mathrm{AH}$ は球の中心 $\mathrm O$ を通り, $\mathrm{AB}$ を円錐の母線とすると $\triangle\mathrm{OBH}$ は $\angle\mathrm H = 90^\circ$ なる直角三角形だから, \begin{align*} r^2 &= \mathrm{BH}^2 = \mathrm{OB}^2-\mathrm{OH}^2 \\ &= 1-(h-1)^2 = 2h-h^2. \end{align*} よって, この円錐の体積は, \[ V = \frac{1}{3}(\pi r^2)h = \frac{\pi}{3}(2h^2-h^3).\] したがって, \[\frac{dV}{dh} = \frac{\pi}{3}(4h-3h^2) = -\frac{\pi}{3}h(3h-4)\] より, $0 < h < 2$ に注意すると, $V$ の増減表は次のようになる.
$h$$(0)$$\cdots$$\dfrac{4}{3}$$\cdots$$(2)$
$\dfrac{dV}{dh}$$+$$0$$-$
$V$$\nearrow$極大$\searrow$
また, $h = \dfrac{4}{3}$ とき, \[ r = \sqrt{\frac{4}{3}\left( 2-\frac{4}{3}\right)} = \frac{2\sqrt 2}{3}.\] ゆえに, $V$ は $r = \dfrac{2\sqrt 2}{3},$ $h = \dfrac{4}{3}$ のとき最大値 \[\frac{\pi}{3}\left(\frac{4}{3}\right) ^2\left( 2-\frac{4}{3}\right) = \frac{32}{81}\pi\] をとる.

問題≪周長が一定の二等辺三角形の面積の最大値≫

 周が一定の二等辺三角形のうち, 面積を最大にする三角形は正三角形であることを示せ.

解答例

 $\ell$ を定数として二等辺三角形の周長を $4\ell,$ 底辺の長さを $2x$ とおく. このとき, 等辺の長さ $r$ は \[ r = \frac{4\ell -2x}{2} = 2\ell -x.\] 三角形の成立条件より \[ 0 < 2x < r+r = 2(2\ell -x)\] だから, \[ 0 < x < \ell.\] また, この二等辺三角形の底辺に対する高さ $h$ は \[ h = \sqrt{r^2-x^2} = \sqrt{(2\ell -x)^2-x^2} = 2\sqrt{\ell ^2-\ell x}\] だから, 面積 $S$ は \[ S = \frac{1}{2}\cdot 2xh = 2x\sqrt{\ell ^2-\ell x}.\] よって, \[ S^2 = 4x^2(\ell ^2-\ell x) = 4\ell (\ell x^2-x^3)\] だから, \[\frac{dS^2}{dx} = 4\ell (2\ell x-3x^2) = -4\ell x(3x-2\ell )\] より, $S^2$ の増減表は次のようになる.
$x$$(0)$$\cdots$$\dfrac{2\ell}{\sqrt 3}$$\cdots$$(\ell )$
$\dfrac{dS^2}{dx}$$+$$0$$-$
$S^2$$\nearrow$極大$\searrow$
よって, $S^2$ は $x = \dfrac{2\ell}{3}$ のとき最大値をとるから, $S > 0$ に注意すると, $S$ も $x = \dfrac{2\ell}{3}$ のとき最大値をとる. また, $x = \dfrac{2\ell}{3}$ のとき, \[ r = 2\ell -\frac{2\ell}{3} = \frac{4\ell}{3} = 2x.\] ゆえに, 周が一定の二等辺三角形のうち, 面積を最大にする三角形は正三角形である.

問題≪半球が内接する円錐の体積の最小値≫

 円 $x^2+y^2 = 1$ の第 $1$ 象限上の点 $(s,\ t)$ における接線と座標軸で囲まれた直角三角形を $y$ 軸の周りに回転してできる円錐の体積 $V$ の最小値を求めよ.

