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真の理解のためのシンプルな数学のノート

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接線

理論

 実数全体の部分集合を定義域とする実数値関数を実関数と呼ぶことにする.

多項式関数のグラフの接線

定理≪関数のグラフが接する条件≫

 $x = t$ で微分可能な実関数 $f(x),$ $g(x)$ に対して,
曲線 $y = f(x),$ $y = g(x)$ が $x$ 座標が $t$ の点で共通接線を持つ
$\iff$ ``$f(t) = g(t),$ $f'(t) = g(t).$''

証明

 曲線 $y = f(x),$ $y = g(x)$ の点 $(t,\ f(t)),$ $(t,\ g(t))$ における接線の方程式はそれぞれ \[ y = f'(t)(x-t)+f(t), \qquad y = g'(t)(x-t)+g(t)\] だから,
曲線 $y = f(x),$ $y = g(x)$ が $x$ 座標が $t$ の点で共通接線を持つ
$\iff$ $f'(t)(x-t)+f(t) = g'(t)(x-t)+g(t)$
$\iff$ ``$f(t) = g(t),$ $f'(t) = g(t).$''

問題

接線

問題≪外部から引いた $3$ 次関数のグラフの接線≫

 点 $(2, 2)$ から曲線 $y = x^3+x$ に引いた接線の方程式を求めよ.

解答例

 $f(x) = x^3+x$ とおく. このとき, \[ f'(x) = 3x^2+1.\] 接点の $x$ 座標を $t$ とおくと, 接線の方程式は \begin{align*} y-(t^3+t) &= (3t^2+1)(x-t). \\ \therefore y &= (3t^2+1)x-2t^3 \quad \cdots [1]. \end{align*} この直線が点 $(2,\ 2)$ を通るとき, \[ 2 = (3t^2+1)2-2t^3\] より $2t^2(t-3) = 0$ だから, \[ t = 0,\ 3.\] ゆえに, $[1]$ より, 求める接線の方程式は
$t = 0$ のとき $y = x,$ $t = 3$ のとき $y = 28x-54.$

問題≪放物線の極線≫

(1)
$xy$ 平面上の点 $\mathrm P_0(x_0,\ y_0)$ から放物線 $C:y = x^2$ に $2$ 本の接線が引けるとき, $2$ つの接点 $\mathrm P_1,$ $\mathrm P_2$ を結ぶ直線の方程式を求めよ.
(2)
直線 $\mathrm{QR}$ 上の点 $\mathrm P'_0$ から $C$ に $2$ 本の接線が引けるとき, $2$ つの接点 $\mathrm P'_1,$ $\mathrm P'_2$ を結ぶ直線は点 $\mathrm P_0$ を通ることを示せ.

解答例

(1)
$f(x) = x^2,$ $\mathrm P_1(x_1,\ y_1),$ $\mathrm P_2(x_2,\ y_2)$ とおく. このとき, \[ f'(x) = 2x\] より, $C$ の点 $\mathrm P_k\ (1 \leqq k \leqq 2)$ における接線の方程式は \[ y = 2x_k(x-x_k)+y_k.\] これが点 $\mathrm P_0$ を通るとき, \begin{align*} y_0 &= 2x_k(x_0-x_k)+y_k \\ &= 2x_kx_0-2x_k{}^2+y_k \\ &= 2x_kx_0-2y_k+y_k \\ &= 2x_0x_k-y_k. \end{align*} これは点 $\mathrm P_1,$ $\mathrm P_2$ が直線 $2x_0x-y = y_0$ 上にあることを意味する. よって, $\mathrm P_1\mathrm P_2$ の方程式は, \[ 2x_0x-y = y_0.\]
(2)
点 $\mathrm P'_0(x'_0,\ y'_0)$ が直線 $\mathrm P_1\mathrm P_2$ 上にあるとき, $2x_0x'_0-y'_0 = y_0$ すなわち \[ 2x'_0x_0-y_0 = y'_0.\] 点 $\mathrm P'_0$ から $C$ に $2$ 本の接線が引けるとき, $2$ つの接点 $\mathrm P'_1,$ $\mathrm P'_2$ を結ぶ直線の方程式は (1) と同様にして \[ 2x'_0x-y = y'_0\] だから, これは直線 $\mathrm P'_1\mathrm P'_2$ が点 $\mathrm P_0$ を通ることを意味する. (終)

問題≪グラフの接線による $3$ 次関数の決定≫

 曲線 $y = ax^3+bx^2+cx+d$ が, 放物線 $y = x^2$ と原点で共通の接線を持ち, 点 $(1,\ 0)$ において傾き $1$ の直線に接するとき, 定数 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ の値を求めよ.

