COMPASS

真の理解のためのシンプルな数学のノート

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正弦定理・余弦定理

 $\triangle\mathrm{ABC}$ において, $a = \mathrm{BC},$ $b = \mathrm{CA},$ $c = \mathrm{AB},$ $A = \angle\mathrm A,$ $B = \angle\mathrm B,$ $C = \angle\mathrm C$ とおく.

正弦定理

定理≪正弦定理≫

 $\triangle\mathrm{ABC}$ において, 外接円の半径を $R$ とおくと, \[\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R\] が成り立つ.

問題≪チャップル=オイラーの定理≫

 次のことを示せ.
(A)
点 $\mathrm O$ を中心とする半径 $R$ の円の弦 $\mathrm{XY}$ 上のすべての点 $\mathrm P$ に対して \[\mathrm{OP}^2 = R^2-\mathrm{XP}\cdot\mathrm{YP}\] が成り立つ.
(B)
$\triangle\mathrm{ABC}$ の外心を $\mathrm O,$ 内心を $\mathrm I,$ 外接円の半径を $R,$ 内接円の半径を $r$ とおく. さらに, 直線 $\mathrm{AI}$ と円 $\mathrm O$ の交点のうち $\mathrm A$ と異なる方の点を $\mathrm D$ とおき, 辺 $\mathrm{AB}$ と円 $\mathrm I$ の接点を $\mathrm E$ とおくと,
(1)
$\mathrm{DB} = \mathrm{DI},$ 
(2)
$\mathrm{AI}\cdot\mathrm{DB} = 2Rr,$ 
(3)
$\mathrm{OI}^2 = R^2-2Rr$ 
が成り立つ.
[2012 宮崎大*]

解答例

(A)
弦 $\mathrm{XY}$ の中点を $\mathrm M$ とおくと, 三平方の定理により \begin{align*} \mathrm{OP}^2 &= \mathrm{OM}^2+\mathrm{MP}^2 \\ &= \mathrm{OX}^2-\mathrm{XM}^2+\mathrm{MP}^2 \\ &= R^2-(\mathrm{XM}+\mathrm{MP})(\mathrm{XM}-\mathrm{MP}) \\ &= R^2-\mathrm{XP}\cdot\mathrm{YP} \end{align*} が成り立つ.
(B)
(1)
$\angle\mathrm{CAB} = 2\alpha,$ $\angle\mathrm{ABC} = 2\beta$ とおく.
このとき, 円周角の定理により, \[\angle\mathrm{DBI} \!=\! \angle\mathrm{DBC}+\angle\mathrm{CBI} \!=\! \angle\mathrm{DAC}+\beta \!=\! \alpha +\beta\] が成り立つ. また, $\triangle\mathrm{ABI}$ の外角に着目すると, \[\angle\mathrm{DIB} = \angle\mathrm{IAB}+\angle\mathrm{ABI} = \alpha +\beta\] が成り立つ. よって, $\angle\mathrm{DBI} = \angle\mathrm{DIB}$ から $\triangle\mathrm{DBI}$ はこれらの角を底角とする二等辺三角形であるので, $\mathrm{DB} = \mathrm{DI}$ が成り立つ.
(2)
三角比の定義により, \[\mathrm{AI} = \frac{\mathrm{EI}}{\sin\alpha} = \frac{r}{\sin\alpha}\] が成り立つ. また, 正弦定理により, \[\mathrm{DB} = 2R\sin\alpha\] が成り立つ. よって, 辺々をかけると, \[\mathrm{AI}\cdot\mathrm{DB} = \frac{r}{\sin\alpha}\cdot 2R\sin\alpha = 2Rr\] が得られる.
(3)
円 $\mathrm O$ の弦 $\mathrm{AD}$ と点 $\mathrm I$ に (A) の結果を適用すると, (1) と (2) から \begin{align*} \mathrm{OI}^2 &= R^2-\mathrm{AI}\cdot\mathrm{DI} \\ &= R^2-\mathrm{AI}\cdot\mathrm{DB} \\ &= R^2-2Rr \end{align*} が得られる.

別解: 方べきの定理(数学 A)を利用

(A)
直線 $\mathrm{OP}$ と円 $\mathrm O$ の交点を $\mathrm S,$ $\mathrm T$ とおくと, 方べきの定理により \begin{align*} \mathrm{XP}\cdot\mathrm{YP} &= \mathrm{SP}\cdot\mathrm{TP} \\ &= (R+\mathrm{OP})(R-\mathrm{OP}) \\ &= R^2-\mathrm{OP}^2 \end{align*} となり, $\mathrm{OP}^2 = R^2-\mathrm{XP}\cdot\mathrm{YP}$ が得られる.

背景

 (B) の (3) の結果は「チャップル=オイラーの定理」(Chapple-Euler theorem)として知られている.

