COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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関数

合成関数

定義≪合成関数≫

 関数 $f(x)$ の値域が関数 $g(x)$ の定義域に含まれるとき, $x$ に $g(f(x))$ を対応させることで定まる関数を $f(x)$ と $g(x)$ の合成関数(composite function)と呼び, $(g\circ f)(x)$ で表す.

問題≪$n$ 個の数の置換の性質≫

 $1$ 以上 $n$ 以下の整数全体 $A$ を定義域とする関数 $f(x)$ の値域が $A$ に含まれるとする. \[ f^1(x) = f(x), \quad f^k(x) = (f\circ f^{k-1})(x)\ (k > 1)\] により関数 $f^n(x)$ を定めるとき, 次のことを示せ.
 $f^k(1)\ (1 \leqq k \leqq n)$ がすべて互いに異なるならば, $f^n(1) = 1$ である.
[名古屋大*]

解答例

 $f^k(1)\ (1 \leqq k \leqq n)$ がすべて互いに異なるとする. このとき, \[\{ f^1(1),\cdots,f^n(1)\} = \{ 1,\cdots,n\}\] であるから, $f^k(1) = 1,$ $1 \leqq k \leqq n$ なる整数 $k$ が存在する.
 仮に $1 \leqq k \leqq n-1$ であるとすると, \[ f^{k+1}(1) = (f\circ f^k)(1) = f(f^k(1)) = f(1),\ 2 \leqq k+1 \leqq n\] となり, $f^k(1)\ (1 \leqq k \leqq n)$ がすべて互いに異なることに反する.
 ゆえに, $f^n(1) = 1$ が成り立つ.

逆関数

定義≪逆関数≫

 関数 $f(x)$ の値域に含まれる任意の値 $y$ に対して $y = f(x)$ なる $x$ がただ $1$ つ定まるとき, $y$ に $x$ を対応させることで定まる関数を $f(x)$ の逆関数(inverse function)と呼び, $f^{-1}(x)$ で表す.

問題≪$1$ 次分数関数の逆関数≫

 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ を $c \neq 0,$ $ad \neq bc$ なる実数とする.
(1)
関数 $f(x) = \dfrac{ax+b}{cx+d}$ の逆関数 $f^{-1}(x)$ を求めよ.
(2)
$f(x) = f^{-1}(x)$ となるための必要十分条件を求めよ.

解答例

(1)
$y = \dfrac{ax+b}{cx+d}$ とおく. 分母を払って変形すると \begin{align*} (cx+d)y &= ax+b, \\ (cy-a)x &= -dy+b \end{align*} となるから, \[ cy-a = \frac{c(ax+b)-a(cx+d)}{cx+d} = \frac{bc-ad}{cx+d} \neq 0\] に注意すると, \[ x = \frac{-dy+b}{cy-a} = \frac{dy-b}{-cy+a}\] となる. ゆえに, $f(x)$ の逆関数は \[ f^{-1}(x) = \frac{dx-b}{-cx+a}\] である.
(2)
$f(x) = f^{-1}(x)$ が成り立つとする. このとき, \[\frac{ax+b}{cx+d} = \frac{dx-b}{-cx+a}\] であるから, $x \neq -\dfrac{d}{c},$ $\dfrac{a}{c}$ なるすべての実数 $x$ に対して \[ (ax+b)(-cx+a) = (cx+d)(dx-b)\] つまり \[ -acx^2+(a^2-bc)x+ab = cdx^2+(d^2-bc)x-bd\] が成り立つ. 両辺の係数を比較すると \[ -ac = cd, \quad a^2-bc = d^2-bc, \quad ab = -bd\] つまり \[ c(a+d) = 0,\ (a+d)(a-d) = 0,\ b(a+d) = 0\] となるから, $c \neq 0$ に注意すると, 求める条件が $a+d = 0$ であるとわかる.

問題≪マチンの公式≫

(1)
$\tan\alpha = \dfrac{1}{5}$ のとき, $\tan 2\alpha,$ $\tan 4\alpha$ の値を求めよ.
(2)
関数 $\tan x\ \left( -\dfrac{\pi}{2} < x < \dfrac{\pi}{2}\right)$ の逆関数を $\arctan x$ で表すとき, \[\frac{\pi}{4} = 4\arctan\frac{1}{5}-\arctan\frac{1}{239} \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つことを示せ.

解答例

(1)
$2$ 倍角の公式により, \begin{align*} &\tan 2\alpha = \frac{2\tan\alpha}{1-\tan ^2\alpha} \\ &= \frac{2\cdot\dfrac{1}{5}}{1-\dfrac{1}{25}} = \frac{10}{25-1} = \frac{5}{12} \end{align*} である. よって, 再び $2$ 倍角の公式を使うと, \begin{align*} &\tan 4\alpha = \frac{2\tan 2\alpha}{1-\tan ^22\alpha} \\ &= \frac{2\cdot\dfrac{5}{12}}{1-\dfrac{25}{144}} = \frac{120}{144-25} = \frac{120}{119} \end{align*} が得られる.
(2)
\[\frac{\pi}{4} = 4\alpha -\left( 4\alpha -\frac{\pi}{4}\right), \quad \alpha = \arctan\dfrac{1}{5}\] であるから, \[ 4\alpha -\frac{\pi}{4} = \arctan\frac{1}{239} \quad \cdots [1]\] を示せばよい. 加法定理により, \begin{align*} &\tan\left( 4\alpha -\frac{\pi}{4}\right) = \frac{\tan 4\alpha-\tan\dfrac{\pi}{4}}{1+\tan 4\alpha\tan\dfrac{\pi}{4}} \\ &= \frac{\dfrac{120}{119}-1}{1+\dfrac{120}{119}\cdot 1} = \frac{120-119}{119+120} = \frac{1}{239} \end{align*} が成り立つ. これは $[1]$ を意味するので, 求める等式 $[\ast ]$ が得られた.

背景

  • 三角関数の定義域を制限すれば, その逆関数を定めることができる. 三角関数の逆関数は, 逆数の関数との混同を避けるため, $\mathrm{arc}$ をつけて表すことが多い.
  • $[\ast ]$ と $\arctan x$ の級数表示 \[\arctan x = \sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{2n+1}x^{2n+1}\] と組み合わせて得られる公式 \[\frac{\pi}{4} = 4\sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{(2n+1)5^{2n+1}}-\sum\limits_{n = 0}^\infty\frac{(-1)^n}{(2n+1)239^{2n+1}}\] は,「マチンの公式」(Machin's formula)と呼ばれ, 後者は級数の収束が速いことから円周率の計算に使われてきた.