解答例

 $f(x) = ax^3+bx^2+cx+d,$ $g(x) = x^2$ とおく. このとき, \[ f'(x) = 3ax^2+2bx+c, \quad g'(x) = 2x.\] $y = f(x),$ $y = g(x)$ は原点を共有し, 原点における接線の傾きが等しいから, \[ f(0) = g(0), \quad f'(0) = g'(0)\] すなわち \[ d = 0, \quad c = 0.\] また, $y = f(x)$ の点 $(1,\ 0)$ を通り, そこにおける接線の傾きが $1$ だから, \[ f(1) = 0, \quad f'(1) = 1\] すなわち \[ a+b+c+d = 0, \quad 3a+2b+c = 1.\] よって, $c = d = 0$ より $a+b = 0,$ $3a+2b = 1$ だから, \[ a = 1, \quad b = -1.\] ゆえに, \[ a = 1, \quad b = -1, \quad c = d = 0.\]

問題≪$3$ 次関数のグラフの平行な $2$ 接線≫

 $3$ 次関数 $f(x) = x^3+px$ のグラフ $C:y = f(x)$ について, 次が成り立つことを示せ:
(1)
$C$ 上の相異なる $2$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B$ に対して, 線分 $\mathrm{AB}$ に平行な $C$ の接線は $2$ 本存在する.
(2)
(1) の $2$ 本の接線の $C$ との接点 $\mathrm T_1,$ $\mathrm T_2$ の中点 $\mathrm M$ は $C$ 上にある.

解答例

(1)
\[ f'(x) = 3x^2+p\] より, $C$ の点 $(t,\ f(t))$ における接線の傾きは \[ 3t^2+p.\] 一方, $\mathrm A(a,\ f(a)),$ $\mathrm B(b,\ f(b))$ とおくと, 線分 $\mathrm{AB}$ の傾きは \begin{align*} \frac{f(b)-f(a)}{b-a} &= \frac{(b^3+pb)-(a^3+pa)}{b-a} \\ &= \frac{(b^3-a^3)+p(b-a)}{b-a} \\ &= \frac{(b-a)(a^2+ab+b^2)+p(b-a)}{b-a} \\ &= a^2+ab+b^2+p. \end{align*} $C$ の接線と接点は $1$ 対 $1$ に対応することに注意すると, 線分 $\mathrm{AB}$ に平行な $C$ の接線が $2$ 本存在するためには, $3t^2+p = a^2+ab+b^2+p$ すなわち \[ t^2 = \frac{1}{3}(a^2+ab+b^2) \quad \cdots [1]\] が相異なる実数解を持つことが必要十分であるが, それは \[ a^2+ab+b^2 = \left( a+\frac{b}{2}\right) ^2+\frac{3}{4}b^2 > 0\] より成り立つ.
よって, 線分 $\mathrm{AB}$ に平行な $C$ の接線は $2$ 本存在する.
(2)
$\mathrm T_1(t_1,\ f(t_1)),$ $\mathrm T_2(t_2,\ f(t_2))$ とおくと, $[1]$ の解と係数の関係より, \[ t_1+t_2 = 0 \quad \cdots [2].\] よって, 点 $\mathrm M$ の $x$ 座標は \[\frac{t_1+t_2}{2} = 0.\] また, 点 $\mathrm M$ の $y$ 座標は \begin{align*} &\frac{f(t_1)+f(t_2)}{2} \\ &= \frac{(t_1{}^3+pt_1)+(t_2{}^3+pt_2)}{2} \\ &= \frac{(t_1{}^3+t_2{}^3)+p(t_1+t_2)}{2} \\ &= \frac{(t_1+t_2)(t_1{}^2-t_1t_2+t_2{}^2)+p(t_1+t_2)}{2} \\ &= 0 \quad (\because [2]). \end{align*} ゆえに, 点 $\mathrm M$ は原点だから $C:y = x^3+px$ 上にある. (終)