解答例

 円 $x^2+y^2 = 1$ の点 $(s,\ t)$ における接線の方程式は, \[ sx+ty = 1.\] この直線と座標軸の交点の座標は, \[\left(\frac{1}{s},\ 0\right), \quad \left( 0,\ \frac{1}{t}\right).\] よって, \begin{align*} V &= \frac{1}{3}\cdot\pi\left(\frac{1}{s}\right) ^2\cdot\frac{1}{t} = \frac{\pi}{3s^2t} \\ &= \frac{\pi}{3(1-t^2)t} \quad (\because s^2+t^2 = 1). \end{align*} $f(t) = (1-t^2)t = t-t^3$ とおくと, \[ f'(t) = 1-3t^2 = -3\left( t+\frac{1}{\sqrt 3}\right)\left( t-\frac{1}{\sqrt 3}\right)\] より, $f(t)$ の増減表は次のようになる.
$t$$(0)$$\cdots$$\dfrac{1}{\sqrt 3}$$\cdots$$(1)$
$f'(t)$$+$$0$$-$
$f(t)$$\nearrow$極大$\searrow$
よって, $f(t)$ は $t = \dfrac{1}{\sqrt 3}$ のとき最大値 \[ f\left(\frac{1}{\sqrt 3}\right) = \frac{1}{\sqrt 3}-\left(\frac{1}{\sqrt 3}\right) ^3 = \frac{2}{3\sqrt 3}\] をとる. ゆえに, $V$ の最小値は, \[\frac{\pi}{3}\div f\left(\frac{1}{\sqrt 3}\right) = \frac{\pi}{3}\div\frac{2}{3\sqrt 3} = \frac{\sqrt 3}{2}\pi.\]

問題≪指数関数と $3$ 次関数の合成の最大・最小≫

 関数 $f(x) = 8^x-3\cdot 2^{x+2}\ \left( -2 \leqq x \leqq 2\right)$ の最大値, 最小値を求めよ.

解答例

 $t = 2^x$ とおくと, $-2 \leqq x \leqq 2$ より \[\frac{1}{4} \leqq t \leqq 4\] であり, \begin{align*} f(x) &= (2^3)^x-3\cdot 2^x\cdot 2^2 \\ &= (2^x)^3-12\cdot 2^x \\ &= t^3-12t. \end{align*} $g(t) = t^3-12t$ とおくと, \[ g'(t) = 3t^2-12 = 3(t+2)(t-2)\] より, $g(t)$ の増減表は次のようになる.
$t$$\dfrac{1}{4}$$\cdots$$2$$\cdots$$4$
$g'(t)$$-$$-$$0$$+$$+$
$g(t)$$\dfrac{1}{64}-3$$\searrow$$-16$
極小
$\nearrow$$16$
ゆえに, $f(x)$ は, $t = 4$ すなわち $x = 2$ のとき最大値 $16,$ $t = 2$ すなわち $x = 1$ のとき最小値 $-16$ をとる.

問題≪高次の三角関数の最大・最小≫

 関数 \[ f(\theta ) = 4\cos ^3\theta -4\sin ^3\theta -3\cos\theta +3\sin\theta\] の $-\dfrac{\pi}{4} \leqq \theta \leqq \dfrac{3\pi}{4}$ における最大値, 最小値を求めよ.

