COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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$2$ 次以上の不定方程式

ペル方程式

問題≪ペル方程式の一般解≫

(1)
$\alpha = x+y\sqrt 2$ ($x,$ $y$: 整数)の形に表される各実数 $\alpha$ に対して, $\widetilde{\mathstrut\alpha} = x-y\sqrt 2$ と定める. $\alpha = x+y\sqrt 2,$ $\alpha ' = x'+y'\sqrt 2$ ($x,$ $y,$ $x',$ $y'$: 整数)のとき, $\widetilde{\alpha\alpha '} = \widetilde{\mathstrut\alpha}\widetilde{\mathstrut\alpha '}$ が成り立つことを示せ.
(2)
$x^2-2y^2 = 1$ の正の整数解 $(x,y)$ を用いて $x+y\sqrt 2$ の形に表される実数の最小値を $\varepsilon$ とおく. $\varepsilon$ の値を求めよ.
(3)
$n$ を正の整数とするとき, \[\varepsilon ^n = x_n+y_n\sqrt 2 \quad \cdots [\mathrm A]\] により定まる整数 $x_n,$ $y_n$ について, $(x,y) = (x_n,y_n)$ は $x^2-2y^2 = 1$ の解であることを示せ. さらに, $\varepsilon,$ $\widetilde{\mathstrut\varepsilon}$ と $n$ を用いて $x_n,$ $y_n$ を表せ.
(4)
$(x,y)$ を $x^2-2y^2 = 1$ の正の整数解とする. このとき, $(x,y)$ はある正の整数 $n$ に対して上記の解 $(x_n,y_n)$ に一致することを示せ.

解答例

(1)
$\alpha\alpha ' = (xx'+2yy')+(xy'+x'y)\sqrt 2$ から, \begin{align*} \widetilde{\mathstrut\alpha}\widetilde{\mathstrut\alpha '} &= (x-y\sqrt 2)(x'-y'\sqrt 2) \\ &= (xx'+2yy')-(xy'+x'y)\sqrt 2 = \widetilde{\mathstrut\alpha\alpha '} \end{align*} が成り立つ.
(2)
$x+y\sqrt 2$ は $x,$ $y$ に関してそれぞれ単調増加であり, \begin{align*} 1^2-2\cdot 1^2 &\neq 1, \quad 1^2-2\cdot 2^2 \neq 1, \\ 2^2-2\cdot 1^2 &\neq 1, \quad 2^2-2\cdot 2^2 \neq 1, \\ 3^2-2\cdot 2^2 &= 1 \end{align*} であるから, $\varepsilon = 3+2\sqrt 2$ である.
(3)
$[\mathrm A]$ から, \[ x_n-y_n\sqrt 2 = \widetilde{\mathstrut\varepsilon ^n} \quad \cdots [\mathrm B]\] が成り立つ. よって, $[\mathrm A],$ $[\mathrm B]$ の辺々を掛け合わせると, (1) の結果から, \begin{align*} x_n{}^2-2y_n{}^2 &= (x_n+y_n\sqrt 2)(x_n-y_n\sqrt 2) \\ &= \varepsilon ^n\widetilde{\mathstrut\varepsilon ^n} = \varepsilon ^n(\tilde{\varepsilon}) ^n = (\varepsilon\tilde{\varepsilon})^n \\ &= \{ (3+2\sqrt 2)(3-2\sqrt 2)\} ^n = 1^n = 1 \end{align*} となる. さらに, $[\mathrm A],$ $[\mathrm B]$ から, \[ x_n = \frac{\varepsilon ^n+(\tilde\varepsilon )^n}{2}, \quad y_n = \frac{\varepsilon ^n-(\tilde\varepsilon )^n}{2\sqrt 2}\] が得られる.
(4)
$x+y\sqrt 2 \geqq \varepsilon > 1$ であるから, \[\varepsilon ^n \leqq x+y\sqrt 2 < \varepsilon ^{n+1}\] を満たす正の整数 $n$ が存在する. 両辺を $\varepsilon ^n$ で割ると, \[ 1 \leqq (x+y\sqrt 2)\varepsilon ^{-n} < \varepsilon\] となる. $\varepsilon\tilde\varepsilon = 1$ から $\varepsilon ^{-n} = (\varepsilon ^{-1})^n = (\tilde\varepsilon )^n = \widetilde{\varepsilon^n} = x_n-y_n\sqrt 2$ であるので, \begin{align*} (x+y\sqrt 2)\varepsilon ^{-n} &= (x+y\sqrt 2)(x_n-y_n\sqrt 2) \\ &= (xx_n-yy_n)+(-xy_n+x_ny)\sqrt 2 \end{align*} が成り立つ. そこで, $x' = xx_n-yy_n,$ $y' = -xy_n+x_ny$ とおく. このとき, \begin{align*} x'+y'\sqrt 2 &= (x+y\sqrt 2)\varepsilon ^{-n}, \\ x'-y'\sqrt 2 &= (x-y\sqrt 2)\varepsilon ^n \end{align*} となるから, 辺々を掛け合わせると \[ x'^2-2y'^2 = (x^2-2y^2)\varepsilon ^{-n}\varepsilon ^n = 1\] となる. これと $\varepsilon$ の最小性により $x'+y'\sqrt 2 = 1$ が成り立つので, \[ x+y\sqrt 2 = \varepsilon ^n = x_n+y_n\sqrt 2\] が得られる. よって, \[ (y-y_n)\sqrt 2 = x_n-x\] となるが, $x_n-x$ と $y-y_n$ は整数で, $\sqrt 2$ は無理数であるから, $y-y_n = 0$ でなければならない. ゆえに, $(x,y) = (x_n,y_n)$ が成り立つ.