解説

 $3$ 次関数のグラフを平行移動, $y$ 軸方向に拡大・縮小しても (1), (2) の性質は保たれる. 任意の $3$ 次関数のグラフ $F:y = ax^3+bx^2+cx+d$ は $x$ 軸方向に $\dfrac{b}{3a},$ $y$ 軸方向に $-\dfrac{2b^3}{27a^2}+\dfrac{bc}{3a}-d$ だけ平行移動すると $y = ax^3+c'x\ \left( c' = -\dfrac{b^2}{3a}+c\right)$ に移され, $y$ 軸方向に $\dfrac{1}{a}$ 倍すると $y = x^3+px\ \left( p = \dfrac{c'}{a}\right)$ となるから, $F$ は (1), (2) を満たす.

問題≪放物線と $3$ 次関数のグラフの共通接線≫

 $2$ 曲線 $y = x^2,$ $y = x^3 + x^2$ に共通する接線 $\ell$ の方程式を求めよ。

解答例

 $f(x) = x^2,$ $g(x) = x^3+x^2$ とおく. このとき, \[ f'(x) = 2x, \quad g'(x) = 3x^2+2x.\] よって, 曲線 $y = f(x)$ と $\ell$ の接点の $x$ 座標を $s$ とおくと, $\ell$ の方程式は \begin{align*} y-s^2 &= 2s(x-s). \\ \therefore y &= 2sx-s^2 \quad \cdots [1]. \end{align*} また, 曲線 $y = g(x)$ と $\ell$ の接点の $x$ 座標を $t$ とおくと, $\ell$ の方程式は \begin{align*} y-(t^3+t^2) &= (3t^2+2t)(x-t). \\ \therefore y &= (3t^2+2t)x-2t^3-t^2 \quad \cdots [2]. \end{align*} $[1],$ $[2]$ が一致する条件は, \[ 2s = 3t^2+2t \quad \cdots [3], \qquad -s^2 = -2t^3-t^2 \quad \cdots [4]\] が同時に成り立つことである. $[3]$ を $-4\times [4]$ に代入すると \[ (3t^2+2t)^2 = 8t^3+4t^2\] となるから, $t^3(9t+4) = 0$ より, \[ t = 0, \quad -\frac{4}{9}.\] ゆえに, $\ell$ の方程式は,
$t = 0$ のとき $y = 0,$ $t = -\dfrac{4}{9}$ のとき $y = -\dfrac{8}{27}x-\dfrac{16}{729}.$

問題≪放物線の共通接線と相似≫

 $a,$ $b$ を $0$ でない相異なる実数とする. $2$ つの放物線 \[ y = ax^2 \quad \cdots [1], \qquad y = b(x-p)^2+q \quad \cdots [2]\] が $2$ 本の共通接線 $\ell _1,$ $\ell _2$ を持つとき,
(1)
$\ell _1,$ $\ell _2$ の交点 $\mathrm R$ の座標を求めよ.
(2)
$[1],$ $[2]$ の頂点をそれぞれ $\mathrm A,$ $\mathrm B$ とおくとき, $\mathrm{AR}:\mathrm{RB} = |b|:|a|$ を示せ.
(3)
$[1],$ $[2]$ は点 $\mathrm R$ を中心として $|b|:|a|$ の比で相似であることを示せ.