解答例

\begin{align*} f(\theta ) &= 3(\sin\theta -\cos\theta )-4(\sin ^3\theta -\cos ^3\theta ) \\ &= 3(\sin\theta -\cos\theta ) \\ &\quad -4(\sin\theta -\cos\theta )(\sin ^2\theta +\sin\theta\cos\theta +\cos ^2\theta ) \\ &= (\sin\theta -\cos\theta )\big( 3-4(1+\sin\theta\cos\theta )\big) \\ &= -(\sin\theta -\cos\theta )(1+4\sin\theta\cos\theta ) \quad \cdots [1]. \end{align*} $t = \sin\theta -\cos\theta$ とおく. このとき, \begin{align*} t &= \sqrt 2\left(\sin\theta\cdot\frac{1}{\sqrt 2}+\cos\theta\cdot\frac{-1}{\sqrt 2}\right) \\ &= \sqrt 2\sin\left(\theta -\frac{\pi}{4}\right) \quad \cdots [2] \end{align*} であり, $-\dfrac{\pi}{4} \leqq \theta \leqq \dfrac{3\pi}{4}$ より \[ -\frac{\pi}{2} \leqq \theta -\frac{\pi}{4} \leqq \frac{\pi}{2} \cdots [3]\] だから, \[ -\sqrt 2 \leqq t \leqq \sqrt 2.\] また, \[ t^2 = \sin ^2\theta -2\sin\theta\cos\theta +\cos ^2\theta = 1-2\sin\theta\cos\theta\] だから, \[ 2\sin\theta\cos\theta = 1-t^2 \quad \cdots [4].\] $[1],$ $[4]$ より, \begin{align*} f(\theta ) &= -t\big( 1+2(1-t^2)\big) \\ &= 2t^3-3t. \end{align*} $g(t) = 2t^3-3t$ とおくと, \[ g'(t) = 6t^2-3 = 6\left( t+\frac{1}{\sqrt 2}\right)\left( t-\frac{1}{\sqrt 2}\right)\] より, $g(t)$ の増減表は次のようになる.
$t$$-\sqrt 2$$\cdots$$-\dfrac{1}{\sqrt 2}$$\cdots$$\dfrac{1}{\sqrt 2}$$\cdots$$\sqrt 2$
$g'(t)$$+$$+$$0$$-$$0$$+$$+$
$g(t)$$-\sqrt 2$$\nearrow$$\sqrt 2$
極大
$\searrow$$-\sqrt 2$
極小
$\searrow$$\sqrt 2$
また, $[2],$ $[4]$ より, \begin{align*} &t = -\sqrt 2 \iff \sin\left(\theta -\frac{\pi}{4}\right) = -1 \\ &\iff \theta -\frac{\pi}{4} = -\frac{\pi}{2} \iff \theta = -\frac{\pi}{4}. \end{align*} 同様にして, \begin{align*} &t = -\frac{1}{\sqrt 2} \iff \theta = \frac{\pi}{12}, \quad t = \frac{1}{\sqrt 2} \\ &\iff \theta = \frac{5\pi}{12}, \quad t = \sqrt 2 \iff \theta = \frac{3\pi}{4}. \end{align*} ゆえに, $f(\theta )$ は, $\theta = \dfrac{\pi}{12},$ $\dfrac{3\pi}{4}$ のとき最大値 $\sqrt 2,$ $\theta = -\dfrac{\pi}{4},$ $\dfrac{5\pi}{12}$ のとき最小値 $-\sqrt 2$ をとる.

問題≪条件付き $3$ 次関数の最大・最小≫

 実数 $x,$ $y,$ $z$ が \[ x+y+z = 0 \quad \cdots [1], \qquad xy+yz+zx = -3 \quad \cdots [2]\] を満たすとき,
(1)
$x$ のとり得る値の範囲を求めよ.
(2)
$x^3+y^3+z^3$ の最大値, 最小値を求めよ.

解答例

(1)
$[1]$ より, \[ y+z = -x \quad \cdots [3].\] $[2]$ より, \begin{align*} yz &= -x(y+z)-3 \\ &= (-x)^2-3 \quad (\because [3]) \\ &= x^2-3 \quad \cdots [4]. \end{align*} $y,$ $z$ は $t^2-(y+z)t-yz = 0$ すなわち \[ t^2+xt+(x^2-3) = 0 \quad \cdots [5]\] の実数解だから, $[5]$ の判別式を $D$ とおくと, \begin{align*} D &= x^2-4(x^2-3) = -3(x^2-4) \\ &= -3(x+2)(x-2) \geqq 0. \end{align*} よって, $x$ のとり得る値の範囲は, \[ -2 \leqq x \leqq 2.\]
(2)
\begin{align*} &x^3+y^3+z^3 = x^3+(y+z)^3-3yz(y+z) \\ &= x^3+(-x)^3-3(x^2-3)(-x) \quad (\because [3],\ [4]) \\ &= 3(x^3-3x). \end{align*} $f(x) = 3(x^3-3x)$ とおくと, \[ f'(x) = 3(3x^2-3) = 9(x^2-1) = 9(x+1)(x-1)\] より, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$-2$$\cdots$$-1$$\cdots$$1$$\cdots$$2$
$f'(x)$$+$$+$$0$$-$$0$$+$$+$
$f(x)$$-6$$\nearrow$$6$
極大
$\searrow$$-6$
極小
$\nearrow$$6$
また, $x = 1$ のとき $[5] \iff t^2+t-2 = 0$ より $\{ y,\ z\} = \{ -2,\ 1\}$ であり, $x = -1$ のとき $[5] \iff t^2-t-2 = 0$ より $\{ y,\ z\} = \{ 2,\ -1\}$ であり, $x = \pm 2$ のとき $[5] \iff t^2\pm 2t+1 = 0$ より $y = z = \mp 1$ である.
ゆえに, $x^3+y^3+z^3$ は, \begin{align*} (x,\ y,\ z) &= ( -1,\ -1,\ 2),\ ( -1,\ 2,\ -1), \\ &\quad (2,\ -1,\ -1) \end{align*} のとき最大値 $6,$ \[ (x,\ y,\ z) = (1,\ 1,\ -2), (1,\ -2,\ 1),\ (-2,\ 1,\ 1)\] のとき最小値 $-6$ をとる.