背景

 こちらを参照.

その他の方程式

問題≪カタラン予想に関する方程式≫

(A)
$x^2-2^n = 1$ を満たす正の整数 $x,$ $n$ の組をすべて求めよ.
(B)
$3^m-y^3 = 1$ を満たす正の整数 $m,$ $y$ の組をすべて求めよ.

解答例

(A)
正の整数 $x,$ $n$ が方程式 $x^2-2^n = 1$ を満たすとする.
これは $x^2 = 2^n+1$ と変形できるので, $x$ は奇数でなければならない.
よって, $x = 2d-1$ ($d$: 正の整数)とおける. このとき, \[ 2^n = (2d-1)^2-1 = 4d(d-1)\] となる. よって, $n \geqq 2$ である.
両辺を $4$ で割って得られる方程式 \[ 2^{n-2} = d(d-1)\] は, $d = 2$ のとき解 $n = 3$ を持つが, $d = 1$ のとき左辺が正であることから解を持たず, $d \geqq 3$ のとき $d(d-1)$ が奇数の素因数を持つことから解を持たない.
(左辺は $2$ の累乗だから右辺の各因数は $2$ の累乗か $1$ でなければならない.)
ゆえに, 求める解は $(x,n) = (3,3)$ である.
(B)
正の整数 $m,$ $y$ が方程式 $3^m-y^3 = 1$ を満たすとする.
これは $y^3 = 3^m-1$ と変形できるので, $y$ を $3$ で割った余りは $2$ である.
実際, $y$ が $3$ の倍数のとき, $y^3$ を $3$ で割った余りは $0$ となり, $y =3d+1$ ($d$: 正の整数)のとき, $y^3 = 3(9d^3+9d^2+3d)+1$ を $3$ で割った余りは $1$ となってしまうからである.
よって, $y = 3d-1$ ($d$: 正の整数)とおける. このとき, \[ 3^m = (3d-1)^3+1 = 9d(3d^2-3d+1)\] となる. よって, $m \geqq 2$ でなければならない.
両辺を $9$ で割って得られる方程式 \[ 3^{m-2} = d(3d^2-3d+1)\] は, $d = 1$ のとき解 $m = 2$ を持つが, $d > 1$ のとき $3d^2-3d+1$ が $3$ で割り切れないことから解を持たない.
(左辺は $3$ の累乗だから右辺の各因数は $3$ の累乗か $1$ でなければならない.)
ゆえに, 求める解は $(m,y) = (2,2)$ である.

背景

 「カタラン方程式」と呼ばれる方程式 $x^m-y^n = 1$ の $x,$ $y > 0,$ $m,$ $n > 1$ なる整数解は $(x,m,y,n) = (3,2,2,3)$ に限る, つまり差が $1$ であるような正の累乗数は $9$ と $8$ のみであるというのが有名な「カタラン予想」(Catalan's conjecture)で, 2002 年に P・ミハイレスクによって肯定的に解決された.