COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

数式を枠からはみ出さずに表示するためには, 画面を横に傾けてください(532 ピクセル以上推奨).

記数法

小数

問題≪有理数の分類≫

 すべての有理数は有限小数, または循環小数であることを示せ.

解答例

 与えられた有理数 $a$ が整数 $m$ と正の整数 $n$ の比 $\dfrac{m}{n}$ で表されるとする. 分子 $m$ を分母 $n$ で割り算して, 割り切れない場合は, 余りの $10$ 倍を $n$ で割るという操作を繰り返す.
(i)
この操作が有限回で終了する場合. $a$ は有限小数である.
(ii)
この操作が無限に続く場合. $a$ は循環小数になる. 実際, 整数が $n$ で割り切れない場合, 余りの可能性は $1,$ $\cdots,$ $n-1$ の $n-1$ 通りある. 一般に, 箱に $1$ つずつものを入れるとき $n-1$ 個の箱には最大 $n-1$ 個のものしか入らないから, 上記の操作が無限に続くとしても, 最初の $n$ 回の割り算の余り $n$ 個のうち少なくとも $2$ 個は等しくなって, $a$ は循環小数となる.
以上で, 題意が示された.

背景

  • 本問では,「鳩の巣原理」(pigeonhole principle)または「ディリクレの箱入れ原理」「引き出し原理」「部屋割り論法」(Dirichlet's box principle, drawer principle)と呼ばれる, 次の原理を使った: $m$ 個のものを $n$ 種類に分けるとき, $m > n$ ならば, 少なくとも $2$ 個は同じ種類に属する.
  • 「鳩の巣原理」からは, 具体的にどれがどの種類に属するかということはわからない. しかし,「鳩の巣原理」から, 組合せ論だけでなく, 整数論, 解析学などの多岐にわたる分野で, 多くの重要な存在定理が証明されている. 例えば,「ペル方程式」$x^2-dy^2 = 1$ ($d$: 平方数でない正の整数)の整数解の存在も,「鳩の巣原理」を使って証明される.