解答例

(1)
放物線 $[1]$ 上の点 $(t,\ at^2)$ における接線の方程式は, \begin{align*} y-at^2 &= 2at(x-t). \\ \therefore y &= 2atx-at^2 \quad \cdots [3]. \end{align*} 直線 $[3]$ が放物線 $[2]$ に接するためには, $[2],$ $[3]$ から $y$ を消去して得られる $2$ 次方程式 \[ b(x-p)^2+q = 2atx-at^2\] すなわち \[ bx^2-2(bp+at)x+(bp^2+q+at^2) = 0 \quad \cdots [4]\] が重解を持つこと, つまり $[4]$ の判別式 $D$ について \[\frac{D}{4} = (bp+at)^2-b(bp^2+q+at^2) = 0\] すなわち \[ a(a-b)t^2+2abpt-bq = 0 \quad \cdots [5]\] となることが必要十分である.
条件より, 放物線 $[1],$ $[2]$ は $2$ 本の共通接線 $\ell _1,$ $\ell _2$ を持つから, $a \neq 0,$ $a \neq b$ に注意すると, $[5]$ は $2$ つの実数解 $t_1,$ $t_2$ を持つ.
$[5]$ の解と係数の関係より, \begin{align*} t_1+t_2 &= -\frac{2abp}{a(a-b)} = -\frac{2bp}{a-b} \quad \cdots [6], \\ t_1t_2 &= -\frac{bq}{a(a-b)} \quad \cdots [7]. \end{align*} $\ell _1,$ $\ell _2$ は \[ y = 2at_kx-at_k{}^2 \quad (k \in \{ 1,\ 2\})\] と表せるから, $\ell _1,$ $\ell _2$ の交点 $\mathrm R$ の $x$ 座標は, \[ 2at_1x-at_1{}^2 = 2at_2x-at_2{}^2\] すなわち \[ 2a(t_1-t_2)x = a(t_1+t_2)(t_1-t_2)\] の解だから, $t_1 \neq t_2$ に注意すると, \[ x = \frac{t_1+t_2}{2} = -\frac{bp}{a-b} \quad (\because [6]).\] $\mathrm R$ の $y$ 座標は, \begin{align*} y &= 2at_1\cdot\frac{t_1+t_2}{2}-at_1{}^2 = at_1t_2 \\ &= -\frac{bq}{a-b} \quad (\because [7]). \end{align*} よって, \[\mathrm R\left( -\frac{bp}{a-b},\ -\frac{bq}{a-b}\right) \quad \cdots [8].\]
(2)
放物線 $[1],$ $[2]$ の頂点はそれぞれ, \[\mathrm A(0,\ 0) \quad \cdots [9], \qquad \mathrm B(p,\ q) \quad \cdots [10]\] だから, $[8]$ より, \begin{align*} \mathrm{AR}^2 &= \left( -\frac{bp}{a-b}\right) ^2+\left( -\frac{bq}{a-b}\right) ^2 = \frac{b^2(p^2+q^2)}{(a-b)^2}, \\ \mathrm{BR}^2 &= \left( p+\frac{bp}{a-b}\right) ^2+\left( q+\frac{bq}{a-b}\right) ^2 \\ &= \left(\frac{ap}{a-b}\right) ^2+\left(\frac{aq}{a-b}\right) ^2 = \frac{a^2(p^2+q^2)}{(a-b)^2}. \end{align*} $[1],$ $[2]$ は $2$ 本の共通接線を持つから $\mathrm A \neq \mathrm B$ であり, したがって $\mathrm{AB} = \sqrt{p^2+q^2} \neq 0$ であることに注意すると, \[\mathrm{AR}:\mathrm{BR} = \frac{|b|\sqrt{p^2+q^2}}{|a-b|}:\frac{|a|\sqrt{p^2+q^2}}{|a-b|} = |b|:|a|.\]
(3)
放物線 $[1]$ 上の点 $\mathrm P(x,\ y),$ 点 $\mathrm Q(X,\ Y)$ が点 $\mathrm R$ を中心として $|b|:|a|$ の比で相似であるとする.
$[8]$~$[10]$ より, $a,$ $b$ が同符号のとき $\mathrm R$ は $\mathrm{AB}$ を $b:a$ の比に外分した点であり, $a,$ $b$ が異符号のとき $\mathrm R$ は $\mathrm{AB}$ を $-b:a$ の比に内分した点である.
$\mathrm P \neq \mathrm A,$ $\mathrm Q \neq \mathrm B$ のときも, $\triangle\mathrm{APR},$ $\triangle\mathrm{BQR}$ は相似だから, $a,$ $b$ が同符号のとき $\mathrm R$ は $\mathrm{PQ}$ を $b:a$ の比に外分した点であり, $a,$ $b$ が異符号のとき $\mathrm R$ は $\mathrm{PQ}$ を $-b:a$ の比に内分した点である. \[\therefore\mathrm R\left(\frac{ax-bX}{a-b},\ \frac{ay-bY}{a-b}\right) \quad \cdots [11].\] $[8],$ $[11]$ の各座標を比較すると, \[ x = \frac{b}{a}(X-p), \quad y = \frac{b}{a}(Y-q).\] これを $[1]$ に代入すると, \[\frac{b}{a}(Y-q) = a\left(\frac{b}{a}(X-p)\right) ^2 = \frac{b^2}{a}(X-p)^2\] より, \[ Y = b(X-p)^2+q.\] これは点 $\mathrm Q$ が放物線 $[2]$ 上にあることを意味する.
同様に, 放物線 $[2]$ 上の点 $\mathrm Q,$ 点 $\mathrm P$ が点 $\mathrm R$ を中心として $|b|:|a|$ の比で相似であるとき, 点 $\mathrm P$ は放物線 $[1]$ 上にある.
ゆえに, 放物線 $[1],$ $[2]$ は点 $\mathrm R$ を中心として $|b|:|a|$ の比で相似である. (終)

