COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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速度・加速度

速度

問題≪等角らせんの性質≫

 $a$ を実数とする. 座標平面上を運動する点 $\mathrm P$ の時刻 $t$ における座標が \[ x = e^{at}\cos t, \quad y = e^{at}\sin t \quad \cdots [*]\] で表されるとき, 点 $\mathrm P$ の原点を基点とする位置ベクトル $\vec p = (x,y)$ と, 点 $\mathrm P$ の速度ベクトル $\vec v = (x',y')$ のなす角 $\theta$ は, $t$ によらず一定であることを示せ.
[2000 神戸大*]

解答例

 $x = e^{at}\cos t,$ $y = e^{at}\sin t$ を $t$ で微分すると \begin{align*} \frac{dx}{dt} &= ae^{at}\cos t-e^{at}\sin t = e^{at}(a\cos t-\sin t), \\ \frac{dy}{dt} &= ae^{at}\sin t+e^{at}\cos t = e^{at}(a\sin t+\cos t) \end{align*} となるから, \begin{align*} \vec p\cdot\vec v &= xx'+yy' \\ &= e^{2at}\{\cos t(a\cos t-\sin t)+\sin t(a\sin t+\cos t)\} \\ &= e^{2at}\cdot a(\cos ^2t+\sin ^2t) \\ &= ae^{2at}, \\ |\vec p| &= \sqrt{x^2+y^2} = e^{at}\sqrt{\cos ^2t+\sin ^2t} = e^{at}, \\ |\vec v| &= \sqrt{{x'}^2+{y'}^2} \\ &= e^{at}\sqrt{(a\cos t -\sin t)^2+(a\sin t +\cos t)^2} \\ &= e^{at}\sqrt{a^2(\cos ^2t+\sin ^2t)+(\sin ^2t+\cos ^2t)} \\ &= e^{at}\sqrt{a^2+1} \end{align*} である. よって, $\vec p,$ $\vec v$ の成す角 $\theta$ について \[\cos\theta = \frac{\vec p\cdot\vec v}{|\vec p||\vec v|} = \frac{ae^{2at}}{e^{at}\cdot e^{at}\sqrt{a^2+1}} = \frac{a}{\sqrt{a^2+1}}\] は $t$ によらない定数であるから, $\theta$ は一定である.

背景

  • 曲線 $[*]$ は, 上記の性質から「等角らせん」(equiangular spiral)と呼ばれ, また「対数らせん」(logarithmic spiral), 「ベルヌーイらせん」(Bernoulli spiral)とも呼ばれる.
  • 上記の「等角らせん」の性質を応用して, 刃の成す角が一定になるようなはさみ「フィットカットカーブ」(プラス株式会社)が実用化されている.

加速度

問題≪放物線に関する面積速度一定の法則≫

 $xy$ 平面上の放物線 $C:y = x^2$ 上を運動する点 $\mathrm P$ がある. 時刻 $t = 0$ のとき点 $\mathrm P$ は原点 $\mathrm O$ にあるとし, 時刻 $t\ (\geqq 0)$ における $\mathrm P$ の座標を $(x,y)$ とおく. $C$ の焦点を $\mathrm F$ とおき, 時刻 $t$ における線分 $\mathrm{OF},$ $\mathrm{FP}$ と $C$ の弧 $\mathrm{OP}$ とで囲まれる部分の面積を $S$ とおく. さらに, $S' = \dfrac{dS}{dt},$ $x' = \dfrac{dx}{dt},$ $x'' = \dfrac{d^2x}{dt^2},$ $y'' = \dfrac{d^2y}{dt^2}$ とおく. このとき, $t > 0$ において, 常に $S' = 1$ が成り立つとする.
(1)
$x,$ $x'$ を用いて $x'',$ $y''$ を表せ.
(2)
点 $\mathrm P$ の加速度ベクトル $\vec\alpha = (x'',y'')$ は $\overrightarrow{\mathrm{PF}}$ に平行であり, かつ $|\vec\alpha |\cdot\mathrm{PF}^2$ は $t$ によらず一定であることを証明せよ.
[中央大*]

解答例

(1)
放物線 $C:y = x^2$ つまり $x^2 = 4\cdot\dfrac{1}{4}\cdot y$ の焦点 $\mathrm F$ の座標は $\left( 0,\dfrac{1}{4}\right)$ である. よって, \[ S = \frac{x}{2}\left( x^2+\frac{1}{4}\right) -\int_0^xX^2dX = \frac{1}{6}x^3+\frac{1}{8}x\] から, \[ S' = \left(\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{8}\right)x'\] である.
仮定 $S' = 1$ から \[ (4x^2+1)x' = 8 \quad \cdots [1]\] であるので, 両辺を $t$ で微分すると \begin{align*} &8x(x')^2+(4x^2+1)x'' = 0 \\ &x'' = -\frac{8x(x')^2}{4x^2+1} \end{align*} が得られる. よって, \begin{align*} y'' &= (x^2)'' = (2xx')' = 2(x')^2+2xx'' \\ &= 2(x')^2-\frac{16x^2(x')^2}{4x^2+1} \end{align*} である.
(2)
\begin{align*} \overrightarrow{\mathrm{PF}} &= \left( -x,\frac{1}{4}-x^2\right), \quad \cdots [2] \\ |\overrightarrow{\mathrm{PF}}|^2 &= x^2+\left(\frac{1}{4}-x^2\right) ^2 = \left( x^2+\frac{1}{4}\right) ^2 \quad \cdots [3] \end{align*} であるから, \begin{align*} \vec\alpha &= (x'',y'') \\ &= \left( -\frac{8x(x')^2}{4x^2+1},2(x')^2-\frac{16x^2(x')^2}{4x^2+1}\right) \\ &= \frac{8(x')^2}{4x^2+1}\left( -x,\frac{4x^2+1}{4}-2x^2\right) \\ &= \frac{8(x')^2}{4x^2+1}\left( -x,\frac{1}{4}-x^2\right) \\ &= \frac{8^3}{(4x^2+1)^3}\overrightarrow{\mathrm{PF}} \quad (\because [1],\ [2]) \\ &= \frac{8^3}{4^3|\overrightarrow{\mathrm{PF}}|^3}\overrightarrow{\mathrm{PF}} \quad (\because [3]) \\ &= \frac{8}{|\overrightarrow{\mathrm{PF}}|^2}\cdot\frac{\overrightarrow{\mathrm{PF}}}{|\overrightarrow{\mathrm{PF}}|} \end{align*} が成り立つ. よって, $\vec\alpha$ は $\overrightarrow{\mathrm{PF}}$ に平行であり, $|\vec\alpha |\cdot\mathrm{PF}^2 = 8$ (一定)である.

背景

 天体力学で, 定点 $\mathrm F$ にある物体から万有引力を受けた物体 $\mathrm P$ は, 楕円(円を含む), 放物線, 双曲線のいずれかの軌道を描くこと(「ケプラーの第一法則」), 動径 $\mathrm{FP}$ が単位時間に通過する範囲の面積は一定であること(「ケプラーの第二法則」または「面積速度一定の法則」)が知られている.