問題≪三角形の等周問題≫

 周の長さが $1$ である三角形のうち, 面積が最大となる三角形は正三角形であることを示せ.

解答例

 $x$ を $0 < x < 1$ なる定数とする. 周の長さが $1,$ 底辺の長さが $x$ である三角形のうち, 面積が最大となるのは, 高さが最大となる二等辺三角形である. このような三角形について, 等辺の長さは $\dfrac{1-x}{2}$ であるから, 面積を $S(x)$ とおくと, \[ S(x) = \frac{1}{2}x\sqrt{\left(\frac{1-x}{2}\right)^2-\left(\frac{x}{2}\right) ^2} = \frac{1}{4}x\sqrt{1-2x}.\] よって, \[ 16S(x)^2 = x^2(1-2x).\] 右辺を $x$ の関数として $f(x)$ とおく. このとき, $f(x) = x^2-2x^3$ から, \[ f'(x) = 2x-6x^2 = 2x(1-3x)\] となり, \[ f'(x) \geqq 0 \iff x \leqq \frac{1}{3}\] となるので, $f(x)$ は $x = \dfrac{1}{3}$ のとき極大かつ最大の値をとる. よって, $S(x)$ は $x = \dfrac{1}{3}$ のとき最大値をとる. ゆえに, 題意が示された.

別解

 $3$ 辺の長さが $a,$ $b,$ $c$ である三角形の周の長さが $1$ であるとする. このとき, 三角形の面積を $S$ とおくと, ヘロンの公式により \[ S = \sqrt{\frac{1}{2}\cdot\left(\frac{1}{2}-a\right)\left(\frac{1}{2}-b\right)\left(\frac{1}{2}-c\right)}\] となるから, \begin{align*} 16S^2 &= (1-2a)(1-2b)(1-2c) \\ &\leqq \left(\frac{(1-2a)+(1-2b)+(1-2c)}{3}\right) ^3 \\ &= \left(\frac{3-2(a+b+c)}{3}\right) ^3 = \left(\frac{3-2}{3}\right) ^3 = \frac{1}{27} \end{align*} となる. 不等号は相加・相乗平均の関係により, 等号は $1-2a = 1-2b = 1-2c$ すなわち $a = b = c$ のときに成り立つ. ゆえに, 題意が示された.