余弦定理

定理≪余弦定理≫

 $\triangle\mathrm{ABC}$ において, \begin{align*} a^2 &= b^2+c^2-2bc\cos A, \\ b^2 &= c^2+a^2-2ca\cos B, \\ c^2 &= a^2+b^2-2ab\cos C \end{align*} が成り立つ.

問題≪ヘロンの三角形≫

 $\triangle\mathrm{ABC}$ の頂点 $\mathrm A$ から $\mathrm{BC}$ に下した垂線の足を $\mathrm H$ とおく.
(1)
$a = \mathrm{BC},$ $b = \mathrm{CA},$ $c = \mathrm{AB}$ と $S = \triangle\mathrm{ABC}$ を用いて $\dfrac{\mathrm{AH}}{c},$ $\dfrac{\mathrm{BH}}{c},$ $\dfrac{\mathrm{CH}}{b}$ を表せ.
(2)
$a,$ $b,$ $c$ と $S$ がすべて整数であるとき, $a\cdot\mathrm{AH},$ $2a\cdot\mathrm{BH},$ $2a\cdot\mathrm{CH}$ はすべて整数であることを示せ.

解答例

(1)
三角比の定義, 三角形の面積の公式と余弦定理により, \begin{align*} \frac{\mathrm{AH}}{c} &= \sin B = \frac{2S}{ca} \quad \cdots [1], \\ \frac{\mathrm{BH}}{c} &= |\cos B| = \frac{|c^2+a^2-b^2|}{2ca} \quad \cdots [2], \\ \frac{\mathrm{CH}}{b} &= |\cos C| = \frac{|a^2+b^2-c^2|}{2ab} \quad \cdots [3] \end{align*} が成り立つ.
(2)
$[1]$~$[3]$ から, \begin{align*} a\cdot\mathrm{AH} &= 2S, \\ 2a\cdot\mathrm{BH} &= |c^2+a^2-b^2|, \\ 2a\cdot\mathrm{CH} &= |a^2+b^2-c^2| \end{align*} が成り立つ. $a,$ $b,$ $c$ と $S$ がすべて整数であるとき, これらの値は整数である.

背景

  • $3$ 辺の長さと面積がすべて整数であるような三角形を「ヘロンの三角形」(Heronian triangle)と呼ぶ. 「ピタゴラスの三角形」(各辺の長さがすべて整数であるような直角三角形)は「ヘロンの三角形」である. よって, $1$ 組の辺の長さが等しい $2$ つの「ピタゴラスの三角形」の等辺を貼り合わせたり, 一方から他方を取り除いたりすることで,「ヘロンの三角形」を作ることができる. 例えば, $3$ 辺の長さが $9,$ $12,$ $15$ の三角形, $5,$ $12,$ $13$ の三角形において, 長さが $12$ の辺を貼り合わせると $3$ 辺の長さが $13,$ $14,$ $15$ の「ヘロンの三角形」が得られ, 前者から後者を取り除くと $3$ 辺の長さが $4,$ $13,$ $15$ の「ヘロンの三角形」が得られる.
  • 逆に, 本問の結果から, すべての「ヘロンの三角形」は, 上記のような「ピタゴラスの三角形」からできる三角形と相似であり, その相似比はある辺の長さ $a$ に対して $2a$ の約数であることがわかる.

問題≪ヘロンの公式≫

 $\triangle\mathrm{ABC}$ において, $a = \mathrm{BC},$ $b = \mathrm{CA},$ $c = \mathrm{AB},$ $s = \dfrac{a+b+c}{2}$ とおく. このとき, \[\triangle\mathrm{ABC} = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}\] が成り立つことを示せ.

解答例

 余弦定理 $\cos\angle\mathrm{BAC} = \dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$ により \begin{align*} &(\triangle\mathrm{ABC})^2 = \frac{1}{4}b^2c^2\sin ^2\angle\mathrm{BAC} \\ &= \frac{1}{4}b^2c^2(1-\cos ^2\angle\mathrm{BAC}) \\ &= \frac{1}{4}b^2c^2-\frac{1}{4}b^2c^2\cdot\frac{(b^2+c^2-a^2)^2}{4b^2c^2} \\ &= \frac{1}{16}\{ (2bc)^2-(b^2+c^2-a^2)^2\} \\ &= \frac{1}{16}(2bc+b^2+c^2-a^2)(2bc-b^2-c^2+a^2) \\ &= \frac{1}{16}\{ (b+c)^2-a^2\}\{ a^2-(b-c)^2\} \\ &= \frac{a+b+c}{2}\cdot\frac{-a+b+c}{2}\cdot\frac{a-b+c}{2}\cdot\frac{a+b-c}{2} \\ &= s(s-a)(s-b)(s-c) \end{align*} が成り立つので, 両辺の平方根をとると求める等式が得られる.