解説

 $a_1,$ $a_2$ を $0$ でない相異なる実数とする. $2$ 本の $2$ 次関数のグラフ \begin{align*} C_1:y &= a_1(x-p_1)^2+q_1, \\ C_2:y &= a_2(x-p_2)^2+q_2 \end{align*} は $x$ 軸方向に $-p_1,$ $y$ 軸方向に $-q_1$ だけ平行移動すると \begin{align*} y &= a_1x^2, \\ y &= a_2(x-p)^2+q \quad (p = p_2-p_1,\ q = q_2-q_1) \end{align*} に移されるが, 平行移動によって $2$ つの図形の相似関係は保たれるから, $C_1,$ $C_2$ が $2$ 本の共通接線を持つとき, $C_1,$ $C_2$ は共通接線の交点 $\left(\dfrac{a_1p_1-a_2p_2}{a_1-a_2},\ \dfrac{a_1q_1-a_2q_2}{a_1-a_2}\right)$ を中心として $|a_2|:|a_1|$ の比で相似である.

問題≪$3$ 次関数のグラフの直交する $2$ 接線≫

 $a$ を定数とする. 曲線 $C:y = x^3 + ax$ 上の $2$ 点 $\mathrm P,$ $\mathrm Q$ における各接線 $\ell,$ $m$ が直交し,直線 $\ell$ と曲線 $C$ が点 $\mathrm Q$ で交わっている.
(1)
点 $\mathrm P$ の $x$ 座標を $p$ とおく. 点 $\mathrm Q$ の $x$ 座標を $a,$ $p$ で表せ.
(2)
$a$ のとり得る値の範囲を求めよ.

解答例

(1)
$f(x) = x^3+ax$ とおく. このとき, \[ f'(x) = 3x^2+a.\] よって, $C$ の点 $\mathrm P$ における接線 $\ell$ の方程式は, \begin{align*} y-(p^3+ap) &= (3p^2+a)(x-p). \\ \therefore y &= (3p^2+a)x-2p^3 \quad \cdots [1]. \end{align*} $C$ と $\ell$ の交点 $\mathrm Q$ の $x$ 座標は, $x^3+ax = (3p^2+a)x-2p^3$ すなわち \[ (x-p)^2(x+2p) = 0\] を満たすから, \[ x = -2p.\]
(2)
(1) より, $C$ の点 $\mathrm Q$ における接線の傾きは, \[ f'(-2p) = 12p^2+a.\] $\ell \perp m$ より, \begin{align*} (3p^2+a)(12p^2+a) &= -1. \\ \therefore 36p^4+15ap^2+a^2+1 &= 0 \quad \cdots [2]. \end{align*} $s = p^2$ とおくと, $s \geqq 0$ であり, \[ 36s^2+15as+a^2+1 = 0 \quad \cdots [2]'\] だから, $[2]$ を満たす実数 $p$ が存在するためには $[2]'$ を満たす $0$ 以上の実数 $s$ が存在することが必要十分である. $\cdots [*]$
$g(s) = 36s^2+15as+a^2+1$ とおき, $g(s)$ の判別式を $D,$ 放物線 $t = g(s)$ の対称軸を $s = s_0$ とおくと, これは \[ D \geqq 0, \quad s_0 \geqq 0, \quad g(0) \geqq 0\] が同時に成り立つことと同値である. \[ g(0) = a^2+1 \geqq 1\] より, $g(0) \geqq 0$ は常に成り立つ. また, \begin{align*} D &= (15a)^2-4\cdot 36(a^2+1) \geqq 0, \\ s_0 &= -\frac{15a}{2\cdot 32} \geqq 0, \\ \end{align*} より, ``$a \leqq -\dfrac{4}{3}$ または $\dfrac{4}{3} \leqq a$'' かつ $a \leqq 0$ だから, \[ a \leqq -\frac{4}{3}.\]