解説≪等周問題≫

 周の長さが一定の図形の面積の最大値を求める問題は, 等周問題(isoperimetric problem)と呼ばれる.
 四角形に限定すると, この問題は次のように解ける: 周の長さが $1$ の四角形 $\mathrm{ABCD}$ において, 辺 $\mathrm{CD}$ と $\mathrm{DA}$ を固定して辺 $\mathrm{AB}$ と $\mathrm{BC}$ を動かすとき, $\triangle\mathrm{ABC}$ の面積が最大となるのは, 固定された辺 $\mathrm{AC}$ に対する高さが最大になる $\mathrm{AB} = \mathrm{BC}$ の場合である. 同様に, 辺 $\mathrm{AB}$ と $\mathrm{BC}$ を固定するとき, 面積が最大となるのは $\mathrm{CD} = \mathrm{DA}$ の場合である. この $2$ つの条件を満たすとき, 四角形は円に内接する. よって, その面積を $S$ とおき, $a = \mathrm{AB},$ $b = \mathrm{BC},$ $c = \mathrm{CD},$ $d = \mathrm{DA}$ とおくと, ブラーマグプタの公式により \[ S^2 = \sqrt{\frac{1}{2}\cdot\left(\frac{1}{2}-a\right)\left(\frac{1}{2}-b\right)\left(\frac{1}{2}-c\right)\left(\frac{1}{2}-d\right)}.\] となるから, \begin{align*} 16S^2 &= (1-2a)(1-2b)(1-2c)(1-2d) \\ &\leqq \left(\frac{(1-2a)+(1-2b)+(1-2c)+(1-2d)}{4}\right) ^4 \\ &\leqq \left(\frac{4-2(a+b+c+d)}{4}\right) ^4 = \left(\frac{4-2}{4}\right) ^4 = \frac{1}{16} \end{align*} となる. 不等号は相加・相乗平均の関係により, 等号は $1-2a = 1-2b = 1-2c = 1-2d$ すなわち $a = b = c = d$ のときに成り立つ. ゆえに, 周が一定の四角形で面積が最大となるものは正方形である.
 一般に, 周の長さが一定の $n$ 角形で面積が最大となるものは正 $n$ 角形であることが知られている. また, 周の長さが一定の閉曲線で面積が最大となるものは円であることが知られている.

方程式・不等式への応用

問題≪$3$ 次方程式が実数解を持つ条件≫

 $a,$ $b$ を定数とする. $3$ 次方程式 \[ x^3-3a^2x-b = 0 \quad \cdots [\ast ]\] が異なる $3$ つの実数解を持つとき, $ab$ 平面上において点 $(a,\ b)$ はどのような範囲に存在するか.

解答例

 $f(x) = x^3-3a^2x$ とおくと, \[ [\ast ] \iff f(x) = b.\] $f(x)$ を微分すると, \[ f'(x) = 3x^2-3a^2 = 3(x+a)(x-a).\]
(i)
$a = 0$ のとき. $f'(x) \geqq 0$ すなわち $f(x)$ は単調増加だから, $f(x) = b$ すなわち $[\ast ]$ は $1$ つか実数解を持たず, 条件に反する.
(ii)
$a > 0$ のとき. $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$\cdots$$-a$$\cdots$$a$$\cdots$
$f'(x)$$+$$0$$-$$0$$+$
$f(x)$$\nearrow$極大$\searrow$極小$\nearrow$
よって,
$a > 0,$ $[\ast ]$ が異なる $3$ つの実数解を持つ
$\iff$ $a > 0,$ $f(x) = b$ が異なる $3$ つの実数解を持つ
$\iff$ $a > 0,$ $f(a) < b < f(-a)$
$\iff$ $a > 0,$ $-2a^3 < b < 2a^3.$
(iii)
$a < 0$ のとき. (ii) と同様にして,
$a < 0,$ $[\ast ]$ が異なる $3$ つの実数解を持つ
$\iff$ $a < 0,$ $2a^3 < b < -2a^3.$
(i)~(iii) より, $ab$ 平面上で点 $(a,\ b)$ の存在し得る範囲は, 次図の塗色部で境界線上の点を含まない.

別解: 中間値の定理(数学 III)を利用

 $g(x) = x^3-3a^2x-b$ とおくと, \[ g'(x) = 3x^2-3a^2 = 3(x+a)(x-a).\] よって, 中間値の定理より,
$[\ast ]$ が異なる $3$ つの実数解を持つ
$\iff$ $g(x)$ が極値を持ち, 極大値と極小値が異符号
$\iff$ $a \neq 0,$ $g(a)g(-a) < 0$
$\iff$ $a \neq 0,$ $(-2a^3-b)(2a^3-b) < 0$
$\iff$ $a \neq 0,$ $(b+2a^3)(b-2a^3) < 0$
$\iff$ $a \neq 0,$ ``$\left\{\begin{array}{l} b+2a^3 > 0, \\ b-2a^3 < 0 \end{array}\right.$ または $\left\{\begin{array}{l} b+2a^3 < 0, \\ b-2a^3 > 0 \end{array}\right.$''
$\iff$ $a \neq 0,$ ``$-2a^3 < b < 2a^3$ または $2a^3 < b < -2a^3.$''
以下同様.

