COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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メルセンヌ数と完全数

メルセンヌ数

定義≪メルセンヌ数≫

(1)
ある正の整数 $n$ を用いて $2^n-1$ の形に表される整数をメルセンヌ数(Mernenne number)と呼ぶ.
(2)
素数であるメルセンヌ数をメルセンヌ素数(Mersenne prime)と呼ぶ.

完全数

定義≪完全数≫

 正の整数 $a$ について, $a$ の正の約数の総和を $\sigma (a)$ で表す. $\sigma (a) = 2a$ が成り立つとき, $a$ を完全数(perfect number)と呼ぶ.

メルセンヌ素数と偶数の完全数

定理≪メルセンヌ素数と偶数の完全数≫

 メルセンヌ素数 $2^n-1$ と偶数の完全数 $a$ は \[ a = 2^{n-1}(2^n-1)\] により $1$ 対 $1$ に対応する.

証明

 こちらを参照.

問題

数学 A: 整数の性質

問題≪メルセンヌ素数と偶数の完全数≫

 正の整数 $a$ について, $a$ の正の約数の総和を $\sigma (a)$ で表す. $\sigma (a) = 2a$ が成り立つとき, $a$ を完全数と呼ぶ. 次のことを示せ.
(1)
正の整数 $a,$ $b$ が互いに素ならば, $\sigma (ab) = \sigma (a)\sigma (b)$ が成り立つ.
(2)
$n$ を正の整数とするとき, $2^n-1$ が素数ならば, $a = 2^{n-1}(2^n-1)$ は偶数の完全数である.
(3)
偶数の完全数 $a$ を $a = 2^{n-1}a'$ ($n$: $2$ 以上の整数, $a'$: 奇数)の形に表す. このとき, $\sigma (a') = a'+\dfrac{a'}{2^n-1},$ $a' = 2^n-1$ であり, $a'$ は素数である.
[2000 佐賀大*]

解答例

(1)
$a,$ $b$ の素因数分解をそれぞれ \[ a = p_1{}^{m_1}\cdots p_r{}^{m_r}, \quad b = q_1{}^{n_1}\cdots q_s{}^{n_s}\] ($p_k,$ $q_l$: 相異なる素数, $m_k,$ $n_l$: 正の整数)とすると, $ab$ の素因数分解は \[ ab = p_1{}^{m_1}\cdots p_r{}^{m_r}q_1{}^{n_1}\cdots q_s{}^{n_s}\] となるから, 約数の和の公式により \begin{align*} \sigma (ab) &= (1+\!\cdots\!+p_1{}^{m_1})\cdots (1+\!\cdots\!+p_r{}^{m_r}) \\ &\qquad \times (1+\!\cdots\!+q_1{}^{n_1})\cdots (1+\!\cdots\!+q_s{}^{n_s}) \\ &= \sigma (a)\sigma (b) \end{align*} となる.
(2)
$2^n-1$ が素数であるとすると, (1) の結果から \begin{align*} \sigma (a) &= \sigma (2^{n-1})\sigma (2^n-1) \\ &= (1+\cdots +2^{n-1})\{ 1+(2^n-1)\} \\ &= (2^n-1)2^n = 2a \end{align*} となるので, $a$ は完全数である.
(3)
$\sigma (a) = 2a = 2^na'$ と \begin{align*} \sigma (a) &= \sigma (2^{n-1})\sigma (a') = (1+\cdots +2^{n-1})\sigma (a') \\ &= (2^n-1)\sigma (a') \end{align*} から, \[\sigma (a') = \frac{2^na'}{2^n-1} = a'+\frac{a'}{2^n-1}\] が成り立つ. $a'$ と $\sigma (a')$ は正の整数であるから, $\dfrac{a'}{2^n-1}$ は正の整数である. $n > 1$ から $2^n-1 > 1$ であるので, $\dfrac{a'}{2^n-1}$ は $a'$ より小さい $a'$ の約数である. $a'$ の正の約数は $a'$ と $\dfrac{a'}{2^n-1}$ の $2$ つのみであるから, $\dfrac{a'}{2^n-1} = 1$ つまり $a' = 2^n-1$ であり, $a'$ は素数である.

背景

 $2^n-1$ ($n$: 正の整数)の形の素数を「メルセンヌ素数」(Mersenne prime)と呼び, 正の整数 $a$ の正の約数の総和が $2a$ になるとき, $a$ を「完全数」(perfect number)と呼ぶ. 本問で示した結果により,「メルセンヌ素数」は偶数の「完全数」と $1$ 対 $1$ に対応する(ちなみに, (2) はユークリッド, (3) はオイラーによって示された). 例えば,「メルセンヌ素数」 $2^2-1 = 3,$ $2^3-1 = 7,$ $2^5-1 = 31$ には, 偶数の「完全数」$6,$ $28,$ $496$ が対応している. $2017$ 年 $12$ 月に発見された史上最大の素数 $2^{77232917}-1$ は $50$ 個目に発見された「メルセンヌ素数」である. まだ奇数の「完全数」は見つかっていないので, この「メルセンヌ素数」の発見は $50$ 個目の「完全数」の発見を意味する($2018$ 年 $3$ 月現在).