別解: $(2)$ の $[*]$ 以降

 $[2]'$ は実数解を持つから, $[2]'$ の判別式を $D$ とおくと \[ D = (15a)^2-4\cdot 36(a^2+1) \geqq 0\] となるから, \[ a \leqq -\frac{4}{3}, \quad \frac{4}{3} \leqq a \quad \cdots [3].\] このとき, $[2]'$ の $2$ 解を $\alpha,$ $\beta$ とおくと,
``$\alpha \geqq 0,$ $\beta \geqq 0$'' $\iff$``$\alpha +\beta \geqq 0,$ $\alpha\beta \geqq 0.$''
よって, $2$ 次方程式 $[2]'$ の解と係数の関係より \[\alpha +\beta = -\frac{15a}{36} \geqq 0, \quad \alpha\beta = \frac{a^2+1}{36} \geqq 0\] だから, \[ a \leqq 0 \quad \cdots [4].\] ゆえに, $[3],$ $[4]$ より, \[ a \leqq -\frac{4}{3}.\]

問題≪接線が直交する放物線の弦の中点の軌跡≫

 放物線 $C:y = x^2$ の点 $\mathrm A(\alpha,\alpha ^2),$ $\mathrm B(\beta,\beta ^2)$ における接線 $l,$ $m$ が直交するように点 $\mathrm A,$ $\mathrm B$ が動くとき,
(a)
$l$ と $m$ の交点 $\mathrm P$ の軌跡を求めよ.
(b)
弦 $\mathrm{AB}$ の中点 $\mathrm M$ の軌跡を求めよ.
[岩手大 2006*]

解答例

 $y = x^2$ の導関数は, $y' = 2x.$ よって, 接線 $l$ の方程式は, $y = 2\alpha (x-\alpha )+\alpha ^2$ から, \[ y = 2\alpha x-\alpha ^2.\] 同様に, $m$ の方程式は, \[ y = 2\beta x-\beta ^2.\] これらが直交する条件は, $2\alpha\cdot 2\beta = -1$ から, \[\alpha\beta = -\frac{1}{4}.\]
(a)
$l$ と $m$ の交点 $\mathrm P$ の $x$ 座標は, \[ 2\alpha x-\alpha ^2 = 2\beta x-\beta ^2\] すなわち $2(\alpha -\beta )x = \alpha ^2-\beta ^2$ から, \[ x = \frac{\alpha +\beta}{2}.\] よって, 点 $\mathrm P$ の $y$ 座標は, \[ y = 2\alpha\frac{\alpha +\beta}{2}-\alpha ^2 = \alpha\beta = -\frac{1}{4}.\] ゆえに, 点 $\mathrm P$ の軌跡は直線 $y = -\dfrac{1}{4}$ である.
(b)
弦 $\mathrm{AB}$ の中点 $\mathrm M$ の座標を $(X,Y)$ とおくと, \[ X = \frac{\alpha +\beta}{2}, \quad Y = \frac{\alpha ^2+\beta ^2}{2}\] となるから, \[ Y = 2\left(\frac{\alpha +\beta}{2}\right) ^2-\alpha\beta = 2X^2+\frac{1}{4}\] となる. よって, 点 $\mathrm M$ の軌跡は放物線 $y = 2x^2+\dfrac{1}{4}$ である.

