COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

数式を枠からはみ出さずに表示するためには, 画面を横に傾けてください(532 ピクセル以上推奨).

円周率

円周率

定義≪円周率≫

 円の周の長さは, 直径の長さに比例する. その比例定数を円周率(the number pi, Ludolph's number)と呼び, $\pi$ で表す.

定理≪円周率の無理性≫

 円周率 $\pi$ は無理数である.

問題

数学 III: 関数

問題≪マチンの公式≫

(1)
$\tan\alpha = \dfrac{1}{5}$ のとき, $\tan 2\alpha,$ $\tan 4\alpha$ の値を求めよ.
(2)
関数 $\tan x\ \left( -\dfrac{\pi}{2} < x < \dfrac{\pi}{2}\right)$ の逆関数を $\arctan x$ で表すとき, \[\frac{\pi}{4} = 4\arctan\frac{1}{5}-\arctan\frac{1}{239} \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
$2$ 倍角の公式により, \begin{align*} &\tan 2\alpha = \frac{2\tan\alpha}{1-\tan ^2\alpha} \\ &= \frac{2\cdot\dfrac{1}{5}}{1-\dfrac{1}{25}} = \frac{10}{25-1} = \frac{5}{12} \end{align*} である. よって, 再び $2$ 倍角の公式を使うと, \begin{align*} &\tan 4\alpha = \frac{2\tan 2\alpha}{1-\tan ^22\alpha} \\ &= \frac{2\cdot\dfrac{5}{12}}{1-\dfrac{25}{144}} = \frac{120}{144-25} = \frac{120}{119} \end{align*} が得られる.
(2)
\[\frac{\pi}{4} = 4\alpha -\left( 4\alpha -\frac{\pi}{4}\right), \quad \alpha = \arctan\dfrac{1}{5}\] であるから, \[ 4\alpha -\frac{\pi}{4} = \arctan\frac{1}{239} \quad \cdots [1]\] を示せばよい. 加法定理により, \begin{align*} &\tan\left( 4\alpha -\frac{\pi}{4}\right) = \frac{\tan 4\alpha-\tan\dfrac{\pi}{4}}{1+\tan 4\alpha\tan\dfrac{\pi}{4}} \\ &= \frac{\dfrac{120}{119}-1}{1+\dfrac{120}{119}\cdot 1} = \frac{120-119}{119+120} = \frac{1}{239} \end{align*} が成り立つ. これは $[1]$ を意味するので, 求める等式 $[\ast ]$ が得られた.

背景

 三角関数の定義域を制限すれば, その逆関数を定めることができる. 三角関数の逆関数は, 逆数の関数との混同を避けるため, $\mathrm{arc}$ をつけて表すことが多い. $[\ast ],$ または $\arctan x$ の級数表示 \[\arctan x = \sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{2n+1}x^{2n+1}\] と組み合わせて得られる公式 \[\frac{\pi}{4} = 4\sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{(2n+1)5^{2n+1}}-\sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{(2n+1)239^{2n+1}}\] は,「マチンの公式」(Machin's formula)と呼ばれ, 後者は級数の収束が速いことから円周率の計算に使われてきた.

数学 III: 極限

問題≪ビエタの公式≫

(1)
すべての角 $\theta$ と正の整数 $n$ に対して \[\cos\frac{\theta}{2}\cdots\cos\frac{\theta}{2^n}\sin\frac{\theta}{2^n} = \frac{1}{2^n}\sin\theta\] が成り立つことを示せ.
(2)
(1) の結果を用いて \[\lim\limits_{n \to \infty}\cos\frac{\pi}{4}\cdots\cos\frac{\pi}{2^{n+1}} = \frac{2}{\pi}\] が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
倍角の公式により, \begin{align*} &\cos\frac{\theta}{2}\cdots\cos\frac{\theta}{2^n}\sin\frac{\theta}{2^n} \\ &= \frac{1}{2}\cos\frac{\theta}{2}\cdots\cos\frac{\theta}{2^{n-1}}\sin\frac{\theta}{2^{n-1}} \\ &= \cdots \\ &= \frac{1}{2^{n-1}}\cos\frac{\theta}{2}\sin\frac{\theta}{2} \\ &= \frac{1}{2^n}\sin\theta \end{align*} が成り立つ.
(2)
(1) の結果に $\theta = \dfrac{\pi}{2}$ を代入すると, \[ \cos\frac{\pi}{4}\cdots\cos\frac{\pi}{2^{n+1}}\sin\frac{\pi}{2^{n+1}} = \frac{1}{2^n}\] から \begin{align*} &\cos\frac{\pi}{4}\cdots\cos\frac{\pi}{2^{n+1}} = \frac{1}{2^n}\div\sin\frac{\pi}{2^{n+1}} \\ &= \frac{2}{\pi}\cdot\frac{\pi}{2^{n+1}}\div\sin\frac{\pi}{2^{n+1}} \\ &\to \frac{2}{\pi}\cdot 1 = \frac{2}{\pi} \quad (n \to \infty ) \end{align*} となり, 求める結果が得られる.

背景

 (2) の結果は「ビエタの公式」と呼ばれる(Vieta, 1593). 半角の公式 $\cos ^2\dfrac{\theta}{2} = \dfrac{1+\cos\theta}{2}$ により \begin{align*} \cos\frac{\pi}{4} &= \frac{\sqrt 2}{2}, \\ \cos\frac{\pi}{8} &= \sqrt{\frac{1+\dfrac{\sqrt 2}{2}}{2}} = \frac{\sqrt{2+\sqrt 2}}{2}, \\ \cos\frac{\pi}{16} &= \sqrt{\frac{1+\dfrac{\sqrt{2+\sqrt 2}}{2}}{2}} = \frac{\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt 2}}}{2},\ \cdots \end{align*} であるから, この公式は \[\pi = 2\cdot\frac{2}{\sqrt 2}\cdot\frac{2}{\sqrt{2+\sqrt 2}}\cdot\frac{2}{\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt 2}}}\cdot\cdots\] という形でも表される. この公式は, $\pi$ を表す式としてはヨーロッパで初めて発見されたものである. それ以前には, $\tan x$ の逆関数 $\mathrm{arctan}\,x$ の展開公式 $\mathrm{arctan}\,x = \sum\limits_{n = 0}^\infty\dfrac{(-1)^n}{2n+1}x^{2n+1}$ がインドのケーララ学派の間で知られていたので, $\pi$ を表す式としては $\pi = 4\sum\limits_{n = 0}^\infty\dfrac{(-1)^n}{2n+1}$ が最も古いと考えられている.