背景

 本問で示した等式は「ヘロンの公式」(Heron's formula)と呼ばれる.

問題≪ブラーマグプタの公式≫

 円に内接する四角形 $\mathrm{ABCD}$ において, $a = \mathrm{AB},$ $b = \mathrm{BC},$ $c = \mathrm{CD},$ $d = \mathrm{DA},$ $s = \dfrac{a+b+c+d}{2}$ とおく. このとき, 四角形の面積 $S$ は \[ S = \sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}\] と表されることを示せ.

解答例

 $\theta = \angle\mathrm{ABC}$ とおく. $\angle\mathrm{CDA} = 180^\circ -\theta$ であるから, \begin{align*} S &= \triangle\mathrm{ABC}+\triangle\mathrm{CDA} \\ &= \frac{1}{2}ab\sin \theta +\frac{1}{2}cd\sin (180^\circ -\theta ) \\ &= \frac{1}{2}(ab+cd)\sin\theta \\ &= \frac{1}{2}(ab+cd)\sqrt{1-\cos ^2\theta} \end{align*} が成り立つ. $\cos (180^\circ -\theta ) = -\cos\theta$ であるから, $\triangle\mathrm{ABC},$ $\triangle\mathrm{CDA}$ に余弦定理を適用すると \[\mathrm{AC}^2 = a^2+b^2-2ab\cos\theta = c^2+d^2+2cd\cos\theta \] となり, \[\cos\theta = \frac{a^2+b^2-c^2-d^2}{2(ab+cd)}\] となる. よって, \begin{align*} S^2 &= \frac{1}{4}(ab+cd)^2(1-\cos ^2\theta ) \\ &= \frac{1}{4}(ab+cd)^2-\frac{1}{4}(ab+cd)^2\cdot\frac{(a^2+b^2-c^2-d^2)^2}{4(ab+cd)^2} \end{align*} \begin{align*} &= \frac{1}{16}\{ 4(ab+cd)^2-(a^2+b^2-c^2-d^2)^2\} \\ &= \frac{1}{16}\{ (2ab+2cd)^2-(a^2+b^2-c^2-d^2)^2\} \\ &= \frac{1}{16}(2ab+2cd-a^2-b^2+c^2+d^2) \\ &\qquad \cdot (2ab+2cd+a^2+b^2-c^2-d^2) \\ &= \frac{1}{16}\{ (c+d)^2-(a-b)^2\}\{ (a+b)^2-(c-d)^2\} \\ &= \frac{-a+b+c+d}{2}\cdot\frac{a-b+c+d}{2} \\ &\qquad \cdot\frac{a+b-c+d}{2}\cdot\frac{a+b+c-d}{2} \\ &= (s-a)(s-b)(s-c)(s-d) \end{align*} が成り立つから, 両辺の平方根をとると \[ S = \sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}\] が得られる.

問題≪トレミーの定理≫

 辺の長さが $\mathrm{AB} = a,$ $\mathrm{BC} = b,$ $\mathrm{CD} = c,$ $\mathrm{DA} = d$ である四角形 $\mathrm{ABCD}$ が円に内接している. $\mathrm{AC} = x,$ $\mathrm{BD} = y$ とおく.
(1)
$a,$ $b,$ $c,$ $d$ を用いて $x,$ $y$ を表せ.
(2)
$xy = ac+bd$ が成り立つことを示せ.
ヒント: 円に内接する四角形の向かい合う内角の和は $180^\circ$ である(数学 A).

解答例

(1)
$\angle\mathrm{ABC} = \theta$ とおく. 四角形 $\mathrm{ABCD}$ は円に内接しているから, このとき $\angle\mathrm{CDA} = 180^\circ -\theta$ である.
$\triangle\mathrm{ABC},$ $\triangle\mathrm{CDA}$ に余弦定理を適用すると, $x^2$ は \begin{align*} x^2 &= a^2+b^2-2ab\cos\theta \quad \cdots [1], \\ x^2 &= c^2+d^2+2cd\cos\theta \quad \cdots [2] \end{align*} と $2$ 通りに表せる. $[1]\times cd+[2]\times ab$ から \begin{align*} (ab+cd)x^2 &= cd(a^2+b^2)+ab(c^2+d^2) \\ &= (ad+bc)(ac+bd) \end{align*} となるので, \[ x = \sqrt{\frac{(ad+bc)(ac+bd)}{ab+cd}} \quad \cdots [3]\] が得られる. $b$ と $d$ を入れ替えると, \[ y = \sqrt{\frac{(ab+cd)(ac+bd)}{ad+bc}} \quad \cdots [4]\] となる.
(2)
$[3]\times [4]$ から, \begin{align*} xy &= \sqrt{\frac{(ab+cd)(ad+bc)(ac+bd)^2}{(ab+cd)(ad+bc)}} \\ &= ac+bd \end{align*} が成り立つ.