問題≪放物線に $2$ 本の接線が引ける点の分布≫

 点 $\mathrm P(a,b)$ から放物線 $C:y = x^2$ に $2$ 本の接線が引けるとき, 点 $\mathrm P$ はどのような範囲に存在するか.
[オリジナル問題]

解答例

 $y = x^2$ の導関数は, \[ y' = 2x.\] よって, $C$ の点 $(s,s^2)$ における接線の方程式は, \[ y = 2s(x-s)+s^2.\] この直線が点 $\mathrm P(a,b)$ を通るとき, \[ b = 2s(a-s)+s^2 = 2as-s^2\] となる. そこで, $a,$ $b$ を定数として, 関数 $f(s) = 2as-s^2$ のグラフ $t = f(s)$ と直線 $t = b$ が $2$ 個の交点を持つような条件を調べる. \[ f(s) = -(s-a)^2+a^2\] から, $f(s)$ は $(a,a^2)$ を頂点とする上に凸の放物線であるから, $t = f(s)$ と $t = b$ が $2$ 個の交点を持つのは \[ b < a^2\] のときに限る. ゆえに, 点 $\mathrm P$ から $C$ に $2$ 本の接線が引けるとき, 点 $\mathrm P$ は $C$ の下方にある.

問題≪$3$ 次関数の接線の交点の分布≫

 点 $\mathrm P(a,b)$ を通るような曲線 $C:y = x^3-x$ の接線が複数引けるとき, 点 $\mathrm P$ はどのような範囲に存在するか.
[オリジナル問題]

解答例

 $y = x^3-x$ の導関数は, \[ y' = 3x^2-1.\] よって, $C$ の点 $(s,s^3-s)$ における接線の方程式は, \[ y = (3s^2-1)(x-s)+s^3-s.\] この直線が点 $\mathrm P(a,b)$ を通るとき, \begin{align*} b &= (3s^2-1)(a-s)+s^3-s \quad \cdots [\ast ] \\ &= 3as^2-2s^3-a \end{align*} となる. そこで, $a,$ $b$ を定数として, 関数 $f(s) = 3as^2-2s^3-a$ のグラフ $t = f(s)$ と直線 $t = b$ が複数の交点を持つような条件を調べる. $f(s)$ を微分すると, \[ f'(s) = 6as-6s^2 = -6s(s-a).\]
(i)
$a > 0$ のとき. $f(s)$ の増減は次のようになるから, $t = f(s)$ と $t = b$ が複数の交点を持つ条件は $-a \leqq b \leqq a^3-a$ である.
$s$$\cdots$$0$$\cdots$$a$$\cdots$
$f'(s)$$-$$0$$+$$0$$-$
$f(s)$$\searrow$$-a$$\nearrow$$a^3-a$$\searrow$
(ii)
$a = 0$ のとき. $f(s)$ は単調減少となり, 極値を持たないから, $t = f(s)$ と $t = b$ が複数の交点を持つことはない.
(iii)
$a < 0$ のとき. $f(s)$ の増減は次のようになるから, $t = f(s)$ と $t = b$ が複数の交点を持つ条件は $a^3-a \leqq b \leqq -a$ である.
$s$$\cdots$$a$$\cdots$$0$$\cdots$
$f'(s)$$-$$0$$+$$0$$-$
$f(s)$$\searrow$$a^3-a$$\nearrow$$-a$$\searrow$
(i)~(iii) から, 点 $\mathrm P$ を通るような $C$ の接線が複数引けるとき, 点 $\mathrm P$ は $C$ と直線 $y = -x$ で挟まれた領域(図の塗色部)にある. ただし, 原点以外の境界線上の点を含む.

解説

 まず, $C$ の接線の方程式を考える. それが点 $\mathrm P(a,b)$ を通る条件から得られる $t$ の $3$ 次方程式 $[\ast ]$ が複数の実数解を持てば良い. 一般に, $3$ 次方程式が複数の実数解を持つ条件は, かなり複雑である. 本問では, $a,$ $b$ を定数として $t = ([\ast ]\text{ の右辺})$ と $t = b$ が複数の交点を持つ条件に帰着させることで, 微分法の知識で解くことができる.