問題≪条件付き $1$ 変数 $3$ 次不等式≫

 $x \geqq 1$ において次の不等式が成り立つことを示せ:
(a)
$x^3+2 \geqq 3x.$ 
(b)
$x^3+24x \geqq 9x^2+16.$ 

解答例

(a)
\[ f(x) = (x^3+2)-3x = x^3-3x+2 \quad (x \geqq 1)\] とおくと, \[ f'(x) = 3x^2-3 = 3(x^2-1) = 3(x+1)(x-1)\] より, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$1$$\cdots$
$f'(x)$$0$$+$
$f(x)$極小$\nearrow$
よって, $f(x)$ は $x = 1$ において最小値 $f(1) = 1-3+2 = 0$ をとるから, \[ f(x) \geqq 0.\] ゆえに, $x \geqq 1$ において $x^3+2 \geqq 3x$ が成り立つ. (終)
(b)
\begin{align*} f(x) &= (x^3+24x)-(9x^2+16) \\ &= x^3-9x^2+24x-16 \quad (x \geqq 1) \end{align*} とおくと, \begin{align*} f'(x) &= 3x^2-18x+24 = 3(x^2-6x+8) \\ &= 3(x-2)(x-4) \end{align*} より, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$1$$\cdots$$2$$\cdots$$4$$\cdots$
$f'(x)$$+$$+$$0$$-$$0$$+$
$f(x)$$\nearrow$極大$\searrow$極小$\nearrow$
また, \begin{align*} f(0) &= 1-9+24-16 = 0, \\ f(4) &= 4^3-9\cdot 4^2+24\cdot 4-16 \\ &= 4^2(4-9+6-1) = 0. \end{align*} ゆえに, $f(x)$ の最小値は $0$ だから, \[ f(x) \geqq 0.\] ゆえに, $x \geqq 1$ において $x^3+24x \geqq 9x^2+16$ が成り立つ. (終)

問題≪$4$ 次の絶対不等式≫

 $a,$ $b$ を定数とする. 任意の実数 $x$ に対して \[ x^4-x^2 \geqq ax^2+b \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つとき, $ab$ 平面上の点 $(a,\ b)$ はどのような範囲に存在するか.

解答例

 $f(x) = (x^4-x^2)-(ax^2+b) = x^4-(a+1)x^2-b$ とおき, $f(x)$ の最小値を $m$ とおくと, \[ [\ast ] \iff f(x) \geqq 0 \iff m \geqq 0.\] $f(x)$ を微分すると, \[ f'(x) = 4x^2-2(a+1)x = 2x(2x^2-(a+1)).\]
(i)
$a > -1$ のとき. $2x^2-(a+1) = 0$ は異なる実数解 $x = \pm\alpha\ \left(\alpha = \sqrt{\dfrac{a+1}{2}}\right)$ を持つ.
$\alpha \neq 0$ に注意すると, $f'(x) = 0$ は異なる $3$ つの実数解 $x = 0,$ $\pm\alpha$ を持つから, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$\cdots$$-\alpha$$\cdots$$0$$\cdots$$\alpha$$\cdots$
$f'(x)$$-$$0$$+$$0$$-$$0$$+$
$f(x)$$\searrow$極小$\nearrow$極大$\searrow$極小$\nearrow$
よって, \begin{align*} f(\pm\alpha ) &= \frac{(a+1)^2}{4}-(a+1)\cdot\frac{a+1}{2}-b \\ &= -\frac{(a+1)^2}{4}-b \end{align*} より \[ m = -\frac{(a+1)^2}{4}-b\] だから, \begin{align*} [\ast ],\ a > -1 &\iff -\frac{(a+1)^2}{4}-b \geqq 0 \\ &\iff b \leqq -\frac{(a+1)^2}{4}. \end{align*}
(ii)
$a \leqq -1$ のとき. $2x^2-(a+1) \geqq 0$ より, $f'(x) = 0$ は唯 $1$ つの実数解 $x = 0$ を持つから, $f(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$\cdots$$0$$\cdots$
$f'(x)$$-$$0$$+$
$f(x)$$\searrow$極小$\nearrow$
よって, \[ m = f(0) = -b\] だから, \[ [\ast ],\ a \leqq -1 \iff -b \geqq 0 \iff b \leqq 0.\]
(i), (ii) より, $ab$ 平面上で点 $(a,\ b)$ の存在し得る範囲は, 次図の塗色部で境界線上の点を含む.

問題≪$2$ つの $3$ 次関数の比較≫

 $-2 \leqq x \leqq 2$ を定義域とする $3$ 次関数 \[ f(x) = x^3-3x^2+3x+a, \quad g(x) = -x^3+3x\] が次の条件を満たすとき, 定数 $a$ の取り得る値の範囲をそれぞれ求めよ:
(a)
任意の $x$ に対して $f(x) \geqq g(x).$
(b)
ある $x$ に対して $f(x) \geqq g(x).$
(c)
任意の $x_1,$ $x_2$ に対して $f(x_1) \geqq g(x_2).$
(d)
ある $x_1,$ $x_2$ に対して $f(x_1) \geqq g(x_2).$

解答例

 $f(x),$ $g(x)$ を微分すると \begin{align*} f'(x) &= 3x^2-6x^2+3 = 3(x-1)^2 \geqq 0, \\ g'(x) &= -3x^2+3 = -3(x+1)(x-1) \end{align*} より, $f(x),$ $g(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$-2$$\cdots$$0$$\cdots$$2$
$f'(x)$$+$$+$$0$$+$$+$
$f(x)$$a-26$$\nearrow$$\nearrow$$a+2$
$x$$-2$$\cdots$$-1$$\cdots$$1$$\cdots$$2$
$g'(x)$$-$$-$$0$$+$$0$$-$$-$
$g(x)$$2$$\searrow$$-2$
極小
$\nearrow$$2$
極大
$\searrow$$-2$
また, $h(x) = f(x)-g(x)\ ( -2 \leqq x \leqq 2)$ とおくと, \begin{align*} h(x) &= 2x^3-3x^2+a, \\ h'(x) &= 6x^2-6x = 6x(x-1). \end{align*} より, $h(x)$ の増減表は次のようになる.
$x$$-2$$\cdots$$0$$\cdots$$1$$\cdots$$2$
$h'(x)$$+$$+$$0$$-$$0$$+$$+$
$h(x)$$a-28$$\nearrow$$a$
極大
$\searrow$$a-1$
極小
$\nearrow$$a+4$
関数 $p(x)$ の値域の最大値を $\max p(x),$ 最小値を $\min p(x)$ で表すことにする.
(a)
任意の $x$ に対して $f(x) \geqq g(x)$ $\iff$ 任意の $x$ に対して $h(x) \geqq 0$ $\iff$ $\min h(x) \geqq 0.$
$\min h(x) = a-28$ だから, \[ a \geqq 28.\]
(b)
ある $x$ に対して $f(x) \geqq g(x)$ $\iff$ ある $x$ に対して $h(x) \geqq 0$ $\iff$ $\max h(x) \geqq 0.$
$\max h(x) = a+4$ だから, \[ a \geqq -4.\]
(c)
任意の $x_1,$ $x_2$ に対して $f(x_1) \geqq g(x_2)$ $\iff$ $\min f(x) \geqq \max g(x).$
$\min f(x) = a-26,$ $\max g(x) = 2$ だから, $a-26 \geqq 2$ より, \[ a \geqq 28.\]
(d)
ある $x_1,$ $x_2$ に対して $f(x_1) \geqq g(x_2)$ $\iff$ $\max f(x) \geqq \min g(x).$
$\max f(x) = a+2,$ $\min g(x) = -2$ だから, $a+2 \geqq -2$ より, \[ a \geqq 4.\]